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第九章 剣と使徒
12
「エル君!心配したんですよ、一体どこに
行ってたんですか!」
声を潜めて言えば、また服の裾を引かれて、
しゃがんだままそっと外のシオンさん達に
気付かれないようにその場から少し離れた所へ
移動した。
「ユーリ様、思ったより早くお目覚めでしたね。」
もう少し眠っているかと思いました。いつもの
無表情でエル君はそう言った。今シオンさん達が
していることには全然動じていない。
「エ、エル君どうしましょう⁉︎シオンさんは
もしかして人攫いとか人身売買とか、そんな事を
してるのかも⁉︎え?領主代行なのに?」
混乱している私にエル君はこくりと頷いた。
「トランタニアには孤児が多いので、少しくらい
数が増減しても今まで気付かれなかったんでしょう。
このお屋敷も、その取引のために建てた秘密の館
だったのかも知れません。」
滅多に人の来ない辺鄙な荒地の森林の中に
ひっそりと建てられた人身売買のための館。
たまたま私が牧場を作りたいと言い出して、
何も知らない領事官さんが選んだ場所。
そこで気まぐれに私が散策した森林で雨に降られて
雨宿りさせてもらったのがそんな場所だったなんて。
タイミングが悪すぎる上に偶然が重なって、
そりゃシオンさんも苛つくはずだ。
「どうしよう、誰かに助けを求める為にここを
抜け出すことはできないですか?あ、でも
あの侍女さん達も助けてあげたい・・・!」
あわあわしながらそう言えば、落ち着いて下さいと
エル君に制された。
「もう少しすればあの領主代行は動けなくなる
はずです。手下の3人もすぐに片付けます。
あとあの侍女達は助けた方がいいんですか?」
「助けた方が良いに決まってます!無理矢理ここで
働かせられているようだし、昔のエル君みたいに
わざと怪我をさせられて逃げ出せなくなってます!
エル君みたいに生贄・・・ってわけじゃないけど
それに近いようなものですよ‼︎」
「そうですか・・・」
「あんなか弱い女の子達が突き飛ばされたり
ぶたれたりしてるのを黙って放っておくなんて
出来ません!何とかして助けて、怪我を治して
あげたいです!」
必死でそう言ったらエル君が小首を傾げた。
「か弱い女の子・・・?ユーリ様、それは
間違いです。あの2人は男です。あ、でも
去勢されてるみたいだから、か弱いのかな・・・?
ごめんなさい、去勢された人には僕も実際
初めて出会うのでか弱いかどうか分かりません。」
「え?」
あの2人が男の子だとか去勢だとか、想像も
していなかった衝撃的な言葉がエル君から
飛び出してきた。
いや、でも侍女さんの格好で・・・かわいくて・・・
声がちょっとハスキーで・・・
あれ?さっきそう言えば『ボク達』って言ってた⁉︎
え?ボク達みたいな目に合わせないで、って
わざと怪我をさせるってことだけじゃなくて
きょっ、去勢・・・⁉︎そういう意味⁉︎
男の娘、とか宦官、とかいう単語が頭の中を
駆け巡り、ついでに美声を保つためにわざと
去勢させられるカストラートという去勢歌手の
ドキュメンタリーをネット動画で見た時のことを
思い出した。
そういえばさっき荷馬車に詰め込まれるように
乗せられていたあの子供達、みんな男の子だった。
男の子だけを集めて人身売買してきょ・・・
去勢して、更には侍女さんの格好で女装させた上に
自分に仕えさせているなんて。
そう言えば雨に濡れたエル君にもお仕着せの
女の子の服を勧めてたし、女だけどまだ侍女と
いうには小さい私にもその格好をさせてそれを見て
妙に興奮して喜んでいた。
・・・大変だ。変態だ。シオンさんは領主代行なのに
とんでもない変態だった。
しかもただ女装させて仕えさせているだけなら
単なる特殊性癖だと言い張ればまだ何とか
なったかも知れないけど、見目のいい孤児を領主に
無断で人身売買したり去勢したりするなんて
完全な犯罪行為でアウトだ。
とんでもない変態の館に迷い込んでしまった。
あれ?私の癒しの力ってそういう、その、
去勢もなかったことに出来るのかな・・・?
身体欠損を治せるならその一環で?
考え始めたら顔が赤くなってきた。
これ、あの子達を助けた後になんて言って
申し出ればいいのかな?
馬鹿みたいな事を考え出して赤くなった私を
エル君は不思議そうに見つめている。
「ユーリ様。ユーリ様はとりあえず自分の部屋に
戻って下さい。僕はもう少しこの犯罪行為の
証拠を集めてからあの人達を捕まえます。」
それがユーリ様の望みですよね?
その言葉にハッとする。
「でもエル君1人じゃ危険ですよ⁉︎」
「平気です。それにさっきの夕食、シチューの中に
ユーリ様の採ってきた毒キノコをたくさん入れたけど
あの人それをちゃんと食べていたので、もうしばらくすれば動けなくなるはずです。」
「・・・んん?」
エル君、今なんて言った?
「ユーリ様、森の中でいっぱい毒キノコを採って
あの革袋の中に入れていたでしょう?
ちょうど良かったのでそれを利用させて
もらいました。
あの人、初めて会った時から僕のことをおかしな目で
見ていて怪しいと思っていたら、案の定こんな
屋敷で去勢した人間を女装させて使っているし、
外からは子供達の気配がするし変だと思って。
だからユーリ様が悪さをされないために、
念のため夕食に毒を盛りました。」
いや夕食に盛りましたって!ていうか、私のあの
キノコが全部毒キノコだった・・・⁉︎
「森の中であんなにたくさん毒キノコだけを
集めてきた時は一体どうするつもりかと思って
いたんですけど、まさかこんなところで役に立つとは
思いませんでした。」
そういえばキノコを採ってる私を見てエル君は
そんなの採ってどうするんですかって呆れて
いたけどあれは毒キノコなんか集めてどうするんだと
いう意味だったんだ。そして大事な事に気付く。
「エル君・・・私もその毒キノコ入りのシチュー、
思いっきり食べましたけど・・・。領事官さんも。」
さっきシオンさんが夕食を食べてから気分が
悪いと言っていたのは、その毒キノコのせいなのか。
そういえば私もさっきまでお腹がちくちく痛かった。
あれは食べ過ぎのせいじゃなくて、毒キノコの
せいだった・・・⁉︎
真っ青になった私にエル君が、
「はい。あの人と別な物をユーリ様が食べると
怪しまれると思ったので、ユーリ様のシチューにも
あのキノコは入れました。でもその毒を打ち消す為、
食後にリンゴの砂糖漬けとそれが入ったお茶を
ユーリ様と領事官さんにはお出ししました。
だから相殺効果で平気なはずです。」
一眠りしたらなんともないでしょう?そう言われて
確かに、と気付く。起きたらお腹の痛みは
全然なくなっていた。いや、でも自分の主に
毒を盛るとか・・・!
敵を騙すにはまず味方から、ということなのかな⁉︎
そもそもあの金のリンゴに毒消し効果があるのも
私は知らなかった。
「あのリンゴに毒消し効果があるなんてどうやって
エル君は知ったんですか?」
「自分で試しました。毒を摂る前に食べても
効果はありますけどそれはほんの僅かで、
毒を摂った後にリンゴを食べる方が毒消しの効果は
強かったです。だからユーリ様も領事官さんも
安心して大丈夫です。」
エル君にしてみれば未知の物体・・・この場合は
リンゴだけど、それを試すのに自分で確かめるのは
ごく当たり前の事らしい。まだ小さいのに、
それも剣としての訓練の一つなんだろうか。
「あ、そういえばシオンさんはさっき私と
騎士さんに睡眠薬を盛ったような話をしてたけど
私が騎士さんより先に目を覚ましたのも、
リンゴのおかげ・・・?」
「多分そうです。睡眠薬に使われたのはジグリスの
花の根を粉末にしたものだと思います。強い
鎮静効果や麻酔代わりだったり、不眠症の
改善に使われることもありますから。」
ジグリスの花はこの森の中にたくさんあった。
花は綺麗なのにこんな使い方をされるなんて。
「ユーリ様は部屋に戻って鍵をかけて、じっと
していて下さい。その間に片付けますから。」
「で、でも。」
いくら鍛錬を積んでいるといってもこんな小さな
エル君を一人で行かせるなんて。
そう言えばかぶりを振ったエル君の真っ白な髪が
左右にさらさらと揺れる。
「ユーリ様、僕はユーリ様の護衛であると同時に
その意思を実行に移すための存在です。
僕の主であるあなたが今望むのは悪人を捕まえて
子供達と侍女2人を助けること。ならそれを
実行するだけです。」
でも心配してくれるのは嬉しいです。
