20 / 108
【PW】AD199905《氷の刃》
邂逅 4
しおりを挟む
「あっがァァ」
呼吸が出来ないのと痛みからだろう岩倉はエビ反りをしながら床でのたうち回った。
「おら、立て、こんなもんで済むわけねぇぞ」
そう言うと髑髏の仮面の男は、掴んでいた腕を引っ張り上げ、岩倉を無理くり起こすと再び腕を回しながら岩倉の体を今度は壁に叩きつけた。
岩倉の悲鳴と壁や床にぶつかる音だけが廊下を支配した。
計7回目の壁の激突で痛みとダメージからだろう遂に岩倉は気絶し、そのままダラりと崩れる様に床に倒れた。
そうして、漸く髑髏の仮面の男は岩倉の掴んでいた腕を離した。
「アンタ、何者よ?」
ロッソを撫でながら静かに藤は髑髏の仮面の男を睨みつけた。
「藤さん、アンタは後だ、君はこっちの保護下に置く事になるからそこんとこ宜しく」
髑髏の仮面の男の淡々とした返しに藤は、何か言おうとしたが直ぐに口を塞いだ。
「とりあえず、俺はとある所に頼まれてこの場を収めに来た、まず犬」
髑髏の仮面の男は、そう言いながら星見を指差した。
「今回、この事態を収めたのは君達だ、これは上同士で話がついてる筈だから、確認してくれ。次に埼玉県警さん」
次に本郷と暁に向かい指差す。
「そっちは、これからこっちの言う事に従ってもらう。一応カバーストーリー的には暴徒と化した岩倉のチームを犬達と共に鎮圧の為に動いたって話になるからそのつもりで」
「ちょっと待てよ!」
そこで漸く口を開いたのは、本郷だった。
「どこの誰か知らねぇが、勝手に話を進めんなよ。こっちは経緯を上司に…」
「オタクらの上司じゃこの話は誰も介入できずに上から黙らされるのがオチだけど?」
「どうして、言い切れる?」
「さっきも言ったけど話ついてるって、そっちの上司と犬は同じ系統だよ、わかってんだろ?」
そう言われ、暁には心当たりがあった。
林だ。彼は縄張り違いとは言え同じ警察組織だ、そんな男が星見と接触していた事実を踏まえるとその可能性は十分に高い、だが警察とは言え一枚岩とは、言い難い。
管轄、分野が違えば当たり前の様に争う。刑事部でも捜査一課と捜査四課で争うなんてザラにある話だ。
刑事部でもない公安部なら尚更だ。
その2つを一気に黙らせる事が出来る組織なんてそんなに多くはない。
「そもそも、アンタらじゃ、コイツを起訴すら持ち込めないだろ?精々出来て器物破損と不法侵入ぐらい。殺しじゃ到底無理だね、違うか?」
「そんなもん、捜査しないと分からないだろ?」
本郷がそう言うと髑髏の仮面の男は、ケラケラと笑いだした。
「なら、今起きた事をどう起訴に持ち込める?」
そう言われ、本郷は押し黙ってしまった。
正直、暁もだが何が起きたのか全くわからなかった。
岩倉が何をしたのか皆目検討もつかない。何よりも物的証拠となるモノが何も無いのだ。こんな状態で起訴に持ち込めたとしても不法侵入とギリギリで暴行罪ぐらいだろうか、懲役どころか執行猶予付きで直ぐに岩倉は自由の身になる。
「今起きたことをありのままで公表する。そうすれば世間の目は変わるかもしれない…」
本郷が何とか絞り出した無謀な答えに髑髏の仮面の男は盛大な溜息を漏らした。
「まさか本気で言ってないよね?」
そう問われてると本郷も天を仰ぐと盛大な溜息を漏らしながら頷いた。
「本末転倒だな…だがお前らは何なんだ?」
本郷の肩から力が抜けていくのがわかる。抜けて末に出たのは、なんの忖度もない純粋な本音の疑問だった。
「そいつは、トップシークレットさ、まぁアンタらは今回の一件である程度の説明を受けるとは、思うけど……納得いく答えは得られないだろうね」
その応えに本郷は苦笑いを零した。
「とりあえず、岩倉を捕まえられるなら好きにしろ」
「安心しな、コイツが自由に闊歩出来る未来は悉く潰しておくさ」
その力強い言葉に本郷は手をヒラヒラと泳がせながら壁に背を預けながら座り込みながら一言「タバコ吸いてぇ~」っとぼやいていた。
「ちなみにそこの教師の方は既に眠りについて頂いてるんだけど、この人は騒ぎと同時に岩倉達に頭ひっぱたかれて気絶したって話なんでよろしく」
髑髏の仮面の男にそう言われて暁が慌てて学年主任の教師を探すと彼は椅子に座りながら眠りこけていた。
いつの間に…
もう事は、済ませたのか別の髑髏の仮面が教師の頭に少し触れるとそのまま離れ、昇降口の方へ歩き出した。
「そいじゃあ、今夜は俺達はこのまま消えさてもらう、もう少ししたら志木署と別の応援がくるので」
そう言いながら髑髏の仮面の男もまた昇降口に向かい歩き出した。
「ちょっと、私は?」
そんな髑髏の仮面の男の背中に声を掛けたのは藤だった。
「いずれこちらから連絡入れるから、それまで待ってな」
そう言いながら片手を上げてヒラヒラとさせると一陣の風が吹き、一瞬眼を離した隙にその姿は、消えていた。
暁は視線を周囲に向けた時に空が深い青黒く染まっていることに気づいた。
街灯の光に赤い光がチラチラと映り込む。
終わったのか?
暁はなんの実感も無いまま今起きた嵐にただ呆然としながらふと見えた月に目を奪われていた。
呼吸が出来ないのと痛みからだろう岩倉はエビ反りをしながら床でのたうち回った。
「おら、立て、こんなもんで済むわけねぇぞ」
そう言うと髑髏の仮面の男は、掴んでいた腕を引っ張り上げ、岩倉を無理くり起こすと再び腕を回しながら岩倉の体を今度は壁に叩きつけた。
岩倉の悲鳴と壁や床にぶつかる音だけが廊下を支配した。
計7回目の壁の激突で痛みとダメージからだろう遂に岩倉は気絶し、そのままダラりと崩れる様に床に倒れた。
そうして、漸く髑髏の仮面の男は岩倉の掴んでいた腕を離した。
「アンタ、何者よ?」
ロッソを撫でながら静かに藤は髑髏の仮面の男を睨みつけた。
「藤さん、アンタは後だ、君はこっちの保護下に置く事になるからそこんとこ宜しく」
髑髏の仮面の男の淡々とした返しに藤は、何か言おうとしたが直ぐに口を塞いだ。
「とりあえず、俺はとある所に頼まれてこの場を収めに来た、まず犬」
髑髏の仮面の男は、そう言いながら星見を指差した。
「今回、この事態を収めたのは君達だ、これは上同士で話がついてる筈だから、確認してくれ。次に埼玉県警さん」
次に本郷と暁に向かい指差す。
「そっちは、これからこっちの言う事に従ってもらう。一応カバーストーリー的には暴徒と化した岩倉のチームを犬達と共に鎮圧の為に動いたって話になるからそのつもりで」
「ちょっと待てよ!」
そこで漸く口を開いたのは、本郷だった。
「どこの誰か知らねぇが、勝手に話を進めんなよ。こっちは経緯を上司に…」
「オタクらの上司じゃこの話は誰も介入できずに上から黙らされるのがオチだけど?」
「どうして、言い切れる?」
「さっきも言ったけど話ついてるって、そっちの上司と犬は同じ系統だよ、わかってんだろ?」
そう言われ、暁には心当たりがあった。
林だ。彼は縄張り違いとは言え同じ警察組織だ、そんな男が星見と接触していた事実を踏まえるとその可能性は十分に高い、だが警察とは言え一枚岩とは、言い難い。
管轄、分野が違えば当たり前の様に争う。刑事部でも捜査一課と捜査四課で争うなんてザラにある話だ。
刑事部でもない公安部なら尚更だ。
その2つを一気に黙らせる事が出来る組織なんてそんなに多くはない。
「そもそも、アンタらじゃ、コイツを起訴すら持ち込めないだろ?精々出来て器物破損と不法侵入ぐらい。殺しじゃ到底無理だね、違うか?」
「そんなもん、捜査しないと分からないだろ?」
本郷がそう言うと髑髏の仮面の男は、ケラケラと笑いだした。
「なら、今起きた事をどう起訴に持ち込める?」
そう言われ、本郷は押し黙ってしまった。
正直、暁もだが何が起きたのか全くわからなかった。
岩倉が何をしたのか皆目検討もつかない。何よりも物的証拠となるモノが何も無いのだ。こんな状態で起訴に持ち込めたとしても不法侵入とギリギリで暴行罪ぐらいだろうか、懲役どころか執行猶予付きで直ぐに岩倉は自由の身になる。
「今起きたことをありのままで公表する。そうすれば世間の目は変わるかもしれない…」
本郷が何とか絞り出した無謀な答えに髑髏の仮面の男は盛大な溜息を漏らした。
「まさか本気で言ってないよね?」
そう問われてると本郷も天を仰ぐと盛大な溜息を漏らしながら頷いた。
「本末転倒だな…だがお前らは何なんだ?」
本郷の肩から力が抜けていくのがわかる。抜けて末に出たのは、なんの忖度もない純粋な本音の疑問だった。
「そいつは、トップシークレットさ、まぁアンタらは今回の一件である程度の説明を受けるとは、思うけど……納得いく答えは得られないだろうね」
その応えに本郷は苦笑いを零した。
「とりあえず、岩倉を捕まえられるなら好きにしろ」
「安心しな、コイツが自由に闊歩出来る未来は悉く潰しておくさ」
その力強い言葉に本郷は手をヒラヒラと泳がせながら壁に背を預けながら座り込みながら一言「タバコ吸いてぇ~」っとぼやいていた。
「ちなみにそこの教師の方は既に眠りについて頂いてるんだけど、この人は騒ぎと同時に岩倉達に頭ひっぱたかれて気絶したって話なんでよろしく」
髑髏の仮面の男にそう言われて暁が慌てて学年主任の教師を探すと彼は椅子に座りながら眠りこけていた。
いつの間に…
もう事は、済ませたのか別の髑髏の仮面が教師の頭に少し触れるとそのまま離れ、昇降口の方へ歩き出した。
「そいじゃあ、今夜は俺達はこのまま消えさてもらう、もう少ししたら志木署と別の応援がくるので」
そう言いながら髑髏の仮面の男もまた昇降口に向かい歩き出した。
「ちょっと、私は?」
そんな髑髏の仮面の男の背中に声を掛けたのは藤だった。
「いずれこちらから連絡入れるから、それまで待ってな」
そう言いながら片手を上げてヒラヒラとさせると一陣の風が吹き、一瞬眼を離した隙にその姿は、消えていた。
暁は視線を周囲に向けた時に空が深い青黒く染まっていることに気づいた。
街灯の光に赤い光がチラチラと映り込む。
終わったのか?
暁はなんの実感も無いまま今起きた嵐にただ呆然としながらふと見えた月に目を奪われていた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる