【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

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第十九章 聖女が街にやって来た

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「どうしたのユーリ、まだ眠らないのかい?」

扉を開けた私の気配に気付いたリオン様は書類から顔を上げると生真面目な顔をいつものように綻ばせて笑顔を見せた。

扉から覗いているのはクリーム色の羽織ものと私の顔だけなので、まだ私がどんな格好なのかはリオン様には見えていないらしい。

「えっと・・・」

「・・・?」

私が何を言うのかとリオン様はにこにこしながら待っている。

「リオン様にもう一度おやすみなさいの挨拶をしようかと思って」

「そうなんだ?」

こ、この後はどうすれば?と後ろの寝室を振り向いてマリーさんに助けを求めれば、いつの間にかいない。

え?自分の部屋に下がっちゃった⁉︎

勝手にこの格好に着替えさせたんだから最後まで責任を取って側にいて欲しかった。

ちなみにもう一人、頼りになるエル君もとっくに廊下に繋がる私の寝室の扉の外で護衛をしているのでここにはいない。

いや、エル君のことだからもし私が頼っても

『リオン殿下の贈られた夜着をユーリ様はリオネルでもとても気に入ってかわいいと喜んでいました』

と余計なことだけど事実でもある、私が恥ずかしくなることを言いかねなかったからむしろいなくて良かったのかな?

そんな事を考えながら、寝室とリオン様を交互に見ていた挙動不審過ぎる私にさすがのリオン様も心配してその顔から笑顔が消えた。

「本当にどうしたのユーリ、寝室が何か気になるの?」

そう言って立ち上がり、私の方へと歩み寄ろうとした。

「いえ、そうじゃなくて・・・!」

慌てた拍子に扉に手がぶつかった。

キイ、と小さな音を立てて開いた扉は顔だけでなく私の全身をリオン様に見せた。

「それって・・・」

こちらに来ようとしていたリオン様は、ぴたりと立ち止まりまじまじと私を見つめる。

「リオン様が贈ってくれた服だって聞きました!あ、ありがとうございます‼︎」

見せてしまったものは仕方ない。

勢い込んでお礼は言ったもののリオン様の顔は恥ずかしくて見られない。

だからそっぽを向いたまま夜着の裾を握りしめて話した。

なんだろう、我ながらツンデレみたいなお礼の仕方だ。

もっとちゃんとお礼を言うべきじゃないかなと思いながらリオン様の反応を伺う。

「・・・まさかそれを着てくれるだけでなく、その格好を僕に見せてくれてお礼まで言ってくれるなんて思いもしなかった。」

「シ、シンシアさんがそうする方がリオン様も喜んでくれるって言ったから・・・!」

なんだか頬がぽわぽわする。

多分恥ずかしくて赤くなっているんだろう。

相変わらずそっぽを向いたまま話す私にリオン様は小さく笑いをもらした。

「ありがとう。思っていたよりもずっとよく似合っているよ。もうちょっとよく見せて。」

そんな言葉と共に自分の近くにふっと影が落ちたのでうん?とそちらを見る。

するとリオン様が私のすぐ近くに片膝をついて腰を落として目線を合わせてくれていた。

いつの間にこんな近くに⁉︎

びっくりして目を瞬いていれば、

「ああそうか、中に着ているものと色が重なって夜着が色の濃淡を作り出しているのか・・・。ていうか、こうして改めて見てみるとやっぱり少し薄手の生地だよね。寒くない?」

