【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

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第十章 酒とナミダと男と女

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「いやあ壮観っすね、真っ昼間に流星群を見た
みたいっす!目視だけでも100は超えてたと
思うんすけど、一体どんだけの人に加護を
付けたんすか?」

ユリウスさんが感心してそう聞いてきたけど・・・

「え、分かんないです。ごめんなさい・・・」

「え?」

「なんか、自分でも思った以上にいっぱい光の矢が
出ちゃって・・・。私が思ったのはルルーさん達
奥の院でお世話になってる人達や騎士団の人達、
国王陛下、カティヤさん、シェラさん達ぐらい
だったんですけど。」

それを聞いてレジナスさんも考え込んだ。

「いや、どう見てもそれ以上の数が飛んでいたし
騎士団や大神殿の方角以外にもそれ以上の遥か遠くへ
放たれた矢もあった。幾つかは王都を越えていた
ようにも見えたが・・・。シェラの奴は今どこに
いるか知らないが、キリウ小隊に連絡を取って念の為
あいつを一度王都へ呼び戻して聞いてみた方が
いいな。」

ユリウスさんもうわあ、と顔色を変えた。

「ユーリ様が無意識のうちに、自分で考えてた以上に
自分に縁のある人達に矢を飛ばしたなら、どこの
誰に当たったのかを調べるのってかなり大変っすよ?
矢の当たった人達が自己申告してくれれば助かるけど
どうなんすかねぇ・・・」

それを聞いたレジナスさんはさっき私が王都へ
結界を張る時に見せてもらった地図を広げて
いくつかの印をつけた。

「俺が分かるのはこれらの方角へ飛んでいった
ものだ。後で酒の抜けたユーリにもう一度これを
見せて、この方角に心当たりのある親しい者は
いないか確かめてもらおう。」

それを聞いてむっとする。

「お酒が抜けてなくても分かりますよ!そんなに
酔ってるわけじゃないですってば。加護の力も
ちゃんと使えたじゃないですか⁉︎」

「ちゃんと・・・?」

ユリウスさんが不審な目で私を見た。なんて失礼な。
ちょっと思ってたよりも多めに光の矢が出ただけだ。

「ちゃんとした加護ですよ、無病息災、みんなが
いつまでも元気で健康でいますようにって。そうだ、
このお部屋にいる人達にはまだその加護を付けて
ないですね!やりましょう‼︎」

さすがに少し疲れた感じはして来たけどまだいける。

手始めに近くに心配そうに立っていたシンシアさんを
手招きして、近寄って来たところをぎゅっと抱きしめ
その額に口付けた。シンシアさんの体がうっすらと
金色に光る。

「ユ、ユーリ様⁉︎」

「シンシアさんも、いつも私のお世話をしてくれて
ありがとうございます!忙しいけど体には気をつけて
下さいね。加護がついて健康だからって働き過ぎたり
無茶をするのはダメですよ?」

ふふふー、と笑ってそう言えば珍しく頬を赤らめて
勿体無いお言葉です、ありがとうございますと
微笑んでくれた。

「はい次!エル君‼︎」

また逃げられないうちに、リオン様の後ろにいた
エル君に手を伸ばした。だけどそんな私の手を
エル君はひらりと避ける。

「今日はもう近付かないって言いましたよね?」

赤い瞳がきらりと光った。ちょっと加護をつける位
いいと思うのにどうしてそんなに嫌がるのか。

「エル君・・・そんなに私のことが嫌いですか?」

悲しいなあ、とぽろりと涙がこぼれた。丸い雫が
ころころと私の頬を伝って落ちていく。

「え?そんな泣くほどのことっすか⁉︎」

ユリウスさんがギョッとして、エル君も固まった。

「僕、ユーリ様のこと嫌いだなんて思ってません。」

「だってエル君、私に全然近付いてくれないし。
これじゃ加護をつけられません!このままだと
エル君だけ加護なしの仲間はずれになります‼︎」

「さっきの矢で射ってくれればいいと思いますけど」

突然泣き始めた私に動揺しながらもエル君は正論を
言った。ごもっともだ。でも出来ればぎゅっとして
額に口付けて加護を付けてあげたい。室内のこの
至近距離にいる人を弓矢で射るなんてなんだか怖い。

「エル君、早くここに来て下さい!」

アントン様が私を縦抱っこする時のように両手を
広げて待ち構える。さあどんと来い。

「い・・・」

「嫌ですはなしですっ!」

先手を打ってそう言えば、どうするべきかとエル君は
リオン様を見上げた。

「・・・仕方ないから行ってあげて。このままじゃ
ユーリはずっと待ってそうだし。悪いね。」

なぜかリオン様が謝っている。それを受けてエル君は
しぶしぶ私に近付いて来た。

「やった!はい、エル君にも私から加護付きの
ちゅーです!」

一度ぎゅっと抱きしめてから前髪をかき分けて
その白くてかわいい額に口付ける。シンシアさんと
同じようにエル君の体も淡く光った。よしよし。

「もういいですか」

満足してそれを眺めていたらうっすらとその顔を
また赤くしたエル君がぱっと離れた。

「絡み酒の泣き上戸とかなだめるのが面倒っすね。」

ユリウスさんがそんなことを言っている。

「絡んでもいないしそんなに泣いてもいないですよ?
ほら、次はユリウスさんの番ですから来て下さい!」

手招きをすれば、ええ・・・と言ってレジナスさんの
陰に隠れている。

「加護は付けて欲しいんすけど、なんか今の
ユーリ様は近付くと碌なことがなさそうで
怖いっす。」

エル君に続いてユリウスさんまで拒否だ。

「酷い・・・どうしてそんなひどいこと言うんです?
こんなに一生懸命頑張ってるのに。ユリウスさんは
意地悪ですね・・・‼︎」

また涙が出てきた。ころころとまたその雫が
転がり落ちる。

「なんていうか、ただの泣き上戸なのに泣いた顔も
色っぽいとか卑怯っす、俺は何も悪くないのに
すごい罪悪感に襲われるっすね・・・」

くっ、とユリウスさんがレジナスさんに隠れたまま
私を見てそう言っている。

「悪いと思うならそこから出てきて下さい!いつまで
レジナスさんの陰に隠れてるつもりですか?」

面倒なのでレジナスさんごとユリウスさんの腕を
捕まえようと思って、レジナスさんに抱きつくと
その後ろへ手を伸ばす。

「ヒェッ!」

「待てユーリ、俺を挟んで暴れるな!それから
押し付けるな、また当たっている‼︎」

ユリウスさんが慌ててレジナスさんを背後から私に
押しつけて、私は私でレジナスさんに抱きつくように
しながら手を伸ばしていたので間に挟まれた
レジナスさんは身動きを取れずに声を上げた。

「大丈夫、少しくらい体が当たってもレジナスさんは
私よりも頑丈ですから!それよりもユリウスさん、
往生際が悪いですよ、早くこっちに来て下さい‼︎」

「いや、確かに当たってるのは体には違いないんだが
そういうことじゃなくてだな・・・‼︎」

そう言って私を見降ろしたレジナスさんはその顔を
朱に染めると、ぐいっと自分の後ろのユリウスさんの
首根っこを掴んで軽々と持ち上げると私の前に
差し出した。

「これでいいな⁉︎」

「ヒェッ!同じ被害者仲間だと思ってたのに
ひどいっす‼︎裏切り者!怪力!大猿の馬鹿力‼︎」

ユリウスさんの罵声がひどい。そもそもさっきから
言ってるけど何の被害者仲間だって言うんだろう?

この二人には共通点なんて全然なさそうなのに。

「ありがとうございます!さすがレジナスさん、
大好きです‼︎」

わーいと喜んでお礼を言えば、ぐっと言葉に詰まった
レジナスさんがそういうのは酔っていない時に
言って欲しい、と照れたように目を伏せると
小さく呟いた。

そんな恥ずかしげなレジナスさんとは対照的に、
ユリウスさんはまだわたわたと慌てている。

さあやりますよ!と張り切って私がエル君を
抱きしめたようにユリウスさんにも両手を広げたら、

「いやっ、抱きしめなくていいっすから!
額だけ‼︎額だけ差し出すんでうまいことそこに
加護を付けて欲しいっす‼︎」

そう言って私をまるで拒むようにその両手を
突き出した。そのタイミングが悪かった。

私が一歩踏み込んだのと、ユリウスさんが両手を
思い切り突き出したのが同時だったために、私から
ユリウスさんの元へと飛び込んで胸を差し出し
触らせる形になった。

「あっ⁉︎」

「へあ⁉︎」

私の驚く声と、ユリウスさんの今までに聞いた事の
ない間の抜けた声が同時に重なった。



















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