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第十五章 レニとユーリの神隠し
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地面に手をついて、周りをちょっと確かめる。
とりあえず見えている範囲のでこぼこを直せば
いいのかな?
後で農地にでも出来るようにふかふかの土壌にして
おく方がいいのか、それとも交通の利便性を考えて
硬めにならしておこうか。
「この土地ってこれから先どんな風に使いますかね?
農地や牧草地にするならそれなりに柔らかめにします
けど、そうでなければさっきまでと同じようなわりと
しっかりした地面にしますよ。」
しゃがんだままレンさん達の方を振り向けば、
キリウさんにえ?と聞き返された。
「そこまでこまかい調整がきくの?その年で?
ユーリちゃん、普段はイスラハーンでどれだけ厳しい
魔法の修行してるの?厳しすぎて泣かされたりして
ない?大丈夫?」
ものすごく心配されてしまった。そうか、私は
最初から独学で力の使い方を覚えたから気にして
なかったけど本来ならこれ位の年齢の子どもはまだ
そこまでこまかい魔力の調節は出来ないんだ。
イリューディアさんの力さまさまである。
「その辺りのこまかい調整は得意なので大丈夫です、
まかせて下さい。」
厳しくて泣きを見たのはシグウェルさんのスパルタで
200個もの容器に加護の力をつけた時くらいだ。
まさか、あなたの子孫に泣かされましたよ!とも
言えない。
あいまいな笑顔で問題ないと伝えたら、イスラハーン
とやらで私が魔法修行でかわいそうな目にあっている
と誤解したらしいレンさんに、無理しなくてもいい
んだよ?と頭を撫でられた。
レニ様も、
「えっ⁉︎お前って普段そんなに厳しい修行とか勉強を
してるのか?てっきりお菓子ばっかり食べてるのかと
思ってた!」
と驚かれた。別に厳しい修行はしてないし、お菓子
ばっかり食べているわけでもない。レニ様の中の私の
イメージはお菓子ばかり食べている人なのかな?
それは何だか不本意だ、と抗議する。
「レニ様、私がお菓子を食べるのは魔力を使ってお腹
がすくからですよ?」
そうしたらキリウさんが面白いねぇ、と目を細めた。
「普通は魔力を使っても腹はそんなに減らないよ?
逆に疲労感で食欲は失せて何もしたくなくなるし、
魔力の回復には黙って休むか魔力補填の回復薬を
飲んだり回復魔法をかけてもらうんだけど。」
「えっ」
そうなの?みんなてっきりお腹が空くのだとばかり
思っていた。
通りで加護の力を使った後に私がお菓子を食べてると
食い意地が張ってると思われるわけだ。
「ユーリちゃんてちょっと変わってるね。食べた物
がそのまま魔力に転換されているのかな。それなら
栄養価の高いものを食べたら魔力にもそれが反映
されるかな?」
「ミミックワームとか⁉︎」
あれ、栄養あるよ!となぜかレンさんがキリウさんの
話に乗っかってきた。
いくら私が魔獣料理に興味があってもあんなミミズ
みたいな魔物はちょっと・・・。
「元の食物の栄養価が魔力の出力に関係するかも
しれないなら、色んな食べ物でその魔法効率が変わる
のかちょっと気になるなあ・・・。出来ればその手の
実験に付き合ってもらいたいけど」
キリウさんがシグウェルさんみたいな事を言い出して
あの綺麗な紫色の瞳に好奇心を浮かべた。
さすがシグウェルさんのご先祖様だ、魔法に関する
ことについては追求したくなるらしい。
でもこんなところであれこれ変なものを食べさせ
られて実験されるのはごめんだ。
「あ、後で!魔石鉱山に行った後にまだ時間に余裕が
あったら実験にはお付き合いしますから、とりあえず
今はこの地面を直しましょう⁉︎」
焦ってレンさんの方へ向き直る。
「さあどうします?どんな感じに直しますか⁉︎」
「あ、えーと・・・農地用でお願いしようかな。
これからもっと人口が増えたら食料が必要になるし
そしたら開拓する時に助かりそうだしね。」
「分かりました!」
これ以上キリウさんの余計な好奇心を刺激しない
ように、さっさとやるべきことをやってしまおう。
レンさんはもっとたくさん小麦が作れればいいのに、
って言っていたし栽培に適した土壌が出来ればと
願い力を使う。
瞼の裏にいつものあの暖かくて明るい光が溢れ、
