異世界転移の……説明なし!

サイカ

文字の大きさ
114 / 251

114

しおりを挟む

 ノバルト達に注目が集まる。


しかし騎士様が続けて言った言葉で会場はパニックになる。

「この国も……もうすぐ攻めいられますっ……!!」

ざわめきに悲鳴が混じり始めて人々が一斉に動き出す。

……いけない! 三毛猫さん! ココさん! 結界にフライをかけて浮かせる。

シュゼット様が私の側へ来てココをお願いします、といいエリアス陛下の元へ向かう。

私はみんなが動きまわる中さっきの騎士様の言葉の意味がわからず動けなくなっていた。

リアザイア王国が落ちた…………なくなってしまったと言うこと?

そんなはずはない……だって王妃様の計画は完璧なはずだしリアザイアに残っている陛下率いる騎士団もかなりの強さだと聞いている。

ノバルトとノクトとノシュカトの表情からは何も読み取れない。

さっきの騎士様の言葉を思い出す。

もうすぐこの国も攻めいられる、と言っていた。

おかしい…………

いくら何でもリアザイアとザイダイバ両国を一度に落とせる戦力を集めることは不可能では……?

これだ……ジェイドの話を聞いた時の違和感。

と言っていた。

情報操作で両国を戦わせるわけでもなく、両方攻める……と。ずっと違和感があったのに今気付くなんて……

いくら「彼ら」が数十年前から企んでいた計画だとしても日々訓練を積んでいる王国の騎士団が相手では数だけ集めたところで……

東のベゼドラ王国と西のレクラス王国が手を貸している?

……それも考えにくい気がする東西の王国とは貿易が上手くいっていると言っていたし、街に行った時大きな馬車を何台か見かけた。

ベゼドラ王国とレクラス王国の商人達だ。

今回のザイダイバへのリアザイア一行の長期滞在もあり、有名な商会の馬車も来ていた様で街の住人達も喜んでいた。

自国の民をわざわざ争いが起こるであろう地に向かわせるだろうか……

それにリアザイア一行がザイダイバへの長期滞在を発表したのは到着する1ヶ月前だった。

作戦を立て訓練をし移動するには時間が無さすぎる。

そんな万全とは言えない状態で2国を落としにかかるだろうか……

「トウカ」

ハッとして振り向くとノバルトが私の手を取りこちらへ、と別室へ移動する。
三毛猫さんとココさんも一緒に連れていく。

部屋へ入るとエリアス陛下とセオドアとノクト、ノシュカトとシュゼット様がいる。ココさんがシュゼット様の元へいく。

それからあの騎士様も…………

騎士様はケガもしていてボロボロだった。

そんな様子をみるとますます不安になる。

「ノバルト……あ……リ、リアザイアが」

自分の声が震えていることに気が付く。

私よりもノバルト達の方が……

「トウカ、大丈夫だ。落ち着いて、リアザイアは大丈夫だよ」

「でも……」

騎士様を見てノバルトに視線を戻す。

「大丈夫、あの父上と母上がいるのだよ。リアザイアは簡単には落ちないよ。これも作戦の一部だ」

騎士様を見ると申し訳ありません……と謝られた……

じゃあ本当に? 本当に大丈夫なの?

しかし……と騎士様が続ける。

「リアザイア王国が攻められ、こちらも今攻められているのは本当です。状況を説明いたします……」


騎士様が水を飲み話し始める。


「騎士団が国境の街へ着く数キロ手前で、街の方から魔獣の群れが襲ってきました。群れの先頭には数頭の馬に乗った何者かと数台の荷馬車が走っていて、荷馬車にはおそらく動物の子供達が……馬に乗って走っている者は動物の子を……その……縄で縛り引きずって群れをおびき寄せているようでした」


ザワリと鳥肌が立つ。動物達を戦争の道具にしたのか。


ノバルトが私の手を握り落ち着いて、と言う。

「魔獣の数が多くその者達を止めることが出来ず……すでに王都に着いていると思われます。……血の跡がここまで続いていたので……」


なんて残酷な…………


「魔獣の数は?」

エリアス陛下が問う。

「大型の魔獣がおそらく200体ほど……その他に小型の魔獣も多くみられました」

皆さんが息をのむ。

「しかし前線の騎士団とトンネルを使って来たと言うリアザイア王国の援軍に助けられ魔獣の数は半数以下になりました」

と言うことはリアザイア王国は本当に大丈夫ということ……

そして魔獣達の多くは苦しみの中…………


「前線をすり抜けた魔獣達は両国騎士団長の指示で合同演習の途中で別れ、国境の街と王都の間に待機していた騎士団の分隊によりさらに半数になりましたが……大型魔獣50体程と小型の魔獣はいまだ王都へ向かっております」

こちら側も大勢の者達が犠牲に……食い止める事が出来ず申し訳ありませんっ……

そう言って泣き崩れた騎士様の肩に手を置き、無事ここまでたどり着いてくれてありがとう、後は任せて休むといい、とエリアス陛下。

「夜会の会場でこの知らせを聞いても落ち着いていた貴族達がいたな。彼らは安全な場所を知っているのだろう」

エリアス陛下が後を付けさせている、と言う。

大勢の者達が犠牲に……怖くて聞けない……オリバーは? ガイル様や他の騎士様達……

動物達を魔獣化させて武器にするなんて……そんな酷い事が出来るなんて信じられない……

こちらに向かっている魔獣達がいると言っていた……

魔獣を元に戻す薬も方法もまだ見つかってはいない。

ならばせめて私が安らかな最後を……

「ノバルト、私行ってくる」

窓へ向かおうとした私の手を握り

「トウカ、こちらへ」

ノバルトに別室へ連れていかれる。三毛猫さんもトコトコとついてくる。

「私、残った魔獣達を浄化してくる。それに……オリバー達……騎士団も心配だし」

ノバルトが見つめてくる。

「一度にこんなにたくさんの魔獣を浄化したことはあるのか?」

「…………ないです」

「私も一緒に行く」

「ニャ――」

三毛猫さんも……

ノバルトはそう言いノクトとノシュカトを呼びそう伝える。

珍しく少し強引なノバルトの様子に驚きつつ一緒に行くことになってしまった。

それならばと、3人にも三毛猫さんを見えるようにした。

ミケネコサンだ、といいノシュカトが三毛猫さんを撫でている。

ノバルトと私にも結界を張り、ノバルトにはフライもかける。

暗い中危険な所に行くから、フライには三毛猫さんとノバルトの意思も反映されて欲しい。

ノシュカトに初めてフライをかけてしがみつかれた時からゲートとは別で考えていた。

人に使う事があまりないのでいい機会だと思い、ノバルトに試してもらう。

浮かび上がるようにイメージをしてもらうと、私が何もしなくてもフワリとノバルトが浮く。

上手くいったみたい。

騎士団の皆さんが戦っている中更なる混乱を招かないようにちゃんと周りから姿を見えなくしておく。

準備はできた。


まずはこちらへ向かっているという魔獣達の元へ行こう……


    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...