4 / 5
第4話 対決
しおりを挟む
(どういうことだ……巡礼の一行を守って旅をした女が、悪女などということがあるだろうか? しかも、妹がいる? ……拙者は何か、重大な思い違いをしていたのではないだろうか)
ガエタンは考え、ある方法を思いつく。
(そうだ、大聖堂だ。あの女が奉納した祈祷書とやらを確認すれば、真偽が分かるはず)
突如ガエタンは立ち上がる。麦酒の杯を手にしたまま、若者が見上げる。
「どうなさったんです、騎士さま?」
「拙者は所用を思い出したのでこれで失礼する。あなた方もよい旅を」
言い残し、急ぎ足で店を出る。
しばらく酒の杯を重ねたのち、騎士見習いの若者も席を立つ。
預けていた馬を引き出しに行き、馬丁に尋ねる。
「先ほどの騎士さまは、どちらへ向かわれましたか?」
「大聖堂へ。えらく急ぎのご様子で」
馬丁の答えに若者は頷く。身軽な動作で馬に飛び乗り、彼はアルフォンス王子のいる城へ向かう。
(よし。想定通りと、ご報告申し上げるのだ)
***
空がわずかに暗くなりかけた時。
大聖堂の前に到着したガエタンは急ぎ足で礼拝堂に向かう。扉は閉まる時刻だったが、親切な僧侶が中に入れてくれた。
「どうぞお一人で。後ほど閉めにまいります」
僧侶が扉を閉める。一人残されたガエタンは祭壇に向かい、その上に置かれた一冊の本に気が付く。
紺色の革表紙に金の型押し模様。使われた跡はなく、まだ新しい。
(もしや、これが奉納された祈祷書……)
祭壇に置かれた祈祷書は、参拝者が祈りのために使用してよいことになっている。
おそるおそるガエタンは表紙を開く。見返しの部分が布張りになっていて、それには家族の肖像が描かれている。
絵の中で、二人の幼子が両親の膝にすがりつくようにし、一人の赤子が母親の胸に抱かれている。右下に記された飾り文字は、『ドゥロー県』。
(ああ……祈祷書は本当だった。三人の子供とその両親……)
ガエタンは天を仰ぎ、祭壇の前にひざまずく。
そうしてどれくらいの時間がたったか。先ほどの僧侶に肩を叩かれる。
「大変熱心に祈りをささげておいでのようだが……お気をしっかりとなさってください」
「拙者は大丈夫でござる……」
言葉とは裏腹に、ガエタンは僧侶に腕を取られ、力なく立ち上がる。少し寄りかかるようにしたまま、祭壇の方を振り返る。
「司祭さまにお尋ねいたす……あの祈祷書は新しいようだが、どこから来たものですかな?」
「今日到着した巡礼が納めました。質素ながらも美しい心がこもっています。ご姉妹のうちの姉君の方が、妹夫婦とその子供たちの健康を願って奉納されたのですが、実は祈祷書の中に書き付けがあって……」
「書き付け?」
「ええ。それによると、妹君の方が、姉をさしおいて自分が先に夫と子供に恵まれてしまったことを負い目に感じている、とありました。それで、姉君にも早く幸福が訪れるように、代わりに祈ってほしいと……その願いは私たちが確かに神様にお伝えしました」
「……」
「おそらく、姉君の方では、妹君の願いには気づいておいでではなかった。しかし、知られずとも、……他者を思う気持ちは尊いものですね」
礼拝堂の外に出るとすっかり日も暮れていた。ガエタンは今晩、僧侶のすすめに従って聖堂内の宿坊に泊まることにした。
(すぐにでも行きたい……しかし今から城に行っても、お会いできるわけがないのだ)
僧侶はガエタンに言った。
「城でしたら明日、私も同行させていただきましょう」
「司祭さまも、城に用がおありか?」
「城から裁定人の役を頼まれたのです。誰が何のご用かは、詳しく存じておりませんが」
それを聞いて、ガエタンの全身からさっと血が引く。
二人は明日朝、一緒に城へ向かうことを確認して別れた。
ガエタンの来訪より前、大聖堂には城から二通の手紙が届けられていた。
一通はソフィが妹宛てに書き、これは明日その方面に向かう一団に託された。
もう一通はアルフォンスからファブリスへ。ファブリスはその内容に従ってガエタンを祭壇に案内し、そして明日、彼と城へ同行する。
***
翌朝。
ガエタンと大聖堂の僧侶が城に到着した時、待合いには先客がいた。
「織物職人でございます」
と、先客は後からきた二人に挨拶した。織物職人はうれしさを隠し切れず、話し出す。
「これから出来立てほやほやの織物を、アルフォンス殿下にお見せするのです。我ながら傑作中の傑作で、一年かけて織った甲斐がありました」
「それはもしや、女性のためのマントで?」
