622 / 788
番外編
なごり雪 18
二人で朝日を見ながら朝食を取ると聞いたのは俺の聞き間違いか?と言っているレジナスさんの声がちょっと怖い。
まだシェラさんに頬をつかまれたままの私にその姿は確かめられないけど、明らかに不満げだ。
まあそうだよね、レジナスさんにしてみれば私とシェラさんが日も昇らないうちからいちゃついているようにしか見えないだろう。
「レジナスさん、おはようございます!」
とりあえずシェラさんに向けられた不満げな気持ちを中和させようとわざと明るく声を上げた。
「・・・おはようユーリ。大丈夫か?シェラに迷惑をかけられているようだが」
そう私に声を掛けるレジナスさんの声はさっきまでとは違って気遣いを感じる声色だ。
「だ、大丈夫です!シェラさんのいつもの悪ふざけみたいなものですから。ほらシェラさんももう離して⁉︎レジナスさんも、こっちに来て朝ごはんをどうぞ!」
「悪ふざけとは心外ですね。オレはユーリ様に対しては常に真剣に向き合っておりますのに。」
これ以上レジナスさんを心配させてはいけないと思って言った私の言葉は逆にシェラさんをがっかりさせたらしく、シェラさんは私の頬に手を添えたまま眉を下げた。
「あっ、いえ!シェラさんを傷付ける気はなかった・・・んむ⁉︎」
慌ててフォローしようとしたら、そのシェラさんにもう一度口付けられた。
「とは言え、ユーリ様のお言葉には従いましょう。離れ難いその花の如く美しい顔から手を離さねばならないお別れの挨拶です。」
そんな言い訳をされてにっこりと微笑まれ見つめられる。
「お前なぁ・・・‼︎」
途端に私の背後のレジナスさんの怒りが増したのを感じる。
それはシェラさんも同じらしく、
「おっと、ほら離れましたよ?」
と言って私からパッと離れた。
「朝からユーリを困らせるような事をするんじゃない!」
すぐに私のそばへとやって来たレジナスさんがそう注意をすれば
「ユーリ様の伴侶になるのですからこれ位のことで目くじらを立てられても。むしろあなたも、朝の挨拶としてこの程度の事はして当然では?もしよろしければどうぞ。オレはあなたと違って目の前でユーリ様が口付けられてもそんなに分かりやすい嫉妬はしませんので。」
と肩をすくめて私へのキスを勧める始末だ。
そんなシェラさんにレジナスさんは言葉を詰まらせて私を見て、目が合うとさっとその頬に赤みが差した。見られた私も思わずつられて赤くなる。
「・・・出来るか!」
そう言ったレジナスさんに加勢して
「そうですよシェラさん!何を勧めてるんですか、どうぞじゃないですよ私の意思は⁉︎」
と訴えたら
「お二人とも息ピッタリですね。目の前で口付けられるよりもそちらの方にオレは嫉妬しそうです、実に羨ましい。」
と訳の分からない事を言われて本当に羨ましそうな顔をされた。相変わらず意味不明だ。
「と、とにかくレジナスさんどうぞ。私はもう充分食べましたから。」
シェラさんの用意した席は二人分しかないので慌てて椅子を譲ると、ユーリを立たせて俺が座るのは・・・とレジナスさんが渋ったので強引に座らせる。
「私はほら、立ったままの方が朝日も良く見えますから!」
イチゴ牛乳の入った木のコップを手にレジナスさんの隣に立ちながらそう笑ったら、そんな私と自分の正面に座るシェラさんを見比べたレジナスさんにぐいと手を引かれた。
「ええ⁉︎」
そのままストンと座らせられたのはレジナスさんの膝の上だ。
「・・・何ですかあなた、それはさっきユーリ様へ口付けたオレへの意趣返しですか?」
シェラさんが僅かに眉を寄せた。あのいつもレジナスさんをからかって飄々としているシェラさんが表情を変えるのは珍しい。
そんなシェラさんにレジナスさんは堂々と
「そうだ、羨ましいか?お前のせいで席が二つしかないからな、となればリオン様の膝の次にユーリが座り慣れているのは俺の膝の上だからこうするのが当然だ。」
と言い放った。え?レジナスさんって臆面もなくこんな事をしたり言ったりする人だっけ。人が変わってないかな?
