精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

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アモンの旅2

 二日後、数十頭もの竜が一斉に村にやってくるのが見えた
 遠目からでもその大きさが分かる
「でかいな」
「はい、我々のような非力な者ではとてもではないですが太刀打ちできないのです」
 今まで村人は抵抗できずにこの竜たちによって家畜を奪われ続けていた
 だが今はアモンがいる
 先頭にいたひと際大きな竜がアモンの前に降り立つ
「今日の供物を取りに来たぞ。さぁどこにある」
「何だ口が利けるのか。それならさ、ここの人達困ってるんだよね、だからこんなこともうやめてくれないかな? 竜なら自分達で得物くらいとれるだろう?」
「ふん、人風情が生意気な。そこのハーフリンクどもは俺たちが守ってやっているんだ。その報酬として家畜をもらっているにすぎん。よそ者が口を挟むな! 噛み殺すぞ!」
 竜は聞く耳を持たない
 それどころかアモンをただの人間だと思って大笑いしている
 完全に舐め切っていた
「村人から聞いた話と違うね。君らが無理やり奪ってるって話だったけど」
「ふん、別にどうでもいいだろう。あまりしつこいと死ぬぞ?」
 鋭い爪をアモンの胸に当てトントンと叩く
 アモンはその爪をグッと握るとリーダー格の竜をそのまま投げ飛ばした
 ゴロンと腹を向けて転がり、突然のことで訳が分からないという顔でキョトンとする竜
「な、あれ?」
「まだやるかい?」
「くそが! 舐めやがって人間が! 今のはただ躓いて転んだだけだ!」
 歩いてもいないのに躓いたと言い訳をする竜
 どうやらあまり賢くはないようだ
「お前ら! こいつを殺せ!みせしめだ!」
 リーダー竜の命令で後ろに控えていた竜が一斉に襲い掛かってくる
 中にはブレスを吐こうと喉の火炎袋を膨らませる竜もいた
「はぁ、しょうがないな」
 アモンはドンと右足を前に踏み込んで空気を思いっきり掌手で叩いた
 パーンと周囲の空気が大きく振動し、竜の全てが一瞬で気絶する
 村人のハーフリンクたちはアモンのあまりの強さに口を大きく開け、目を丸くして驚いている
「さて、君がリーダーの竜だよね? まだやるかい?」
「あ、いえ、やりませんです。すみませんでした」
 自分との力量の差を見せつけられてリーダー竜は完全に戦意を失った
 やがて目を覚まし始めた竜たちを連れて二度と村には手を出さないと約束し、山の方へと戻って行った
「あ、ありがとうございます! 何故あなたはそんなに強いのですか?」
「はは、僕は強くはないよ。大切な仲間も守れなかったただの男さ」
 悲しそうな顔をするアモンに対し、それ以上は何も聞けなくなる村人
 
 竜を追い払ったことでアモンは村全体によってもてなされた
 そこでアモンは仲間たちについて聞いてみた
「ふむふむ、攫われたお仲間ですか。すみません、そのような特徴の少年少女は見ていませんね」
「そうですか・・・」
「お役に立てず申し訳ない」
「いえいいんです。こうやってもてなしてくれたこと、感謝します」
 ハーフリンクたちの暖かさに触れ、アモンは少し心を癒すことができた
 変わり者の悪魔アモンにとって人の優しさや温かさが何よりの癒しだった
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