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第十四章 手のひらを太陽に
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モリー公国のお風呂は湯船に薔薇の花が浮いていて
それがお湯で温められることでより香りが強まり、
その香りがお湯に浸かっている私にもまるで香水の
ように移るものだった。
普通の薔薇よりも香りが強いし、お湯に浸かっても
その色の鮮やかさも変わらない。
ルーシャ国では見たことのない種類のものだ。
もしかするとモリー公国の特産品かも知れない。
そんな事を思いながらお風呂から上がるとシェラさん
が用意してくれていた着替えはドレスの下に着る
アンダーウェアも兼ねているようだった。
良かった、てっきり下着姿でシェラさんの前に出て
イチから着替えさせられるのかと思った。
それでも何となく気恥ずかしく、もじもじして
しまう。よく考えたら、こんな湯上がり姿はリオン様
にも見せたことがない。
ノイエ領の温泉上がりの時はシンシアさんにきちんと
髪まで乾かしてもらってからリオン様達のところを
訪れたし。
なんとなく所在なさげに部屋と浴場を繋ぐ扉の前に
佇んでいたら私が上がったのに気が付いたシェラさん
がこの上なく嬉しそうな顔で私の手を引いて鏡の前に
座らせた。
「とても良い香りがしますね。このままでも充分
ですが、その薔薇の香りに似合う花の香りの香油を
数種類重ね付けしましょう。きっと大輪の花束を
抱えているように素晴らしく良い香りになります。」
そう言っていそいそと香油の入った小瓶を幾つか
出してきた。なんかこれも道中の商いで手に入れた
っぽいなあ。
「シェラさん、もしかして商売で儲けたお金のかなり
の額を私の物にあてて無駄遣いしてません・・・?」
「商人は仮の身分ですから元より儲けを出すつもりは
ありませんでした。それが思いのほか利益が出たので
それならユーリ様のために使ってこそ本望ですよ。」
話しながらも丁寧に髪を整えてまた猫耳を作っていく
その手つきは慣れたもので、さっきよりも時間は
かからない。
「こんな状況じゃなかったら、猫耳じゃなくて
ダーヴィゼルドで作ってくれたあのお花の髪飾りが
後ろに並んでいるみたいな髪型が良かったです。」
「おや、気に入っていただけましたか。嬉しい限り
ですね。」
私の言葉にシェラさんは上機嫌で頭にそっとベールを
被せた。私がお風呂に入っている間に、猫耳の上から
被っても大丈夫なように早速ベールに手を加えて
いたらしい。
知らない人が見れば本当に猫の耳にベールを被せた
みたいで、一見するとそれが髪型だとは思えない。
「本当はユーリ様のこの美しい瞳も見えていれば
なお仔猫のように見えるのですが・・・いかんせん
美し過ぎるこの瞳を見てしまうとさすがにユーリ様が
只者ではないと知られてしまいますからね。」
隠さなければならないのが残念です。そう言って
そっとベールをおろされた。
姫巫女のカティヤ様が付けていたようなごく薄い
透ける素材のベールを何層にも重ねたそれは、一枚
一枚が薄く淡い青い色でも何枚も重なれば濃紺に
近くなり、重なるレース模様がまた新たな模様を作り
出して不思議な幾何学模様を描き出している。
ベールの端には重り代わりに小さな宝石が鈴のかわり
にいくつも付けられていた。
「なんか派手じゃないですか?目の端が宝石で眩しい
んですけど・・・」
シェラさんを見上げれば、連なる宝石がぶつかり合い
シャラシャラと鈴のような音を立てる。
「歓迎会ですからね。これくらい華やかな方が良い
でしょう。宝石の反射する光がユーリ様の白い肌を
一際輝かせてくれますよ。」
シェラさんは話しながら、選んだドレスもきちんと
着付けてくれて腰の後ろで編み上げ式のリボンを
結ぶ。これは一人で脱ぎ着は無理だ。脱ぐ時はまた
シェラさんに手伝ってもらうと思うといたたまれない
気分になった。
「あとは靴ですが、オレが抱き抱えて運びますので
歩く必要もありませんし、あまり高さのない柔らかな
素材のものにしましょう。」
そう言って、これまた私がお風呂に入っている間に
部屋の床にずらりと並べられた10足以上の様々な靴の
中から柔らかでバレエシューズのようにヒールのない
リボンを足に巻きつけるようにして履くぺたんこ靴を選んだ。
そしてそれを丁寧に履かせられて、編み上げリボンも
膝下で結ばれる。
「靴も随分多くないですか⁉︎バロイ国の使者から
逃げるようにして急いで来た割にやっぱり私の物が
多いんですけど⁉︎」
まさかここに持ち込んだシェラさんの荷物のほぼ
全てが私の服や靴、小物ってことはないよね⁉︎
驚いてよくよく見渡せば、並べられたドレスの他にも
クローゼットいっぱいにドレスが納められている。
アクセサリーの入っているらしい小箱も小さな山を
作るくらい積んであった。
「殿下から預けられているモリー公国への贈答品は
他の騎士達の荷馬車に付けてありますから、オレの
馬車はユーリ様の荷物専用ですよ。先ほど使って
分かりましたが、公国の香油は随分と質が良いです。
ユーリ様にお似合いの香りのものを幾つか買って
帰りましょうね。」
話しながらさっき使った香油の瓶の香りを品定めする
ようにさっそく確かめている。
まだ買うつもりなんだ。ある意味リオン様以上の
甘やかしぶりで心配になる。
「シェラさん、あんまりそういう事をするのは子供に
悪影響ですよ?」
「その慎ましやかさに心が震えるほど感動致します、
ユーリ様。なおさらオレの全てを捧げたい衝動に
駆られますね。」
あ、ダメだ逆効果だった。四つも五つも香油を買おう
としているシェラさんに、これがいいです!とせめて
もの悪あがきで一つだけ選ぶ。
「もっと選んでもいいんですよ?資金なら潤沢に
ありますから。」
物足りなさそうに言われたけど充分だ。
そんなやり取りをしていたら、扉が控えめにノック
された。商人に扮している他の騎士さん達が歓迎会
へと迎えに来てくれたのだ。
シェラさんに縦抱っこされて廊下へ出れば騎士さん達
がモリー公国の人達に聞こえないようにひそひそと、
「お顔が見えなくても可愛らしさが伺えて最高です
ユーリ様!」
とか
「こんなにかわいいユーリ様を魔物と勘違いするとか
マジで有り得ねぇ・・・」
「紙とペンはどこだ⁉︎」
と言っている。かわいいと言ってもらえるのは素直に
嬉しいけど、紙とペンって言うのは何の話だろう。
珍獣扱いされている私の事を報告書にでも書くつもり
なのかな。
そんな事を考えている私を手に抱いたシェラさんを
先頭に騎士さん達と一緒に歓迎会をしてくれる広間へ
行くと、大きなローテーブルの上いっぱいに沢山の
ご馳走がずらりと並んでいる。
厚い絨毯の上にはくつろげるようにいくつもの
クッションが置いてあって、どうやら椅子ではなく
直接絨毯の上に座って食事を取るスタイルのよう
だった。
広間の一番奥に一つだけ長椅子があり、そこに人の
良さそうな穏やかな笑顔を浮かべた初老の人が座って
いる。そしてその隣にはミオ宰相さんが立っていた。
座っている初老の男性は青紫色の髪の毛にところ
どころ白髪まじりで、少し疲れたような顔色だ。
「あの方が大公閣下のエーリク様ですよ」
シェラさんがこっそり囁いてくれた。
「リオン殿下がいらっしゃらないのはいささか残念
だが、君達だけでも楽しんでくれたまえ」
にこにことしてそう言うエーリク様に、シェラさん
始め後ろの騎士さん・・・もとい商人さん達が一斉に
両膝をつき頭を下げる。
肩幅ほどの広さに開いた両手をついて礼を取るその
姿勢は、陸上のクラウチングスタートの両膝をついた
バージョンでのお辞儀みたいだと思った。
それはルーシャ国の商人が貴族や王族に対して取る
最上位の礼の仕方だけど、元々が騎士で片膝をつく
騎士の礼儀が染み付いているはずのみんなは何の
違和感もなく反射的に商人の礼を取っている。
そのあたりにシェラさんがルーシャ国にいる時
どれだけビシバシと騎士さん達に商人らしさを
叩き込んだのかが伺い知れた。
そしてそれに応えて数日で商人らしさを急いで
身につけなければならなかった騎士さん達の苦労
も偲ばれる。
私を片手に抱きながら、誰よりも一番優雅に礼をして
見せたシェラさんはにっこりとあの男女問わずに人を
惹きつける微笑みをまた周囲に振り撒いて、
「盛大な歓迎をしていただき身に余る光栄です。
短い間ですが交流を持ち、ぜひモリー公国と商いの
販路を開くきっかけを与えていただければと思って
おりますのでよろしくお願い致します。」
そう述べた。その優雅で色気の滲んだ笑みに、広場の
あちこちからため息が漏れ聞こえる。
シェラさんが商人などではないと知っている
エーリク様はそんな広間の雰囲気に苦笑いをして
「まあほどほどで頼む。」
あまり騒ぎを起こさないように、とでもいうような
意味が込められていそうなことを言って、私達の
歓迎会は始まった。
それがお湯で温められることでより香りが強まり、
その香りがお湯に浸かっている私にもまるで香水の
ように移るものだった。
普通の薔薇よりも香りが強いし、お湯に浸かっても
その色の鮮やかさも変わらない。
ルーシャ国では見たことのない種類のものだ。
もしかするとモリー公国の特産品かも知れない。
そんな事を思いながらお風呂から上がるとシェラさん
が用意してくれていた着替えはドレスの下に着る
アンダーウェアも兼ねているようだった。
良かった、てっきり下着姿でシェラさんの前に出て
イチから着替えさせられるのかと思った。
それでも何となく気恥ずかしく、もじもじして
しまう。よく考えたら、こんな湯上がり姿はリオン様
にも見せたことがない。
ノイエ領の温泉上がりの時はシンシアさんにきちんと
髪まで乾かしてもらってからリオン様達のところを
訪れたし。
なんとなく所在なさげに部屋と浴場を繋ぐ扉の前に
佇んでいたら私が上がったのに気が付いたシェラさん
がこの上なく嬉しそうな顔で私の手を引いて鏡の前に
座らせた。
「とても良い香りがしますね。このままでも充分
ですが、その薔薇の香りに似合う花の香りの香油を
数種類重ね付けしましょう。きっと大輪の花束を
抱えているように素晴らしく良い香りになります。」
そう言っていそいそと香油の入った小瓶を幾つか
出してきた。なんかこれも道中の商いで手に入れた
っぽいなあ。
「シェラさん、もしかして商売で儲けたお金のかなり
の額を私の物にあてて無駄遣いしてません・・・?」
「商人は仮の身分ですから元より儲けを出すつもりは
ありませんでした。それが思いのほか利益が出たので
それならユーリ様のために使ってこそ本望ですよ。」
話しながらも丁寧に髪を整えてまた猫耳を作っていく
その手つきは慣れたもので、さっきよりも時間は
かからない。
「こんな状況じゃなかったら、猫耳じゃなくて
ダーヴィゼルドで作ってくれたあのお花の髪飾りが
後ろに並んでいるみたいな髪型が良かったです。」
「おや、気に入っていただけましたか。嬉しい限り
ですね。」
私の言葉にシェラさんは上機嫌で頭にそっとベールを
被せた。私がお風呂に入っている間に、猫耳の上から
被っても大丈夫なように早速ベールに手を加えて
いたらしい。
知らない人が見れば本当に猫の耳にベールを被せた
みたいで、一見するとそれが髪型だとは思えない。
「本当はユーリ様のこの美しい瞳も見えていれば
なお仔猫のように見えるのですが・・・いかんせん
美し過ぎるこの瞳を見てしまうとさすがにユーリ様が
只者ではないと知られてしまいますからね。」
隠さなければならないのが残念です。そう言って
そっとベールをおろされた。
姫巫女のカティヤ様が付けていたようなごく薄い
透ける素材のベールを何層にも重ねたそれは、一枚
一枚が薄く淡い青い色でも何枚も重なれば濃紺に
近くなり、重なるレース模様がまた新たな模様を作り
出して不思議な幾何学模様を描き出している。
ベールの端には重り代わりに小さな宝石が鈴のかわり
にいくつも付けられていた。
「なんか派手じゃないですか?目の端が宝石で眩しい
んですけど・・・」
シェラさんを見上げれば、連なる宝石がぶつかり合い
シャラシャラと鈴のような音を立てる。
「歓迎会ですからね。これくらい華やかな方が良い
でしょう。宝石の反射する光がユーリ様の白い肌を
一際輝かせてくれますよ。」
シェラさんは話しながら、選んだドレスもきちんと
着付けてくれて腰の後ろで編み上げ式のリボンを
結ぶ。これは一人で脱ぎ着は無理だ。脱ぐ時はまた
シェラさんに手伝ってもらうと思うといたたまれない
気分になった。
「あとは靴ですが、オレが抱き抱えて運びますので
歩く必要もありませんし、あまり高さのない柔らかな
素材のものにしましょう。」
そう言って、これまた私がお風呂に入っている間に
部屋の床にずらりと並べられた10足以上の様々な靴の
中から柔らかでバレエシューズのようにヒールのない
リボンを足に巻きつけるようにして履くぺたんこ靴を選んだ。
そしてそれを丁寧に履かせられて、編み上げリボンも
膝下で結ばれる。
「靴も随分多くないですか⁉︎バロイ国の使者から
逃げるようにして急いで来た割にやっぱり私の物が
多いんですけど⁉︎」
まさかここに持ち込んだシェラさんの荷物のほぼ