観察をされていたみたいな感想にますます頬が熱を持った。

中に着てる揃いの下着と色が重なってピンクのグラデーションになるのは私も分かっている。

それはつまり、夜着の下の下着の色も透けて見えてますよってことで・・・

今まさにリオン様は自分の口でそれを言ったんですけど⁉︎気付いてないのかな⁉︎

言われた私はめちゃくちゃ恥ずかしくて顔が熱い。

「さ、寒くはないです!むしろ暑いです‼︎」

何を言えばいいのか分からなくなってバカなことを口走ってしまった。

そんな私に、頭を撫でようとしていたリオン様の手が止まり

「・・・ユーリの頬が夜着みたいな薔薇色に染まってるんだけど?」

と私の頭ではなくて頬にその手が触れた。

「何それすごく可愛い。」

青い瞳を細めて見つめられそう言われれば思わず一歩後ずさってしまう。

こ、これは危険だ。

シンシアさんはリオン様の鉄の意志がどうのとか言ってたけどそんなの本当にあるのかな⁉︎

少なくとも今目の前のリオン様にはないような気がする。

「どうして逃げるのさ」

じりっと一歩下がった私の背中に手を回して抱き止めそれ以上下がれないようにしたリオン様は、首を傾げ不思議そうにそう言う。

その時、ほのかにアルコールの香りが私の鼻をかすめた。

「リオン様、お酒飲んでます⁉︎」

「ああ、ユーリも寝たと思ったから少し飲みながら書類を見ていたかな」

リオン様はお酒に弱くないはずだけど、最近の多忙ぶりからして疲労が溜まっていたんだろう。

疲れていると酔いやすくなることもある。

顔に出ていなかったから近くに寄るまで気付かなかったけどこれはほんのり酔っているんじゃないかな⁉︎

「リオン様、少し酔ってるみたいですよ。今日はもうお仕事は切り上げて休んだ方がいいです!」

そう促したら、

「そう?・・・うーん、そうだね。ユーリがそう言うならそうしようかな。」

ちょっと考えたリオン様はすっと立ち上がった。

「ユーリのかわいい姿も見られたし、気分の良いうちに休もうかな。」

とにっこり微笑んで見下ろされたのでこくこく頷く。

「そうですよ、無理しないでください!私ももう寝ますから。これ、ありがとうございました。おやすみなさい!」

もう一度、今度はしっかりとその顔を見つめてお礼とおやすみの挨拶をした。

するとリオン様は「うん・・・」と頷くとおもむろに私をひょいと抱き上げて私の寝室への扉を開けた。

「リオン様⁉︎私、自分でベッドまで歩けますよ!」

わざわざ縦抱っこでベッドまで運んでくれるつもりなのかと声を上げたら、

「うん、そのかわいい格好のユーリが眠るまで側にいたいと思ってね。一緒に寝ようか。」

思いもよらないことを言われた。

ええ⁉︎と驚く私を抱えたままスタスタ歩いたリオン様は私をベッドの上に下ろして羽織りを脱がせ、自分もそこに横になる。

そのまままるでぬいぐるみのように私を抱きしめると

「薄いけど手触りの良い生地だね。ずっと撫でていたくなる。」

耳元でそう囁きながら私の背中を撫でてきた。

「て、鉄の意志は⁉︎」

思わず口走ったら何それ?とリオン様に笑われる。

「リオン様、やっぱり酔ってますよ!大丈夫ですか?具合は悪くないですか?」

妖しい雰囲気になるのを避けようと必死に話しかけていれば

「ユーリと一緒にこうしているのに具合が悪いわけがないでしょう?まあ確かにいつもより酔っているような気もするけど、それだって大きい姿になったユーリほどの酔いじゃないよ。」

「い、痛いところをついて来ますね・・・⁉︎」

意外と冷静なリオン様の言葉に、そんなに酔ってはいないのかな?と安心する。と、

「ユーリ、足が冷たくない?なんだかひんやりするよ。」

目を閉じたままリオン様がそう言って、抱き合っている布団の中でもぞりと足が動いた。

ハッとすれば、私の体温を確かめるようにリオン様の足が私の膝の間に割り入っている。

この夜着は前丈が膝までくらいの長さな上に薄手の生地のせいでめくれやすい。

これはこのままだと色々まずいことになる。

「リオン様、動かないでください!いい子で静かに寝ましょうね⁉︎」

「何だいそれ、僕を子ども扱いするつもり?ユーリは面白いね。」

耳元でくすりと笑われてくすぐったい。

「いや、だからえーと・・・」

私を抱きしめる腕に力がこもったような気がしてパニックになる。

どうすればいいんだろう⁉︎

混乱していたら、ふと私の耳に規則正しい呼吸音が聞こえてきた。

「ね、寝てる・・・?」

深く静かな呼吸の音はリオン様からしてきていた。

抱きしめられているその胸元から、恐る恐る見上げてみればリオン様はいつの間にか眠っている。

「良かったぁ・・・」

本人は気付いていないみたいだけどやっぱり相当疲れていたらしい。

私は思いがけず恥ずかしい目にあったけど、こうして眠ることで疲れが取れてくれるならそれでいいか。

そう思って、少しどきどきしながら私もそっとその胸元に身を寄せ直す。

そしてそのまま癒しの力を使って疲れを取ってあげた。

こんなにくっついていたら私の方こそ緊張して眠れないかもしれない。

そう思っていたのに、リオン様の規則正しい呼吸の音を聴きながらそのぬくもりを感じていたら、いつの間にか私も深い眠りに落ちていた。



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