【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

文字の大きさ
326 / 777
挿話 突撃・隣の夕ごはん

1

しおりを挟む
「夕食会への招待ですか?」

とある日、奥の院を訪ねて来たユリウスさんに私は
一枚の招待状を手渡された。

封蝋にピンク色の小花の押し花が付いた封筒を渡して
くれたユリウスさんはそうっす!と笑う。

「なんかうちの親父がぜひともユーリ様を夕飯に
招待したいって言うんす。この間、レニ王子殿下と
一緒に勇者様のいる時代に飛ばされたらしいじゃ
ないっすか?その話も聞きたいって言ってました。
陛下にもちゃんと許可は得ているそうっすよ。」

「陛下に?」

どうして私がユリウスさんちの夕食に招待されるのに
陛下の許可がいるんだろう?

不思議に思いながら、

「でもわざわざ夕食会だなんて、何かお祝いごとでも
あるんですか?」

そう聞けば

「実は他国に合同軍事演習に出ていたうちの一番上の
兄貴が帰国するんす。久しぶりに家族が揃うんで、
ぜひとも皆をユーリ様に紹介したいとか何とか
言ってました。すんません、うちのクソ親父が急に
変なこと言い出して」

申し訳なさそうに頭を下げられる。

「それは別にいいんですけど、そんな久しぶりの
家族水入らずのところに私がお邪魔するのはかえって
申し訳ないような・・・」

ゆっくり家族だけで食事を楽しむ方がいいんじゃ
ないかな?と言えばユリウスさんが都合悪そうに
口を開いた。

「えーと、実はですね。先日街歩きに出たユーリ様の
姿をうちの親父の希望でリリ様にしましたよね。」

そういえばそうだった。

マディウス様たっての希望で、バイラル家の末っ子
リリとしての姿に幻影魔法をかけてもらった。

「その姿をどうしても家族の他の連中・・・うちの
お袋や長兄、次兄にも見せるんだって親父が言うんす
よ・・・。ユーリ様には本当に申し訳ないんですけど
そんな訳で、ちょっとの間でいいんで夕食会では
あの姿になってもらってもいいっすか?」

なんだそんな事か。それくらいお安いご用だ。

「全然いいですよ!それ位のこと、喜んでやります
とも。」

おいしいご飯の招待を受けたのだ、そんな事でいい
ならいくらでもやろう。

そう思って頷けば、ユリウスさんはほっとしたような
顔をした。

「ありがとうございます!おいしいご馳走をたくさん
準備するっすからね、食べたいものがあればぜひ
言って下さい!」

そんなやりとりをしてユリウスさんを見送れば、
おうちにお邪魔するのに手ぶらはないだろうと
ふと気付いた。

さっそくその日の夜、リオン様にユリウスさんから
夕ごはんの食事会に招待されたこととその手土産を
買いに王都へ降りたいことを伝えた。

「いいけど街へは気を付けて行って来てね。ユーリに
対する関心はだいぶ落ち着いたとはいえ人気者なの
には違いないからね。」

お小遣いは足りている?そんな事も聞かれたけど
いつものポシェットにはまだ金貨がいくつか入って
いるし、リオン様のお手伝いで王宮の文官さん達と
一緒に働いた時にもらった銀貨も入っている。

「ありがとうございます!お金は充分足りると
思いますよ。」

その後、リオン様とあれこれ話しながら明日さっそく
マリーさんと相談してお店を決めて、ユリウスさんの
ところへ行く前に事前に手土産の購入は済ませて
おいた方がいいだろうという話になった。




「それならこの間はゆっくりお食事出来なかった
あの海鮮料理のお店でお昼を取りながら、手土産の
焼き菓子を買ってついでにプリシラのお店にも寄って
みませんか?」

翌日、何を買って行こうかとマリーさんに相談したら
そう提案された。

プリシラさんというのはマリーさんのいとこで最近
王都へ女性向けの物を売るお店を出した綺麗な人だ。

なぜプリシラさんのお店へ?と不思議に思えば、

「夕食会へはマディウス騎士団長の奥様も同席なさる
のでしょう?プリシラならセンスの良い物を色々と
取り揃えているので奥様への手土産を買うにも
間違いありませんから!ついでに先日プリシラが
新しくオープンさせたユーリ様からヒントをもらった
お嬢様気分を味わえるカフェにもよりましょう。
そちらもプリシラからは招待を受けておりましたし、
まだ出来たばかりですがとても話題だそうですよ!」

それはあれだ、私の余計な一言でこの世界に爆誕して
しまった執事喫茶とメイドカフェを足して二で割った
ようなところだね?

こうして王都での立ち寄り先は決まった。

海鮮料理屋さんに焼き菓子屋さん、プリシラさんの
お店だ。

リオン様へはこれらのお店に行くということで一旦
お伺いを立ててみよう。オーケーが出ればいいな。

あとは街歩きの護衛だけど、エル君は当然として
あとはシェラさんだろうか。

街歩きの相談をしながらシェラさんにはついでに
出来上がった組紐のチョーカーも渡したい。

あれこれ考えながらさっそくシェラさんを呼んで
奥の院に顔を出してもらった。

するととても悲しげに首を振られた。

「残念ながら、今回はお供ができません。」

「えっ、何故ですか⁉︎」

あんなに私のお出掛けへの同行について行こうと
していた人が。

「もしかしてキリウ小隊のお仕事が入りましたか?」

「いえ、先日モリー公国より戻ってからレジナスと
また模擬試合をしまして。それに負けたのです。」

・・・まさかまた私のことを二人は勝手に賭けて
いたんだろうか。

そう思って見つめれば当たり前のようにシェラさんは
頷いた。

「先行条件なしでのユーリ様の次のお出掛けへの
同行を賭けた一本勝負でした。不覚にも開始早々、
こちらの魔道具を封じられて完敗しまして。ですので
今回だけ同行出来ないのです。代わりにデレクを
付けましょう。」

全くこの二人は。呆れながらも了承する。

「残念ですけど仕方ないですね。・・・あ、そうだ、
そういえばシェラさんに作ってあげていたあの組紐の
チョーカーが出来ましたよ。」

アンリ君に小箱を持ってきてもらう。

ぱかりと開けたその中身はシェラさんのための
組み紐チョーカーだ。

落ち着いた紫色の中に艶を消した金色の糸を織り
交ぜ、真ん中には先日レンさんのところに飛ばされた
時にもらったあの魔石鉱山の魔石を付けた。

「持って帰って後で付けますか?それとも今ここで
付けていきますか?」

「今付けます。というかぜひユーリ様の御手でオレに
付けて下さい。」

即答だった。その目がいつになく輝いているのが
恐ろしい。

「え?私がシェラさんに?」

「飼い犬の首に首輪を付けるのは主人の役目です
からね。当然のことです。」

おかしな事を言い出した。自分で自分のことを
私の飼い犬と言うだなんて。

「ユーリ様のお作りになられた物をその手で付けて
いただいてこそ、全ての工程が完了するのです。
お願いいたします。」

家に着くまでが遠足です。

そんな感じの事を色気を滲ませた笑顔で言われて
しまった。しかも有無を言わせないあの謎の圧が
ある。

仕方ないなと渋々チョーカーを手に取ると、私を
見つめるシェラさんの微笑みはより一層深まった。

しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

処理中です...