レンさん達の驚いたような声が聞こえた。
ぱちりと目を開ければ、目の前に広がる地面にあの
でこぼこはない。
私のついた手の下には、さっきまでの茶色い硬そうな
地面と違って、柔らかな黒土と明るい緑の下草が
広がっていた。
「うまくいきました!これならこの先ここを開拓する
時にも楽に農地に出来るはずです!」
すでに軽く耕し終わっているような状態の柔らかさ
だからね。
後はここに引き込める水源でもあれば完璧なんだけど
それらしい川は近くに見当たらない。
「えーと、農地にするなら将来的には水も必要です
よね?どこかに溜池的なものでも作っておけば便利
かなあ・・・」
周りはだだっ広い平原だから、もし私が水を出しても
何か目印がなければ誰もその存在に気付かなくて
使えないかも知れない。
「えーと・・・」
きょろきょろして、私たちの馬が繋いである木に
気付く。
さっきキリウさんが結界を張るのに使った棒切れから
成長したものだ。
「そうだキリウさん、私がこの木の若芽を作るので
それを成長させることは出来ますか?せっかく温存
してもらおうと思っていた魔力を使わせるのは少し
申し訳ないですけど・・・」
森というほどではないけど、小さいオアシスの
ような木立を作り、その真ん中に泉が湧いていたら
どうだろう?
ついでにキリウさんの作った結界も利用すれば、その
場所は魔物が入ってこれない安全な休息場所にもなる
かもしれない。
そう思って私の考えを話したのに、肝心のキリウさん
から返事がない。
「キリウさん?」
振り返って見てみれば、キリウさんは膝をついて
私の力で作り出された土壌を手に取り真剣な表情で
それを確かめているところだった。
「・・・いや、やり過ぎでしょユーリちゃん。
この広範囲にこれだけしっかり地ならしをして
土壌改良するとかあり得ないよ?」
「え?だってレンさんが農地用の土にして欲しいって
言いましたし」
「うん、だからね?普通はそーいう時って元からある
土を多少柔らかくする程度なの。耕しやすくなったぞ
嬉しい、助かるなー!くらいのもんなわけ。でも
これは、土そのものが作り替えられてるの。ここに
元からある土壌とその性質がまるっきり変わってる。
そんなとんでもない力を使ったのに、何でそんなに
元気なわけ?」
オレならまだしも、普通の女の子が魔力が多いとか
魔力操作がうまいってだけでそれはね・・・と、
不思議そうっていうか、若干不審な目で見られて
冷や汗をかく。
ええ?だっていつもこんな風になるのが当たり前
だから何とも思ってなかったよ?
それに、私の周りの人達はそんな力はあり得ないとか
おかしいなんて誰も言わなかったし指摘しなかった。
さっきの、魔力を使うとお腹が空くという話も
そうだけどあのシグウェルさんですら私の使う力を
普通に受け入れていた。
何で?と思っていたら、レニ様が小さく私の袖を
引いてキリウさん達に聞こえないよう小声で言った。
「おい、お前・・・すごいんだな、癒し子の力って。
俺を治した以外の魔法を初めて目の前で見たぞ。
こんな風にして力を使うんだな、カッコいい!」
その力は異常だろとか言わない素直なその褒め言葉に
ハッとする。
そっか、私の周りの人達は私の使う力が普通の
魔導士さん達と全然違う結果を出してもそれは
『癒し子だから』違っていて当然だと思っている
のかもしれない。
だからシグウェルさんもそれについては特に指摘する
こともなかったのかも。
むしろあの人なら、私と他の人達との魔法に違いが
あるほど面白がっていそうだ。
でもキリウさんは、私が癒し子でイリューディアさん
から加護の力を授かっているなんて知らないから。
それなら普通の魔導士見習い的な子がどうしてこんな
他人と違う力を?って不思議に思っても仕方ない。
農地用に土壌改良するくらいなら未来を変えるような
ことはないだろうと思っていたら、思いもよらない
ところにトラップがあった。
「ていうか、これだけ大がかりな魔法を使ったのに
まだ元気な上に何て言ってたっけ?水場も作る?
確かに見た感じ、まだユーリちゃんの魔力には余裕が
ありそうだけどさぁ・・・。本気?」
オレは何をすればいいんだっけ?そう聞いてきた
キリウさんは、目をすがめてまるで私の正体を
探ろうとするかのようにじっと見つめてきた。
とりあえず見えている範囲のでこぼこを直せば
いいのかな?
