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第十九章 聖女が街にやって来た
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「おぅ、来たなユーリちゃん!」
前回陛下が羊の毛刈りをしていたのと同じ庭園に通されれば、案内された東屋は前と違うものの陛下その人が笑顔で迎えてくれた。
前回通された場所は絨毯敷きされた床に座り込む形のところだったけど、今回はゆったりとしたソファがある。
なぜ前回とは別のそんな東屋に通されたのかは陛下に同席しているもう一人の人を見て分かった。
「ヴィルマ様!お会い出来て嬉しいです‼︎」
陛下の隣には大声殿下の奥さん、ヴィルマ様が座り私にお辞儀をしてくれた。
ソファに身を預けて座るその姿は、元気そうだけど前に会った時よりもだいぶお腹がふっくらしている。
「お久しぶりですユーリ様。成長されたという話は聞いておりましたが、大人びられてすっかり一人前のレディですね。」
「見た目だけ急に大きくなったので私自身はまだ慣れないんですけどね。
今日も慣れない長さのドレスにその裾を踏んづけちゃいました!」
突然手足が伸びたので、今までの感覚で歩こうとして服の裾を踏んで転びそうになったりちょっと狭いところを通ろうとして頭をぶつけたりとエル君に呆れられているのがここ数日の私だ。
まあ、と朗らかな笑顔を見せてくれたヴィルマ様は顔色も良いので本人の体調も良くお腹の赤ちゃんも順調に育っていそうだ。
「ヴィルマ様もお変わりはありませんか?
疲れやむくみがあれば取りますよ。」
そっと手を触れればヴィルマ様の体が淡く光る。
「いいなあ、ユーリちゃん、それ俺にもやってくれないか⁉︎」
その様子を見ていた陛下に羨ましがられたので、そういえば陛下には直接加護を付けたことはなかったと思い当たる。
なんかいつも元気ハツラツ、って感じの人で私の力なんかいらないんじゃないかって気にさせられる。
「じゃあ陛下にも!」
手を伸ばして触れようとすれば、ぎゅむっと抱きしめられた。
「なるほどなあ、本当に体を軽く感じる。これなら魔物の十や二十、今すぐにでも簡単に狩りに行ってこれそうだ!」
抱きしめられたまま力を使えば陛下はふんふんとその効力を確かめている。
そんな陛下にヴィルマ様は苦笑した。
「陛下、どうぞ自重されて下さい。この時期に王宮を抜け出されますと、後でリオン殿下のお小言が怖いですよ?」
分かってるって、と陛下はつまらなそうな顔をして抱き寄せていた私を改めて見つめて来た。
「しっかしあっという間に大きくなっちまったなあ。
カティヤとそう変わらない年頃か?急に大きくなって何も不便はないか?」
何かあったら言えというその言葉だけありがたくいただいておこう。
「俺とユーリちゃんは一緒にヘイデス国の謁見を受けるからな、
本当はあの小さい姿だったら膝に乗せてあいつらにユーリちゃんを見せびらかそうと思ってたんだが・・・
この大きさじゃそれも出来ん、いや残念だ。」
そう言った陛下は本当に残念そうに首を振っている。
いや、他国の人達の前で膝抱っことか恥ずかしいことこの上ないから。
良かった、大きくなって・・・と思っていたら
「仕方ねぇから俺の隣に座ろうな、リオンも同席するけどあいつはユーリちゃんの後ろに護衛よろしく立っててもらおう!」
あいつの席、ねぇから!と豪快な笑顔で言われた。
それってよく映画や物語で見るみたいな、謁見に来た人達よりも一段高い位置に並んで座る王様とお妃様みたいな?
まさかね、と思っていたけどヴィルマ様が
「陛下・・・。それではまるでユーリ様が陛下のご伴侶様のように思われるではありませんか。
なぜ自らリオン殿下のお小言をいただくような事をされるのです?」
とため息をついた。あ、やっぱりそういう感じに見える席なんだ。
「だってアイツがすました顔を崩して怒るのを見るの面白れーもん。
たまに怒らないとストレスが溜まる一方だろ?
