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27、ため息
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「……はぁ~」
「疲れただろう?」
「うっ、ううん…ただ…」
うっ!!
「無理はしない方がいい。最初は、誰もが通る道だから、吐いたらいい」
うっ……~自主規制の音と色々~……
***
*シエル目線
ボクは、悩みを抱えていた。
悩みというか、悩みらしくない悩みなんだけど……。
イバド町は比較的安全な町だからなのか、いつものメンバーであるコリラックさんと可愛いくろの3人…2人と1匹?で狩りに行ってたんだけど、一度だけではなく、二度三度…五回ほど町の外に行ったんだけど……。
日帰り出来る範囲での距離では、魔物と遭遇(そうぐう)しなかったんだ。
コリラックさんの提案で魔物の討伐系の依頼ではなく簡単に見つかる薬草摘みという名目で、魔物狩り行ってたんだけど……。
五回以上行ったのに、スライムですら魔物が一匹も出なかったのだ。
一度くらいは、魔物をヤっつけてみたいと思っていたし、魔物が全く出ないって事は少し異常なのではと思ってしまった。
そして冒険者ギルドに行くと、アロンさんがいた。
受け付けにいたアロンさん。
他にも受け付けはあるんだけど、また避けてしまうのも変だし、変に意識してしまうのも"オレ"だけなのかもしれないし、目があってしまったから、数人待っていたから順番待ちしてる間に落ち着こうと思った。
ここ最近、やはりアロンさんを見かけたりアロンさんの事を思うとなんだか落ち着かない気がする。
冒険者としてちょっと気になるって事で、魔物に関する事だし……そ、相談するだけ、そ、相談……。
「ちょっとご相談したい事があります」
変に緊張してしまったボクは、真剣になぜか小声でアロンさんに話しかけていた。
アロンさんは、周りのギルドの人に目配せし受け付けをわざわざ変わってもらっていた。
そして今、小部屋に2人っきり。
いや、ずっと一定の距離を保ちながら、トコトコついてきてくれる可愛いくろがいる。
常にくっついていてくれているから心強い。
安心、安全?心強い、そして可愛いし、最高だねボクのくろ!!
小さな木のテーブルに、大きめの椅子が二つ。
すごくシンプルで木で出来た小さなお部屋。
落ち着く部屋だと思った。
ここは、大きな額の金銭受け渡しやボクみたいな相談がある人のための部屋だそうだ。
「さっ、そこに座って。久しぶりって言っても、ほぼ毎日見かけるが、話すのは久しぶりだね。」
ご、ごめんなさい。
それは、オレが悪い。
ボクの方はアロンさんに逢いたがっていたから、戸惑っていたのは、オレ。
だけど本当はオレも……逢いたかったから、暇さえあれば…、毎日暇だから、ギルドの図書室っぽいとこに通っていた。
チラッとアロンさんを見て、顔がなぜか火照てしまうし、アロンさんの腕に視線を移したら……。
あのたくましい腕にギュッとされたんだなぁとか、その他もろもろを思い出してしまい、頭を振りたくなってしまうから、なるべく見ないように努力はするんだけど…無理。
オレ、欲求不満なのかな?
アロンさんは、あの事を気にしてないのか、それともよくある事だから割とあぁいう事は、他の人にもしてあげてる事なのかもしれない。
何だかへこみそう。
ボク以外を抱きしめて、ああいう行為をするアロンさん…やばい、思った以上になんか嫌だ。
まさかあんな事になるだなんて予想すらしなかった。男同士なのに……。
だけど、アロンさんの事を思えば思うほど何も手につかない事が多くなってしまった。
これがどういう事なのかは、わかっているつもりだ。
胸がドキドキし、足元がふわふわしてる気もするし、わけもなくじっとしていられなくなる。
そして、抱かれた時の事を思い出し、アロンさんの口元を…ああああぁ!!
キスを思い出し、恥ずかしくて顔を両手で覆(おお)っても、耳がじんわり熱くなるのを感じたりしてしまっていた。
男同士なのに、男と男だよ?!
オレは女が好きだったはずなのに、なぜ?!
アロンさんだからなのか?
女らしいとこ一つもないし、男ってかんじの男で、うらやましいほどの筋肉もあるし、アレも……、アロンさんのアロンさんもボクと比べ物にらならないくらい、気持ちいい……じゃなくて、おっきくて、太くて、かたちも…あんなに……。
「恥ずか死ぬ」
キスどころかあんな事をしてしまったのに対して、びっくりだが、それよりも、キスやあんな事をしたのに嫌いになるどころか、気になりすぎている自分にかなり動揺してしまっていた。
「シエル君?気分でも悪いのか?それとも…」
目の前のアロンさんと目が合った。
思ったより近い距離から見つめ合って…ゴホッ、見られてる事に変に驚いてしまい、座っていたのに急に立ちあがろうとしバランスを崩してしまった。
「うぁ!!」
いつのまに移動したのかわからないけど、気づけばたくましいこの温かな腕と、筋肉質な胸、すっぽりとボクの上半身を包み込んでくれていた。
「大丈夫か?やはり、気分でも悪いのか?」
ボク…オレがバカな事?アロンさんとの事考えていたからなのに、この気持ちの名前?がどう言った事なのかも気づいてるはずなのに……。
まだ、認めたくない自分とただ恥ずかしいっていうバカな自分がいて、ぎこちない動きと行動しかできない。
情け無い自分になってしまった。
アロンさんがす、好き、気になるし、好きだ。
だけど、それを伝えるのがこわい。
アロンさんは、かっこいいし、ボクとちがい身長もこの筋肉も、(※シエルは無意識にアロンの胸をスリスリしてます)優しくてたくましくて、すごくあたたかくて…好きなのに伝えれない。
断られるのが怖いから。
それなのに、また抱きしめられた事が嬉しくて、ずっとこの腕に抱かれていたいと思ってしまった。
すがりつくかのように…みっともなくしがみついていたら、背中をポンポンしてくれた。
「気分が悪かったんだな。無理するな。相談はいつでも受け付けてるから、部屋に戻るか?」
部屋に、戻る?アロンさんは?いや、戻りたくない!!
「……いや、一緒に居たい」
うぐっ!!
「……」
あれ?言葉まちがえた?!
*アロン目線
ここ数日天気が落ち着かないせいで、足の古傷が痛む事が多くなっていた。
助けれなかった多くの命、毎日身体を鍛えていたのに結果は散々だ。
少なくなってしまった仲間、使い捨て同然な扱いをされ、生き残った者も国に仕える気も失せるよう国……。全員死亡と報告しても生き残った俺をさらに使おうとする国王。
この国はもう……。
死に場所を探していたはずなのに、さっさと俺もこの国から離れたらいいのに、気づけば仲間が亡くなった場所に行き、手を合わすわけでもなく花を手向けるわけでもなく、ただ何の感情もないかのようにただ茫然(ぼうぜん)とその場にたっていた。
ただ役立たずが、その場にいるだけだった。
彼に再開するその時までは……。
あのクソ王子だけじゃなく、クソ国王。
そして一番許せないのが王妃だ、クソをいくら付けても足りないどころか、八つ裂きにし、一番酷く残虐な殺し方を何度も何度も頭の中で繰り返していた。
幽閉という甘すぎる国の対応に腹が立っていた。
シエル君を、私の愛しいシエルに、酷すぎる事をした王族が、許せない!!
