無限、そして超無限の妻たちへ、その先へ!

Okabe Rinka

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第1章 ラジオ会館の銀河探索者

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宇宙は広大だ。無限に広がる星間塵、渦巻く星雲、そして冷たく古めかしい光を放つ孤独な恒星たち。我が使命は、その計り知れぬ深淵を測量し、超銀河団の間に潜む秘密の経路を見つけ出し、誰も足を踏み入れたことのない場所に、人類の好奇心という旗を立てることにある。

もっとも、現実は、秋葉原でビラ配りだ。

「プライム・タイムライン・クラブへようこそ! 因果律の神秘を解き明かそう! 未来はまだ決まっていない!」 僕の声は、街の電子音のハムを切り裂いて響いた。我こそは、四次元の銀河探索者、如月・“バズ”・リョウ。今日の宇宙船、伝説のラジオ会館の前に立っていた。

手には、自らが丹精込めてデザインしたビラの束。中身は、盗んできたドラマチックなストックフォト——銀河が内側に詰まった砂時計の写真だ。文字は太く、時間の本質についての啓示を約束している。

しかし、この時間的に遅れた惑星の住人たちは、僕をまったく気にかけない。サラリーマンは目を逸らす。アニメの戦利品でいっぱいの袋を抱えた観光客は、僕が重力異常でもあるかのようによけて通る。ビラへの関心は、宇宙の真空と同じレベル——つまり、ゼロだ。

英雄的な勧誘活動のために張りつめていた肩は、だらりと垂れさがった。無限の宇宙は、とても、とても遠くに感じられる。

そして、その時、奇跡が起きた。お揃いのファッションのカップルが足を止めたのだ。男の子が僕のビラ、そして僕を見た。魂に希望の火花が灯る——新たな同志の誕生か!

「プライム・タイムライン・クラブ?」 男の子が尋ねた。口調は好奇心に満ちている。

「そう! 我々は現実の根源を探求する!」 光速で回復した自信とともに宣言した。「時間は川ではなく海だ。そして我々は、それを航海する船を建造しているのだ!」

女の子がビラを覗き込んだ。「で…実際には何するの?」

「理論的な議論に、実践的な実験! 愛と科学はどちらも無限を超越しうると証明することを目指す!」 ポーズを決めて宣言した。「宇宙はでかいが、俺の心はもっとでかい!」

二人は僕を見つめた。男の子はゆっくりと瞬きし、女の子は弱々しい、哀れみの混じった微笑みを浮かべた。

「えっと…なんつーか、大変そう」 男の子が言った。「俺ら、メイドカフェの予約あるから。行くよ」

そう言って、二人はさっさと去り、秋葉原の群衆という時の流れに飲み込まれてしまった。希望の火花はパチパチと音を立てて消え、後に残ったのは、冷たく硬い現実だけだった。

「この惑星の住人たちは、まだ真実を受け入れる準備ができていないようだ」 千の恒星の崩壊する重みを載せたため息をついた。

---

我が司令部、宇宙船のブリッジは、埃っぽい店舗の上に借りた一室だった。建物自体は古びており、ネオンと喧噪の中で孤高を保っている。そしてその管理人こそ、ブラックホールの事象の地平面のように恐るべき男だった。

元海軍士官で大家の大倉大吾“船長”は、無口な権威の象徴のような男だ。美しい、アンティークの真鍮製望远镜を布で磨きながら、ゆっくりと正確な動作をしていた。僕が近づいても顔を上げないが、その存在感は玄関全体を満たしていた。

彼は客——十八歳くらいの、明るくおしゃれな印象の女性——と話していた。女性は、彼の何気ない言葉に笑っている。頑固な外見に似合わず、大吾には不思議な、父親のような魅力があり、時折それが顔をのぞかせるのだ。

「…つまりな、お嬢さん」 彼は唸るように言った。声は遠くの海岸に打ち寄せる波のようだ。「良いレンズは、清らかな良心と同じで、物事をありのままに映し出す。願望ではなくてな」

女の子はクスクス笑い、小さなコンパスを買って、手を振って去って行った。

大吾の鋭く物事を見透かすような目は、彼女を見送ると、ゆっくりと僕に向けられた。彼に見つめられ、僕は戦艦に見つめられたフリゲート艦の気分だった。

「如月」 彼は言った。『こんにちは』も『今日はどうだった』もない。ただ俺の名前だけが、言葉にされていない意味を込めて重く響く。

「船長!」 僕は叫び、なんちゃって気をつけの姿勢をとった。

「家賃だ」 彼は望远镜を置きながら言った。「もう2ヶ月だ。約束だけでは船は進まん。燃料が要る」

英雄的なペルソナがしぼんでいくのを感じた。銀河探索者は、経済学という平凡な物理法則によって、地上に縛りつけられていた。僕は少し頭を下げた。「すみません、大倉船長。クラブの…資金調達の方は…時間的な遅延が生じております」

彼はフンと言った。それは理解から完全な軽蔑まで、何でも意味しうる音だ。「時間を操るんじゃない——時間の潮流を生き延びるんだ。そして今のお前は、溺れかかっている。すぐに方法を見つけろ」