びっくりして座らせられた膝の上からレジナスさんを見れば、僅かに赤くなって
「俺だってこれくらいは出来る。」
と呟かれた。どうやらシェラさんに伴侶らしく朝の口付けも出来ないのかと煽られたので何かそれらしい事をしようと考えた結果、主君であるリオン様に倣って私を膝に抱くことにしたらしい。
まったく、二人して何を朝から張り合っているんだか・・・とちょっと呆れた。
だけど以前ヨナスの悪夢にうなされて寝不足だった時にレジナスさんの膝の上で何度か昼寝をして以来、まるで人間座椅子のようにがっしりとして暖かなレジナスさんの膝の座り心地の良さは知っているので自分からそこを降りるのも惜しい。
仕方ない。今回は二人とも私の伴侶として同行してくれた上での休暇だし、伴侶らしくというなら私からも何かしてあげようかな。
そう思って、一口サイズのアップルパイを手に取ってレジナスさんの口元に近づける。
「はいレジナスさん、あーんです。口を開けてください?」
「は⁉︎」
予想外の私の行動に面食らったレジナスさんが目を丸くして口をポカンと開けた。
すかさずその口へアップルパイをねじ込ん・・・もとい食べさせて、私も自分の指についたパイ生地のかけらをぺろりと舐める。
「おいしいでしょ?ダーヴィゼルド特産の甘いリンゴを煮詰めたアップルパイですよ!」
舐めとった指についていたパイのかけらだけでもふんわりとバターの良い香りがするなあと思いながらレジナスさんに笑いかければ、
「な、なん・・・ユーリ、一体何をする⁉︎」
無理やり私に食べさせられたパイを飲み込んだレジナスさんがさっきよりも更に赤くなった。
その目には昇り始めた朝日の光が反射してすごく綺麗だ。こうして見ると、いつも夕陽の色を写したようだと思っていたその瞳の色は朝焼けのような美しさもある。
・・・さっきシェラさんの目の色を褒めたら嬉しそうにしていたし、レジナスさんにもついでに思うところを伝えてみるのもいいのかも。
そう言えばレジナスさんには今まで伝えていない事がある。
「伴侶になるし、リオン様にもこうして食べさせてあげたりもしてるし、たまにはいいんじゃないですか?それに王都の街歩きをした時には私がケーキ屋さんで一口食べさせてもらいましたよね?それよりもレジナスさん、」
そこで内緒話をするようにひそひそとレジナスさんに耳打ちをする。
「知らないと思うので教えてあげますけど。私、召喚の儀式で初めてレジナスさんを見た時からその瞳の色が夕焼けみたいで綺麗だなあって見惚れてたんですよ?もしかするとその時から私、レジナスさんのことがちょっと好きだったのかも知れませんね?」
今にして思えばそうかも知れない。それは恋愛感情と言うにはあまりにも淡すぎるものだったろうけど。
あの大きな手に優しく抱き上げられて初めて目が合った時のことを思い出して思わず微笑む。
するとぎしっ、と固まったレジナスさんは次の瞬間更に顔を赤くして
「・・・大人をからかうんじゃない‼︎」
と声を上げた。照れ隠しかな?
「ええー?何ですかそれ、私もいい年した大人なんですけど?」
それこそ、からかうように反論したら
「俺の方こそユーリを一目見た時からこんなにも美しく可憐な少女がいるものかと信じられなかった!ユーリが俺をちょっと好きかも知れないと思ったのとは違う!そう、あれはいわゆる一目惚れというやつだ、ユーリよりも俺の方がもっとユーリのことを最初から好きだったんだからな!」
なぜか私の打ち明け話に張り合うようにそんな事を言われた。・・・天然かな⁉︎
「はい?えぇ~⁉︎」
ちょっとからかったら私の方がもっと恥ずかしい目に遭ってしまった。
一気に顔が熱くなる。え、これなんて返せばいいのかな?
口をパクパクさせて何も言えないでいれば、そんな私達の正面でシェラさんには
「何ですかこの茶番は。こんなものを目の前で見せられてオレは一体どうすればいいんでしょうねぇ・・・」
と肘をついて呆れたように眺められてしまった。
まだシェラさんに頬をつかまれたままの私にその姿は確かめられないけど、明らかに不満げだ。
まあそうだよね、レジナスさんにしてみれば私とシェラさんが日も昇らないうちからいちゃついているようにしか見えないだろう。
「レジナスさん、おはようございます!」
とりあえずシェラさんに向けられた不満げな気持ちを中和させようとわざと明るく声を上げた。
「・・・おはようユーリ。大丈夫か?シェラに迷惑をかけられているようだが」
そう私に声を掛けるレジナスさんの声はさっきまでとは違って気遣いを感じる声色だ。
「だ、大丈夫です!シェラさんのいつもの悪ふざけみたいなものですから。ほらシェラさんももう離して⁉︎レジナスさんも、こっちに来て朝ごはんをどうぞ!」
「悪ふざけとは心外ですね。オレはユーリ様に対しては常に真剣に向き合っておりますのに。」
これ以上レジナスさんを心配させてはいけないと思って言った私の言葉は逆にシェラさんをがっかりさせたらしく、シェラさんは私の頬に手を添えたまま眉を下げた。
「あっ、いえ!シェラさんを傷付ける気はなかった・・・んむ⁉︎」
慌ててフォローしようとしたら、そのシェラさんにもう一度口付けられた。
「とは言え、ユーリ様のお言葉には従いましょう。離れ難いその花の如く美しい顔から手を離さねばならないお別れの挨拶です。」
そんな言い訳をされてにっこりと微笑まれ見つめられる。
「お前なぁ・・・‼︎」
途端に私の背後のレジナスさんの怒りが増したのを感じる。
それはシェラさんも同じらしく、
「おっと、ほら離れましたよ?」
と言って私からパッと離れた。
「朝からユーリを困らせるような事をするんじゃない!」
すぐに私のそばへとやって来たレジナスさんがそう注意をすれば
「ユーリ様の伴侶になるのですからこれ位のことで目くじらを立てられても。むしろあなたも、朝の挨拶としてこの程度の事はして当然では?もしよろしければどうぞ。オレはあなたと違って目の前でユーリ様が口付けられてもそんなに分かりやすい嫉妬はしませんので。」
と肩をすくめて私へのキスを勧める始末だ。
そんなシェラさんにレジナスさんは言葉を詰まらせて私を見て、目が合うとさっとその頬に赤みが差した。見られた私も思わずつられて赤くなる。
「・・・出来るか!」
そう言ったレジナスさんに加勢して
「そうですよシェラさん!何を勧めてるんですか、どうぞじゃないですよ私の意思は⁉︎」
と訴えたら
「お二人とも息ピッタリですね。目の前で口付けられるよりもそちらの方にオレは嫉妬しそうです、実に羨ましい。」
と訳の分からない事を言われて本当に羨ましそうな顔をされた。相変わらず意味不明だ。
「と、とにかくレジナスさんどうぞ。私はもう充分食べましたから。」
シェラさんの用意した席は二人分しかないので慌てて椅子を譲ると、ユーリを立たせて俺が座るのは・・・とレジナスさんが渋ったので強引に座らせる。
「私はほら、立ったままの方が朝日も良く見えますから!」
イチゴ牛乳の入った木のコップを手にレジナスさんの隣に立ちながらそう笑ったら、そんな私と自分の正面に座るシェラさんを見比べたレジナスさんにぐいと手を引かれた。
「ええ⁉︎」
そのままストンと座らせられたのはレジナスさんの膝の上だ。
「・・・何ですかあなた、それはさっきユーリ様へ口付けたオレへの意趣返しですか?」
シェラさんが僅かに眉を寄せた。あのいつもレジナスさんをからかって飄々としているシェラさんが表情を変えるのは珍しい。
そんなシェラさんにレジナスさんは堂々と
「そうだ、羨ましいか?お前のせいで席が二つしかないからな、となればリオン様の膝の次にユーリが座り慣れているのは俺の膝の上だからこうするのが当然だ。」
と言い放った。え?レジナスさんって臆面もなくこんな事をしたり言ったりする人だっけ。人が変わってないかな?
びっくりして座らせられた膝の上からレジナスさんを見れば、僅かに赤くなって
「俺だってこれくらいは出来る。」
と呟かれた。どうやらシェラさんに伴侶らしく朝の口付けも出来ないのかと煽られたので何かそれらしい事をしようと考えた結果、主君であるリオン様に倣って私を膝に抱くことにしたらしい。
まったく、二人して何を朝から張り合っているんだか・・・とちょっと呆れた。
だけど以前ヨナスの悪夢にうなされて寝不足だった時にレジナスさんの膝の上で何度か昼寝をして以来、まるで人間座椅子のようにがっしりとして暖かなレジナスさんの膝の座り心地の良さは知っているので自分からそこを降りるのも惜しい。
仕方ない。今回は二人とも私の伴侶として同行してくれた上での休暇だし、伴侶らしくというなら私からも何かしてあげようかな。
そう思って、一口サイズのアップルパイを手に取ってレジナスさんの口元に近づける。
「はいレジナスさん、あーんです。口を開けてください?」
「は⁉︎」
予想外の私の行動に面食らったレジナスさんが目を丸くして口をポカンと開けた。
すかさずその口へアップルパイをねじ込ん・・・もとい食べさせて、私も自分の指についたパイ生地のかけらをぺろりと舐める。
「おいしいでしょ?ダーヴィゼルド特産の甘いリンゴを煮詰めたアップルパイですよ!」
舐めとった指についていたパイのかけらだけでもふんわりとバターの良い香りがするなあと思いながらレジナスさんに笑いかければ、
「な、なん・・・ユーリ、一体何をする⁉︎」
無理やり私に食べさせられたパイを飲み込んだレジナスさんがさっきよりも更に赤くなった。
その目には昇り始めた朝日の光が反射してすごく綺麗だ。こうして見ると、いつも夕陽の色を写したようだと思っていたその瞳の色は朝焼けのような美しさもある。
・・・さっきシェラさんの目の色を褒めたら嬉しそうにしていたし、レジナスさんにもついでに思うところを伝えてみるのもいいのかも。
そう言えばレジナスさんには今まで伝えていない事がある。
「伴侶になるし、リオン様にもこうして食べさせてあげたりもしてるし、たまにはいいんじゃないですか?それに王都の街歩きをした時には私がケーキ屋さんで一口食べさせてもらいましたよね?それよりもレジナスさん、」
そこで内緒話をするようにひそひそとレジナスさんに耳打ちをする。
「知らないと思うので教えてあげますけど。私、召喚の儀式で初めてレジナスさんを見た時からその瞳の色が夕焼けみたいで綺麗だなあって見惚れてたんですよ?もしかするとその時から私、レジナスさんのことがちょっと好きだったのかも知れませんね?」
今にして思えばそうかも知れない。それは恋愛感情と言うにはあまりにも淡すぎるものだったろうけど。
あの大きな手に優しく抱き上げられて初めて目が合った時のことを思い出して思わず微笑む。
するとぎしっ、と固まったレジナスさんは次の瞬間更に顔を赤くして
「・・・大人をからかうんじゃない‼︎」
と声を上げた。照れ隠しかな?
「ええー?何ですかそれ、私もいい年した大人なんですけど?」
それこそ、からかうように反論したら
「俺の方こそユーリを一目見た時からこんなにも美しく可憐な少女がいるものかと信じられなかった!ユーリが俺をちょっと好きかも知れないと思ったのとは違う!そう、あれはいわゆる一目惚れというやつだ、ユーリよりも俺の方がもっとユーリのことを最初から好きだったんだからな!」
なぜか私の打ち明け話に張り合うようにそんな事を言われた。・・・天然かな⁉︎
「はい?えぇ~⁉︎」
ちょっとからかったら私の方がもっと恥ずかしい目に遭ってしまった。
一気に顔が熱くなる。え、これなんて返せばいいのかな?
口をパクパクさせて何も言えないでいれば、そんな私達の正面でシェラさんには
「何ですかこの茶番は。こんなものを目の前で見せられてオレは一体どうすればいいんでしょうねぇ・・・」
と肘をついて呆れたように眺められてしまった。
あなたにおすすめの小説
気がつけば異世界
蝋梅
恋愛
芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。
それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。
その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。
これは現実なのだろうか?
私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。