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1話
しおりを挟む一方通行?!
やってしまった!
まさか、一通だったとは。
仕事のピークが越え久々に何も無い休日。
桜の花びら舞う中、快調にバイクを走らせていたアタシは、つい桜の花に見とれながらハンドルを切り、知らずに一通に入り込んでしまっていた。
それに気がついたのは、踏切の遮断機が上がり踏切を通り抜けた瞬間だった。
さっきまで視界にいなかったお巡りさんがにこやかに手招きしているのを確認した瞬間、ザワザワと心がさざ波をたてた。
「はい、君、違反ね。ちょっとそこの署まで来てもらえるかな?」
「違反て?」
「ここ、一方通行ね」
桜の花に見とれていたから見落とした~~とは言えなかった。
言えば、脇見運転で点数加算されるのが見て取れたから。
はああ~~~~とため息が出そうになった時、踏切の向こうからエンジン音が聞こえた。
あ!マズイ!
と思った次の瞬間、大型二輪のお兄さんもお巡りさんに捕まりアタシと同じ顛末に…。
ほとんど同時刻に信じられない、とお巡りさんさんは頭を抑えたが気を取り直しアタシにした説明と同じものをその大型バイクの人にした。
青の綺麗なバイクから渋々降りたのは、かなり歳上の男性。
20台後半くらいかな?
アタシは自分の職場の先輩達の姿を思い浮かべた。
だいたいあの位の歳かな?
ヘルメットで表情は見えないけれど不機嫌な様子が見てとれた。
あの人は不機嫌。アタシはがっくり!
あーあ、これから映画を観る予定だったのにもう開演に間に合わないな。
お巡りさんにエンジンを切るように指示されバイクを押して歩いた。
5分ほど歩いた所に駐在所があった。
カウンターみたいな所にそのお兄さんと並んで腰かけた。
罰金、いくらだろう。
しなくても良い出費だ。もったいない(涙
「じゃあ、まずお嬢ちゃんからね」
「なんかセクハラされてるみたいですけど!」
むすっとして言い返すと、隣からクスリ、と声が聞こえた。
言い返されたお巡りさん、もとい警察官は「これは失礼。ではお名前を教えてください」と、こほんと咳払いをして調書をとった。
こってり絞られるだろうと思ったけれど、事務的な処理の後、警察官は申し訳なさそうに振込用紙を私達二人の間に出してきた。
「この期日までに金額を振り込んでくださいね」
チラリと隣を見ると、バイクの排気量によって同じ違反でも金額が違うようだ。
警察官が、帰りがけに行き先を聞いてきたので「映画館よ」と告げると、そこはまだ一通なのでエンジンを切って押して歩くように言われた。
二度も言わんでもわかるわ~~と心の中で息巻いても罰金は帳消しにはならなかった。悲しい…。
「ねえ…」
まさか話しかけられるとは思わなくてびっくり目で青のバイクのお兄さんを見上げた。
背、高いな。
ライダースーツに身を包み、遠くから走って来た感じがした。
「映画に行く予定だったの?」
「ええ、でももう始まっている。お兄さんはどこに行くつもりだったの?」
「仕事の資格試験の下見」
「へえ、会場はどこですか?」
「K工業高校」
「え?逆方向ですよ」
「マジかよ!それで捕まって罰金かあ、ついてない」
「あはははは~~」
「ちょっと、そこで笑う?オレ、傷ついたぞ」
そういうお兄さんの目は笑っていた。
「もう、笑うしかないよなー。オレの名前は青木」
「青いバイクの青木さんかあ。アタシは坂本。坂本綾子」
「あやこちゃんか、可愛い名前だね」
「褒めても何も出ませんよ」
「これは手厳しい!」
互いに笑い合うのを警察官が建物の中から見てくるので、その場を離れることにした。
「オレも映画観に行こうかな。一緒しても良いかな?」
「ええ、旅は道連れって言いますからね。でも青木さん、下見は?」
「行く気が失せた。来週行くよ」
「でも、映画始まったとこですよ」
「じゃあさ、映画館にバイク置いてオレのバイクでメシ食べに行こう!実は朝から何も食べてないんだよ」
今度はアタシが、マジですか~~?と言う番だった。
2話につづく
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