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番外編
なごり雪 8
乗っているクーヤの話やおいしそうなチーズ料理のこと、辺りに見えている高山植物は魔物の嫌う香りがするから稀少なのだというような話を聞きながらゆっくりと山を登って行けばレジナスさんが、
「もう少しで村が見えてくる。隣国から山越えをしてこちら側へ来るには岩場を縫うような狭い獣道のような山道しかなく、もしセビーリャ族が侵入してくるならそこが唯一の道だろう。だからユーリがヤギやクーヤの放牧地に加護を付けている間に俺とシェラはそちらを見てこようと思っている。」
と教えてくれた。シェラさんも
「その山道に魔物避けの結界と、侵入者があった時に攻撃魔法が発動する魔道具を仕掛けてこようと思います。その前に、ユーリ様には結界へ埋める結界石へ加護を与えていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。」
と頼まれた。私達に同行して来た魔導士さんは、魔道具と私が加護を付けた結界石を持ってレジナスさん達と一緒にそれを埋めに行くらしい。
「魔道具でセビーリャ族の侵入を防げるんですか?」
「幸いにもここは狭い岩場の間くらいしか侵入経路がなく、通り道がある程度予測出来ますからね。魔道具には不審者が通ったら石化する魔法でも魔導士の方達にお願いしようと思っています。」
私達の後を付いてくる魔導士さん達を見やり、そう話したシェラさんはそれにしても。と辺りを見回した。
「高山植物がだいぶ増えてきましたね。白い花が日の光に輝いてまるで残雪のような美しさです。」
と目を細めて景色を堪能している。
確かにさっきよりもあの白い花を付けた植物が増えている。この高山植物は魔物の嫌う香りがする花を付けるのでこの先にある村の人達はダーヴィゼルドの他の地域よりも魔物に襲われる心配をせずに住めるため、高地にあって多少不便でもここに住み続けているらしい。
だからあとはセビーリャ族の襲撃の心配さえなくなればみんなもっと安心して住めるようになるし、シェラさんが美しいと見惚れているこの景色も荒らされずにすむだろう。
・・・そういえば以前シェラさんは、『美しい物を見るとこの世と己の心の醜さや汚さを忘れられて、オレの生きるこの世界も捨てたものではないと思えるのです』とか言っていた。
あれは確か、新婚休暇でも過ごす予定のリオネルの港町で屋根の上から漁火の浮かぶ夜の海を眺めていた時だったかな。
・・・あんまり卑屈な気持ちで綺麗な景色は見ないで、美しいものを見た時はただ美しいとだけ感じて欲しいんだけど。もしかしてまた自虐的な気持ちでこの綺麗な景色を見ているんだろうか。
そう思いながらわざと明るい声を上げる。
「持って帰れないのが残念ですね!モリー公国の薬花みたいなもので、これはここでしか育たないんでしょう?フレイヤ様がもう少し大きくなったら、ぜひここを訪れてもらって魔法でもっとたくさん花を咲かせてもらいましょう!」
「それならユーリ様が加護を付けても一緒だと思いますが?」
至極当然のことをシェラさんに指摘されてしまった。すっかり忘れていたけど、そもそもフレイヤちゃんの植物を成長させる魔法は私に影響されたんだった。恥ずかしい。
「あ、そうですね・・・」
じゃあ放牧地に加護を付けたらその後にでも、と自分の間抜けさと恥ずかしさを誤魔化すように言ったら
「そういうたまにうっかりしているのがユーリ様のかわいらしく愛しいところですね」
と後ろから微笑んだ気配がしてシェラさんにクーヤの手綱ごと抱きすくめられた。
私の間抜けなところも良いと言ってフォローしてくれるのはありがたいし嬉しいけど、理由をつけてくっつき過ぎでは?
これはまたレジナスさんに怒られるぞと思っていたら案の定、
「やめろシェラ、クーヤに乗り慣れていないユーリに余計な真似をするな!危ないだろうが」
と注意された。そのままレジナスさんのお説教は
「そもそもいくら伴侶になったからと言って恥ずかしがり屋のユーリに公衆の面前でそんなことをするとは、少しは相手の気持ちも考え・・・」
そう続いていたけど、その声が途中でふと途切れた。
「レジナスさん?」
どうしたんだろうと隣を見たら、レジナスさんは乗っているクーヤを止め私達を見ていた顔を前に向けて食い入るように真っ直ぐに山向こうを見つめている。
と、突然シェラさんの方へ向き直った。
「シェラ、長弓だ!」
その言葉にシェラさんは懐から素早く何かを取り出して握りしめた。
すると握りしめられたそれは淡く光るとあっという間に大人の背丈ほど大きな弓に変わる。弓の魔道具・・・?