あと俺、今は正妃もいねぇしたまに隣に誰か座るのも新鮮でいいだろ?」
それに隣に座ってもらえばユーリちゃんのこの国での地位も分かりやすいしな!と言っている。
ルーシャ国の国王陛下の隣に座り、第二王子をその背後に立たせる。
確かにそれを目にした他国の人達はそれで私がここでどれだけの地位にいるのか一目で分かるだろうけど。
「なんだかリオン様に申し訳ないし、ヘイデス国の人達にもあんまり偉そうに思われても落ち着かないんですけど・・・」
と言えば
「え?じゃあユーリちゃん俺とは別の謁見にしてリオンとその他三人の伴侶をその側に侍らせながらにする?」
ともっと恥ずかしい提案をされた。
「何でですか!」
「王子だの魔導士団長だのが伴侶でガッチリその側を固めてるって分かれば結構な牽制になると思うんだよなあ。
あと単純に、そういうモテモテな状況のユーリちゃんを俺が見たいから?」
なんだそれ。陛下が面白いだけで私はただひたすら恥ずかしいだけじゃないの。
あとそういう状況になったら、絶対にリオン様やシェラさんが面白がって悪ノリする。
「そんな目に遭うくらいなら陛下の隣に座る方がいいです・・・」
選びようのない二択からしぶしぶ恥ずかしくない方を選べば、
「よし決まりだな!」
と陛下はすごく楽しそうに笑った。
その後も、運ばれて来た昼食を取りながらヴィルマ様のお腹の赤ちゃんはやっぱり女の子だったとか、
レニ様は大声殿下に付いて回って国事行為の勉強をしているとか、
陛下は今度畑を作るのに挑戦する予定だとか色んな話をした。
その会話の中で、ふと思い出したことがあり陛下に
「そういえばここに来る途中、バラ園のお花がだいぶ少なくなっていました。帰りにちょっと寄ってお花を増やしていってもいいですか?」
と聞いた。
この世界に来たばかりの頃、庭師さんに頼まれて豊穣の加護の力の練習がてらその花を増やしたり大輪にしたりした王宮のバラ園だ。
ここに来る途中に通るその場所は、なぜかこの時期にしては花が少なく寂しいものだった。
あそこは王宮を訪れるお客様の目にもつく場所だからもう少し花が多く華やかな方がみんなに喜んで貰えるんじゃないかな?
そう思っての申し出だ。すると陛下は、
「おー、そりゃ助かる!歓迎式典だ宴席のテーブルの彩りだってあそこのバラもだいぶ使ってしまったんだろうなあ。
面倒でなけりゃぜひ頼む!」
と快く許可を出してくれた。
なのでさっそく陛下の宮殿からの帰り道に王宮の庭園に寄る。
いつもならそこを散策する人を何人かは見かけるけど今日は誰もいなかった。
やっぱりみんな忙しくて庭園の散策なんてヒマなことをする人はいないらしい。
今日の私のお供はシンシアさんとエル君だったけど、
「奥の院にも飾れるようにいくつか花をいただいて参りましょうか?」
とシンシアさんに聞かれ、そうしたいと答えれば庭師を呼びに行ってくれた。
その間私のそばにはエル君だけになることを心配してくれたけど、エル君以上に頼りになる護衛はない。
すぐに戻りますからあまり遠くへ行かないで下さいと言うシンシアさんに手を振って、エル君と二人でバラ園を散策する。
手を触れてバラの開花を促せば、今までよりも一度で花が咲くその範囲がより広範囲になっていて、
体が成長したら使える力も強くなっているのがよく分かる。
これは力加減を間違えるとただでさえ当たり判定が強いイリューディアさんの力で今までよりも簡単に強化人間が出来てしまうかもしれない、気をつけようと心に誓った。
ポンポンとバラのアーチや生垣に触れながら歩けば私の後から花の数は増え、気付けばシンシアさんといた場所からだいぶ離れていた。
「ユーリ様、そろそろ戻った方がいいと思います。」
エル君にもそう促される。
「分かりました!じゃあエル君、私に着いてきて下さい!」
早く戻れた方がいいだろうとエル君に声をかけて生垣に手を掛ける。
そんな私にエル君が不思議そうにしたので、
「近道ですよ!前はよく加護の練習に夢中になっておやつの時間に遅れそうになったんです。そんな時に発見しました!」
と懐かしい近道を通ろうと生垣をかき分ける。
そこには小さなトンネルのようにぽっかりと穴が空いているのだ。
「行きましょう!」
意気揚々とそこをくぐろうと四つん這いに近い格好で頭を下げれば、
「いえユーリ様、そんなところよりも普通に帰る方がいいですよ」
とエル君はつれないことを言う。
「エル君は子どもなのに冒険心が足りないんですよねえ・・・」
元アラサーの私はこんなに冒険心の塊だというのに。
文句を言いながら通り抜けようとしたら、なぜか途中で引っ掛かる。
「あれ?」
お尻の辺りが通らない。後ろからエル君が呆れて
「だから言ったじゃないですか。
ユーリ様、さっき陛下のところでも自分で今の大きさに慣れないって言ってましたよね?
前に通れたそこが大きくなった今は通れなくて当然だと思うんですけど」
「もっと早く言ってください⁉︎」
「あと少し力を込めて前に進んでみて下さい。多分行けます。
どうしてもダメなら僕が生垣を切り裂きますから。」
「そ、それは駄目ですよ!」
庭園に加護を付けに来たのに生垣をズタズタにするとか。
頑張って前に進もうとついた手に力を込めていたその時、ふっと私の顔に影が落ちた。
「・・・侍女か?何をしている?」
聞いたことのない声に顔をあげれば、高位の貴族らしい立派な身なりの男の人が冷たい表情で私を見下ろしていた。
前回陛下が羊の毛刈りをしていたのと同じ庭園に通されれば、案内された東屋は前と違うものの陛下その人が笑顔で迎えてくれた。
前回通された場所は絨毯敷きされた床に座り込む形のところだったけど、今回はゆったりとしたソファがある。
なぜ前回とは別のそんな東屋に通されたのかは陛下に同席しているもう一人の人を見て分かった。
「ヴィルマ様!お会い出来て嬉しいです‼︎」
陛下の隣には大声殿下の奥さん、ヴィルマ様が座り私にお辞儀をしてくれた。
ソファに身を預けて座るその姿は、元気そうだけど前に会った時よりもだいぶお腹がふっくらしている。
「お久しぶりですユーリ様。成長されたという話は聞いておりましたが、大人びられてすっかり一人前のレディですね。」
「見た目だけ急に大きくなったので私自身はまだ慣れないんですけどね。
今日も慣れない長さのドレスにその裾を踏んづけちゃいました!」
突然手足が伸びたので、今までの感覚で歩こうとして服の裾を踏んで転びそうになったりちょっと狭いところを通ろうとして頭をぶつけたりとエル君に呆れられているのがここ数日の私だ。
まあ、と朗らかな笑顔を見せてくれたヴィルマ様は顔色も良いので本人の体調も良くお腹の赤ちゃんも順調に育っていそうだ。
「ヴィルマ様もお変わりはありませんか?