後で農地にでも出来るようにふかふかの土壌にして
おく方がいいのか、それとも交通の利便性を考えて
硬めにならしておこうか。
「この土地ってこれから先どんな風に使いますかね?
農地や牧草地にするならそれなりに柔らかめにします
けど、そうでなければさっきまでと同じようなわりと
しっかりした地面にしますよ。」
しゃがんだままレンさん達の方を振り向けば、
キリウさんにえ?と聞き返された。
「そこまでこまかい調整がきくの?その年で?
ユーリちゃん、普段はイスラハーンでどれだけ厳しい
魔法の修行してるの?厳しすぎて泣かされたりして
ない?大丈夫?」
ものすごく心配されてしまった。そうか、私は
最初から独学で力の使い方を覚えたから気にして
なかったけど本来ならこれ位の年齢の子どもはまだ
そこまでこまかい魔力の調節は出来ないんだ。
イリューディアさんの力さまさまである。
「その辺りのこまかい調整は得意なので大丈夫です、
まかせて下さい。」
厳しくて泣きを見たのはシグウェルさんのスパルタで
200個もの容器に加護の力をつけた時くらいだ。
まさか、あなたの子孫に泣かされましたよ!とも
言えない。
あいまいな笑顔で問題ないと伝えたら、イスラハーン
とやらで私が魔法修行でかわいそうな目にあっている
と誤解したらしいレンさんに、無理しなくてもいい
んだよ?と頭を撫でられた。
レニ様も、
「えっ⁉︎お前って普段そんなに厳しい修行とか勉強を
してるのか?てっきりお菓子ばっかり食べてるのかと
思ってた!」
と驚かれた。別に厳しい修行はしてないし、お菓子
ばっかり食べているわけでもない。レニ様の中の私の
イメージはお菓子ばかり食べている人なのかな?
それは何だか不本意だ、と抗議する。
「レニ様、私がお菓子を食べるのは魔力を使ってお腹
がすくからですよ?」
そうしたらキリウさんが面白いねぇ、と目を細めた。
「普通は魔力を使っても腹はそんなに減らないよ?
逆に疲労感で食欲は失せて何もしたくなくなるし、
魔力の回復には黙って休むか魔力補填の回復薬を
飲んだり回復魔法をかけてもらうんだけど。」
「えっ」
そうなの?みんなてっきりお腹が空くのだとばかり
思っていた。
通りで加護の力を使った後に私がお菓子を食べてると
食い意地が張ってると思われるわけだ。
「ユーリちゃんてちょっと変わってるね。食べた物
がそのまま魔力に転換されているのかな。それなら
栄養価の高いものを食べたら魔力にもそれが反映
されるかな?」
「ミミックワームとか⁉︎」
あれ、栄養あるよ!となぜかレンさんがキリウさんの
話に乗っかってきた。
いくら私が魔獣料理に興味があってもあんなミミズ
みたいな魔物はちょっと・・・。
「元の食物の栄養価が魔力の出力に関係するかも
しれないなら、色んな食べ物でその魔法効率が変わる
のかちょっと気になるなあ・・・。出来ればその手の
実験に付き合ってもらいたいけど」
キリウさんがシグウェルさんみたいな事を言い出して
あの綺麗な紫色の瞳に好奇心を浮かべた。
さすがシグウェルさんのご先祖様だ、魔法に関する
ことについては追求したくなるらしい。
でもこんなところであれこれ変なものを食べさせ
られて実験されるのはごめんだ。
「あ、後で!魔石鉱山に行った後にまだ時間に余裕が
あったら実験にはお付き合いしますから、とりあえず
今はこの地面を直しましょう⁉︎」
焦ってレンさんの方へ向き直る。
「さあどうします?どんな感じに直しますか⁉︎」
「あ、えーと・・・農地用でお願いしようかな。
これからもっと人口が増えたら食料が必要になるし
そしたら開拓する時に助かりそうだしね。」
「分かりました!」
これ以上キリウさんの余計な好奇心を刺激しない
ように、さっさとやるべきことをやってしまおう。
レンさんはもっとたくさん小麦が作れればいいのに、
って言っていたし栽培に適した土壌が出来ればと
願い力を使う。
瞼の裏にいつものあの暖かくて明るい光が溢れ、
レンさん達の驚いたような声が聞こえた。
ぱちりと目を開ければ、目の前に広がる地面にあの
でこぼこはない。
私のついた手の下には、さっきまでの茶色い硬そうな
地面と違って、柔らかな黒土と明るい緑の下草が
広がっていた。
「うまくいきました!これならこの先ここを開拓する
時にも楽に農地に出来るはずです!」
すでに軽く耕し終わっているような状態の柔らかさ
だからね。
後はここに引き込める水源でもあれば完璧なんだけど
それらしい川は近くに見当たらない。
「えーと、農地にするなら将来的には水も必要です
よね?どこかに溜池的なものでも作っておけば便利
かなあ・・・」
周りはだだっ広い平原だから、もし私が水を出しても
何か目印がなければ誰もその存在に気付かなくて
使えないかも知れない。
「えーと・・・」
きょろきょろして、私たちの馬が繋いである木に
気付く。
さっきキリウさんが結界を張るのに使った棒切れから
成長したものだ。
「そうだキリウさん、私がこの木の若芽を作るので
それを成長させることは出来ますか?せっかく温存
してもらおうと思っていた魔力を使わせるのは少し
申し訳ないですけど・・・」
森というほどではないけど、小さいオアシスの
ような木立を作り、その真ん中に泉が湧いていたら
どうだろう?
ついでにキリウさんの作った結界も利用すれば、その
場所は魔物が入ってこれない安全な休息場所にもなる
かもしれない。
そう思って私の考えを話したのに、肝心のキリウさん
から返事がない。
「キリウさん?」
振り返って見てみれば、キリウさんは膝をついて
私の力で作り出された土壌を手に取り真剣な表情で
それを確かめているところだった。
「・・・いや、やり過ぎでしょユーリちゃん。
この広範囲にこれだけしっかり地ならしをして
土壌改良するとかあり得ないよ?」
「え?だってレンさんが農地用の土にして欲しいって
言いましたし」
「うん、だからね?普通はそーいう時って元からある
土を多少柔らかくする程度なの。耕しやすくなったぞ
嬉しい、助かるなー!くらいのもんなわけ。でも
これは、土そのものが作り替えられてるの。ここに
元からある土壌とその性質がまるっきり変わってる。
そんなとんでもない力を使ったのに、何でそんなに
元気なわけ?」
オレならまだしも、普通の女の子が魔力が多いとか
魔力操作がうまいってだけでそれはね・・・と、
不思議そうっていうか、若干不審な目で見られて
冷や汗をかく。
ええ?だっていつもこんな風になるのが当たり前
だから何とも思ってなかったよ?
それに、私の周りの人達はそんな力はあり得ないとか
おかしいなんて誰も言わなかったし指摘しなかった。
さっきの、魔力を使うとお腹が空くという話も
そうだけどあのシグウェルさんですら私の使う力を
普通に受け入れていた。
何で?と思っていたら、レニ様が小さく私の袖を
引いてキリウさん達に聞こえないよう小声で言った。
「おい、お前・・・すごいんだな、癒し子の力って。
俺を治した以外の魔法を初めて目の前で見たぞ。
こんな風にして力を使うんだな、カッコいい!」
その力は異常だろとか言わない素直なその褒め言葉に
ハッとする。
そっか、私の周りの人達は私の使う力が普通の
魔導士さん達と全然違う結果を出してもそれは
『癒し子だから』違っていて当然だと思っている
のかもしれない。
だからシグウェルさんもそれについては特に指摘する
こともなかったのかも。
むしろあの人なら、私と他の人達との魔法に違いが
あるほど面白がっていそうだ。
でもキリウさんは、私が癒し子でイリューディアさん
から加護の力を授かっているなんて知らないから。
それなら普通の魔導士見習い的な子がどうしてこんな
他人と違う力を?って不思議に思っても仕方ない。
農地用に土壌改良するくらいなら未来を変えるような
ことはないだろうと思っていたら、思いもよらない
ところにトラップがあった。
「ていうか、これだけ大がかりな魔法を使ったのに
まだ元気な上に何て言ってたっけ?水場も作る?
確かに見た感じ、まだユーリちゃんの魔力には余裕が
ありそうだけどさぁ・・・。本気?」
オレは何をすればいいんだっけ?そう聞いてきた
キリウさんは、目をすがめてまるで私の正体を
探ろうとするかのようにじっと見つめてきた。
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