許せない!!
私は、シエル君を抱いた時のあの尋常じゃない痩せた身体と骨折跡、そして身体の至る所に残る微かな切り傷、それらを誰にやられたのかを調べに王都に行った。
国王とは同級生だからか、友人とでも思われてるのか国王との面会は気が抜けるほどすんなり許可が降りた。
2人っきりではなかったが、欲しかった答え以上のものを手に入れた。
シエル君の事を考えると、どれほどの痛みや苦しみをあの小さな身体に刻まれたのかを考えると、目の窓の王族を殺したくなってしまった。
面会時に、武器類は持ち込めないが国王の腕はあまりよくないし武器がなくとも簡単に殺せそうだ。
王妃だけは、じわじわ苦しみを与えながら殺したい。
殴りつけ身体に小さな傷を作り、天井から逆さに吊りにみっともない姿をバカにしてきた奴らの目の前にさらし、ぶら下げ失血死させるのもいいかもしれない。
頭の中では、何度も殺してる王族。
シエル君の両親である美男美女であるウォード公爵夫妻と合った。
目的はほぼ一緒だった。
ただ、違うのは公爵夫妻は確たる証拠を携(たずさ)えており、医師の診断書と教会の者が治癒と回復魔法を使ったとされる書類。
身体のどこに酷い傷があるとか、ムチで叩かれたような跡、刃物で切りつけたような跡、ヤケドの跡、栄養失調、不正なお金の流れ、第一王子がシエル君に送ったはずの贈り物の変更届け、宝飾関係のアレコレ、不正受理した証拠がずらりと並べられていたのに、第一王子以外は平然としていた。
第一王子は、母親である王妃に理由を聞くために、うるさく叫んでいたが、どういう神経をしているのかわからない王妃は、気持ち悪い笑みを浮かべながら、あの子が悪いとか、公爵夫妻の目の前なのに王族である我が息子が選んであげた上、しつけもしてあげたのに感謝もないとか、無作法だとか言うことを聞かなかったとか、聞くに耐えない言葉を吐いていた。
これは人間なのか?言葉を話す魔物かもしれないと思った。
第一王子がシエル君に送ったはずの贈り物に関しては、何も出来ない婚約者候補に贈る価値はないから、私が有効活用してあげたのよ、と平然とした態度で言葉を吐いていた。
公爵夫妻は、見なくてもわかるほど、今にも王族惨殺しかねないほどの魔力を纏わせていた。
国王は、何を考えてるのかわからない目、生きてるかどうかもわからない顔をしながら、ただそこにいた。
たまに動くから息はしてるんだろうが、あまりにも酷い行いにどうするのかと思っていたが、結果は王妃は王族専用の小さめの別宅に幽閉。
庶民からしたら充分高価な家だ。
専用の侍従と護衛も数人付け、予算も今までの半額程度。ふざけてるのかと言いたい。
表向き病気療養らしい。
元の生活ぶりからしたら、かなり質素になるんだろうがあまりにも甘すぎる処置に、やはりこの国は終わってる、早めに切り離そうと思った。
「私は、エドリックが好きだったのに。な、なんで、何でなの?!こんな事、この私にしていいと思ってるの?!エドリックと別れさせられた上、わざわざこの国に嫁いであげたのよ!!貴重な女だから!!国と国を繋ぐだけの女として、1人子どもを生めば、エドリックと一緒になれると思って、この国に来てあげたのに、あんまりだわ!!」
「「「「「!!!」」」」」
国王は少し動揺したのか、椅子から立ち上がろうとした。第一王子は、ショックを受けた表情をしていた。
「エドリックとは、エドリック・ドロン、茶髪で目の色も茶色の隣国から来た……。」
「エドリック、そう!エドリック・ドロン、私のエドリック・ドロンよ!!あなた、彼を知ってるの?!どこ?知り合いなら私のエドリックがどこにいるか知ってるはずよね!ねぇ、彼は、エドリックはどこなの?近くにいるの?!」
同姓同名なのか?
それとも、本当にエドリックの相手が王妃なのか?
「……。」
「あなた、私のエドリックとはどういう関係なの?私とエドリックは恋人同士なのよ!!あなたまで、私たちの仲を邪魔をするの?!」
「………」
ふざけるな!私が好きなのはシエル君だけだ!!
エドリックは仲間だったうちの一人だ。
「彼が近くにいるのね!!私のエドリックなのに、早く、早く彼を連れてきてよ!!連れてきなさい!!」
「連れてくることは……もう出来ません」
「なんで、何でなの?あなた、私は王妃なのよ!!この国で一番偉い地位の女なのよ!!あなたみたいな庶民、私が言えば簡単に処分できるのよ!!」
「……」
エドリックは趣味悪いな。
こんな魔物のような女が好きだったのか?
わざわざ隣国から、好きな人がこの国にきたからとか、身分が違うから一緒にはなれないとか言ってたが、本当にこんな……。
逢えないがせめて近くで彼女がいる国で、弱い立場の人たちを守りたいって言ってた。
エドリック、この女を好きだったのか?
