精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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利善とレイドの異世界旅11

 転移装置に四人で乗り、転送された場所は真っ暗な闇が広がる世界
「まーっくろっぽねぇ、どれ、このクルさんが一肌ぬげぷっ」
 突如闇から何かが飛んできてクルルの顔面に当たった
 一瞬の出来事で誰もが反応できず、倒れ込むクルルをただ見ていた
 クルルの顔面は酷く焼けただれ、黒い炎がくすぶっている
 眼球は破裂したのか目から血がドクドクと流れ出て、口から血反吐を吐く
「くぷっげぼぁ」
 何か言おうとしているが喉に血が詰まってうまく話せないでいる
 やがてクルルは動かなくなった
 突然の仲間の死に三人は戦慄し、レイドはガクリと足から崩れ落ちて震える
「やぁ何か来たから思わず撃っちゃったけど正解~。ハハハ、鳥の獣人? すっかりぶっさいくになっちゃったねぇ。あ、もう死んでるか」
「貴様よくも!」
 師匠と仰いでいたクルルの死に利善は激昂し、暗闇から出てきた男を空間の能力で捕らえた
 そして段々とその空間を狭めていく
「おやぁ、これでつぶそうっての? 無駄無駄、ここに何人の能力者がいると思ってんの? ばっかだねぇ」
 男をかこっていた空間が突如消える
 それでも怒り狂った利善は止まらない
 空間の能力を全力で使ってやたら目ったら闇の中を攻撃し続けた
「ぎゃっ」
「ぐあっ」
 闇の中からいくらかの声が聞こえてくる
 利善の能力に押しつぶされたのだろう
「あーあ、今死んだの雑魚だねぇ。まぁ補充がきくから別にいいけど」
 男にまた空間の能力が迫るが、今度は目前で消えた
「むーだだっての」
 そして今度は男の右手から黒い炎が生まれ、レイドに向かって放たれた
「レイド!」
 一瞬反応が遅れた利善、黒い炎はレイドにまっすぐ飛んで当たる瞬間アインドーバの能力でその炎を相殺した
「何やってるの利善ちゃん! 体制を立て直すの! クルルちゃんはもうだめよ! この子に言われたことをしっかり思い出しなさいな!」
 アインドーバの言葉でハッとする利善
「怒りに任せて力をふるってはいけないっぽ」
 生前のクルルはとにかく感情に敏感な女性だった
 母親を連れ去られてウルを憎んでいる利善
 そんな感情をあっさりと見破られた
「怒りは力を強めることはあるっぽ。でも、それは負の感情、悪意に飲まれやすくなるっぽ。だから弟子、君にはそんな風になってもらいたくはないっぽよ」
 クルルも過去に何かあったのか、そう教える時はいつも朗らかな笑顔を浮かべる彼女の顔が陰って見えた
 利善の足元で顔を焦がして死んでいるクルル
 師匠としての彼女はけして優秀とは言えず、何を言っているのか分からないことは多かったが、それでも正義の心は利善と同じく力強く、教わることは多かった
 たった数週間の師弟関係ではあったが、彼女とは信頼関係がしっかりと気づけていたのだ
 利善はグッと涙をこらえて彼女の亡骸を担ぐとレイドを担いだアインドーバと共にこの場を引いて逃げ出した
「っち、逃げんなよぉ・・・。まぁこの世界からは出れないし? ゆっくりハンティングと行きますか」
 男の声が後ろから聞こえるが、どうやらこの場は見逃してもらえるようだった
 前を自身の能力である炎で照らし、道を作って行くアインドーバ
 震えて泣くレイド、そして亡き師匠の亡骸を抱き復讐を誓う利善だった

 どのくらい走っただろうか?
 かなりの距離を走ったことだけは分かる
 周囲は相変わらず闇に包まれており、どこか休める場所を探すのも苦労したが、ようやく一軒の小屋を見つけた
 どうやらこの辺りは元々街だったようで、ところどころに瓦礫が散乱していた
 その小屋で三人はようやく一息つく
 そして利善は涙をこぼしながらクルルの遺体を丁寧に包んだ
 だがその包んだ端から突然布が燃え始める
 めらめらとクルルの体を炎が覆いつくし、やがて灰となった
「そんな、なぜ・・・。遺体すら残さないというのか、奴の能力は」
「違うわ利善ちゃん、よく見なさい」
 その灰がなぜかもこもこと動いている
 そして
「プハァアア! 死ぬかと思ったっぽ」
 幼いクルルが這い出てきたのだった
「し、師匠?」
「うむ! クルさん師匠ここに健在っぽ!」
 かなり幼くなってしまったが、それは間違いなくクルル本人だった
 鳳凰の獣人にして不死鳥の先祖返り
 それこそがクルルという女性だった
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