【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

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第十五章 レニとユーリの神隠し

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伴侶がさんにん・・・とまだ呟いているキリウさんに
さすがに都合が悪くなる。

「てことはキリウさんは、もしユーリちゃんと本当に
結婚したら四人目?四番目?の旦那さんになるって
ことですよね?」

レンさんの言葉にハッとする。そうだ、これは改めて
キリウさんの気安いプロポーズを断るチャンスだ。

「そっ、そうですよ!もし私と結婚したらキリウさん
は四番目です!レニ様の叔父様が一番目ですから‼︎
それはさすがに無理がありますよね⁉︎だから私は
キリウさんとは結婚出来ません、ごめんなさい!」

リオン様のことを叔父様と呼ぶのはすごく変な感じが
するけどこの際仕方ない。

自分の結婚相手に順番をつけるなんてなんだか失礼
だけど、告白順で言えばリオン様が一番目だから
そうなるのだ。

リオン様が一番目っていう言葉になぜかレニ様は
満足気に頷いてるけど、そもそもレニ様のせいで
今こんな恥ずかしい目にあってるんだからね⁉︎

さすがのキリウさんも私の言葉に意気消沈している。

「確かに、ユールヴァルト家の跡取りが他国の人間の
四番目の伴侶って例は今までないけどさぁ・・・。
せめてユーリちゃんがルーシャ国の人ならまだ何とか
なるんだけど、でも四番目かぁ・・・‼︎それだと
ユーリちゃんにユールヴァルト家に入ってもらう
んじゃなくてむしろオレの方が婿入りしなきゃ
いけないよなー・・・」

うーん、と唸って悩んでいるキリウさんを見ていると
三人目の夫で何の問題がある?そんなもの伴侶に
なってしまえば関係ないだろう?と少しも動じる事の
なかったシグウェルさんて実はすごいのかも、と
思った。

しかも私の伴侶になれるなら、順番どころか
ユールヴァルト家の当主になるのもどうでも
良さそうだったし。

そういえばシグウェルさんは自分の人生全てを私に
委ねてもいいって言っていた。

そんな人からしてみればキリウさんと違い、確かに
伴侶の順番や家のことは二の次になるのだろう。

そこに気付いてしまえば、なんていうか今更ながらに
あの時のシグウェルさんの言葉の重みを初めて理解
した。

そしてそんな風に私を想ってくれている人がいるなら
絶対無事に帰らないと。

「・・・キリウさん、私に告白をした三番目の人は
私に自分の人生全部を委ねる、そんな風に思えるのは
私しかいないって言ってくれたんです。だから私は
その人の気持ちに応える為にも、その人を含めて私の
大事な人達のところに帰らなくちゃいけません。
ルーシャ国に来てキリウさんのお嫁さんになることは
出来ませんよ。」

シグウェルさんが作ってくれた、首元の結界石に
触れながら改めてそう言えばキリウさんはハッと
した。

「もしかしてその結界石をユーリちゃんにあげたのが
三番目の奴ってこと?」

笑って頷けば、はあぁ、と大きなため息をついて
キリウさんはあの綺麗な銀髪をがしがしと掻いた。

「・・・ユーリちゃんにしてみればオレは四番目に
求婚してきた奴なんだろうけど、オレにとっては
ユーリちゃんは一番なんだよね。だからユーリちゃん
の中でもオレが一番じゃなきゃやっぱり嫌だ。それに
レンの奴を置いてイスラハーンに行ってユーリちゃん
の伴侶になるのも、まだ荒れてるルーシャ国の支えに
なるべきユールヴァルト一族の義務を放棄することも
出来ない。・・・だからごめんね。ユーリちゃんとは
やっぱり結婚は出来ないや。」

あれ?なぜか最後は私の方が振られたみたいな
言い回しになってないかな?

そう思ったけど、レンさんを放っておけないし
ルーシャ国の平和にも尽くしたい、由緒ある自分の
一族のユールヴァルト家も責任を持って率いたい、と
いうキリウさんの言葉に思わず笑みがもれる。

グノーデルさんの言っていたように、賭け好きで
女好きで格好つけだけどキリウさんはすごく責任感の
強い良い人だ。

だからこそ勇者様の右腕としてその名を残す人に
なったんだろう。何しろなんだかんだ言ったって、
自分の婚期を逃してまでレンさんに付き合ってあげて
いるんだから。

こういう人がドラグウェル様やシグウェルさんの
ご先祖様で良かった。

それが嬉しくてにこにこしていたら、レニ様が
なぜか頬を染めながら

「なんでそんないい笑顔をこいつに見せるんだよ!」

と怒った。レンさんは「えー、可愛いって褒めて
あげなよ?」と指導している。

そしてキリウさんはそんな私を見て目を丸くすると

「結婚出来ませんって言われてそんな嬉しそうに
ここ一番のカワイイ笑顔を見せるとかユーリちゃん
ちょっとひどくない⁉︎オレ、断腸の思いで言った
んだけど!あー、クソ、やっぱり結婚したい‼︎オレの
結婚相手、どこにいるの⁉︎」

と叫んでレンさんに泣きついた。

最終的にキリウさんが泣く羽目になったけど、
とりあえずこれで求婚もきちんとお断りできた。

あとは帰るだけ。

さっきレンさんにもらったあの魔石鉱山の青い魔石の
中から一番大きな物を手に取る。

私とレニ様を無事に返してくれるかな?語りかける
ようにその魔石を見つめれば、気のせいかほんのりと
淡く光ったような気がした。

よし、やってみよう。

「レニ様、私と一緒にこの魔石を握って下さい。
それから自分の大切で会いたい人達を想いながら、
あの勇者様の泉を思い浮かべてみましょう!」

「わかった。頼むぞユーリ。」

頷いたレニ様は素直に魔石を握る私の手に自分の手を
重ねて目をつぶった。

私も目を閉じて祈ろうと思って、そこでふと大事な
ことをレンさん達に言ってなかったことを思い出す。

イスラハーンのことだ。勝手にそこから来たことに
してたけど、後でレンさん達が私達に会おうとその
国に連絡を取ったら大変なことになる。

「あの、レンさん。キリウさんも。私達実はウソを
ついてました。私とレニ様はイスラハーンから
来たんじゃないんです。そこよりももっとずっと
遠い所から来たんです。」

「え⁉︎」

レンさんが目を瞬いて、そのレンさんに泣きついた
まま肩を組んでいたキリウさんは目をすがめた。

「事情があって、どこから来たかは言えないんです
けど。でも悪いことをしようとしてここに来たんじゃ
ないので!それだけは信じてください。本当に、
訳もわからずここに飛ばされて来てしまったんです。
だから、助けてくれて嬉しかったです。ありがとう
ございました。これはそのほんのお礼です。・・・
イリューディアさんの加護で二人がいつまでも元気で
いられますように。」

もうこれが本当に最後だから、無病息災の軽い加護
くらいならつけてもいいだろう。

そうすれば、きっと私達が悪者じゃないってことも
分かってくれるはず。

魔石を持っていない方の手でレンさんにそっと
触れる。

そうするとレンさんとその肩を組んでいるキリウさん
も淡く金色の光に包まれた。

「ちょ、これって姫巫女でも精霊の力でもないよね?
召喚者だけが授かれる本物の神様の加護の力じゃ
ない⁉︎」

キリウさんがちょっと待ってユーリちゃん!と声を
上げた。

「二人ともお元気で!」

動揺しているレンさん達にもう一度笑いかけ、
それから目を閉じる。

瞼の裏にあの薔薇の咲き乱れる囲いの中にある
小さな勇者様の泉を思い浮かべる。

どうかあの場所に帰れますように。きっとエル君や
ヴィルマ様がすごく心配している。

帰ろう。精霊と魔石、イリューディアさんの力で。

強く願えば、魔石が熱を持つ。待って、と呼ぶ
キリウさんの声が遠くに聞こえて瞼の裏には真っ白な
光が溢れた。







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