【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

sutera

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番外編

かわいい子には旅をさせよう 20

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勇者様の残した手紙にあった別紙というのはそれまでの手紙とは明らかに筆跡が違うものだった。

というか、手紙に

『魔法を活用した危険な源泉の管理や諸々は詳しくはキリウさんが書いてくれているからそれをよく読んで欲しい』

ってあったので別紙を書いたのはきっとキリウ・ユールヴァルトさんなんだろう。

ざっと見た感じ、魔石のイラストや何かの魔法陣みたいなもの、数式っぽいものなどがたくさん書いてあった。

なのでまだ

「過重労働・・・特別手当申請・・・」

とぶつぶつ呟いていたユリウスさんにそれを見せる。

「え?何すかユーリ様。俺もこれ、読んだ方がいいんすか?」

なんて不思議そうに数枚の紙の束を受け取ったユリウスさんだったけど、手紙の別紙を読み進めるほどに真剣な表情になった。

「どうですかユリウスさん、書いてある内容分かります?私には全然なんですけど・・・」

「いやあ・・・マジでキリウ・ユールヴァルトはすごいっす。さっき手紙の封を解いて降り注いで来た魔石、アレをいくつか加工すれば魔法の増幅器代わりに利用出来るみたいっす。」

なるほど、これをこうすれば少人数の魔導士や少ない魔力消費で・・・とさっきとは違う方向性であごに手を当てぶつぶつ呟いている。

と、ふいに手紙から顔を上げて

「ユーリ様、この魔石にノイエ領の魔石鉱山の時みたいに祝福をしてもらえますか?そうすればその後に加工した魔石にはキリウ・ユールヴァルトの理論よりも、もっと強い魔力を入れられると思うっす。」

とお願いされた。そりゃあもちろん、私に出来ることがあるなら喜んで。

「まさか魔物退治や浄化をするんじゃなくて温泉を整備することになるなんて思わなかったですね!」

騎士さん達が危険な目に遭う任務にならなそうで良かったと安心すれば、

「めっちゃニコニコじゃないっすかユーリ様・・・。まさか温泉に入るまで王都には帰らないつもりっすか?」

とユリウスさんに呆れられてしまったけど。

「えっ?ダメですか?その手紙の通りにすればいいんですよね?」

「いや、まあ・・・。この方法を使えば本格的な魔導士が俺一人でも、魔石を使えばあとは連れて来てる騎士連中の魔力でもどうにかなりそうではあるんすけど・・・」

「わー!やったぁ、楽しみです!頑張りましょうねユリウスさん‼︎」

「頑張るのはほぼ俺だけじゃないすか?」

ぱんと手を打って励ませばユリウスさんにはますます生温かい目で見られてしまった。

「ユリウスさんや騎士さん達が疲れたら私が癒しますよ!それにほら、魔石に最初に力を与えるのも私だし!」

「疲れたら癒してもらってまた働くって、温泉がある程度の形になるまで無限労働の匂いしかしないんすけど?ところでその勇者様からの手紙、まだ続きがあるんすか?」

ユリウスさんに手渡したキリウ・ユールヴァルトさんの書き残した別紙とは別に、まだ私の手元には数枚の手紙が未読で残されている。

「あ、こっちはなんか魔物料理のレシピ?みたいな・・・」

「へ?」

まだ何か重要なことでも書いてあるのかと思っていたらしいユリウスさんや神官さん達の目が点になった。

まあね、ついさっきまでは街の人達やその暮らしをおもんぱかった真剣な内容の手紙だったから呆気に取られるのも分かる。

だって読んでみても

『ところで、魔法理論の絡む難しい話のあれこれは専門のキリウさんに任せてオレはオレの得意なことを書き残させてもらおうと思う!』

って文面でそれまでとは打って変わった明るい、わりと軽い感じで勇者様の手紙の後半は料理レシピになっていた。

なんだか教授に提出する論文に行き詰まった大学生がレポートの途中でいきなり「おいしいカレーの作り方」を書き始めたみたいな感じだ。

「ええと、山中の柔らかい泥土に雷魔法を流すとオピルスが感電して出てくるからそれを・・・って、オピルスって何ですか?」

意味の分からない単語が出て来たのでユリウスさんに聞けば、ユリウスさんがうわぁと嫌そうな顔をして神官さん達も

「まさかあれを食べるんですか?」

とギョッとした。するとシェラさんが面白そうに私に教えてくれる。

「オピルスは泥の地中深くに潜って生息する、繁殖力の強い小型から中型の魔物です。見た目は太った短いヘビのようで、ぬるぬるしていて嫌な匂いがします。放っておいても人間に特に害はないのですが、攻撃されるとそのぬるぬるした体表から目に染みる刺激臭を発します。」

「ええ・・・」

何それ、ヌメヌメのツチノコとスカンクを足して2で割ったみたいな感じ?

勇者様、いくら食糧不足解消のためと言ってもまさかそんなのを食べろとか・・・。

「本当に食べられるんですか、それ。」

思わずそう言えば、

「騎士の野営訓練の一環で、食糧を持参せず野山に入り、そこにあるものを何でも食べてしのぐというものがあります。その時にオレも昔オピルスは口にしたことがありますが、とても食べられたものではなかったですね。あの時は確か焼きましたが、弾力が強く噛みにくい上に泥臭くて・・・。レジナスも、いつも以上に恐ろしい顔つきで黙って食べていたのでアレは相当不味いと思っていたのでしょう」

その時のレジナスさんを思い出したのか、シェラさんは愉快そうに目を細めて微笑んだ。

「勇者様ってすごいですね・・・。他にもっと食べられそうなマシなのはなかったのかなあ。」

なぜにわざわざそんな見た目も悪くて美味しくなさそうな魔物を選ぶのか。もしかして勇者様ってセンスがない?

まじまじと手紙を見つめていれば、興味を持ったらしいシェラさんにちょっと見せてもらってもいいですか?と聞かれたのでそれを渡す。

するとさっきキリウ・ユールヴァルトさんの書き残していたものを読んでいたユリウスさんのように真剣にそれに目を通したシェラさんが

「なるほど・・・」

と呟いた。あれ?納得したんだ。

「どうですか?」

「面白いですね。炭を入れた水と一緒に、一度煮込めばあのぬめりと泥臭さが消えて調理しやすくなると書いてあります。食べれば体もよく温まり、腹持ちも良いそうですが・・・まさに食糧事情に乏しいこの地域向けですね。」

地盤が弱いこの地域は恐らくオピルスが好んで生息する泥土の土地も多いでしょう、とシェラさんは私に向き直った。

「ユリウスが温泉の地盤を整えている間、試しにオレはオピルスを捕まえて来ましょう。勇者様の書き残したこの調理法が有用であれば町の者達にとっても良いことですしね。」

ですから申し訳ありませんがその間はしばしユーリ様のお側から離れるご許可を、と丁寧に頭を下げられた。

「町の人達のためになるならぜひお願いしたいです!そしたら私はその間、町のみんなを癒やすのを頑張りますから。」

ユリウスさんは温泉の源泉を整備してシェラさんには食用になる魔物を捕まえてもらい、私は町の人達に癒やしを。

それぞれが出来ることを分担して、各々がベストを尽くせそうなのが嬉しい。

「力を使ったらきっとお腹がすくので、勇者様の残したレシピの魔物料理を食べるのも楽しみです!」

わざわざ手紙に書き残すくらいなんだから、グロテスクな魔物でもおいしいと信じよう。

おいしいご飯を食べるためにも頑張るぞー、と拳を握って一人誓えばユリウスさんはそんな私を見て

「いやユーリ様・・・。そもそも見た目が良くても悪くても魔物を食べるのに変わりはないっすからね?他にも普通においしいものはあるし、何なら野営した時に騎士達が狩ってきた獲物もまだあるのに、なんでそう積極的に魔物を食べたがるんすか?魔物っすよ、抵抗ないんすか?」

勇者様もだけど召喚者ってなんでそう魔物を食べるのが好きなんすかね?と理解出来ない、という目で見られてしまった。

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