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【第六幕】ピクルスの出稼ぎ留学@ヤポン神国
ピクルスとメロウリの友情&フタバラの姉妹喧嘩
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憂いを帯びたメロウリの顔を、ピクルスは見逃せなかった。
十四年来の親友として決して見過ごす訳にいかない状況なのだと受け止めて、直感のままに、厳粛な表情で口を開いた。
「メロウリは、病める時も健やかなる時も、生涯ずっとシャンペンハウアー王子を愛するべきですわ!」
「ひえっ!?」
ピクルスの斜め後ろの席で、まるで寝ていて耳に冷水を垂らされたかのように驚愕したメロウリ。芽生えたばかりのシャンペンハウアーに対する秘密の恋心が早くもピクルスに察知されたのだと悟ったのだ。
やや戸惑い気味の顔をする親友を真っすぐに見据えて、ピクルスは笑顔で、しかしそれでも強い口調のまま続ける。
「あなたは、シャンペンハウアー王子と結ばれて、ウムラジアン・クイーンとなり、この世界に君臨すべきですわ♪」
「そ、それは……でも」
世界経済の覇者であるヤポン神国から莫大で豪華な黄金の鎧を引っ剥がすという戦略があるのだ。その成功のためならば、胸中に灯った淡い恋の炎を消し去るのも本望、全てはウムラジアン大陸のため。そんな風に、メロウリはシムジムと痛みを起こす胸を押さえつつ、儚くも短い恋の終わりという寂寞とした気持ちに唯一人で耐えている。
だがしかし、ピクルスは飽くまでもメロウリの背中を押し通すつもりだ。
「今こそが決心の時ですわ、メロウリ!!」
一層大きな声で強くいい放ったピクルス。現状の小さな身体から、良くもそこまでの大音響を発することができるものだ、蝶の翅を持つ蝉の様だ、と教室中の他の者たちは皆感心した。
これでメロウリも自然に勇気が湧いてくる。まさに友情の力といえよう。
「そうね。私、半導体娘にだけは負けませんわ!」
両の拳を握り締めて、メロウリは毅然と立ち上がる。
「ちょっ、ちょい待ち!! 誰が半導体娘ですって?」
「あらあ、違っていて?」
「違わなくもないけれど、でも結論としては違うわ!」
ニクコも勢い良く立ち上がり、斜め前で仁王立ちになっているメロウリを、きっと睨みつけた。こちらも仁王立ちだ。
メロウリは、仁王立ち返しに臆することもなく問いかける。
「結論として違うって、なにが違うのかしら?」
「大きく! そう、世界一大きく違うの!!」
ニクコは口角を引き下げた仁王顔で反論。そして返す刀だ。
「アタイは半導体で世界一の市場占有率を誇る二薔薇蒟蒻の次期社長フタバラ‐ニクコなのよ。だから半導体娘じゃなくって、半導体女王とお呼びなさい!!!」
「!?」
あまりの剣幕に圧倒されて、メロウリもさすがに絶句してしまった。
だがこの時、またしても部外者が乱入してきた。今度は頭巾ではなく、色は違うが、ニクコと同じデザインのチャイドレスを着た少女だ。
乱入者は怒気を露にして、鋭い視線を一直線にニクコの顔へ向ける。
「ちょっと! 今の台詞は聞き捨てならないわねえ!!」
顔の作りも剣突く様子もニクコにそっくり。
それもそのはず、この少女はニクコの妹であり、しかも二薔薇蒟蒻の社長第一継承権所有者のフタバラ‐ハムコなのだ。
「きたわねハムコ!」
「きたわよお姉ちゃん!」
「でも、どうしてアンタがアタイの台詞を知ってんのよ?」
「ふっふふぅ聞いて驚けお姉ちゃん、隠しマイクロフォンを仕かけたのよ」
ハムコが勝ち誇った顔でザラメを指差した。
「ああっしまったぁ!」
ニクコは、前の席にいるザラメの尻尾に装着されている小型無線マイクロフォンを、漸く発見した。それは、大判を配っていた紫色頭巾によって、こっそり巧妙に仕組まれたのだ。黄金に夢中で我を忘れていたザラメは気づくことができずにいた。
「ニクコさんの妹さん、自分の尻尾に変な物をつけないで下さい!」
「ごめんねワンちゃん」
ハムコがザラメの頭を優しく撫でた。それで癒されたザラメは抗議を中断することにした。
「まあ反省している様なので、今回だけは大目に見ましょう」
「そうありがとうワンちゃん。でもね、これは全部お姉ちゃんが悪いのよ」
「はあ!? アンタなにいってんの、盗聴なんて卑劣な真似しといて!」
再び睨み合うフタバラの姉妹。
「卑劣なのはお姉ちゃんの方でしょうが! 社長の継承権は譲るから、その代わりにポンズヒコ様を譲ってくれっていうから、アタシはポンズヒコ様のお嫁さんになるのを泣く泣く諦めたんだからね!」
「そんな昔の話を今頃持ち出さないの!」
「昔じゃないわ、まだ二年も経ってないのよ!」
「ツベコベいわないの!」
「ツベコベいうわよ!!」
「ちょっとちょっと、ニクコ先輩もハムコさんも止めて下さいって。みっともないですよ、ここは神域の教室なのですから」
激しく罵り合う二人の間にササミが割って入った。
メロウリも続いて口を挟む。
「姉妹喧嘩はお家でなさったら?」
「そうやで、姉妹の喧嘩はしまいや」
