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プロローグ
5
一瞬の事だった。
ついさっきまでグノーデルさんと
言い争いをしていたはずの女神ヨナスが、
仔虎のグノーデルさんを蹴飛ばして
一息に距離を詰めると私の首を
片手で締め上げたのだ。
「あなた‼︎」
イリューディアさんが声を上げて
グノーデルさんに駆け寄り
抱き上げているのがちらりと見えた。
その間にも、ギリギリと締め上げられ
持ち上げられた体がわずかに宙に浮く。
片手で持ち上げるとかすごい力だ。
めちゃくちゃ苦しい。
ヨナスは声を張り上げる。
「魔物がいるから、荒れ地が多くて
住む場所が限られているからこそ、
身を守るために人間達はお互い協力しあい
仲良く暮らしていけているの!
今のこの状態こそがイリューディア、
あなたの望むお互いを思いやり暮らす
理想の世界に近いのよ!
魔物と荒地が消えてごらんなさい、
人間達はお互い傷つけあって
この世界はあっという間に
滅びるに決まってるわ!
あたしは正しいの、あたしの言う通りになさい‼︎
この人間は下へ送らせないわ‼︎」
「ふざけた事を抜かすなクソ女」
蹴り上げられた後イリューディアさんに
抱き抱えられていたグノーデルさんが
ケンケン、と咳き込みながら白い毛を逆立てて
真っ青な瞳を怒りに燃やす。
まるで青い炎のようだ。
「何が正しいかなんてのは、
俺達の決める事じゃない。
この世界に生きる以上人間達にも選び、
決める権利がある‼︎邪魔をするな‼︎」
言うが早いが、グノーデルさんは
イリューディアさんの腕の中から
飛び出し私の首を掴むヨナスの手に噛み付いた。
「・・・ッ、このバカ男、
まだこんな力を・・・っ‼︎」
痛みに顔を歪めながら離さない
ヨナスの手が淡く光る。
「行かせない、
呪い殺してやるわ・・・‼︎」
えぇっ!異世界召喚されて
数分で死ぬとかありなの⁉︎
それはイヤ、これなら社畜で
おとなしく働いてた方がまだマシだった‼︎
死にたくないので必死でヨナスの手を
離そうとするけどびくともしない。
その時だった。
「させるか、クソ女・・・ッ‼︎」
グノーデルさんが噛み付いた牙に
渾身の力を込めた。
「ギャッ‼︎‼︎」
ヨナスの悲鳴が聞こえたかと思うと
それまで持ち上げられていた
私の体が地に落ちる。
どすんと尻もちをついて座り込むと、
グノーデルさんが口から
ポイっと何かを放ったのが見えた。
「あたしの腕・・・!このバカ男よくもっ」
どうやら私を掴んでいたヨナスの腕を
グノーデルさんが噛みちぎったらしい。
怒りでヨナスの意識が一瞬
グノーデルさんに向く。
その隙をつき、ぐいっと体を引かれて
立ち上がらせられた。
イリューディアさんだ。
おっとりふわふわの雰囲気に似合わない力強さで、
そのまま光の柱の方へドンッ‼︎と押される。
「今よユーリ、
手荒くしてごめんなさい・・・っ‼︎」
えっ、と思った時にはまばゆい光の中へと
押し込められた後だった。
最後に見えたのは、祈るように手を組んで
私を心配そうに見ているイリューディアさんと
その後ろで子ども同士のケンカのように
取っ組み合いをしている大人げない
グノーデルさんとヨナスの姿だった。
ついさっきまでグノーデルさんと
言い争いをしていたはずの女神ヨナスが、
仔虎のグノーデルさんを蹴飛ばして
一息に距離を詰めると私の首を
片手で締め上げたのだ。
「あなた‼︎」
イリューディアさんが声を上げて
グノーデルさんに駆け寄り
抱き上げているのがちらりと見えた。
その間にも、ギリギリと締め上げられ
持ち上げられた体がわずかに宙に浮く。
片手で持ち上げるとかすごい力だ。
めちゃくちゃ苦しい。
ヨナスは声を張り上げる。
「魔物がいるから、荒れ地が多くて
住む場所が限られているからこそ、
身を守るために人間達はお互い協力しあい
仲良く暮らしていけているの!
今のこの状態こそがイリューディア、
あなたの望むお互いを思いやり暮らす
理想の世界に近いのよ!
魔物と荒地が消えてごらんなさい、
人間達はお互い傷つけあって
この世界はあっという間に
滅びるに決まってるわ!
あたしは正しいの、あたしの言う通りになさい‼︎
この人間は下へ送らせないわ‼︎」
「ふざけた事を抜かすなクソ女」
蹴り上げられた後イリューディアさんに
抱き抱えられていたグノーデルさんが
ケンケン、と咳き込みながら白い毛を逆立てて
真っ青な瞳を怒りに燃やす。
まるで青い炎のようだ。
「何が正しいかなんてのは、
俺達の決める事じゃない。
この世界に生きる以上人間達にも選び、
決める権利がある‼︎邪魔をするな‼︎」
言うが早いが、グノーデルさんは
イリューディアさんの腕の中から
飛び出し私の首を掴むヨナスの手に噛み付いた。
「・・・ッ、このバカ男、
まだこんな力を・・・っ‼︎」
痛みに顔を歪めながら離さない
ヨナスの手が淡く光る。
「行かせない、
呪い殺してやるわ・・・‼︎」
えぇっ!異世界召喚されて
数分で死ぬとかありなの⁉︎
それはイヤ、これなら社畜で
おとなしく働いてた方がまだマシだった‼︎
死にたくないので必死でヨナスの手を
離そうとするけどびくともしない。
その時だった。
「させるか、クソ女・・・ッ‼︎」
グノーデルさんが噛み付いた牙に
渾身の力を込めた。
「ギャッ‼︎‼︎」
ヨナスの悲鳴が聞こえたかと思うと
それまで持ち上げられていた
私の体が地に落ちる。
どすんと尻もちをついて座り込むと、
グノーデルさんが口から
ポイっと何かを放ったのが見えた。
「あたしの腕・・・!このバカ男よくもっ」
どうやら私を掴んでいたヨナスの腕を
グノーデルさんが噛みちぎったらしい。
怒りでヨナスの意識が一瞬
グノーデルさんに向く。
その隙をつき、ぐいっと体を引かれて
立ち上がらせられた。
イリューディアさんだ。
おっとりふわふわの雰囲気に似合わない力強さで、
そのまま光の柱の方へドンッ‼︎と押される。
「今よユーリ、
手荒くしてごめんなさい・・・っ‼︎」
えっ、と思った時にはまばゆい光の中へと
押し込められた後だった。
最後に見えたのは、祈るように手を組んで
私を心配そうに見ているイリューディアさんと
その後ろで子ども同士のケンカのように
取っ組み合いをしている大人げない
グノーデルさんとヨナスの姿だった。
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