疲れやむくみがあれば取りますよ。」
そっと手を触れればヴィルマ様の体が淡く光る。
「いいなあ、ユーリちゃん、それ俺にもやってくれないか⁉︎」
その様子を見ていた陛下に羨ましがられたので、そういえば陛下には直接加護を付けたことはなかったと思い当たる。
なんかいつも元気ハツラツ、って感じの人で私の力なんかいらないんじゃないかって気にさせられる。
「じゃあ陛下にも!」
手を伸ばして触れようとすれば、ぎゅむっと抱きしめられた。
「なるほどなあ、本当に体を軽く感じる。これなら魔物の十や二十、今すぐにでも簡単に狩りに行ってこれそうだ!」
抱きしめられたまま力を使えば陛下はふんふんとその効力を確かめている。
そんな陛下にヴィルマ様は苦笑した。
「陛下、どうぞ自重されて下さい。この時期に王宮を抜け出されますと、後でリオン殿下のお小言が怖いですよ?」
分かってるって、と陛下はつまらなそうな顔をして抱き寄せていた私を改めて見つめて来た。
「しっかしあっという間に大きくなっちまったなあ。
カティヤとそう変わらない年頃か?急に大きくなって何も不便はないか?」
何かあったら言えというその言葉だけありがたくいただいておこう。
「俺とユーリちゃんは一緒にヘイデス国の謁見を受けるからな、
本当はあの小さい姿だったら膝に乗せてあいつらにユーリちゃんを見せびらかそうと思ってたんだが・・・
この大きさじゃそれも出来ん、いや残念だ。」
そう言った陛下は本当に残念そうに首を振っている。
いや、他国の人達の前で膝抱っことか恥ずかしいことこの上ないから。
良かった、大きくなって・・・と思っていたら
「仕方ねぇから俺の隣に座ろうな、リオンも同席するけどあいつはユーリちゃんの後ろに護衛よろしく立っててもらおう!」
あいつの席、ねぇから!と豪快な笑顔で言われた。
それってよく映画や物語で見るみたいな、謁見に来た人達よりも一段高い位置に並んで座る王様とお妃様みたいな?
まさかね、と思っていたけどヴィルマ様が
「陛下・・・。それではまるでユーリ様が陛下のご伴侶様のように思われるではありませんか。
なぜ自らリオン殿下のお小言をいただくような事をされるのです?」
とため息をついた。あ、やっぱりそういう感じに見える席なんだ。
「だってアイツがすました顔を崩して怒るのを見るの面白れーもん。
たまに怒らないとストレスが溜まる一方だろ?
あと俺、今は正妃もいねぇしたまに隣に誰か座るのも新鮮でいいだろ?」
それに隣に座ってもらえばユーリちゃんのこの国での地位も分かりやすいしな!と言っている。
ルーシャ国の国王陛下の隣に座り、第二王子をその背後に立たせる。
確かにそれを目にした他国の人達はそれで私がここでどれだけの地位にいるのか一目で分かるだろうけど。
「なんだかリオン様に申し訳ないし、ヘイデス国の人達にもあんまり偉そうに思われても落ち着かないんですけど・・・」
と言えば
「え?じゃあユーリちゃん俺とは別の謁見にしてリオンとその他三人の伴侶をその側に侍らせながらにする?」
ともっと恥ずかしい提案をされた。
「何でですか!」
「王子だの魔導士団長だのが伴侶でガッチリその側を固めてるって分かれば結構な牽制になると思うんだよなあ。
あと単純に、そういうモテモテな状況のユーリちゃんを俺が見たいから?」
なんだそれ。陛下が面白いだけで私はただひたすら恥ずかしいだけじゃないの。
あとそういう状況になったら、絶対にリオン様やシェラさんが面白がって悪ノリする。
「そんな目に遭うくらいなら陛下の隣に座る方がいいです・・・」
選びようのない二択からしぶしぶ恥ずかしくない方を選べば、
「よし決まりだな!」
と陛下はすごく楽しそうに笑った。
その後も、運ばれて来た昼食を取りながらヴィルマ様のお腹の赤ちゃんはやっぱり女の子だったとか、
レニ様は大声殿下に付いて回って国事行為の勉強をしているとか、
陛下は今度畑を作るのに挑戦する予定だとか色んな話をした。
その会話の中で、ふと思い出したことがあり陛下に
「そういえばここに来る途中、バラ園のお花がだいぶ少なくなっていました。帰りにちょっと寄ってお花を増やしていってもいいですか?」
と聞いた。
この世界に来たばかりの頃、庭師さんに頼まれて豊穣の加護の力の練習がてらその花を増やしたり大輪にしたりした王宮のバラ園だ。
ここに来る途中に通るその場所は、なぜかこの時期にしては花が少なく寂しいものだった。
あそこは王宮を訪れるお客様の目にもつく場所だからもう少し花が多く華やかな方がみんなに喜んで貰えるんじゃないかな?
そう思っての申し出だ。すると陛下は、
「おー、そりゃ助かる!歓迎式典だ宴席のテーブルの彩りだってあそこのバラもだいぶ使ってしまったんだろうなあ。
面倒でなけりゃぜひ頼む!」
と快く許可を出してくれた。
なのでさっそく陛下の宮殿からの帰り道に王宮の庭園に寄る。
いつもならそこを散策する人を何人かは見かけるけど今日は誰もいなかった。
やっぱりみんな忙しくて庭園の散策なんてヒマなことをする人はいないらしい。
今日の私のお供はシンシアさんとエル君だったけど、
「奥の院にも飾れるようにいくつか花をいただいて参りましょうか?」
とシンシアさんに聞かれ、そうしたいと答えれば庭師を呼びに行ってくれた。
その間私のそばにはエル君だけになることを心配してくれたけど、エル君以上に頼りになる護衛はない。
すぐに戻りますからあまり遠くへ行かないで下さいと言うシンシアさんに手を振って、エル君と二人でバラ園を散策する。
手を触れてバラの開花を促せば、今までよりも一度で花が咲くその範囲がより広範囲になっていて、
体が成長したら使える力も強くなっているのがよく分かる。
これは力加減を間違えるとただでさえ当たり判定が強いイリューディアさんの力で今までよりも簡単に強化人間が出来てしまうかもしれない、気をつけようと心に誓った。
ポンポンとバラのアーチや生垣に触れながら歩けば私の後から花の数は増え、気付けばシンシアさんといた場所からだいぶ離れていた。
「ユーリ様、そろそろ戻った方がいいと思います。」
エル君にもそう促される。
「分かりました!じゃあエル君、私に着いてきて下さい!」
早く戻れた方がいいだろうとエル君に声をかけて生垣に手を掛ける。
そんな私にエル君が不思議そうにしたので、
「近道ですよ!前はよく加護の練習に夢中になっておやつの時間に遅れそうになったんです。そんな時に発見しました!」
と懐かしい近道を通ろうと生垣をかき分ける。
そこには小さなトンネルのようにぽっかりと穴が空いているのだ。
「行きましょう!」
意気揚々とそこをくぐろうと四つん這いに近い格好で頭を下げれば、
「いえユーリ様、そんなところよりも普通に帰る方がいいですよ」
とエル君はつれないことを言う。
「エル君は子どもなのに冒険心が足りないんですよねえ・・・」
元アラサーの私はこんなに冒険心の塊だというのに。
文句を言いながら通り抜けようとしたら、なぜか途中で引っ掛かる。
「あれ?」
お尻の辺りが通らない。後ろからエル君が呆れて
「だから言ったじゃないですか。
ユーリ様、さっき陛下のところでも自分で今の大きさに慣れないって言ってましたよね?
前に通れたそこが大きくなった今は通れなくて当然だと思うんですけど」
「もっと早く言ってください⁉︎」
「あと少し力を込めて前に進んでみて下さい。多分行けます。
どうしてもダメなら僕が生垣を切り裂きますから。」
「そ、それは駄目ですよ!」
庭園に加護を付けに来たのに生垣をズタズタにするとか。
頑張って前に進もうとついた手に力を込めていたその時、ふっと私の顔に影が落ちた。
「・・・侍女か?何をしている?」
聞いたことのない声に顔をあげれば、高位の貴族らしい立派な身なりの男の人が冷たい表情で私を見下ろしていた。
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