ピザエルは確実に滑った。しかしながら、そのお陰で教室中が静まり返ったのであるから、今の状況においては願ったり叶ったりといえなくもない。
お騒がせ乱入者のハムコは、黙って教室から出て行った。
十四年来の親友として決して見過ごす訳にいかない状況なのだと受け止めて、直感のままに、厳粛な表情で口を開いた。
「メロウリは、病める時も健やかなる時も、生涯ずっとシャンペンハウアー王子を愛するべきですわ!」
「ひえっ!?」
ピクルスの斜め後ろの席で、まるで寝ていて耳に冷水を垂らされたかのように驚愕したメロウリ。芽生えたばかりのシャンペンハウアーに対する秘密の恋心が早くもピクルスに察知されたのだと悟ったのだ。
やや戸惑い気味の顔をする親友を真っすぐに見据えて、ピクルスは笑顔で、しかしそれでも強い口調のまま続ける。
「あなたは、シャンペンハウアー王子と結ばれて、ウムラジアン・クイーンとなり、この世界に君臨すべきですわ♪」
「そ、それは……でも」
世界経済の覇者であるヤポン神国から莫大で豪華な黄金の鎧を引っ剥がすという戦略があるのだ。その成功のためならば、胸中に灯った淡い恋の炎を消し去るのも本望、全てはウムラジアン大陸のため。そんな風に、メロウリはシムジムと痛みを起こす胸を押さえつつ、儚くも短い恋の終わりという寂寞とした気持ちに唯一人で耐えている。
だがしかし、ピクルスは飽くまでもメロウリの背中を押し通すつもりだ。
「今こそが決心の時ですわ、メロウリ!!」
一層大きな声で強くいい放ったピクルス。現状の小さな身体から、良くもそこまでの大音響を発することができるものだ、蝶の翅を持つ蝉の様だ、と教室中の他の者たちは皆感心した。
これでメロウリも自然に勇気が湧いてくる。まさに友情の力といえよう。
「そうね。私、半導体娘にだけは負けませんわ!」
両の拳を握り締めて、メロウリは毅然と立ち上がる。
「ちょっ、ちょい待ち!! 誰が半導体娘ですって?」
「あらあ、違っていて?」
「違わなくもないけれど、でも結論としては違うわ!」
ニクコも勢い良く立ち上がり、斜め前で仁王立ちになっているメロウリを、きっと睨みつけた。こちらも仁王立ちだ。
メロウリは、仁王立ち返しに臆することもなく問いかける。
「結論として違うって、なにが違うのかしら?」
「大きく! そう、世界一大きく違うの!!」
ニクコは口角を引き下げた仁王顔で反論。そして返す刀だ。
「アタイは半導体で世界一の市場占有率を誇る二薔薇蒟蒻の次期社長フタバラ‐ニクコなのよ。だから半導体娘じゃなくって、半導体女王とお呼びなさい!!!」
「!?」
あまりの剣幕に圧倒されて、メロウリもさすがに絶句してしまった。
だがこの時、またしても部外者が乱入してきた。今度は頭巾ではなく、色は違うが、ニクコと同じデザインのチャイドレスを着た少女だ。
乱入者は怒気を露にして、鋭い視線を一直線にニクコの顔へ向ける。
「ちょっと! 今の台詞は聞き捨てならないわねえ!!」
顔の作りも剣突く様子もニクコにそっくり。
それもそのはず、この少女はニクコの妹であり、しかも二薔薇蒟蒻の社長第一継承権所有者のフタバラ‐ハムコなのだ。
「きたわねハムコ!」
「きたわよお姉ちゃん!」
「でも、どうしてアンタがアタイの台詞を知ってんのよ?」
「ふっふふぅ聞いて驚けお姉ちゃん、隠しマイクロフォンを仕かけたのよ」
ハムコが勝ち誇った顔でザラメを指差した。
「ああっしまったぁ!」
ニクコは、前の席にいるザラメの尻尾に装着されている小型無線マイクロフォンを、漸く発見した。それは、大判を配っていた紫色頭巾によって、こっそり巧妙に仕組まれたのだ。黄金に夢中で我を忘れていたザラメは気づくことができずにいた。
「ニクコさんの妹さん、自分の尻尾に変な物をつけないで下さい!」
「ごめんねワンちゃん」
ハムコがザラメの頭を優しく撫でた。それで癒されたザラメは抗議を中断することにした。
「まあ反省している様なので、今回だけは大目に見ましょう」
「そうありがとうワンちゃん。でもね、これは全部お姉ちゃんが悪いのよ」
「はあ!? アンタなにいってんの、盗聴なんて卑劣な真似しといて!」
再び睨み合うフタバラの姉妹。
「卑劣なのはお姉ちゃんの方でしょうが! 社長の継承権は譲るから、その代わりにポンズヒコ様を譲ってくれっていうから、アタシはポンズヒコ様のお嫁さんになるのを泣く泣く諦めたんだからね!」
「そんな昔の話を今頃持ち出さないの!」
「昔じゃないわ、まだ二年も経ってないのよ!」
「ツベコベいわないの!」
「ツベコベいうわよ!!」
「ちょっとちょっと、ニクコ先輩もハムコさんも止めて下さいって。みっともないですよ、ここは神域の教室なのですから」
激しく罵り合う二人の間にササミが割って入った。
メロウリも続いて口を挟む。
「姉妹喧嘩はお家でなさったら?」
「そうやで、姉妹の喧嘩はしまいや」
ピザエルは確実に滑った。しかしながら、そのお陰で教室中が静まり返ったのであるから、今の状況においては願ったり叶ったりといえなくもない。
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