そう言うと、彼は自分の宝物たちへと戻り、明らかに会話は終了した。僕は彼の脇を小走りに通り過ぎ、階段を駆け上がり、プライム・タイムライン・クラブの聖域へと逃げ込んだ。

---

部屋は、配線、分解途中の電子機器、アニメポスターで彩られた美しい混沌だった。その嵐の中心に、僕の一番乗組員、恩田琢磨がいた。彼はローリングチェアにだらりと寄りかかり、お腹の上にポテトチップスの袋を乗せ、設計図に囲まれたモニターで昔のロボットアニメを見ている。

「琢磨! 我が忠実なるエンジニア!」 僕は宣言し、空のカバンを散らかった机の上に放り投げた。「今日の作戦状況を報告せよ!」

彼は画面から目を離さない。「作戦名『昼食』。成功裏に終了」

「今、何をしている?」 彼のメインワークベンチにある、基盤と点滅するLEDの散らかりを見ながら尋ねた。

それで彼の注意が引きつけられた。彼の目の奥でスイッチが入る。怠惰な無気力は消え、狂信的でインスピレーションに満ちたエネルギーに取って代わられた。彼はチップスの袋を押しのけ、椅子が悲鳴を上げる中、飛び上がって立ちあがった。

「見よ!」 彼は宣言し、腕を一つの奇妙な装置に向けて振りかざした。それは、電子レンジとテルミンが結ばれ、さらにキッチンの泡立て器がいくつか取り付けられたように見えた。「その名も『環境ムード共鳴装置』! ユーザーの生体リズムを読み取り、部屋の気圧と湿度を変化させて、完璧な、パーソナライズされた快適空間を創り出すんだ!」

彼は誇らしげに満面の笑みを浮かべた。僕は身を乗り出し、その装置を、異星の遺物を検査する科学者のような強いまなざしでじっくりと観察した。これは、どう見ても、完全に、そして徹底的に、無意味だった。しかし同時に、輝かしいものだった。その純粋で、誤った方向への天才ぶりは、息をのむほどだ。

「琢磨…これは素晴らしい!」 僕は心からの敬畏の念を込めて言った。この発明は、問題を探す解決策、過剰設計の傑作だった。それは我々のクラブの精神が具現化されたものだ。

彼は胸を張って誇らしげになった。「だろ?」

彼の高揚した機嫌を見て、僕は戦術的な好機と捉えた。「そんな天才的頭脳が、俗事的な心配ごとで煩わされるべきではない。ついでに言うと…少しだけ金を借りられないか? クラブの財政が脱出速度に達するまでだけ」

琢磨の目の輝きが薄れた。狂信的ひらめきは後退し、無一文の大学生としての現実的な陰鬱さに取って代わられた。彼は哀しげに隅にある大きな、未開封の段ボール箱を指さした。そこには、有名な、人気魔法少女アニメの限定版フィギュアのロゴが印刷されている。

「悪いな、リョウ」 彼は重苦しい声で言った。「さっき買ったばかりなんだ。『クリスタライン・セーラーみかんちゃん メモリアルエディション』。俺の自由に使える資金は…殲滅された」

その日二度目、僕の肩は落ちた。「そうか。文化のための必要な犠牲、ということか」

僕はため息をついた。それはラジオ会館でついたため息よりもさらに重かった。銀河探索者には仕事が必要だ。アルバイトが。その考えは魂への汚点、超越すべき惑星への縄のようなものだ。しかし、たとえ宇宙船でもダイリチウム結晶は必要だ。たとえ船長でも、ドック使用料は払わなければならない。

もしかしたらラーメン屋が雇ってくれるかも、と僕は深遠な敗北感とともに考えた。

その時、音がした。優しい、リズミカルなドアを叩く音。

コン、コン、コン。

それは、自分の船の humming と同じくらいよく知っている音だった。太陽フレアを鎮め、小惑星帯を航行できる音だ。

ドアを開けると、彼女が立っていた。僕の妻。僕の錨。僕の青。

水瀬青は廊下に立ち、優しい微笑みを浮かべ、大きな保温性のランチバッグを手にしていた。十八歳で、彼女は僕の世界の混沌を管理可能に見せてしまう、落ち着いた成熟を備えている。彼女の存在は、僕の人生という混沌とした星系において、安定した、居住可能な惑星だった。

「リョウ」 彼女は言った。声は、より静かな宇宙から聞こえるメロディのようだ。彼女は中へ入り、散らかった部屋、琢磨の新しいフィギュアの箱、そして僕自身の落胆した姿勢を、たった一瞥で、理解したように見て取った。

説教はしない。家賃や失敗したビラ配りのことすら尋ねない。彼女はただランチバッグを掲げ、はんだやポテトチップスの匂いを切り裂く、最高に素敵な香りを部屋中に広げた。

「またジャンクフードばかり食べてるんじゃないかと思って」 彼女は微笑みを柔らかくしながら言った。「だから、カレーライスを作ったの」

その瞬間、美しく、忍耐強い妻を見つめながら、無限の宇宙の広大さは、それほど孤独には感じられなかった。超限的な時間の性質は、解き明かすべき謎というより、分かち合うべき贈り物のように思えた。使命はただ星々に到達することだけではない。このタイムラインの上で、彼女にふさわしい未来を、まさにここで築くことなのだ。

そしてそれはすべて、カレーから始まる。
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