異世界転移の……説明なし!

サイカ

文字の大きさ
85 / 251

85 土曜日


 今日は土曜日だからお城にお邪魔する日。

午前中からいらっしゃいとお手紙を頂いたので朝食を食べて少しゆっくりしてからゲートをくぐる。

三毛猫さんは今日はお家にいるらしい。

ゲートを開けると王妃様。

「いらっしゃい。トーカさん」

あ……なんかホッとしてしまった。
そんなことはないのだけれどすごくお久しぶりな気がする。

「おはようございます。王妃様」

ニコリと微笑む王妃様。

「トーカさん付いてきてちょうだい」

王妃様の後を付いていくと、王妃様のお部屋に着いた。

「まずはこれに着替えてね。こっちの方がいいかしら?  他にもあるけれどトーカさんはどちらがいいかしら」

迷っちゃうわねウフフッと楽しそうな王妃様。と、戸惑う私。
王妃様が用意してくれたのはワンピースとドレスの中間のようなカジュアルドレス? と言えばいいの……?

コルセットは着けなくていい1人で、もしくは背中のホックをとめてもらうかリボンを編み上げて結んでもらうだけで着られるドレス……
とっても素敵だけれどどうして?

疑問が顔に出ていたみたい。

「今日はね、ダンスのレッスンをしようと思うの。この水色のドレスなんてどうかしら」

「あ、はい。素敵だと思います。……ダンスですか? 私踊ったことはないですよ」

「フフフッだからレッスンするのよ。では今日はこの水色のドレスにしましょう。1人で着られないようならお手伝いをするから声をかけてね」

そう言ってつい立ての向こうに行ってしまった。

レッスンならわざわざ着替えなくてもいいような気がするけれど取りあえず着替えてみる。

風魔法を駆使して背中のホックをとめるとサイズがピッタリで意外と着心地がいい。

素敵なドレス……首元は少し広めに開いていてスッキリとしている。
上半身はピタリとしていて刺繍やレースが首周りや袖に控え目についていてシンプルで上品。

スカート部分は布が幾重かになっていてフワリとしている。そして長い。
ヒールを履いて丁度良くなるのかな。と思っていたら靴も用意されていた。

王妃様にみてもらうと恥ずかしいくらい誉められた……
それから髪は王妃様が編み上げて結んでくれた。

お化粧は自分でと思ったけれどこちらのお化粧品の使い方がわからなかった。
王妃様が教えてくれながらお化粧を施してくれたので次は自分でやってみたい。

「トーカさん! とっても素敵よ!」

嬉しい……照れる……ドレスって凄い。本当にお姫様になった気分。

そこから移動してダンスホール……にしては少し狭いダンスレッスンができるお部屋に着いた。

王妃様が教えてくれるのかと思ったらお部屋にはオリバーがいた。
いつもの騎士の制服ではなく貴族な出で立ち。
大きな身体に合わせて作られた服はサイズもピッタリで凄く似合っていて素敵。

「平日にトーカさんと会えなくなる代わりに今日は順番にダンスを教えるわね」


…………きぃ――てないよぉ――――! 


これからみんなと踊るの?
本当に踊った事なんてないのに? 
ふ、不安しかない……いや……教えてくれるって言うなら……やっぱり不安。


「トーカ、とても綺麗だよ。その……いつも素敵だけれど」

か、顔が熱い! 照れながら言われると余計にっ!

「ありがとうございます。オリバーもとっても素敵だよ」

照れるっ照れるけれど耐えるっ!
マナー教室で誉められたら誉め返すと教えてもらった。

2人でテレテレしていると王妃様がそろそろ始めましょうかと音楽をかける。

オリバーが手を差し出してきたので私の手を重ねるとオリバーの大きな手に包みこまれる。

引き寄せられて身体が密着する。

…………身長差よ。

オリバーを見ようとすると天井を見上げるくらい顔をあげないといけない。

たくましい身体に合わせて作られた服もピッタリで男であることを意識させられてドキドキする。
あとなんかいい匂いがする。

「あのね、オリバー、私ダンスをしたことがなくて……」

「あぁ、大丈夫だ。ちゃんと教えるから」

微笑まれてホッとする。

腰に手をそえられオリバーがステップを踏む。
私はオリバーの足を踏む。

「ご、ごめんなさい! 痛くない!?」

「グリアに踏まれたらさすがに痛いけれどトーカに踏まれるくらいなんともないよ」

フフフッと笑いながら言うオリバーをみて何だか肩の力が抜けた。

「それじゃぁ初めからいくよ」

1、2、3、1、2、3と繰り返しているうちに段々と音楽を聴く余裕も出てきた。
最初はオリバーのリードだけで踊っていたけれどだいぶ様になってきたと思う。

踊っている間にたくさんお話もできた。
グリアの事や三毛猫さんの事、最近食べた美味しいものやオリバーと初めて会ったあの丘の事、それからザイダイバ王国の事。

…………ん? ザイダイバ王国のこと? 何で急に?

「トーカ、俺達騎士団はザイダイバの騎士団と何度か合同演習をしたことがある」

…………そうなんだ

「ザイダイバは良くも悪くも実力主義だから素晴らしい人材が揃っている」

…………確かに実力主義って教えてもらった

「中でも騎士団長のガイル様は思慮深く頼りになるお方だ。何かあったらこのプレートを見せて相談するといい。助けになってくれるはずだから」

そう言って私の首にプレートの着いたネックレスをかけた。

「う……うん。ありがとうオリバー。でもどうしっ……」

ドレスの裾を踏んづけてしまいオリバーにもたれてしまった。

「大丈夫か? 少し疲れたかな」

優しい声…………

なんて油断をしていると横抱きに抱えられた……そう、お姫様抱っこです。

恥ずかしさのあまり両手で顔を覆い隠れたくてオリバーの胸に顔を埋める。

「くすぐったいよトーカ」

フフフッと笑うオリバーの顔を直視してしまった……

あ……顔が熱いっ! きっと真っ赤………………


そんな私達をみて王妃様は少し休憩にしましょうかと楽しそうに微笑んでいた。




 

あなたにおすすめの小説

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界着ぐるみ転生

こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生 どこにでもいる、普通のOLだった。 会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。 ある日気が付くと、森の中だった。 誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ! 自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。 幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り! 冒険者?そんな怖い事はしません! 目指せ、自給自足! *小説家になろう様でも掲載中です

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています