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山月 春舞《やまづき はるま》

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【PW】AD199909《箱庭の狂騒》

賭け

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「始まったな」

 揺れる水面に優雅に座って紅茶を啜っていた茶色い長い髪の男は、呟いた。
 晴人は、ゆっくりと煙草の燻らせながら空を見上げた。
 巨大な蔦の隙間から覗く空は、夜空になり星が綺麗に瞬いている。

「それじゃ、俺もそろそろ行くとするか」

 そう言いながら茶色い長い髪の男は立ち上がる。

「最後に、なぜお前は大浦にあんな事を言ったんだ?」

 その問いに晴人は、苦笑しながら首を横に振った。

「別に結果は、変わらないし、アキさんならどの道選ぶのは、同じだ、俺が何を言っても変わらない」

「そうだとしても、わざわざ言う必要があったのか?」

「言わないと踏み出せないだろ、あの人。追い詰められないと決断するの遅いんだ、優しいから」

 晴人がそう応えると茶色い長い髪の男は、肩を竦めた。

「それで、本当に良いのか?」

「さっきも言ったろ、結果は何も変わらない、むしろこれで奴が本当に何を考えているのか見極められる」

「もし、お前に嘘を言っていたら?」

「その時は、今度こそ、俺がアイツを殺す」

「殺れるのか?」

「少なくとも儀式は、成功させない、確実に潰す」

 晴人は、迷いない答えに茶色い長い髪の男は、満足そうに頷きながら背を向けるとゆっくりと砂粒になりながら消えていく。

「また、お前の顔が見れて良かったよ、朝日」

 その顔が消える直前に晴人が呟くと少しだけ振り返った茶色い長い髪の男、朝日は少しだけ振り返り微笑んだ。
 わかっていた、こうなる事は、とうに予想済みだった。
 しかし、本当に動くかどうかも怪しいところもあり、不確定要素は、多くあった。
 もし、この事態が動けば、終わりまでもう少しだ。
 どんな形にせよ、この流れに終止符を打てる。
 晴人は、ゆっくりと拳を握ると水面に目を向けた。
 ふと背後から気配を感じて振り返ると1匹の猫が尻尾を揺らしながら晴人を見ていた。

「何んだよ、ロッソ」

 晴人がそう声をかけると猫のロッソは、ゆっくりと足元まで近づくきその体を足に擦り寄せた。
 こういう時は、抱っこしろの時だと知っていた晴人は、ゆっくりとロッソを抱っこするとロッソは気持ちよさそうに喉を鳴らした。

「お前さんは、どうしてこういう時だけ甘えてくるんですかねぇ~」

 晴人は、呆れた声を上げながらゆっくりと頭を撫でるとロッソは気持ち良さそうに瞼を閉じた。

「ごめんな、ロッソ」

 晴人は、その寝顔を見ながらそっと呟いた。
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