全てが私の服や靴、小物ってことはないよね⁉︎
驚いてよくよく見渡せば、並べられたドレスの他にも
クローゼットいっぱいにドレスが納められている。
アクセサリーの入っているらしい小箱も小さな山を
作るくらい積んであった。
「殿下から預けられているモリー公国への贈答品は
他の騎士達の荷馬車に付けてありますから、オレの
馬車はユーリ様の荷物専用ですよ。先ほど使って
分かりましたが、公国の香油は随分と質が良いです。
ユーリ様にお似合いの香りのものを幾つか買って
帰りましょうね。」
話しながらさっき使った香油の瓶の香りを品定めする
ようにさっそく確かめている。
まだ買うつもりなんだ。ある意味リオン様以上の
甘やかしぶりで心配になる。
「シェラさん、あんまりそういう事をするのは子供に
悪影響ですよ?」
「その慎ましやかさに心が震えるほど感動致します、
ユーリ様。なおさらオレの全てを捧げたい衝動に
駆られますね。」
あ、ダメだ逆効果だった。四つも五つも香油を買おう
としているシェラさんに、これがいいです!とせめて
もの悪あがきで一つだけ選ぶ。
「もっと選んでもいいんですよ?資金なら潤沢に
ありますから。」
物足りなさそうに言われたけど充分だ。
そんなやり取りをしていたら、扉が控えめにノック
された。商人に扮している他の騎士さん達が歓迎会
へと迎えに来てくれたのだ。
シェラさんに縦抱っこされて廊下へ出れば騎士さん達
がモリー公国の人達に聞こえないようにひそひそと、
「お顔が見えなくても可愛らしさが伺えて最高です
ユーリ様!」
とか
「こんなにかわいいユーリ様を魔物と勘違いするとか
マジで有り得ねぇ・・・」
「紙とペンはどこだ⁉︎」
と言っている。かわいいと言ってもらえるのは素直に
嬉しいけど、紙とペンって言うのは何の話だろう。
珍獣扱いされている私の事を報告書にでも書くつもり
なのかな。
そんな事を考えている私を手に抱いたシェラさんを
先頭に騎士さん達と一緒に歓迎会をしてくれる広間へ
行くと、大きなローテーブルの上いっぱいに沢山の
ご馳走がずらりと並んでいる。
厚い絨毯の上にはくつろげるようにいくつもの
クッションが置いてあって、どうやら椅子ではなく
直接絨毯の上に座って食事を取るスタイルのよう
だった。
広間の一番奥に一つだけ長椅子があり、そこに人の
良さそうな穏やかな笑顔を浮かべた初老の人が座って
いる。そしてその隣にはミオ宰相さんが立っていた。
座っている初老の男性は青紫色の髪の毛にところ
どころ白髪まじりで、少し疲れたような顔色だ。
「あの方が大公閣下のエーリク様ですよ」
シェラさんがこっそり囁いてくれた。
「リオン殿下がいらっしゃらないのはいささか残念
だが、君達だけでも楽しんでくれたまえ」
にこにことしてそう言うエーリク様に、シェラさん
始め後ろの騎士さん・・・もとい商人さん達が一斉に
両膝をつき頭を下げる。
肩幅ほどの広さに開いた両手をついて礼を取るその
姿勢は、陸上のクラウチングスタートの両膝をついた
バージョンでのお辞儀みたいだと思った。
それはルーシャ国の商人が貴族や王族に対して取る
最上位の礼の仕方だけど、元々が騎士で片膝をつく
騎士の礼儀が染み付いているはずのみんなは何の
違和感もなく反射的に商人の礼を取っている。
そのあたりにシェラさんがルーシャ国にいる時
どれだけビシバシと騎士さん達に商人らしさを
叩き込んだのかが伺い知れた。
そしてそれに応えて数日で商人らしさを急いで
身につけなければならなかった騎士さん達の苦労
も偲ばれる。
私を片手に抱きながら、誰よりも一番優雅に礼をして
見せたシェラさんはにっこりとあの男女問わずに人を
惹きつける微笑みをまた周囲に振り撒いて、
「盛大な歓迎をしていただき身に余る光栄です。
短い間ですが交流を持ち、ぜひモリー公国と商いの
販路を開くきっかけを与えていただければと思って
おりますのでよろしくお願い致します。」
そう述べた。その優雅で色気の滲んだ笑みに、広場の
あちこちからため息が漏れ聞こえる。
シェラさんが商人などではないと知っている
エーリク様はそんな広間の雰囲気に苦笑いをして
「まあほどほどで頼む。」
あまり騒ぎを起こさないように、とでもいうような
意味が込められていそうなことを言って、私達の
歓迎会は始まった。
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