ガエタンは噂に聞いたことを思わず口走る。すると職人はさらに喜び、早口でまくしたてる。
「そうですとも、そうですとも。騎士さまも興味がおありですか? ……では見せてくださるようお願いしてみましょう。殿下はよい方ですから、きっと承諾くださいますよ。……あ、今参ります」
ガエタンが何か言う隙が全くなかった。
職人は重そうな木箱を持ち上げて、謁見のための部屋に入る。木箱の中に、作製に一年かけたマントが入っている。
程なく城の使用人がやって来て、ガエタンと僧侶にも謁見の部屋に入るようにと伝えた。
***
謁見の部屋に入ってまず目に飛び込んできたのは、美しい女とその肩にかかったマント。
マントは職人の言った通り、見事な出来栄え。第一級の礼装に用いるような品物であり、国王との謁見の場にも相応しい。
肩のマントを触りながら、女はアルフォンス王子と親しく口をきく。
「こんなに立派な……私には勿体ないわ」
「いいから持っておけ」
「一体いつ使うの?」
「今に必要になる」
アルフォンス王子が女の両手をとり、その手に口づける。二人は微笑んで見つめ合った後、手を放す。
周辺では先ほどの織物職人と、その他にも複数人の職人たちが忙しく動き回っている。
「マントを見たいと言ったのは、お前か、ガエタン……」
アルフォンスが気づき、ソフィもアルフォンスの視線を追ってガエタンを見つける。
「対決は昼の約束だったはずだが、早く来たな。……裁定人も一緒か」
裁定人と言われ、ファブリスが恭しく膝を折り頭を下げる。
アルフォンスは合図をして職人や使用人たちを全員下がらせる。ソフィは強張った表情でマントを肩から下ろす。
「ガエタン」
「は」
呼びかけられ、ガエタンはかしこまって頭を下げる。
「本来ならば領内のもめ事は私が裁定すべきなのだが、ソフィはずっと前から私の恋人で、私の立場はとても彼女に近い。これでは公正さを欠くと非難されるかもしれない」
アルフォンスはソフィの方を振り返り、次にファブリスの方を指し示す。
「今回は特別に裁定人を依頼した。さあ、申し開きを始めようか……」
これでガエタンはすっかり状況を理解した。そうと分かればやるべき事はただ一つ。
王子とその恋人の前に進み出、床の上に身を投げ出して赦しを乞うまでだ。
「申し上げることは何もございません。拙者が間違っておりました。平に、お赦しくださいますよう……」
ガエタンは説明する。姉妹を取り違えがあったことなど、ソフィやアルフォンスの想定と大体同じ。
また、ソフィが旅の間よく男に声をかけていたというのは事実。視察の時は男ばかりの集団を率いていたし、積極的に人に話しかけ、交渉の役割も担っていたから、そうするのは当然だった。これについては完全に悪意のある見方だった、とガエタンは謝罪する。
話を聞いた後で、
「誰にでも勘違いはあるもの」と、ソフィが言い、
「それだけのことであれば、罪にはならないでしょう」と、僧侶が言う。
アルフォンスも、
「大聖堂ですぐに誤解を正せばよかったのだが、私も気が動転していたようだ。手間をかけさせたな」
と、ガエタンを床から起こしてやる。ガエタンはいっそう恐縮して頭を下げたまま。
「話が終わりなら下がっていいぞ。裁定人も。ご苦労だったな」
「殿下、この機会に折り入ってお話ししたいことが……」
ファブリスが控えめに申し出るとアルフォンスは頷いた。
「ああ、そうだったな。せっかく来たのだから、東西の鐘楼の、修理について話すか」
「それでしたら拙者にお申し付けください」
ここぞとばかり、ガエタンは元気よく顔を上げた。
「こう見えましても、拙者には一財産がござる。これも何かの縁でしょう、大聖堂に喜んで寄進いたします……」
「では頼む」
ガエタンと僧侶は頭を下げ、アルフォンスの御前を去る。
去り際にガエタンは言った。
「先ほどのソフィ様のマントは本当に見事でございました。お召しになって、お二人並んで国王陛下に謁見なさる姿は、さぞかしご立派なことでございましょう。拙者のような一介の騎士には拝見できないのが残念です。どうぞ末永くお幸せに」
ガエタンには悪気は全くない。しかし、この言葉に内の何かが、アルフォンスに深刻な一撃を加えた。
「陛下とはもう十年、お会いしていない」
アルフォンスが苛立ち、誰もいない空間に向かって激しく言い捨てたのが、ソフィにもはっきりと聞こえた。
「ソフィ」
アルフォンスはそれ以上何も言わずに恋人を抱きしめる。腕の力が強くて逃れることができない。
ガエタンは考え、ある方法を思いつく。
(そうだ、大聖堂だ。あの女が奉納した祈祷書とやらを確認すれば、真偽が分かるはず)
突如ガエタンは立ち上がる。麦酒の杯を手にしたまま、若者が見上げる。
「どうなさったんです、騎士さま?」
「拙者は所用を思い出したのでこれで失礼する。あなた方もよい旅を」
言い残し、急ぎ足で店を出る。
しばらく酒の杯を重ねたのち、騎士見習いの若者も席を立つ。
預けていた馬を引き出しに行き、馬丁に尋ねる。
「先ほどの騎士さまは、どちらへ向かわれましたか?」
「大聖堂へ。えらく急ぎのご様子で」
馬丁の答えに若者は頷く。身軽な動作で馬に飛び乗り、彼はアルフォンス王子のいる城へ向かう。
(よし。想定通りと、ご報告申し上げるのだ)
***
空がわずかに暗くなりかけた時。
大聖堂の前に到着したガエタンは急ぎ足で礼拝堂に向かう。扉は閉まる時刻だったが、親切な僧侶が中に入れてくれた。
「どうぞお一人で。後ほど閉めにまいります」
僧侶が扉を閉める。一人残されたガエタンは祭壇に向かい、その上に置かれた一冊の本に気が付く。
紺色の革表紙に金の型押し模様。使われた跡はなく、まだ新しい。
(もしや、これが奉納された祈祷書……)
祭壇に置かれた祈祷書は、参拝者が祈りのために使用してよいことになっている。
おそるおそるガエタンは表紙を開く。見返しの部分が布張りになっていて、それには家族の肖像が描かれている。
絵の中で、二人の幼子が両親の膝にすがりつくようにし、一人の赤子が母親の胸に抱かれている。右下に記された飾り文字は、『ドゥロー県』。
(ああ……祈祷書は本当だった。三人の子供とその両親……)
ガエタンは天を仰ぎ、祭壇の前にひざまずく。
そうしてどれくらいの時間がたったか。先ほどの僧侶に肩を叩かれる。
「大変熱心に祈りをささげておいでのようだが……お気をしっかりとなさってください」
「拙者は大丈夫でござる……」
言葉とは裏腹に、ガエタンは僧侶に腕を取られ、力なく立ち上がる。少し寄りかかるようにしたまま、祭壇の方を振り返る。
「司祭さまにお尋ねいたす……あの祈祷書は新しいようだが、どこから来たものですかな?」
「今日到着した巡礼が納めました。質素ながらも美しい心がこもっています。ご姉妹のうちの姉君の方が、妹夫婦とその子供たちの健康を願って奉納されたのですが、実は祈祷書の中に書き付けがあって……」
「書き付け?」
「ええ。それによると、妹君の方が、姉をさしおいて自分が先に夫と子供に恵まれてしまったことを負い目に感じている、とありました。それで、姉君にも早く幸福が訪れるように、代わりに祈ってほしいと……その願いは私たちが確かに神様にお伝えしました」
「……」
「おそらく、姉君の方では、妹君の願いには気づいておいでではなかった。しかし、知られずとも、……他者を思う気持ちは尊いものですね」
礼拝堂の外に出るとすっかり日も暮れていた。ガエタンは今晩、僧侶のすすめに従って聖堂内の宿坊に泊まることにした。
(すぐにでも行きたい……しかし今から城に行っても、お会いできるわけがないのだ)
僧侶はガエタンに言った。
「城でしたら明日、私も同行させていただきましょう」
「司祭さまも、城に用がおありか?」
「城から裁定人の役を頼まれたのです。誰が何のご用かは、詳しく存じておりませんが」
それを聞いて、ガエタンの全身からさっと血が引く。
二人は明日朝、一緒に城へ向かうことを確認して別れた。
ガエタンの来訪より前、大聖堂には城から二通の手紙が届けられていた。
一通はソフィが妹宛てに書き、これは明日その方面に向かう一団に託された。
もう一通はアルフォンスからファブリスへ。ファブリスはその内容に従ってガエタンを祭壇に案内し、そして明日、彼と城へ同行する。
***
翌朝。
ガエタンと大聖堂の僧侶が城に到着した時、待合いには先客がいた。
「織物職人でございます」
と、先客は後からきた二人に挨拶した。織物職人はうれしさを隠し切れず、話し出す。
「これから出来立てほやほやの織物を、アルフォンス殿下にお見せするのです。我ながら傑作中の傑作で、一年かけて織った甲斐がありました」
「それはもしや、女性のためのマントで?」
ガエタンは噂に聞いたことを思わず口走る。すると職人はさらに喜び、早口でまくしたてる。
