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第十二章 癒し子来たりて虎を呼ぶ
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デクラスからアドニスの町へは緑が鬱蒼と茂る
森林と山を一つ越えて、馬車でも半日近くかかった。
馬車が行く山道も道幅が狭くて、到着まで時間が
かかるのはそのせいもあるのかも知れない。
「いつラーデウルフが出て来てもおかしくなさそうな
雰囲気ですね・・・」
窓の外の風景を眺めながら言えば、リオン様も
「実際こういった道中で襲われることもあるから
護衛や傭兵が山越えには欠かせないって地域も多いし
山道があまり整備されていないのも、いつ魔物に
出くわすか分からないせいで整備が遅れているんだ
ろうね。」
そう言って外を見やった。馬車を囲む私達の護衛は
魔物を用心して、王宮の騎士さん達の他にザドルさん
を含むデクラスの町の傭兵さん達も多く付き従って
くれている。
途中では大きな洞穴のような場所にも入って、
休憩でもするのかな?と思ったら、なんとそれは
洞穴ではなくていわゆるトンネルだった。
距離はそれほどでもなかったけど、天然の洞穴を
利用して作られたそのトンネルは割と立派だった。
山腹に穴を開けて通したそのトンネルが出来るまでは
山の中を大きく迂回して行くしかアドニスの町へは
辿り着けず、魔物に襲われる確率も高かったそうだ。
そんなトンネルを通り抜けると、突然目の前の景色が
開けた。通り抜けた先は崖の上で、眼下には雲が霧の
ようにかかり建物がいくつか密集した集落が見える。
そしてその真ん中には白く輝く小さな神殿も顔を
覗かせていた。グノーデルさんを祀り、勇者様の
小刀がある場所だ。
「もしかしてあれがアドニスの町ですか?」
町へと向かう緩い坂道を下りながら進めば、今までと
違ってごつごつとした岩が多くなって来て足下も
悪い。揺れる馬車の窓から町を見つめて言うと
リオン様は微笑んだ。
「そうだよ、ようやく着いたね。後は勇者様の小刀を
受け取って代わりの剣を奉納すれば今回の目的は
達成だ。」
「こんな山の中だとお医者様にかかるにも不便で
困っている人達もいるかも知れませんね。」
可能なら町の泉にでも、イーゴリさんの井戸水に
付けたような軽い病気やケガ程度なら治る治癒の
加護を付けよう。
こんなに岩や砂利が多ければもしかして農地も痩せて
いるかも知れないから、場合によっては豊穣の加護も
付けて行きたい。
そんな話をリオン様としながら馬車に揺られていると
いつの間にか町まで下りて来たらしい。
馬車が静かに止まった。
リオン様に手を取られて馬車から降りれば目の前には
崖の上から見えていたこじんまりとした神殿と、
中年で人の良さげな神官さんが私達を迎え入れて
くれた。
「リオン殿下、ユーリ様、ようこそアドニスへ。
かように辺鄙な場所でまさか王族の方と癒し子様を
お迎え出来るとは私の人生の中でも思ってもみない
幸いでございます。」
緊張して汗をかきながら一生懸命頭を下げてくれる
神官さんに促されて神殿の中へ入り歓待を受ける。
お茶を出されながらそこで聞いたのは、勇者様のあの
小刀の話だった。
「先日は王家からの問い合わせに大変失礼を
致しました。まさかこんな町に勇者様に縁の深い
物があるなど思いも寄らず・・・」
神官さんの話に寄るとこうだ。
小刀の持ち主はこの町出身で王宮の厨房にも勤めた
ことのある人物で、その人が亡くなった後にその
家族から寄贈されたという。
ただ、それがどうしてきちんと管理されずに神殿の
調理場の引き出しにしまわれていたのかは神官さんも
分からないそうだ。
「実は代々この神殿に務めていた一族の者が亡くなり
私はその後に派遣されて来たのです。ここへ就任した
時にはすでにそれまでの神殿への寄付や寄贈物、
寄贈者についての資料が散逸している状態でして。」
つまり、先代までの神官さんの管理がいい加減だった
せいで信じられないことにせっかくの勇者様の遺物が
放置されていたのだ。
今の神官さんは私達の問い合わせの後に慌てて
もう一度資料を調べ直して、それらしい小刀が昔
寄贈された事をやっと突き止めて寄贈者の家族にも
話を聞いてくれたそうだ。
その結果、その家の高祖父が昔王宮にいたことが
分かったという。
もしかするとその人が王宮を離れる時に勇者様が
記念にあげたものかも知れない。
それなのに、今回のグノーデルさんの頼み事が
なければそれはずっと人知れず調理場の引き出しに
しまわれたままになっていたかも知れないんだなあ。
神殿の管理不足という不手際に、神官さんは
本当に申し訳なさそうに体を丸めている。
その姿に、この人が悪いわけではないのでちょっと
かわいそうになった。
ザドルさんといい、この神官さんといい、なんだか
他人の尻拭いで肩身の狭い思いをする人が多くて
同情する。
「まあ、今回はグノーデルさんの事がきっかけで
勇者様の小刀を見つける良い機会になったから
いいんじゃないですか?小刀を受け取る代わりに
リオン様が勇者様の剣を持って来てくれたので、
今度は大切にして下さいね!」
ちょっと沈みかけた空気を変えるように明るく言って
リオン様にも笑いかける。
王家から下賜されたらしい物・・・しかも勇者様の
遺物に対するまさかのぞんざいな扱いに少し難しい
顔をしていたリオン様も、仕方ないと言う風情で
頷いた。
「・・・まあ貴方のせいではないし、これから先は
きちんと管理をして勇者様を敬い、グノーデル神様を
これまで以上に大切に祀ってもらえれば僕からは
何も言うことはないよ。」
そのまま合図をすれば、レジナスさんが金糸で刺繍と
縁取りをされ青い絹に包まれた長剣を一振り私達の
目の前に静かに置いた。
「これは勇者様が剣の稽古で愛用し、視察の際にも
持参していた剣の一本だ。さして珍しい物でもなく、
勇者様が使っていた数本ある剣のうちの一つだけど
愛用していた物には違いないよ。小刀の代わりが
充分つとまるはずだ。」
リオン様のその言葉に神官さんは
「勿体ない、こちらの不手際を鑑みれば王家へ小刀を
返上するだけで充分ですのに、このようなお心遣い
までいただきまして・・・!今度こそ、必ずや大切に
させていただきます。」
うやうやしくそれを受け取ると、別の神官さんへ
それを渡して代わりに小さな木箱をことりと置いた。
「こちらがその小刀です。」
そう言って箱を開けると、中に収まっていたのは
グノーデルさんの言っていたように手の平に乗る位の
サイズの折り畳み式のナイフだ。
畳まれている柄の部分は漆でも塗ってあるのか
黒くて艶々している。
使い込まれているせいか、角の部分は丸みを帯びて
少しへこんでいるところもあった。
そしてその柄の刃側に近い側には500円玉くらいの
青くて丸い宝石のような物がはまっている。
これが勇者様が泣かした竜の涙から出来たって言う
石かあ。そっと撫でてみるとひんやりと冷たい。
「確かに受け取ったよ。これは今後、ユーリの力で
グノーデル神様の加護が降りたダーヴィゼルドの
山に置かれる。その旨もしっかり記録に残しておく
ようにね。」
もう二度とずさんな管理はしないようにとでも
言うようにリオン様は神官さんに言い含めた。
その後は神官さんの案内で町の広場へ行くと、
それまでと同じように集まってくれた人達へ
癒しの力を使う。
町の中心にある井戸にもイーゴリさんの井戸水へ
付けたのと同じような加護を与えて、ついでに
神殿の祭壇に置いてあった籠にも例のパンや
お菓子が絶えない加護も付けた。
「デクラスに戻るまでまだ時間はありますか?
大丈夫なら農地へも豊穣の加護も付けたいです!」
「そうだね。まだ明るい時間だから、もう少しいても
平気ー・・・レジナス?」
私と話していたリオン様が、レジナスさんの様子が
気になったようで言葉が途切れた。
ふと見ると、レジナスさんは右手を剣の柄にかけて
遠くの山の方を見つめている。
「ラーデウルフの声が聞こえました。」
短くそう言ってまだじっと山を見つめたままだ。
レジナスさんの突然の発言に周りはざわめく。
「え?」
「聞こえたか?」
いや、全然。そんな風に他の騎士さんや傭兵さん達は
戸惑い気味に顔を見合わせている。
「近いの?」
「いえ、まだ距離はあります。昨日の群れかも
知れません。・・・今、二手に分かれたようです。
鳴き交わしていますね。」
リオン様の問いかけにもレジナスさんは目を合わせる
ことなく、じっと山を見つめたまま答えた。
私にもリオン様にも、周りの騎士さん達の誰にも
聞こえていないラーデウルフの鳴き声がレジナスさん
には聞こえているらしい。
あちらとこちらです、と分かれたらしい二方向まで
指し示した。
それはアドニスの町を左右から挟むような位置
だった。
森林と山を一つ越えて、馬車でも半日近くかかった。
馬車が行く山道も道幅が狭くて、到着まで時間が
かかるのはそのせいもあるのかも知れない。
「いつラーデウルフが出て来てもおかしくなさそうな
雰囲気ですね・・・」
窓の外の風景を眺めながら言えば、リオン様も
「実際こういった道中で襲われることもあるから
護衛や傭兵が山越えには欠かせないって地域も多いし
山道があまり整備されていないのも、いつ魔物に
出くわすか分からないせいで整備が遅れているんだ
ろうね。」
そう言って外を見やった。馬車を囲む私達の護衛は
魔物を用心して、王宮の騎士さん達の他にザドルさん
を含むデクラスの町の傭兵さん達も多く付き従って
くれている。
途中では大きな洞穴のような場所にも入って、
休憩でもするのかな?と思ったら、なんとそれは
洞穴ではなくていわゆるトンネルだった。
距離はそれほどでもなかったけど、天然の洞穴を
利用して作られたそのトンネルは割と立派だった。
山腹に穴を開けて通したそのトンネルが出来るまでは
山の中を大きく迂回して行くしかアドニスの町へは
辿り着けず、魔物に襲われる確率も高かったそうだ。
そんなトンネルを通り抜けると、突然目の前の景色が
開けた。通り抜けた先は崖の上で、眼下には雲が霧の
ようにかかり建物がいくつか密集した集落が見える。
そしてその真ん中には白く輝く小さな神殿も顔を
覗かせていた。グノーデルさんを祀り、勇者様の
小刀がある場所だ。
「もしかしてあれがアドニスの町ですか?」
町へと向かう緩い坂道を下りながら進めば、今までと
違ってごつごつとした岩が多くなって来て足下も
悪い。揺れる馬車の窓から町を見つめて言うと
リオン様は微笑んだ。
「そうだよ、ようやく着いたね。後は勇者様の小刀を
受け取って代わりの剣を奉納すれば今回の目的は
達成だ。」
「こんな山の中だとお医者様にかかるにも不便で
困っている人達もいるかも知れませんね。」
可能なら町の泉にでも、イーゴリさんの井戸水に
付けたような軽い病気やケガ程度なら治る治癒の
加護を付けよう。
こんなに岩や砂利が多ければもしかして農地も痩せて
いるかも知れないから、場合によっては豊穣の加護も
付けて行きたい。
そんな話をリオン様としながら馬車に揺られていると
いつの間にか町まで下りて来たらしい。
馬車が静かに止まった。
リオン様に手を取られて馬車から降りれば目の前には
崖の上から見えていたこじんまりとした神殿と、
中年で人の良さげな神官さんが私達を迎え入れて
くれた。
「リオン殿下、ユーリ様、ようこそアドニスへ。
かように辺鄙な場所でまさか王族の方と癒し子様を
お迎え出来るとは私の人生の中でも思ってもみない
幸いでございます。」
緊張して汗をかきながら一生懸命頭を下げてくれる
神官さんに促されて神殿の中へ入り歓待を受ける。
お茶を出されながらそこで聞いたのは、勇者様のあの
小刀の話だった。
「先日は王家からの問い合わせに大変失礼を
致しました。まさかこんな町に勇者様に縁の深い
物があるなど思いも寄らず・・・」
神官さんの話に寄るとこうだ。
小刀の持ち主はこの町出身で王宮の厨房にも勤めた
ことのある人物で、その人が亡くなった後にその
家族から寄贈されたという。
ただ、それがどうしてきちんと管理されずに神殿の
調理場の引き出しにしまわれていたのかは神官さんも
分からないそうだ。
「実は代々この神殿に務めていた一族の者が亡くなり
私はその後に派遣されて来たのです。ここへ就任した
時にはすでにそれまでの神殿への寄付や寄贈物、
寄贈者についての資料が散逸している状態でして。」
つまり、先代までの神官さんの管理がいい加減だった
せいで信じられないことにせっかくの勇者様の遺物が
放置されていたのだ。
今の神官さんは私達の問い合わせの後に慌てて
もう一度資料を調べ直して、それらしい小刀が昔
寄贈された事をやっと突き止めて寄贈者の家族にも
話を聞いてくれたそうだ。
その結果、その家の高祖父が昔王宮にいたことが
分かったという。
もしかするとその人が王宮を離れる時に勇者様が
記念にあげたものかも知れない。
それなのに、今回のグノーデルさんの頼み事が
なければそれはずっと人知れず調理場の引き出しに
しまわれたままになっていたかも知れないんだなあ。
神殿の管理不足という不手際に、神官さんは
本当に申し訳なさそうに体を丸めている。
その姿に、この人が悪いわけではないのでちょっと
かわいそうになった。
ザドルさんといい、この神官さんといい、なんだか
他人の尻拭いで肩身の狭い思いをする人が多くて
同情する。
「まあ、今回はグノーデルさんの事がきっかけで
勇者様の小刀を見つける良い機会になったから
いいんじゃないですか?小刀を受け取る代わりに
リオン様が勇者様の剣を持って来てくれたので、
今度は大切にして下さいね!」
ちょっと沈みかけた空気を変えるように明るく言って
リオン様にも笑いかける。
王家から下賜されたらしい物・・・しかも勇者様の
遺物に対するまさかのぞんざいな扱いに少し難しい
顔をしていたリオン様も、仕方ないと言う風情で
頷いた。
「・・・まあ貴方のせいではないし、これから先は
きちんと管理をして勇者様を敬い、グノーデル神様を
これまで以上に大切に祀ってもらえれば僕からは
何も言うことはないよ。」
そのまま合図をすれば、レジナスさんが金糸で刺繍と
縁取りをされ青い絹に包まれた長剣を一振り私達の
目の前に静かに置いた。
「これは勇者様が剣の稽古で愛用し、視察の際にも
持参していた剣の一本だ。さして珍しい物でもなく、
勇者様が使っていた数本ある剣のうちの一つだけど
愛用していた物には違いないよ。小刀の代わりが
充分つとまるはずだ。」
リオン様のその言葉に神官さんは
「勿体ない、こちらの不手際を鑑みれば王家へ小刀を
返上するだけで充分ですのに、このようなお心遣い
までいただきまして・・・!今度こそ、必ずや大切に
させていただきます。」
うやうやしくそれを受け取ると、別の神官さんへ
それを渡して代わりに小さな木箱をことりと置いた。
「こちらがその小刀です。」
そう言って箱を開けると、中に収まっていたのは
グノーデルさんの言っていたように手の平に乗る位の
サイズの折り畳み式のナイフだ。
畳まれている柄の部分は漆でも塗ってあるのか
黒くて艶々している。
使い込まれているせいか、角の部分は丸みを帯びて
少しへこんでいるところもあった。
そしてその柄の刃側に近い側には500円玉くらいの
青くて丸い宝石のような物がはまっている。
これが勇者様が泣かした竜の涙から出来たって言う
石かあ。そっと撫でてみるとひんやりと冷たい。
「確かに受け取ったよ。これは今後、ユーリの力で
グノーデル神様の加護が降りたダーヴィゼルドの
山に置かれる。その旨もしっかり記録に残しておく
ようにね。」
もう二度とずさんな管理はしないようにとでも
言うようにリオン様は神官さんに言い含めた。
その後は神官さんの案内で町の広場へ行くと、
それまでと同じように集まってくれた人達へ
癒しの力を使う。
町の中心にある井戸にもイーゴリさんの井戸水へ
付けたのと同じような加護を与えて、ついでに
神殿の祭壇に置いてあった籠にも例のパンや
お菓子が絶えない加護も付けた。
「デクラスに戻るまでまだ時間はありますか?
大丈夫なら農地へも豊穣の加護も付けたいです!」
「そうだね。まだ明るい時間だから、もう少しいても
平気ー・・・レジナス?」
私と話していたリオン様が、レジナスさんの様子が
気になったようで言葉が途切れた。
ふと見ると、レジナスさんは右手を剣の柄にかけて
遠くの山の方を見つめている。
「ラーデウルフの声が聞こえました。」
短くそう言ってまだじっと山を見つめたままだ。
レジナスさんの突然の発言に周りはざわめく。
「え?」
「聞こえたか?」
いや、全然。そんな風に他の騎士さんや傭兵さん達は
戸惑い気味に顔を見合わせている。
「近いの?」
「いえ、まだ距離はあります。昨日の群れかも
知れません。・・・今、二手に分かれたようです。
鳴き交わしていますね。」
リオン様の問いかけにもレジナスさんは目を合わせる
ことなく、じっと山を見つめたまま答えた。
私にもリオン様にも、周りの騎士さん達の誰にも
聞こえていないラーデウルフの鳴き声がレジナスさん
には聞こえているらしい。
あちらとこちらです、と分かれたらしい二方向まで
指し示した。
それはアドニスの町を左右から挟むような位置
だった。
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