身分差があるときいてたからてっきり高位貴族誰かだと思っていた。
マジックバックからエドリックが大切にしていた小さな巾着と冒険者ギルドA級のプレート、そして討伐命令が下された日に第三騎士団は、全員遺書を2部ずつ書いていた。
全員分を団長だった俺と副団長で一部ずつ預かっていた。
討伐が終われば、こんなもん書いたなぁと笑いながら燃やそうと言いながら、討伐に行った。
結果、本当の遺書、燃やすことの出来ない遺書になってしまった。
エドリックは騎士団に入る前に冒険者登録していたのを俺が騎士団に誘った。
強い彼を騎士団に誘ってしまったのは俺だ。
「彼は、エドリック・ドロン…享年34歳は、約2年前の2カ所同時スタンピートで、命を落としました。彼は、果敢に戦いこの国に大切な人がいるから、その人の為にもこの国人を守る為、命を落としました。大切な人がいるから、身分違いだから一緒にはなれないから、違う立場で自分も……大切なこの国の人を守る為、第三騎士団に3年前に入団しました。エドリックは、獣人族や、身分にこだわらず、弱い立場の者に対しても親身になり、手助けする立派な騎士の一人でした。討伐時、この国は、第一と第二は王都だけを守り、第三騎士団は現地に配されました。幾度も応援要請を出したのに、ことごとく受理されませんでした。何の補償もなく、第三騎士団は壊滅しました。亡くなった騎士団、そしてその家族の補償もなく、この国は何をしてるんですか?エドリックは、仲間は、この国の為魔物と戦いながらこの国の人を守りました。怪我が元で、歩きづらくなったり、手足を失い、怪我が元で亡くなった者もたくさんいます。あなたは、あなたは何をしてましたか?庶民ではない、公爵家の三男を衰弱死寸前に追い込み、さらに傷つけ、自分の欲を優先し、守らなければならない者でさえ…守らなかった…。この国で偉いなら、それなりの事を……」
「エドリック!!私のエドリックがぁぁぁ!!!」
その後の事は、まるで自分が自分ではないかのようだった。
最後に、ひと目シエル君に逢いたいと思った。
これだけ王族に刃向かい、暴言を吐いてしまったからここで死ぬんだと思った。
誰が私を死刑にしてくれるんだろうか?と考えていた。
いつのまにか立ち上がった国王は、私に頭を下げた。
「すまなかった」
周りはざわついていたと思う。
この国のトップが私なんかに頭を下げたから。
身分的にもたかが辺境伯の兄だから。
貴族籍は、弟たちの反対で抜く事が出来てなかった。
私は長男で次男も好きなことをする為、三男に辺境伯の地位を押し付けたのだった。
ほぼ庶民の私に頭を下げて謝罪する国王。
学友だった国王。
王妃の振る舞いは決して許されない事だが……と間を置きポツポツと語った。
王妃が国で恋人がいた事は知っていたらしい。
お互いの国の為と、政略結婚はよくある事だからと誰が言った言葉かはわからないが、隣国の姫との婚姻を結んだ。
王族だから、婚姻後でも夫婦としてやっていけたらと思っていたが、それは叶わなかったようだ。
子作りの為、義務として決まった時だけ一緒に寝て終われば別々に寝る生活をしていたらしい。
だんだんと義務だから抱き、義務だから公務だけは、仲が良さげに装った。
だがあと2人娶らなければならない。
そう思い、第二妃と第三妃は自分の好みの者を妃にした。
王妃とは義務、第二と第三は好きな時に一緒にいれると思い、王妃の元にほとんど通う事はなかった。
奇跡的に授かった第一王子。
義務は果たしたと思ったらしい。
その後は、第二と第三に堂々と頻繁に通い、第二子、第三子と子を授かった。
授かれば授かるほど王妃は荒れ、金遣いも荒くなったが国の為と思い、なるべく王妃が欲しがる物や、わがままも見逃していた。
シエル君と第一王子との婚約は、恥ずかしながら知らなかったようだ。
幼いから、まさか本当に婚約したとは思わなかったらしい。
部屋も王妃とは、かなり離れておりほぼ離宮に等しい場所であった。
そこは特別な宮殿扱いだった。
シエル君がいた場所も特別宮の中にある一室だった。
第二子以降の王子たちとはよく会っていたが、特別宮にいる第一王子と王妃には、あまりいい印象はなく、どちらかと言えば避けていたらしい。
最後あたりに、応援要請のことだ。
発覚したのが、ここ数日前だったらしい。
元王妃付きの使用人が配置換えで、王城の書類や、手紙を配る部署に飛ばされたそうだ。
逆恨みしたのか、手紙を配るふりをしサボったり、ひび割れた壁や床の隙間に書類や手紙を隠していたらしい。
その部署のひび割れた所を調べると、もう使われていない地下の古い牢屋に繋がっていたそうだ。
たくさんの重要な書類や手紙、そして何度も送った応援要請もあったらしい。
応援要請が通ったとしたら、何人生き残れたのだろうか?謝罪されても、もう戻らないんだから……。
何も言わず王城を出た。
公爵夫妻も。
シエル君の現状を知らせると
「む、息子には、まだ早い。それにアロン君と私と妻は同じ年だ。君を息子と認めたくないし、私たちの可愛いシエルが君を……」
「年齢の事はいいわ。シエルが決めたならね。もしそうなれば、私たちの領地にある本邸に2人で来てね」
公爵の妻オリビア・ウォードは、夫のローマンの背中をポンポンしながら馬車に乗った。
私もイバド町に戻り、シエル君と話し合おうと思った。
愛してるから、好きだから話し合い、納得できるまで話したいと思った。
イバド町に戻り、なぜかはわからないが話しかけようとするたびにシエル君に避けられている気がした。
シエル君の契約獣は中に人が入ってるんじゃないのか?と思えるほど、人間味ある仕草をしたり、首を振ったり、話しかけるなと手で制したりする事もあった。
話しかけたいのに話しかけれない日が数日続いた。
そして、今日もまた…今度は目が合った。
また避けられるかと思ったが、私のいる所、他の窓口もあるのに、わざわざ私の所、3人邪魔……じゃなくて、3人並んでいたが4番目にシエル君が並んでいた。
いつも以上の猛スピードで受け付け業務をこなした。
我ながら頑張った。
やっと話せる。やっとそばに……。
いや、違う。
ギルドに来るっていう事は仕事の依頼とか、魔物の買い取り、護衛?は契約獣がいるから……な、何なんだ?
ど、どうして私のところに?
恥ずかしそうに美しくもあやしく光る瞳で、「ちょっとご相談したい事があります」と言ってきた。
ごそうだん?ごそう、だん?誤送?そうだ、んっ?
何を言われたのかを理解するのに時間がかかってしまった。
しばらくの間シエル君の言葉が頭の中で繰り返された。
こうしてる場合ではない!!
そう思い急いで、ギルド職員に目配せをした。
次に並んでくれていた邪魔な……ゴホッ、冒険者たちに頭を下げて、他の職員に窓口を代わってもらった。
2人っきりになる為……いや、シエル君の契約獣もいるから、2人っきりではないが……。
さっきからシエル君の契約獣に心を読まれている気がする。
若干あきれたような雰囲気というか、目を細めて鼻で笑われてる気もする。
なぜだ?
2人っきりプラス契約獣で部屋に入ったが、シエル君はなかなか話出してくれなかった。
「シエル君?気分でも悪いのか?それとも…」
目が合った。
可愛い!!このまま押し倒したい。
ダメだ!!
18歳と36歳だ。
シエル君の両親と同じ年だ。
同じ年の同級生をお義父さん、お義母さんと呼べるかどうかだ。
シエル君と一緒になるという事は、そういう事だ。
じぃーと見つめ合っていたようだ。
照れたのか慌て出したシエル君は、バランスを崩してしまった。
「うぁ!!」
危ない!!急いで回り込みシエル君を抱きしめた。
まだまだ細い身体だ。もう少し肉を食べさせ、ちゃんとした他の美味しい料理も食べさせなければ。
あいつじゃないが、シエル君の為なら料理人でもなる勢いで料理をならうのも悪くない。
もちろん料理をならうのは、ギルドのちゃんとした料理人から習う。
抱きしめてしまったが、息も荒いし、私の胸元をさ、触ってる?軽く押したり、なでなでしてる?
あっ、嫌がってるのか?
それとも汗臭かったか?
こっそり、クリーンをかけようか?
くっついたままならバレるからと、少し残念だと思いながら、離れてから自分の身体にクリーンをかけた。
身体を綺麗にする魔法だ。
「大丈夫か?やはり、気分でも悪いのか?」
さりげなく、シエル君の背中をポンポンしたり未練たらしく身体に触れていたが、そろそろ色々バレそうだ。
「気分が悪かったんだな。無理するな。相談はいつでも受け付けてるから、部屋に戻るか?」
仕方ない。部屋に送って今日は少し話せた事に喜んでおこうと思った。
「……いや、一緒に居たい」
うぐっ!!
「……」
一緒に、い、た、い?
また、私の頭の中でシエル君の言葉が繰り返された。
抱きしめて、離さなくてもいいって事か?
そうなのか?
相談事とはそういう事なのか?
「……アロンさん」
うるうるした目で、見上げてきた。
ううっ!!
何かが込み上げ、ある部分が反応したが必死に抑えた。
まだ早い。
もう少しまて!!と。
こ、この反応は、やはり……
「そ、相談…でも何でも、いつでもしてやる。どうしたい?」
大人だからってずるい言い方をしてしまった。
だが、本人の口から聞きたいと思った。
私の事、どう思ってるのかとか、私とナニをしたいのかを。
胸の鼓動がこんなにも早くなるなんて、何だか息苦しくなってきた。
息が荒くならないように、冷静な自分を装い、シエル君にとっていつでも頼りになる大人だと思われたい。
そうなろうとした。
「あ、あのアロンさん。ボク…」
ゴクッ
「最近、コリラックさんと可愛いくろとで依頼を受けてるんですが……」
あぁ…、あ、あぁ?あれ?
「このイバド町周辺に魔物が居なくて…でもこのギルドの魔物図鑑には、この町周辺には魔物がたくさんいるような事書いてるから…」
あぁぁ、相談、そうだよな、相談だから相談だよな……。もう、自分がナニを言ってるのかわからなくなってしまった。
「……自分でも何を言ってるかわからないんですが……」
「…あぁ、私もだ」
「ええっ!!」
「いや、すまない、ちょっと考え事を…あぁ、違う、すまない、話を続けてくれ…」
ヤバイ。真剣な話なのに私情を挟んでしまった。
「ええっと、どこまでだったかな。」
『魔物狩りが出来ないから、どうしようって相談だろ』
「あっ!くろ可愛いだけじゃなく、頭もいいんだね。ありがとうくろ!!」
私にはくろと呼ばれてる契約獣が、グルルガゥガゥ言ってるようにしか思えなかった。
信頼関係もあり、可愛いと言ってもらえてる契約獣が羨ましい。
私も…信頼関係を築き上げたい。
くろと呼ばれた契約獣がこちらをちらっと見た。
やはり、意思疎通だけじゃなく人の心を読めてそうだ。
「魔物が居なくなるのは、何か悪い前触れじゃないかなぁと思うんですが、アロンさんはどう思いますか?」
魔物がいない?
どういうことだ?
他の冒険者たちは、普通にいつものように魔物の素材を売りにくるぞ?
『おい、聞こえるか?』
びくっ、な、なんだ?誰だ?
「くろ?あれ?グルルしか聞こえない?」
ガウガゥ、と何かシエル君と契約獣が話していた。
さっきの声、頭に響いた声は?
『我が直接パスを繋いだ。聞こえてるよな?』
「はっ、あぁ、聞こえてます」
『次に言うことは、出来るなら心にしまってくれ。シエルには悟られたくないと思ってるやつがいるからな。シエルはまだ、気づいてないことだしシエルは鈍感だから、気づかないだろうが一応、知らなくていいことだ』
「あ、あぁ」
『言葉は口に出さなくてもわかるから、口に出さなくてもいい。魔物が狩れないのは、シエルの両親の過保護とか親バカのせいだ』
「はっ?!あっ…」
『シエルを心配したバカ親が、過剰なほどの護衛をつけている。ついでに教会にももぐりこませている。そいつらが、シエルの狩りの邪魔をし、危険だからと言ってスライムやツノうさぎですら、1匹残らず狩り尽くしている』
「……」
その後も、ウォード公爵家の護衛集団な事などを教えてくれたのだった。
時折、シエル君の兄たちもこっそり見守りに来てる事、過剰で過保護な護衛集団がシエル君が町歩きする時にあまり気配を消さずについてくる事、くろと名付けられた聖獣の事、シエル君の一番悩みである魔物狩りをしたいのに出来ない事など。
一番の悩みである原因を何とかして欲しい。その原因がシエル君の過保護な護衛たちだった。
聖獣という事は秘密にとの事だ。
本来なら契約獣は、契約している者以外とは話せない。
あと、嬉しい事にシエル君は、私を気に入ってるという事を教えてくれた。
シエル君の悩み解決の為、私は早速動いた。
とりあえず、昼食を一緒に食べた後、一緒に狩りに行く事にした。
そして、隠れる気はあるのか?と問いたくなる程の護衛集団に話をつけた。
これ、本当にシエル君は気づいていないのか?
(*シエルは超鈍感なので気づいてないわよぉby腐ェニックス神)
魔物が狩れないから、シエル君が悲しんでると隠れているつもりの護衛集団のうちの一人に伝えた。
そして、数分後。
ドドドドドドドドっ
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!」
「うわぁ!!」
ま、魔物が、なぜ?というかやりすぎだ!!
いきなり降ってくるかのように、スライムの大群がきた。
危険なスライムはいないにしても、数が多すぎるスライムはある意味危険だし、気持ち悪い。
その数、数十匹。
その次はつのうさぎの大群が押し寄せてきた。
追い込まれてるのか?また十匹ほどの集団が立て続けに2度3度と続いた。
本来なら一度に遭遇する数は単独か、いても2匹程度しか出ない。
(*ここは異世界なので魔物であるツノうさぎの数え方は一羽、二羽ではなく、一匹、二匹になってるわよぉby腐ェニックス神)
一旦、狩りを中断し休憩中にこっそりと、護衛集団の1人と話した。
「普通にしてくれ!!生け取りした魔物をシエル君に、大量に放つのはやめてくれ!!あと、追い込みもダメだ。普通に魔物狩りをさせてあげてくれ!!」
しょんぼりした護衛たちを放置して、足早にシエル君の元に戻った。
そして、つのうさぎの解体も教えた。
教えたら、シエル君は冒頭のようになってしまった。
「疲れただろう?」
「うっ、ううん…ただ…」
うっ!!
「無理はしない方がいい。最初は、誰もが通る道だから、吐いたらいい」
うっ……~自主規制の音と色々~……
***
*シエル目線
ボクは、悩みを抱えていた。
悩みというか、悩みらしくない悩みなんだけど……。
イバド町は比較的安全な町だからなのか、いつものメンバーであるコリラックさんと可愛いくろの3人…2人と1匹?で狩りに行ってたんだけど、一度だけではなく、二度三度…五回ほど町の外に行ったんだけど……。
日帰り出来る範囲での距離では、魔物と遭遇(そうぐう)しなかったんだ。
コリラックさんの提案で魔物の討伐系の依頼ではなく簡単に見つかる薬草摘みという名目で、魔物狩り行ってたんだけど……。
五回以上行ったのに、スライムですら魔物が一匹も出なかったのだ。
一度くらいは、魔物をヤっつけてみたいと思っていたし、魔物が全く出ないって事は少し異常なのではと思ってしまった。
そして冒険者ギルドに行くと、アロンさんがいた。
受け付けにいたアロンさん。
他にも受け付けはあるんだけど、また避けてしまうのも変だし、変に意識してしまうのも"オレ"だけなのかもしれないし、目があってしまったから、数人待っていたから順番待ちしてる間に落ち着こうと思った。
ここ最近、やはりアロンさんを見かけたりアロンさんの事を思うとなんだか落ち着かない気がする。
冒険者としてちょっと気になるって事で、魔物に関する事だし……そ、相談するだけ、そ、相談……。
「ちょっとご相談したい事があります」
変に緊張してしまったボクは、真剣になぜか小声でアロンさんに話しかけていた。
アロンさんは、周りのギルドの人に目配せし受け付けをわざわざ変わってもらっていた。
そして今、小部屋に2人っきり。
いや、ずっと一定の距離を保ちながら、トコトコついてきてくれる可愛いくろがいる。
常にくっついていてくれているから心強い。
安心、安全?心強い、そして可愛いし、最高だねボクのくろ!!
小さな木のテーブルに、大きめの椅子が二つ。
すごくシンプルで木で出来た小さなお部屋。
落ち着く部屋だと思った。
ここは、大きな額の金銭受け渡しやボクみたいな相談がある人のための部屋だそうだ。
「さっ、そこに座って。久しぶりって言っても、ほぼ毎日見かけるが、話すのは久しぶりだね。」
ご、ごめんなさい。
それは、オレが悪い。
ボクの方はアロンさんに逢いたがっていたから、戸惑っていたのは、オレ。
だけど本当はオレも……逢いたかったから、暇さえあれば…、毎日暇だから、ギルドの図書室っぽいとこに通っていた。
チラッとアロンさんを見て、顔がなぜか火照てしまうし、アロンさんの腕に視線を移したら……。
あのたくましい腕にギュッとされたんだなぁとか、その他もろもろを思い出してしまい、頭を振りたくなってしまうから、なるべく見ないように努力はするんだけど…無理。
オレ、欲求不満なのかな?
アロンさんは、あの事を気にしてないのか、それともよくある事だから割とあぁいう事は、他の人にもしてあげてる事なのかもしれない。
何だかへこみそう。
ボク以外を抱きしめて、ああいう行為をするアロンさん…やばい、思った以上になんか嫌だ。
まさかあんな事になるだなんて予想すらしなかった。男同士なのに……。
だけど、アロンさんの事を思えば思うほど何も手につかない事が多くなってしまった。
これがどういう事なのかは、わかっているつもりだ。
胸がドキドキし、足元がふわふわしてる気もするし、わけもなくじっとしていられなくなる。
そして、抱かれた時の事を思い出し、アロンさんの口元を…ああああぁ!!
キスを思い出し、恥ずかしくて顔を両手で覆(おお)っても、耳がじんわり熱くなるのを感じたりしてしまっていた。
男同士なのに、男と男だよ?!
オレは女が好きだったはずなのに、なぜ?!
アロンさんだからなのか?
女らしいとこ一つもないし、男ってかんじの男で、うらやましいほどの筋肉もあるし、アレも……、アロンさんのアロンさんもボクと比べ物にらならないくらい、気持ちいい……じゃなくて、おっきくて、太くて、かたちも…あんなに……。
「恥ずか死ぬ」
キスどころかあんな事をしてしまったのに対して、びっくりだが、それよりも、キスやあんな事をしたのに嫌いになるどころか、気になりすぎている自分にかなり動揺してしまっていた。
「シエル君?気分でも悪いのか?それとも…」
目の前のアロンさんと目が合った。
思ったより近い距離から見つめ合って…ゴホッ、見られてる事に変に驚いてしまい、座っていたのに急に立ちあがろうとしバランスを崩してしまった。
「うぁ!!」
いつのまに移動したのかわからないけど、気づけばたくましいこの温かな腕と、筋肉質な胸、すっぽりとボクの上半身を包み込んでくれていた。
「大丈夫か?やはり、気分でも悪いのか?」
ボク…オレがバカな事?アロンさんとの事考えていたからなのに、この気持ちの名前?がどう言った事なのかも気づいてるはずなのに……。
まだ、認めたくない自分とただ恥ずかしいっていうバカな自分がいて、ぎこちない動きと行動しかできない。
情け無い自分になってしまった。
アロンさんがす、好き、気になるし、好きだ。
だけど、それを伝えるのがこわい。
アロンさんは、かっこいいし、ボクとちがい身長もこの筋肉も、(※シエルは無意識にアロンの胸をスリスリしてます)優しくてたくましくて、すごくあたたかくて…好きなのに伝えれない。
断られるのが怖いから。
それなのに、また抱きしめられた事が嬉しくて、ずっとこの腕に抱かれていたいと思ってしまった。
すがりつくかのように…みっともなくしがみついていたら、背中をポンポンしてくれた。
「気分が悪かったんだな。無理するな。相談はいつでも受け付けてるから、部屋に戻るか?」
部屋に、戻る?アロンさんは?いや、戻りたくない!!
「……いや、一緒に居たい」
うぐっ!!
「……」
あれ?言葉まちがえた?!
*アロン目線
ここ数日天気が落ち着かないせいで、足の古傷が痛む事が多くなっていた。
助けれなかった多くの命、毎日身体を鍛えていたのに結果は散々だ。
少なくなってしまった仲間、使い捨て同然な扱いをされ、生き残った者も国に仕える気も失せるよう国……。全員死亡と報告しても生き残った俺をさらに使おうとする国王。
この国はもう……。
死に場所を探していたはずなのに、さっさと俺もこの国から離れたらいいのに、気づけば仲間が亡くなった場所に行き、手を合わすわけでもなく花を手向けるわけでもなく、ただ何の感情もないかのようにただ茫然(ぼうぜん)とその場にたっていた。
ただ役立たずが、その場にいるだけだった。
彼に再開するその時までは……。
あのクソ王子だけじゃなく、クソ国王。
そして一番許せないのが王妃だ、クソをいくら付けても足りないどころか、八つ裂きにし、一番酷く残虐な殺し方を何度も何度も頭の中で繰り返していた。
幽閉という甘すぎる国の対応に腹が立っていた。
シエル君を、私の愛しいシエルに、酷すぎる事をした王族が、許せない!!
許せない!!
私は、シエル君を抱いた時のあの尋常じゃない痩せた身体と骨折跡、そして身体の至る所に残る微かな切り傷、それらを誰にやられたのかを調べに王都に行った。
国王とは同級生だからか、友人とでも思われてるのか国王との面会は気が抜けるほどすんなり許可が降りた。
2人っきりではなかったが、欲しかった答え以上のものを手に入れた。
シエル君の事を考えると、どれほどの痛みや苦しみをあの小さな身体に刻まれたのかを考えると、目の窓の王族を殺したくなってしまった。
面会時に、武器類は持ち込めないが国王の腕はあまりよくないし武器がなくとも簡単に殺せそうだ。
王妃だけは、じわじわ苦しみを与えながら殺したい。
殴りつけ身体に小さな傷を作り、天井から逆さに吊りにみっともない姿をバカにしてきた奴らの目の前にさらし、ぶら下げ失血死させるのもいいかもしれない。
頭の中では、何度も殺してる王族。
シエル君の両親である美男美女であるウォード公爵夫妻と合った。
目的はほぼ一緒だった。
ただ、違うのは公爵夫妻は確たる証拠を携(たずさ)えており、医師の診断書と教会の者が治癒と回復魔法を使ったとされる書類。
身体のどこに酷い傷があるとか、ムチで叩かれたような跡、刃物で切りつけたような跡、ヤケドの跡、栄養失調、不正なお金の流れ、第一王子がシエル君に送ったはずの贈り物の変更届け、宝飾関係のアレコレ、不正受理した証拠がずらりと並べられていたのに、第一王子以外は平然としていた。
第一王子は、母親である王妃に理由を聞くために、うるさく叫んでいたが、どういう神経をしているのかわからない王妃は、気持ち悪い笑みを浮かべながら、あの子が悪いとか、公爵夫妻の目の前なのに王族である我が息子が選んであげた上、しつけもしてあげたのに感謝もないとか、無作法だとか言うことを聞かなかったとか、聞くに耐えない言葉を吐いていた。
これは人間なのか?言葉を話す魔物かもしれないと思った。
第一王子がシエル君に送ったはずの贈り物に関しては、何も出来ない婚約者候補に贈る価値はないから、私が有効活用してあげたのよ、と平然とした態度で言葉を吐いていた。
公爵夫妻は、見なくてもわかるほど、今にも王族惨殺しかねないほどの魔力を纏わせていた。
国王は、何を考えてるのかわからない目、生きてるかどうかもわからない顔をしながら、ただそこにいた。
たまに動くから息はしてるんだろうが、あまりにも酷い行いにどうするのかと思っていたが、結果は王妃は王族専用の小さめの別宅に幽閉。
庶民からしたら充分高価な家だ。
専用の侍従と護衛も数人付け、予算も今までの半額程度。ふざけてるのかと言いたい。
表向き病気療養らしい。
元の生活ぶりからしたら、かなり質素になるんだろうがあまりにも甘すぎる処置に、やはりこの国は終わってる、早めに切り離そうと思った。
「私は、エドリックが好きだったのに。な、なんで、何でなの?!こんな事、この私にしていいと思ってるの?!エドリックと別れさせられた上、わざわざこの国に嫁いであげたのよ!!貴重な女だから!!国と国を繋ぐだけの女として、1人子どもを生めば、エドリックと一緒になれると思って、この国に来てあげたのに、あんまりだわ!!」
「「「「「!!!」」」」」
国王は少し動揺したのか、椅子から立ち上がろうとした。第一王子は、ショックを受けた表情をしていた。
「エドリックとは、エドリック・ドロン、茶髪で目の色も茶色の隣国から来た……。」
「エドリック、そう!エドリック・ドロン、私のエドリック・ドロンよ!!あなた、彼を知ってるの?!どこ?知り合いなら私のエドリックがどこにいるか知ってるはずよね!ねぇ、彼は、エドリックはどこなの?近くにいるの?!」
同姓同名なのか?
それとも、本当にエドリックの相手が王妃なのか?
「……。」
「あなた、私のエドリックとはどういう関係なの?私とエドリックは恋人同士なのよ!!あなたまで、私たちの仲を邪魔をするの?!」
「………」
ふざけるな!私が好きなのはシエル君だけだ!!
エドリックは仲間だったうちの一人だ。
「彼が近くにいるのね!!私のエドリックなのに、早く、早く彼を連れてきてよ!!連れてきなさい!!」
「連れてくることは……もう出来ません」
「なんで、何でなの?あなた、私は王妃なのよ!!この国で一番偉い地位の女なのよ!!あなたみたいな庶民、私が言えば簡単に処分できるのよ!!」
「……」
エドリックは趣味悪いな。
こんな魔物のような女が好きだったのか?
わざわざ隣国から、好きな人がこの国にきたからとか、身分が違うから一緒にはなれないとか言ってたが、本当にこんな……。
逢えないがせめて近くで彼女がいる国で、弱い立場の人たちを守りたいって言ってた。
エドリック、この女を好きだったのか?
身分差があるときいてたからてっきり高位貴族誰かだと思っていた。
マジックバックからエドリックが大切にしていた小さな巾着と冒険者ギルドA級のプレート、そして討伐命令が下された日に第三騎士団は、全員遺書を2部ずつ書いていた。
全員分を団長だった俺と副団長で一部ずつ預かっていた。
討伐が終われば、こんなもん書いたなぁと笑いながら燃やそうと言いながら、討伐に行った。
結果、本当の遺書、燃やすことの出来ない遺書になってしまった。
エドリックは騎士団に入る前に冒険者登録していたのを俺が騎士団に誘った。
強い彼を騎士団に誘ってしまったのは俺だ。
「彼は、エドリック・ドロン…享年34歳は、約2年前の2カ所同時スタンピートで、命を落としました。彼は、果敢に戦いこの国に大切な人がいるから、その人の為にもこの国人を守る為、命を落としました。大切な人がいるから、身分違いだから一緒にはなれないから、違う立場で自分も……大切なこの国の人を守る為、第三騎士団に3年前に入団しました。エドリックは、獣人族や、身分にこだわらず、弱い立場の者に対しても親身になり、手助けする立派な騎士の一人でした。討伐時、この国は、第一と第二は王都だけを守り、第三騎士団は現地に配されました。幾度も応援要請を出したのに、ことごとく受理されませんでした。何の補償もなく、第三騎士団は壊滅しました。亡くなった騎士団、そしてその家族の補償もなく、この国は何をしてるんですか?エドリックは、仲間は、この国の為魔物と戦いながらこの国の人を守りました。怪我が元で、歩きづらくなったり、手足を失い、怪我が元で亡くなった者もたくさんいます。あなたは、あなたは何をしてましたか?庶民ではない、公爵家の三男を衰弱死寸前に追い込み、さらに傷つけ、自分の欲を優先し、守らなければならない者でさえ…守らなかった…。この国で偉いなら、それなりの事を……」
「エドリック!!私のエドリックがぁぁぁ!!!」
その後の事は、まるで自分が自分ではないかのようだった。
最後に、ひと目シエル君に逢いたいと思った。
これだけ王族に刃向かい、暴言を吐いてしまったからここで死ぬんだと思った。
誰が私を死刑にしてくれるんだろうか?と考えていた。
いつのまにか立ち上がった国王は、私に頭を下げた。
「すまなかった」
周りはざわついていたと思う。
この国のトップが私なんかに頭を下げたから。
身分的にもたかが辺境伯の兄だから。
貴族籍は、弟たちの反対で抜く事が出来てなかった。
私は長男で次男も好きなことをする為、三男に辺境伯の地位を押し付けたのだった。
ほぼ庶民の私に頭を下げて謝罪する国王。
学友だった国王。
王妃の振る舞いは決して許されない事だが……と間を置きポツポツと語った。
王妃が国で恋人がいた事は知っていたらしい。
お互いの国の為と、政略結婚はよくある事だからと誰が言った言葉かはわからないが、隣国の姫との婚姻を結んだ。
王族だから、婚姻後でも夫婦としてやっていけたらと思っていたが、それは叶わなかったようだ。
子作りの為、義務として決まった時だけ一緒に寝て終われば別々に寝る生活をしていたらしい。
だんだんと義務だから抱き、義務だから公務だけは、仲が良さげに装った。
だがあと2人娶らなければならない。
そう思い、第二妃と第三妃は自分の好みの者を妃にした。
王妃とは義務、第二と第三は好きな時に一緒にいれると思い、王妃の元にほとんど通う事はなかった。
奇跡的に授かった第一王子。
義務は果たしたと思ったらしい。
その後は、第二と第三に堂々と頻繁に通い、第二子、第三子と子を授かった。
授かれば授かるほど王妃は荒れ、金遣いも荒くなったが国の為と思い、なるべく王妃が欲しがる物や、わがままも見逃していた。
シエル君と第一王子との婚約は、恥ずかしながら知らなかったようだ。
幼いから、まさか本当に婚約したとは思わなかったらしい。
部屋も王妃とは、かなり離れておりほぼ離宮に等しい場所であった。
そこは特別な宮殿扱いだった。
シエル君がいた場所も特別宮の中にある一室だった。
第二子以降の王子たちとはよく会っていたが、特別宮にいる第一王子と王妃には、あまりいい印象はなく、どちらかと言えば避けていたらしい。
最後あたりに、応援要請のことだ。
発覚したのが、ここ数日前だったらしい。
元王妃付きの使用人が配置換えで、王城の書類や、手紙を配る部署に飛ばされたそうだ。
逆恨みしたのか、手紙を配るふりをしサボったり、ひび割れた壁や床の隙間に書類や手紙を隠していたらしい。
その部署のひび割れた所を調べると、もう使われていない地下の古い牢屋に繋がっていたそうだ。
たくさんの重要な書類や手紙、そして何度も送った応援要請もあったらしい。
応援要請が通ったとしたら、何人生き残れたのだろうか?謝罪されても、もう戻らないんだから……。
何も言わず王城を出た。
公爵夫妻も。
シエル君の現状を知らせると
「む、息子には、まだ早い。それにアロン君と私と妻は同じ年だ。君を息子と認めたくないし、私たちの可愛いシエルが君を……」
「年齢の事はいいわ。シエルが決めたならね。もしそうなれば、私たちの領地にある本邸に2人で来てね」
公爵の妻オリビア・ウォードは、夫のローマンの背中をポンポンしながら馬車に乗った。
私もイバド町に戻り、シエル君と話し合おうと思った。
愛してるから、好きだから話し合い、納得できるまで話したいと思った。
イバド町に戻り、なぜかはわからないが話しかけようとするたびにシエル君に避けられている気がした。
シエル君の契約獣は中に人が入ってるんじゃないのか?と思えるほど、人間味ある仕草をしたり、首を振ったり、話しかけるなと手で制したりする事もあった。
話しかけたいのに話しかけれない日が数日続いた。
そして、今日もまた…今度は目が合った。
また避けられるかと思ったが、私のいる所、他の窓口もあるのに、わざわざ私の所、3人邪魔……じゃなくて、3人並んでいたが4番目にシエル君が並んでいた。
いつも以上の猛スピードで受け付け業務をこなした。
我ながら頑張った。
やっと話せる。やっとそばに……。
いや、違う。
ギルドに来るっていう事は仕事の依頼とか、魔物の買い取り、護衛?は契約獣がいるから……な、何なんだ?
ど、どうして私のところに?
恥ずかしそうに美しくもあやしく光る瞳で、「ちょっとご相談したい事があります」と言ってきた。
ごそうだん?ごそう、だん?誤送?そうだ、んっ?
何を言われたのかを理解するのに時間がかかってしまった。
しばらくの間シエル君の言葉が頭の中で繰り返された。
こうしてる場合ではない!!
そう思い急いで、ギルド職員に目配せをした。
次に並んでくれていた邪魔な……ゴホッ、冒険者たちに頭を下げて、他の職員に窓口を代わってもらった。
2人っきりになる為……いや、シエル君の契約獣もいるから、2人っきりではないが……。
さっきからシエル君の契約獣に心を読まれている気がする。
若干あきれたような雰囲気というか、目を細めて鼻で笑われてる気もする。
なぜだ?
2人っきりプラス契約獣で部屋に入ったが、シエル君はなかなか話出してくれなかった。
「シエル君?気分でも悪いのか?それとも…」
目が合った。
可愛い!!このまま押し倒したい。
ダメだ!!
18歳と36歳だ。
シエル君の両親と同じ年だ。
同じ年の同級生をお義父さん、お義母さんと呼べるかどうかだ。
シエル君と一緒になるという事は、そういう事だ。
じぃーと見つめ合っていたようだ。
照れたのか慌て出したシエル君は、バランスを崩してしまった。
「うぁ!!」
危ない!!急いで回り込みシエル君を抱きしめた。
まだまだ細い身体だ。もう少し肉を食べさせ、ちゃんとした他の美味しい料理も食べさせなければ。
あいつじゃないが、シエル君の為なら料理人でもなる勢いで料理をならうのも悪くない。
もちろん料理をならうのは、ギルドのちゃんとした料理人から習う。
抱きしめてしまったが、息も荒いし、私の胸元をさ、触ってる?軽く押したり、なでなでしてる?
あっ、嫌がってるのか?
それとも汗臭かったか?
こっそり、クリーンをかけようか?
くっついたままならバレるからと、少し残念だと思いながら、離れてから自分の身体にクリーンをかけた。
身体を綺麗にする魔法だ。
「大丈夫か?やはり、気分でも悪いのか?」
さりげなく、シエル君の背中をポンポンしたり未練たらしく身体に触れていたが、そろそろ色々バレそうだ。
「気分が悪かったんだな。無理するな。相談はいつでも受け付けてるから、部屋に戻るか?」
仕方ない。部屋に送って今日は少し話せた事に喜んでおこうと思った。
「……いや、一緒に居たい」
うぐっ!!
「……」
一緒に、い、た、い?
また、私の頭の中でシエル君の言葉が繰り返された。
抱きしめて、離さなくてもいいって事か?
そうなのか?
相談事とはそういう事なのか?
「……アロンさん」
うるうるした目で、見上げてきた。
ううっ!!
何かが込み上げ、ある部分が反応したが必死に抑えた。
まだ早い。
もう少しまて!!と。
こ、この反応は、やはり……
「そ、相談…でも何でも、いつでもしてやる。どうしたい?」
大人だからってずるい言い方をしてしまった。
だが、本人の口から聞きたいと思った。
私の事、どう思ってるのかとか、私とナニをしたいのかを。
胸の鼓動がこんなにも早くなるなんて、何だか息苦しくなってきた。
息が荒くならないように、冷静な自分を装い、シエル君にとっていつでも頼りになる大人だと思われたい。
そうなろうとした。
「あ、あのアロンさん。ボク…」
ゴクッ
「最近、コリラックさんと可愛いくろとで依頼を受けてるんですが……」
あぁ…、あ、あぁ?あれ?
「このイバド町周辺に魔物が居なくて…でもこのギルドの魔物図鑑には、この町周辺には魔物がたくさんいるような事書いてるから…」
あぁぁ、相談、そうだよな、相談だから相談だよな……。もう、自分がナニを言ってるのかわからなくなってしまった。
「……自分でも何を言ってるかわからないんですが……」
「…あぁ、私もだ」
「ええっ!!」
「いや、すまない、ちょっと考え事を…あぁ、違う、すまない、話を続けてくれ…」
ヤバイ。真剣な話なのに私情を挟んでしまった。
「ええっと、どこまでだったかな。」
『魔物狩りが出来ないから、どうしようって相談だろ』
「あっ!くろ可愛いだけじゃなく、頭もいいんだね。ありがとうくろ!!」
私にはくろと呼ばれてる契約獣が、グルルガゥガゥ言ってるようにしか思えなかった。
信頼関係もあり、可愛いと言ってもらえてる契約獣が羨ましい。
私も…信頼関係を築き上げたい。
くろと呼ばれた契約獣がこちらをちらっと見た。
やはり、意思疎通だけじゃなく人の心を読めてそうだ。
「魔物が居なくなるのは、何か悪い前触れじゃないかなぁと思うんですが、アロンさんはどう思いますか?」
魔物がいない?
どういうことだ?
他の冒険者たちは、普通にいつものように魔物の素材を売りにくるぞ?
『おい、聞こえるか?』
びくっ、な、なんだ?誰だ?
「くろ?あれ?グルルしか聞こえない?」
ガウガゥ、と何かシエル君と契約獣が話していた。
さっきの声、頭に響いた声は?
『我が直接パスを繋いだ。聞こえてるよな?』
「はっ、あぁ、聞こえてます」
『次に言うことは、出来るなら心にしまってくれ。シエルには悟られたくないと思ってるやつがいるからな。シエルはまだ、気づいてないことだしシエルは鈍感だから、気づかないだろうが一応、知らなくていいことだ』
「あ、あぁ」
『言葉は口に出さなくてもわかるから、口に出さなくてもいい。魔物が狩れないのは、シエルの両親の過保護とか親バカのせいだ』
「はっ?!あっ…」
『シエルを心配したバカ親が、過剰なほどの護衛をつけている。ついでに教会にももぐりこませている。そいつらが、シエルの狩りの邪魔をし、危険だからと言ってスライムやツノうさぎですら、1匹残らず狩り尽くしている』
「……」
その後も、ウォード公爵家の護衛集団な事などを教えてくれたのだった。
時折、シエル君の兄たちもこっそり見守りに来てる事、過剰で過保護な護衛集団がシエル君が町歩きする時にあまり気配を消さずについてくる事、くろと名付けられた聖獣の事、シエル君の一番悩みである魔物狩りをしたいのに出来ない事など。
一番の悩みである原因を何とかして欲しい。その原因がシエル君の過保護な護衛たちだった。
聖獣という事は秘密にとの事だ。
本来なら契約獣は、契約している者以外とは話せない。
あと、嬉しい事にシエル君は、私を気に入ってるという事を教えてくれた。
シエル君の悩み解決の為、私は早速動いた。
とりあえず、昼食を一緒に食べた後、一緒に狩りに行く事にした。
そして、隠れる気はあるのか?と問いたくなる程の護衛集団に話をつけた。
これ、本当にシエル君は気づいていないのか?
(*シエルは超鈍感なので気づいてないわよぉby腐ェニックス神)
魔物が狩れないから、シエル君が悲しんでると隠れているつもりの護衛集団のうちの一人に伝えた。
そして、数分後。
ドドドドドドドドっ
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!」
「うわぁ!!」
ま、魔物が、なぜ?というかやりすぎだ!!
いきなり降ってくるかのように、スライムの大群がきた。
危険なスライムはいないにしても、数が多すぎるスライムはある意味危険だし、気持ち悪い。
その数、数十匹。
その次はつのうさぎの大群が押し寄せてきた。
追い込まれてるのか?また十匹ほどの集団が立て続けに2度3度と続いた。
本来なら一度に遭遇する数は単独か、いても2匹程度しか出ない。
(*ここは異世界なので魔物であるツノうさぎの数え方は一羽、二羽ではなく、一匹、二匹になってるわよぉby腐ェニックス神)
一旦、狩りを中断し休憩中にこっそりと、護衛集団の1人と話した。
「普通にしてくれ!!生け取りした魔物をシエル君に、大量に放つのはやめてくれ!!あと、追い込みもダメだ。普通に魔物狩りをさせてあげてくれ!!」
しょんぼりした護衛たちを放置して、足早にシエル君の元に戻った。
そして、つのうさぎの解体も教えた。
教えたら、シエル君は冒頭のようになってしまった。
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