「そうですとも、そうですとも。騎士さまも興味がおありですか? ……では見せてくださるようお願いしてみましょう。殿下はよい方ですから、きっと承諾くださいますよ。……あ、今参ります」
ガエタンが何か言う隙が全くなかった。
職人は重そうな木箱を持ち上げて、謁見のための部屋に入る。木箱の中に、作製に一年かけたマントが入っている。
程なく城の使用人がやって来て、ガエタンと僧侶にも謁見の部屋に入るようにと伝えた。
***
謁見の部屋に入ってまず目に飛び込んできたのは、美しい女とその肩にかかったマント。
マントは職人の言った通り、見事な出来栄え。第一級の礼装に用いるような品物であり、国王との謁見の場にも相応しい。
肩のマントを触りながら、女はアルフォンス王子と親しく口をきく。
「こんなに立派な……私には勿体ないわ」
「いいから持っておけ」
「一体いつ使うの?」
「今に必要になる」
アルフォンス王子が女の両手をとり、その手に口づける。二人は微笑んで見つめ合った後、手を放す。
周辺では先ほどの織物職人と、その他にも複数人の職人たちが忙しく動き回っている。
「マントを見たいと言ったのは、お前か、ガエタン……」
アルフォンスが気づき、ソフィもアルフォンスの視線を追ってガエタンを見つける。
「対決は昼の約束だったはずだが、早く来たな。……裁定人も一緒か」
裁定人と言われ、ファブリスが恭しく膝を折り頭を下げる。
アルフォンスは合図をして職人や使用人たちを全員下がらせる。ソフィは強張った表情でマントを肩から下ろす。
「ガエタン」
「は」
呼びかけられ、ガエタンはかしこまって頭を下げる。
「本来ならば領内のもめ事は私が裁定すべきなのだが、ソフィはずっと前から私の恋人で、私の立場はとても彼女に近い。これでは公正さを欠くと非難されるかもしれない」
アルフォンスはソフィの方を振り返り、次にファブリスの方を指し示す。
「今回は特別に裁定人を依頼した。さあ、申し開きを始めようか……」
これでガエタンはすっかり状況を理解した。そうと分かればやるべき事はただ一つ。
王子とその恋人の前に進み出、床の上に身を投げ出して赦しを乞うまでだ。
「申し上げることは何もございません。拙者が間違っておりました。平に、お赦しくださいますよう……」
ガエタンは説明する。姉妹を取り違えがあったことなど、ソフィやアルフォンスの想定と大体同じ。
また、ソフィが旅の間よく男に声をかけていたというのは事実。視察の時は男ばかりの集団を率いていたし、積極的に人に話しかけ、交渉の役割も担っていたから、そうするのは当然だった。これについては完全に悪意のある見方だった、とガエタンは謝罪する。
話を聞いた後で、
「誰にでも勘違いはあるもの」と、ソフィが言い、
「それだけのことであれば、罪にはならないでしょう」と、僧侶が言う。
アルフォンスも、
「大聖堂ですぐに誤解を正せばよかったのだが、私も気が動転していたようだ。手間をかけさせたな」
と、ガエタンを床から起こしてやる。ガエタンはいっそう恐縮して頭を下げたまま。
「話が終わりなら下がっていいぞ。裁定人も。ご苦労だったな」
「殿下、この機会に折り入ってお話ししたいことが……」
ファブリスが控えめに申し出るとアルフォンスは頷いた。
「ああ、そうだったな。せっかく来たのだから、東西の鐘楼の、修理について話すか」
「それでしたら拙者にお申し付けください」
ここぞとばかり、ガエタンは元気よく顔を上げた。
「こう見えましても、拙者には一財産がござる。これも何かの縁でしょう、大聖堂に喜んで寄進いたします……」
「では頼む」
ガエタンと僧侶は頭を下げ、アルフォンスの御前を去る。
去り際にガエタンは言った。
「先ほどのソフィ様のマントは本当に見事でございました。お召しになって、お二人並んで国王陛下に謁見なさる姿は、さぞかしご立派なことでございましょう。拙者のような一介の騎士には拝見できないのが残念です。どうぞ末永くお幸せに」
ガエタンには悪気は全くない。しかし、この言葉に内の何かが、アルフォンスに深刻な一撃を加えた。
「陛下とはもう十年、お会いしていない」
アルフォンスが苛立ち、誰もいない空間に向かって激しく言い捨てたのが、ソフィにもはっきりと聞こえた。
「ソフィ」
アルフォンスはそれ以上何も言わずに恋人を抱きしめる。腕の力が強くて逃れることができない。
0
あなたにおすすめの小説
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる