149 / 777
第十章 酒とナミダと男と女
1
しおりを挟む
「久しぶりにアントン様に会えるのは嬉しいけど、
シグウェルさんのお父様も一緒なんですよね?
初めて会うからなんだか緊張します。」
王宮の謁見用の部屋で私はそわそわする。
私の壊れた結界石の代わりをアントン様が選び、
自らこの王都まで持って来たという。
そしてちょうどダーヴィゼルドへ行く前に王都へ
立ち寄っていたシグウェルさんのお父様で
アントン様のお兄様にあたる人も、せっかくだから
私に挨拶するために顔を見せるそうだ。
私が寝込んでいる時にたくさんお見舞い品を
いただいていたのでそのお礼を言えるのは嬉しい。
シグウェルさんも同席するのかな?と思ったら、
なんだか外せない用があるとかで来ないと言う。
「シグウェルの父はユールヴァルト家の当主だから
多少の威厳はあるかも知れないけど、シグウェルより
常識人だからそんなに緊張しなくても大丈夫。
ユーリにも親切にしてくれると思うよ。」
何気にシグウェルさんに対する物言いがひどくない?
私に向かって微笑みながらそう説明してくれる
リオン様を見上げる。
・・・そう、見上げている。なぜならこれから
二人に会うというのに私はリオン様の膝の上に
座らせられているからだ。
・・・膝の間に座らされるよりはましなんだろうか?
こうやって私達の仲が良いことを初対面から
印象付けて、これから先も私がユールヴァルト家に
入ることはないのだ、奥の院が私のお世話になる
場所なんだよという牽制をするのだとリオン様は
言った。
でも単に私を膝の上に乗せて置きたいだけの言い訳な
気がしないでもない。本当は私を真ん中に置いて
リオン様はレジナスさんと二人でその両脇に
座りたいと言ったけど、護衛中ですから!と
真っ赤になったレジナスさんに固辞されていた。
うん、私もそんなホストクラブで男の人を
侍らせているような姿は初対面の人に見せたくない。
恥ずかし過ぎる。アントン様にもどう思われるか。
「あれ?エル君はどうしてそんな、いつもにも
増して離れてるんですか?」
ふと気付けば私の護衛なはずのエル君は、私と
リオン様の長椅子の背後にレジナスさんが
立っているのとは対照的に、ルルーさんや
シンシアさん達と一緒に部屋の扉近くに立っている。
「僕はユーリ様の剣ですから。そこにいると
なんだか剣じゃなくて別の役目の人と勘違い
されそうなので、今日はここにいます。レジナス様も
ユーリ様のお側にいるから僕が離れてても
大丈夫です。」
それは・・・暗に私の近くにいるとこの状況では
伴侶の一人と勘違いされるかも知れないって
思ってるの?いやいやまさか。そう思って
リオン様とレジナスさんを見上げれば、なるほどね。
見ようによってはそう見えてしまうかな?と
リオン様は納得したように頷いているし、
レジナスさんはまた顔がうっすら赤くなっている。
え?側から見るとそんな風に見えるの?
なんかそんなんじゃ、私の周りにいる男の人はみんな
私の伴侶かその候補に見えていそうですごく不安だ。
癒し子は7人の妻を持った勇者様以上に男の人を
侍らせていました、なんて後々文書の類いに
書き記されなければいいんだけど。
一抹の不安を抱えながらリオン様に頭を撫でられて
いると、そこへ侍従さんがアントン様達の来訪を
告げた。はっとして身じろいだら
「ユーリはそのままで。彼らが入って来ても
立って挨拶とかしなくてもいいからね。」
そうリオン様に言われた。失礼じゃないかな?と
思ったんだけど身分的には私の方が高いから
問題ないそうだ。そういえば召喚者の地位は
国王陛下にも並ぶって前に教えてもらったなあ。
「でも多分、アントン様は私を抱っこしたがると
思いますが、その時はどうしましょう?」
ひそひそと聞けば、
「うーん・・・仕方ないね。久しぶりだから彼の
好きなようにさせてあげて。」
リオン様は頷いた。その時だ。侍従さんの案内で
二人の男の人が部屋に入って来た。
二人とも銀髪に紫色の瞳で、一人はアントン様だから
もう一人の長髪の人がシグウェルさんのお父様
なんだろう。すらりと背が高く、思っていたよりも
随分と若々しい。口髭がある分、アントン様の方が