いつも無表情なその顔に、そう言ってエル君は
恥ずかしそうに小さな笑顔を浮かべた。
行ってたんですか!」
声を潜めて言えば、また服の裾を引かれて、
しゃがんだままそっと外のシオンさん達に
気付かれないようにその場から少し離れた所へ
移動した。
「ユーリ様、思ったより早くお目覚めでしたね。」
もう少し眠っているかと思いました。いつもの
無表情でエル君はそう言った。今シオンさん達が
していることには全然動じていない。
「エ、エル君どうしましょう⁉︎シオンさんは
もしかして人攫いとか人身売買とか、そんな事を
してるのかも⁉︎え?領主代行なのに?」
混乱している私にエル君はこくりと頷いた。
「トランタニアには孤児が多いので、少しくらい
数が増減しても今まで気付かれなかったんでしょう。
このお屋敷も、その取引のために建てた秘密の館
だったのかも知れません。」
滅多に人の来ない辺鄙な荒地の森林の中に
ひっそりと建てられた人身売買のための館。
たまたま私が牧場を作りたいと言い出して、
何も知らない領事官さんが選んだ場所。
そこで気まぐれに私が散策した森林で雨に降られて
雨宿りさせてもらったのがそんな場所だったなんて。
タイミングが悪すぎる上に偶然が重なって、
そりゃシオンさんも苛つくはずだ。
「どうしよう、誰かに助けを求める為にここを
抜け出すことはできないですか?あ、でも
あの侍女さん達も助けてあげたい・・・!」
あわあわしながらそう言えば、落ち着いて下さいと
エル君に制された。
「もう少しすればあの領主代行は動けなくなる
はずです。手下の3人もすぐに片付けます。
あとあの侍女達は助けた方がいいんですか?」
「助けた方が良いに決まってます!無理矢理ここで
働かせられているようだし、昔のエル君みたいに
わざと怪我をさせられて逃げ出せなくなってます!
エル君みたいに生贄・・・ってわけじゃないけど
それに近いようなものですよ‼︎」
「そうですか・・・」
「あんなか弱い女の子達が突き飛ばされたり
ぶたれたりしてるのを黙って放っておくなんて
出来ません!何とかして助けて、怪我を治して
あげたいです!」
必死でそう言ったらエル君が小首を傾げた。
「か弱い女の子・・・?ユーリ様、それは
間違いです。あの2人は男です。あ、でも
去勢されてるみたいだから、か弱いのかな・・・?
ごめんなさい、去勢された人には僕も実際
初めて出会うのでか弱いかどうか分かりません。」
「え?」
あの2人が男の子だとか去勢だとか、想像も
していなかった衝撃的な言葉がエル君から
飛び出してきた。
いや、でも侍女さんの格好で・・・かわいくて・・・
声がちょっとハスキーで・・・
あれ?さっきそう言えば『ボク達』って言ってた⁉︎
え?ボク達みたいな目に合わせないで、って
わざと怪我をさせるってことだけじゃなくて
きょっ、去勢・・・⁉︎そういう意味⁉︎
男の娘、とか宦官、とかいう単語が頭の中を
駆け巡り、ついでに美声を保つためにわざと
去勢させられるカストラートという去勢歌手の
ドキュメンタリーをネット動画で見た時のことを
思い出した。
そういえばさっき荷馬車に詰め込まれるように
乗せられていたあの子供達、みんな男の子だった。
男の子だけを集めて人身売買してきょ・・・
去勢して、更には侍女さんの格好で女装させた上に
自分に仕えさせているなんて。
そう言えば雨に濡れたエル君にもお仕着せの
女の子の服を勧めてたし、女だけどまだ侍女と
いうには小さい私にもその格好をさせてそれを見て
妙に興奮して喜んでいた。
・・・大変だ。変態だ。シオンさんは領主代行なのに
とんでもない変態だった。
しかもただ女装させて仕えさせているだけなら
単なる特殊性癖だと言い張ればまだ何とか
なったかも知れないけど、見目のいい孤児を領主に
無断で人身売買したり去勢したりするなんて
完全な犯罪行為でアウトだ。
とんでもない変態の館に迷い込んでしまった。
あれ?私の癒しの力ってそういう、その、
去勢もなかったことに出来るのかな・・・?
身体欠損を治せるならその一環で?
考え始めたら顔が赤くなってきた。
これ、あの子達を助けた後になんて言って
申し出ればいいのかな?
馬鹿みたいな事を考え出して赤くなった私を
エル君は不思議そうに見つめている。
「ユーリ様。ユーリ様はとりあえず自分の部屋に
戻って下さい。僕はもう少しこの犯罪行為の
証拠を集めてからあの人達を捕まえます。」
それがユーリ様の望みですよね?
その言葉にハッとする。
「でもエル君1人じゃ危険ですよ⁉︎」
「平気です。それにさっきの夕食、シチューの中に
ユーリ様の採ってきた毒キノコをたくさん入れたけど
あの人それをちゃんと食べていたので、もうしばらくすれば動けなくなるはずです。」
「・・・んん?」
エル君、今なんて言った?
「ユーリ様、森の中でいっぱい毒キノコを採って
あの革袋の中に入れていたでしょう?
ちょうど良かったのでそれを利用させて
もらいました。
あの人、初めて会った時から僕のことをおかしな目で
見ていて怪しいと思っていたら、案の定こんな
屋敷で去勢した人間を女装させて使っているし、
外からは子供達の気配がするし変だと思って。
だからユーリ様が悪さをされないために、
念のため夕食に毒を盛りました。」
いや夕食に盛りましたって!ていうか、私のあの
キノコが全部毒キノコだった・・・⁉︎
「森の中であんなにたくさん毒キノコだけを
集めてきた時は一体どうするつもりかと思って
いたんですけど、まさかこんなところで役に立つとは
思いませんでした。」
そういえばキノコを採ってる私を見てエル君は
そんなの採ってどうするんですかって呆れて
いたけどあれは毒キノコなんか集めてどうするんだと
いう意味だったんだ。そして大事な事に気付く。
「エル君・・・私もその毒キノコ入りのシチュー、
思いっきり食べましたけど・・・。領事官さんも。」
さっきシオンさんが夕食を食べてから気分が
悪いと言っていたのは、その毒キノコのせいなのか。
そういえば私もさっきまでお腹がちくちく痛かった。
あれは食べ過ぎのせいじゃなくて、毒キノコの
せいだった・・・⁉︎
真っ青になった私にエル君が、
「はい。あの人と別な物をユーリ様が食べると
怪しまれると思ったので、ユーリ様のシチューにも
あのキノコは入れました。でもその毒を打ち消す為、
食後にリンゴの砂糖漬けとそれが入ったお茶を
ユーリ様と領事官さんにはお出ししました。
だから相殺効果で平気なはずです。」
一眠りしたらなんともないでしょう?そう言われて
確かに、と気付く。起きたらお腹の痛みは
全然なくなっていた。いや、でも自分の主に
毒を盛るとか・・・!
敵を騙すにはまず味方から、ということなのかな⁉︎
そもそもあの金のリンゴに毒消し効果があるのも
私は知らなかった。
「あのリンゴに毒消し効果があるなんてどうやって
エル君は知ったんですか?」
「自分で試しました。毒を摂る前に食べても
効果はありますけどそれはほんの僅かで、
毒を摂った後にリンゴを食べる方が毒消しの効果は
強かったです。だからユーリ様も領事官さんも
安心して大丈夫です。」
エル君にしてみれば未知の物体・・・この場合は
リンゴだけど、それを試すのに自分で確かめるのは
ごく当たり前の事らしい。まだ小さいのに、
それも剣としての訓練の一つなんだろうか。
「あ、そういえばシオンさんはさっき私と
騎士さんに睡眠薬を盛ったような話をしてたけど
私が騎士さんより先に目を覚ましたのも、
リンゴのおかげ・・・?」
「多分そうです。睡眠薬に使われたのはジグリスの
花の根を粉末にしたものだと思います。強い
鎮静効果や麻酔代わりだったり、不眠症の
改善に使われることもありますから。」
ジグリスの花はこの森の中にたくさんあった。
花は綺麗なのにこんな使い方をされるなんて。
「ユーリ様は部屋に戻って鍵をかけて、じっと
していて下さい。その間に片付けますから。」
「で、でも。」
いくら鍛錬を積んでいるといってもこんな小さな
エル君を一人で行かせるなんて。
そう言えばかぶりを振ったエル君の真っ白な髪が
左右にさらさらと揺れる。
「ユーリ様、僕はユーリ様の護衛であると同時に
その意思を実行に移すための存在です。
僕の主であるあなたが今望むのは悪人を捕まえて
子供達と侍女2人を助けること。ならそれを
実行するだけです。」
でも心配してくれるのは嬉しいです。
いつも無表情なその顔に、そう言ってエル君は
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