そう思っている間にも、シェラさんはその長い弓とクーヤに括り付けていた矢筒をレジナスさんに放り投げた。
それを受け取ったレジナスさんはあっという間に弓に矢をつがえる。
その手にギリギリと引き絞る矢は一本じゃなく三本だ。
その目はまだ真っ直ぐ前を見ているけど、その視線の先を見ても私には何も見えない。
どうやらシェラさんもそれは同じらしく
「敵襲ですか?何人で?」
と聞いている。その言葉に周りの騎士さんや魔導士さん達に緊張が走る。
え?でもシェラさんも目視出来ない距離にいる相手を狙うとかそんなの出来るの?
そう思っている私を尻目にレジナスさんは
「岩場の影、一人だ。だがいやに粗末な格好をしていて血の匂いがする。ふらつきながら手に何かを持っているからまずそれを落とす」
そう言うと限界まで引き絞った弓をビュンと放った。その勢いに近くにいたこちらにまで風が巻き起こる。
一度に三本放たれたその矢が飛んでいく方を目で追えば、その先で何か黒いものが宙を舞ったのが見えた。
「お見事ですね」
エル君がぽつりと言う。だけどレジナスさんは
「まだだ」
短く言ったかと思うと私の隣でまたビュンと風が起きた。
ものすごい早さで放たれた矢が今度はかろうじて見えたけど、どうやらそれはさっきとは違って一本だけみたいだ。
それは空を舞った黒い何かを正確に射抜くとそのまま岩に縫い止めたのが分かる。
「あっ」
そこでやっと私にも人影らしいものが見えた。よろよろしながらその影は岩場に縫い止められた何かに近づいて行く。
と、その体にドドドッ!と矢継ぎ早やに数本の矢が追い討ちのように突き刺さってその人影はたまらず倒れた。
いつの間にかレジナスさんが追撃の矢を放っていたらしい。
「恐らくセビーリャ族だ。手に何かを持っていたからとりあえず縫い止めたがカイゼル殿の一件もある。確かめて回収した方がいい」
そう説明したレジナスさんにシェラさんは頷くと私をレジナスさんのクーヤへと移動させた。
え?てことは、さっき宙を舞ったのはその何かを持っていた人の腕・・・?
まさか最初に同時に放った三本の矢であんなに遠くにいる人の腕を正確に射抜いて切断したんだろうか。私の加護があるとはいえ、恐ろしいほどの剛力と正確さだ。
そりゃエル君もお見事とか言うはずだわ・・・と私がレジナスさんの力に呆気に取られている間にもシェラさんはいつもの悪ふざけはどこへやら、レジナスさんと阿吽の呼吸でテキパキと
「オレが見て来ます。あなたはユーリ様と一緒に先に村へ。まだ残党がいるかもしれませんので村人の安全の確保もお願いします。」
ざわついている騎士さん達に指示をしながらその中の数人引き連れて行こうとした時だ。エル君が
「まずいです」
と言った。見れば、倒れていた人影が這いつくばりながら岩場に縫い止められている何か・・・自分の腕だろうか?それに片手を伸ばしている。
それを見たレジナスさんがチッと舌打ちをして私を前に乗せたまま、また素早く矢をつがえるとすぐさまそれを放った。
だけどそれが届いたかどうかと言う時に突然眩い光が辺りを包み込んだ。
眩しくて目を開けていられない。
思わず目をつぶった私の耳にクォォーン、という聞いたことのない鋭い遠吠えのような高音の声が聞こえてきて空気が震える。
その声は空気を振動させると同時に、物理的なピリピリとした静電気のように突き刺すような鋭い痛みも私の肌に与えた。
「な、何ですかこれ・・・?」
何が起きたんだろう。訳が分からないでいるとレジナスさんが私をがっしりと抱きしめてその腕の中に包み込みながらまさか、と呟いた。その声が珍しく動揺しているように聞こえる。
すると私の隣でシェラさんも
「ハッ・・・冗談でしょう?」
と呆れたような声を漏らした。私が癒しの力を使った時のようなまばゆい光がようやくその眩しさを徐々に失い始めたので私もやっと薄目を開ける。
パチパチとまばたきながらレジナスさんの腕の中から前を見つめれば、さっきまであの人影がいたところに今は小山のように大きな銀色の獣がいた。
フサフサの大きくて長い尻尾も、その全身を覆う毛皮も、こちらを睨むように見据えている爛々と輝くその瞳も、その全部が日の光をまぶしく反射して輝く銀色だ。
私の隣ではエル君が
「僕は実物を初めて見ました」
銀毛魔狐。といつものあの感情のない冷静な声でぽつりと呟いた。
「もう少しで村が見えてくる。隣国から山越えをしてこちら側へ来るには岩場を縫うような狭い獣道のような山道しかなく、もしセビーリャ族が侵入してくるならそこが唯一の道だろう。だからユーリがヤギやクーヤの放牧地に加護を付けている間に俺とシェラはそちらを見てこようと思っている。」
と教えてくれた。シェラさんも
「その山道に魔物避けの結界と、侵入者があった時に攻撃魔法が発動する魔道具を仕掛けてこようと思います。その前に、ユーリ様には結界へ埋める結界石へ加護を与えていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。」
と頼まれた。私達に同行して来た魔導士さんは、魔道具と私が加護を付けた結界石を持ってレジナスさん達と一緒にそれを埋めに行くらしい。
「魔道具でセビーリャ族の侵入を防げるんですか?」
「幸いにもここは狭い岩場の間くらいしか侵入経路がなく、通り道がある程度予測出来ますからね。魔道具には不審者が通ったら石化する魔法でも魔導士の方達にお願いしようと思っています。」
私達の後を付いてくる魔導士さん達を見やり、そう話したシェラさんはそれにしても。と辺りを見回した。
「高山植物がだいぶ増えてきましたね。白い花が日の光に輝いてまるで残雪のような美しさです。」
と目を細めて景色を堪能している。
確かにさっきよりもあの白い花を付けた植物が増えている。この高山植物は魔物の嫌う香りがする花を付けるのでこの先にある村の人達はダーヴィゼルドの他の地域よりも魔物に襲われる心配をせずに住めるため、高地にあって多少不便でもここに住み続けているらしい。
だからあとはセビーリャ族の襲撃の心配さえなくなればみんなもっと安心して住めるようになるし、シェラさんが美しいと見惚れているこの景色も荒らされずにすむだろう。
・・・そういえば以前シェラさんは、『美しい物を見るとこの世と己の心の醜さや汚さを忘れられて、オレの生きるこの世界も捨てたものではないと思えるのです』とか言っていた。
あれは確か、新婚休暇でも過ごす予定のリオネルの港町で屋根の上から漁火の浮かぶ夜の海を眺めていた時だったかな。
・・・あんまり卑屈な気持ちで綺麗な景色は見ないで、美しいものを見た時はただ美しいとだけ感じて欲しいんだけど。もしかしてまた自虐的な気持ちでこの綺麗な景色を見ているんだろうか。
そう思いながらわざと明るい声を上げる。
「持って帰れないのが残念ですね!モリー公国の薬花みたいなもので、これはここでしか育たないんでしょう?フレイヤ様がもう少し大きくなったら、ぜひここを訪れてもらって魔法でもっとたくさん花を咲かせてもらいましょう!」
「それならユーリ様が加護を付けても一緒だと思いますが?」
至極当然のことをシェラさんに指摘されてしまった。すっかり忘れていたけど、そもそもフレイヤちゃんの植物を成長させる魔法は私に影響されたんだった。恥ずかしい。
「あ、そうですね・・・」
じゃあ放牧地に加護を付けたらその後にでも、と自分の間抜けさと恥ずかしさを誤魔化すように言ったら
「そういうたまにうっかりしているのがユーリ様のかわいらしく愛しいところですね」
と後ろから微笑んだ気配がしてシェラさんにクーヤの手綱ごと抱きすくめられた。
私の間抜けなところも良いと言ってフォローしてくれるのはありがたいし嬉しいけど、理由をつけてくっつき過ぎでは?
これはまたレジナスさんに怒られるぞと思っていたら案の定、
「やめろシェラ、クーヤに乗り慣れていないユーリに余計な真似をするな!危ないだろうが」
と注意された。そのままレジナスさんのお説教は
「そもそもいくら伴侶になったからと言って恥ずかしがり屋のユーリに公衆の面前でそんなことをするとは、少しは相手の気持ちも考え・・・」
そう続いていたけど、その声が途中でふと途切れた。
「レジナスさん?」
どうしたんだろうと隣を見たら、レジナスさんは乗っているクーヤを止め私達を見ていた顔を前に向けて食い入るように真っ直ぐに山向こうを見つめている。
と、突然シェラさんの方へ向き直った。
「シェラ、長弓だ!」
その言葉にシェラさんは懐から素早く何かを取り出して握りしめた。
すると握りしめられたそれは淡く光るとあっという間に大人の背丈ほど大きな弓に変わる。弓の魔道具・・・?
そう思っている間にも、シェラさんはその長い弓とクーヤに括り付けていた矢筒をレジナスさんに放り投げた。
それを受け取ったレジナスさんはあっという間に弓に矢をつがえる。
その手にギリギリと引き絞る矢は一本じゃなく三本だ。
その目はまだ真っ直ぐ前を見ているけど、その視線の先を見ても私には何も見えない。
どうやらシェラさんもそれは同じらしく
「敵襲ですか?何人で?」
と聞いている。その言葉に周りの騎士さんや魔導士さん達に緊張が走る。
え?でもシェラさんも目視出来ない距離にいる相手を狙うとかそんなの出来るの?
そう思っている私を尻目にレジナスさんは
「岩場の影、一人だ。だがいやに粗末な格好をしていて血の匂いがする。ふらつきながら手に何かを持っているからまずそれを落とす」
そう言うと限界まで引き絞った弓をビュンと放った。その勢いに近くにいたこちらにまで風が巻き起こる。
一度に三本放たれたその矢が飛んでいく方を目で追えば、その先で何か黒いものが宙を舞ったのが見えた。
「お見事ですね」
エル君がぽつりと言う。だけどレジナスさんは
「まだだ」
短く言ったかと思うと私の隣でまたビュンと風が起きた。
ものすごい早さで放たれた矢が今度はかろうじて見えたけど、どうやらそれはさっきとは違って一本だけみたいだ。
それは空を舞った黒い何かを正確に射抜くとそのまま岩に縫い止めたのが分かる。
「あっ」
そこでやっと私にも人影らしいものが見えた。よろよろしながらその影は岩場に縫い止められた何かに近づいて行く。
と、その体にドドドッ!と矢継ぎ早やに数本の矢が追い討ちのように突き刺さってその人影はたまらず倒れた。
いつの間にかレジナスさんが追撃の矢を放っていたらしい。
「恐らくセビーリャ族だ。手に何かを持っていたからとりあえず縫い止めたがカイゼル殿の一件もある。確かめて回収した方がいい」
そう説明したレジナスさんにシェラさんは頷くと私をレジナスさんのクーヤへと移動させた。
え?てことは、さっき宙を舞ったのはその何かを持っていた人の腕・・・?
まさか最初に同時に放った三本の矢であんなに遠くにいる人の腕を正確に射抜いて切断したんだろうか。私の加護があるとはいえ、恐ろしいほどの剛力と正確さだ。
そりゃエル君もお見事とか言うはずだわ・・・と私がレジナスさんの力に呆気に取られている間にもシェラさんはいつもの悪ふざけはどこへやら、レジナスさんと阿吽の呼吸でテキパキと
「オレが見て来ます。あなたはユーリ様と一緒に先に村へ。まだ残党がいるかもしれませんので村人の安全の確保もお願いします。」
ざわついている騎士さん達に指示をしながらその中の数人引き連れて行こうとした時だ。エル君が
「まずいです」
と言った。見れば、倒れていた人影が這いつくばりながら岩場に縫い止められている何か・・・自分の腕だろうか?それに片手を伸ばしている。
それを見たレジナスさんがチッと舌打ちをして私を前に乗せたまま、また素早く矢をつがえるとすぐさまそれを放った。
だけどそれが届いたかどうかと言う時に突然眩い光が辺りを包み込んだ。
眩しくて目を開けていられない。
思わず目をつぶった私の耳にクォォーン、という聞いたことのない鋭い遠吠えのような高音の声が聞こえてきて空気が震える。
その声は空気を振動させると同時に、物理的なピリピリとした静電気のように突き刺すような鋭い痛みも私の肌に与えた。
「な、何ですかこれ・・・?」
何が起きたんだろう。訳が分からないでいるとレジナスさんが私をがっしりと抱きしめてその腕の中に包み込みながらまさか、と呟いた。その声が珍しく動揺しているように聞こえる。
すると私の隣でシェラさんも
「ハッ・・・冗談でしょう?」
と呆れたような声を漏らした。私が癒しの力を使った時のようなまばゆい光がようやくその眩しさを徐々に失い始めたので私もやっと薄目を開ける。
パチパチとまばたきながらレジナスさんの腕の中から前を見つめれば、さっきまであの人影がいたところに今は小山のように大きな銀色の獣がいた。
フサフサの大きくて長い尻尾も、その全身を覆う毛皮も、こちらを睨むように見据えている爛々と輝くその瞳も、その全部が日の光をまぶしく反射して輝く銀色だ。
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