ひょっとすると歳上に見えてしまうかもしれない。
アントン様を後ろに従えて入って来たその人は、
当たり前だけど父親だけあってシグウェルさんに
そっくりだ。
その涼やかな紫色の瞳が真っ直ぐに私を射るように
見つめている。まるで値踏みされているようで、
緊張から思わずリオン様の服の袖をぎゅっと握ると
その人は私からふいと視線を外した。
そのままリオン様へその視線を移し挨拶をする。
「お久しぶりでございます。遅ればせながら、
殿下のご快復をお慶び申し上げます。」
その言葉にリオン様は鷹揚に頷く。
「ありがとう。忙しいだろうに、わざわざ会いに
来てくれた事に感謝するよ。僕が今こうして
いられるのは全てユーリのおかげだ。」
そう言って私の手を取り、その手の甲にリオン様は
口付けた。ここでも仲良しアピールだ。
こんなことするなんて聞いていなかったけど。
思わず赤くなった私を見てリオン様が微笑む。
「・・・癒し子ユーリ様におきましてもお目に
かかることが出来たのはこのドラグウェル・
ユールヴァルトにとってこの上ない喜びで
ございます。また、普段より我が不肖の息子
シグウェルにも目をかけていただきありがたく
存じます。どうかこの先も変わらず、何卒よろしく
お願い申し上げます。」
微笑むリオン様と見つめ合った私に、ピクリと
僅かに眉を動かしたシグウェルさんのお父様・・・
ドラグウェル様はそう言った。気のせいか何卒、と
言ったその言葉に力がこもっていたような気がする。
どれだけ自分の息子に友達がいないことを
気にしているんだろうか。そんなに心配しなくても
シグウェルさんとはもう友達だ。ズッ友にはまだ
遠いと思うけど。
「こちらこそよろしくお願いします。
シグウェルさんには私の方こそいつもお世話になって
います!あと、私のお見舞いにたくさんの品物を
ありがとうございました!アントン様もアップルパイ
ありがとうございます、美味しかったです‼︎」
慌てて挨拶を返せば、アントン様はニコニコと
頷いてくれた。ドラグウェル様は・・・僅かに
頬を緩ませて笑んでくれた。鋭かった目元も
気持ち優しく緩んだような気がする。
良かった、思ったより気難しくない人なのかな。
するとそこでアントン様は腰を落とし、両手を
広げて言った。
「ユーリ様はあの王都での騒ぎの後に少しだけ
成長されたと聞いておりましたが、なるほど
大きくなられましたな。ぜひ私の手でそれを
確かめさせていただけますか?」
ああ、これは抱っこ待ちの姿勢だ。
そう悟ってリオン様を見れば少し困ったように
眉を寄せながらも笑って頷いてくれた。
お許しが出たので、長椅子のリオン様の膝の上から
とんと降り立ち、アントン様の元へと行く。
そのままひょいと抱き上げられれば、ノイエ領の
時のようにまたあのロマンスグレーが家出していた。
黙っていれば渋くてカッコいいおじさんなのに
その渋さが台無しになるほどニコニコしながら
私に話しかけてくれる。
「身長が伸びて手足もしっかりされましたな。
その美しい御髪も更に輝いておられる。しかし、
大きさのわりに少し軽すぎませんか?魔法を
使うのは体力勝負です、もっとたくさん食べた方が
よろしいでしょう。」
「これでもたくさん食べてるんですよ?そういえば
先日は騎士団の野営訓練にお邪魔してきのこ狩りも
しました!・・・成果はありませんでしたけど。
今度ノイエ領に行く時はきのこ狩りもしてみたいと
思いますが、ノイエ領にもそういった場所は
ありますか?」
なんとなく目の端でエル君の顔が呆れているような
気はしたけど、毒キノコ狩り名人から脱するためには
練習あるのみだ。
「たくさんありますとも。ユーリ様もご存じの通り
ノイエ領は豊かな土壌に恵まれておりますからね。
ぜひともまた訪れて下さい、妻と一緒にお待ちして
おりますよ。」
「楽しみです‼︎」
アントン様に縦抱きにされたまま、二人で
盛り上がっていると隣から咳払いが聞こえた。
しまった。初対面なのにすっかりシグウェルさんの
お父様を一人にしてしまっていた。
「申し訳ありません兄上‼︎」
そう言ったアントン様が慌てて私をドラグウェル様に
手渡した。・・・手渡した??
シグウェルさんのお父様も一緒なんですよね?
初めて会うからなんだか緊張します。」
王宮の謁見用の部屋で私はそわそわする。
私の壊れた結界石の代わりをアントン様が選び、
自らこの王都まで持って来たという。
そしてちょうどダーヴィゼルドへ行く前に王都へ
立ち寄っていたシグウェルさんのお父様で
アントン様のお兄様にあたる人も、せっかくだから
私に挨拶するために顔を見せるそうだ。
私が寝込んでいる時にたくさんお見舞い品を
いただいていたのでそのお礼を言えるのは嬉しい。
シグウェルさんも同席するのかな?と思ったら、
なんだか外せない用があるとかで来ないと言う。
「シグウェルの父はユールヴァルト家の当主だから
多少の威厳はあるかも知れないけど、シグウェルより
常識人だからそんなに緊張しなくても大丈夫。
ユーリにも親切にしてくれると思うよ。」
何気にシグウェルさんに対する物言いがひどくない?
私に向かって微笑みながらそう説明してくれる
リオン様を見上げる。
・・・そう、見上げている。なぜならこれから
二人に会うというのに私はリオン様の膝の上に
座らせられているからだ。
・・・膝の間に座らされるよりはましなんだろうか?
こうやって私達の仲が良いことを初対面から
印象付けて、これから先も私がユールヴァルト家に
入ることはないのだ、奥の院が私のお世話になる
場所なんだよという牽制をするのだとリオン様は
言った。
でも単に私を膝の上に乗せて置きたいだけの言い訳な
気がしないでもない。本当は私を真ん中に置いて
リオン様はレジナスさんと二人でその両脇に
座りたいと言ったけど、護衛中ですから!と
真っ赤になったレジナスさんに固辞されていた。
うん、私もそんなホストクラブで男の人を
侍らせているような姿は初対面の人に見せたくない。
恥ずかし過ぎる。アントン様にもどう思われるか。
「あれ?エル君はどうしてそんな、いつもにも
増して離れてるんですか?」
ふと気付けば私の護衛なはずのエル君は、私と
リオン様の長椅子の背後にレジナスさんが
立っているのとは対照的に、ルルーさんや
シンシアさん達と一緒に部屋の扉近くに立っている。
「僕はユーリ様の剣ですから。そこにいると
なんだか剣じゃなくて別の役目の人と勘違い
されそうなので、今日はここにいます。レジナス様も
ユーリ様のお側にいるから僕が離れてても
大丈夫です。」
それは・・・暗に私の近くにいるとこの状況では
伴侶の一人と勘違いされるかも知れないって
思ってるの?いやいやまさか。そう思って
リオン様とレジナスさんを見上げれば、なるほどね。
見ようによってはそう見えてしまうかな?と
リオン様は納得したように頷いているし、
レジナスさんはまた顔がうっすら赤くなっている。
え?側から見るとそんな風に見えるの?
なんかそんなんじゃ、私の周りにいる男の人はみんな
私の伴侶かその候補に見えていそうですごく不安だ。
癒し子は7人の妻を持った勇者様以上に男の人を
侍らせていました、なんて後々文書の類いに
書き記されなければいいんだけど。
一抹の不安を抱えながらリオン様に頭を撫でられて
いると、そこへ侍従さんがアントン様達の来訪を
告げた。はっとして身じろいだら
「ユーリはそのままで。彼らが入って来ても
立って挨拶とかしなくてもいいからね。」
そうリオン様に言われた。失礼じゃないかな?と
思ったんだけど身分的には私の方が高いから
問題ないそうだ。そういえば召喚者の地位は
国王陛下にも並ぶって前に教えてもらったなあ。
「でも多分、アントン様は私を抱っこしたがると
思いますが、その時はどうしましょう?」
ひそひそと聞けば、
「うーん・・・仕方ないね。久しぶりだから彼の
好きなようにさせてあげて。」
リオン様は頷いた。その時だ。侍従さんの案内で
二人の男の人が部屋に入って来た。
二人とも銀髪に紫色の瞳で、一人はアントン様だから
もう一人の長髪の人がシグウェルさんのお父様
なんだろう。すらりと背が高く、思っていたよりも
随分と若々しい。口髭がある分、アントン様の方が
ひょっとすると歳上に見えてしまうかもしれない。
アントン様を後ろに従えて入って来たその人は、
当たり前だけど父親だけあってシグウェルさんに
そっくりだ。
その涼やかな紫色の瞳が真っ直ぐに私を射るように
見つめている。まるで値踏みされているようで、
緊張から思わずリオン様の服の袖をぎゅっと握ると
その人は私からふいと視線を外した。
そのままリオン様へその視線を移し挨拶をする。
「お久しぶりでございます。遅ればせながら、
殿下のご快復をお慶び申し上げます。」
その言葉にリオン様は鷹揚に頷く。
「ありがとう。忙しいだろうに、わざわざ会いに
来てくれた事に感謝するよ。僕が今こうして
いられるのは全てユーリのおかげだ。」
そう言って私の手を取り、その手の甲にリオン様は
口付けた。ここでも仲良しアピールだ。
こんなことするなんて聞いていなかったけど。
思わず赤くなった私を見てリオン様が微笑む。
「・・・癒し子ユーリ様におきましてもお目に
かかることが出来たのはこのドラグウェル・
ユールヴァルトにとってこの上ない喜びで
ございます。また、普段より我が不肖の息子
シグウェルにも目をかけていただきありがたく
存じます。どうかこの先も変わらず、何卒よろしく
お願い申し上げます。」
微笑むリオン様と見つめ合った私に、ピクリと
僅かに眉を動かしたシグウェルさんのお父様・・・
ドラグウェル様はそう言った。気のせいか何卒、と
言ったその言葉に力がこもっていたような気がする。
どれだけ自分の息子に友達がいないことを
気にしているんだろうか。そんなに心配しなくても
シグウェルさんとはもう友達だ。ズッ友にはまだ
遠いと思うけど。
「こちらこそよろしくお願いします。
シグウェルさんには私の方こそいつもお世話になって
います!あと、私のお見舞いにたくさんの品物を
ありがとうございました!アントン様もアップルパイ
ありがとうございます、美味しかったです‼︎」
慌てて挨拶を返せば、アントン様はニコニコと
頷いてくれた。ドラグウェル様は・・・僅かに
頬を緩ませて笑んでくれた。鋭かった目元も
気持ち優しく緩んだような気がする。
良かった、思ったより気難しくない人なのかな。
するとそこでアントン様は腰を落とし、両手を
広げて言った。
「ユーリ様はあの王都での騒ぎの後に少しだけ
成長されたと聞いておりましたが、なるほど
大きくなられましたな。ぜひ私の手でそれを
確かめさせていただけますか?」
ああ、これは抱っこ待ちの姿勢だ。
そう悟ってリオン様を見れば少し困ったように
眉を寄せながらも笑って頷いてくれた。
お許しが出たので、長椅子のリオン様の膝の上から
とんと降り立ち、アントン様の元へと行く。
そのままひょいと抱き上げられれば、ノイエ領の
時のようにまたあのロマンスグレーが家出していた。
黙っていれば渋くてカッコいいおじさんなのに
その渋さが台無しになるほどニコニコしながら
私に話しかけてくれる。
「身長が伸びて手足もしっかりされましたな。
その美しい御髪も更に輝いておられる。しかし、
大きさのわりに少し軽すぎませんか?魔法を
使うのは体力勝負です、もっとたくさん食べた方が
よろしいでしょう。」
「これでもたくさん食べてるんですよ?そういえば
先日は騎士団の野営訓練にお邪魔してきのこ狩りも
しました!・・・成果はありませんでしたけど。
今度ノイエ領に行く時はきのこ狩りもしてみたいと
思いますが、ノイエ領にもそういった場所は
ありますか?」
なんとなく目の端でエル君の顔が呆れているような
気はしたけど、毒キノコ狩り名人から脱するためには
練習あるのみだ。
「たくさんありますとも。ユーリ様もご存じの通り
ノイエ領は豊かな土壌に恵まれておりますからね。
ぜひともまた訪れて下さい、妻と一緒にお待ちして
おりますよ。」
「楽しみです‼︎」
アントン様に縦抱きにされたまま、二人で
盛り上がっていると隣から咳払いが聞こえた。
しまった。初対面なのにすっかりシグウェルさんの
お父様を一人にしてしまっていた。
「申し訳ありません兄上‼︎」
そう言ったアントン様が慌てて私をドラグウェル様に
手渡した。・・・手渡した??
141
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる