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【第九幕】4thステージ「ビタミンC」
「ビタミンC」のクリア条件&牛のニュウニュウ
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自身の正体を明かした海亀の化身ジッゲンバーグは、フンフケルパー神話のエピローグを、やや駆け足で語った。
交合能力を奪われた神々は、天帝ラアユーから永遠の命を与えられたスタフィッシュを除き、悉く寿命が尽きて消滅した。その頃には、クリーチャーたちはスラッシュ交合を忘れていた。クロス交合についても、L・M・V・Wの四者が、相手にVを求める傾向が顕著となり、Mが淘汰されることとなった。その理由は、Nの抜けたクロス法則表を眺めると分かる。
+|L|M|V|W
―|―|―|―|―
L|m|w|l|v
M|w|v|m|l
V|l|m|v|w
W|v|l|w|m
Vとのクロス交合によって、自身と同性の子が生まれることにより、Vを奪い合う争いとなった。
では、Vを相手にできない個体はどうしたか?
LとWは子孫を残さない選択をし、MはM同士で子孫を残す選択をした。それによって、クロス交合の組み合わせに、大きな偏りが生じることとなった。
+|L|M|V|W
―|―|―|―|―
L|・|・|l|・
M|・|v|m|・
V|l|・|v|w
W|・|・|w|・
Mの出生率の割合が、他の三つの性の出生率と比べて下がったのだ。Mは世代ごとに個体数を減らし続け、やがて絶滅した。
それからも、L・V・Wによる三つ巴の生存競争は続き、ある時から生殖の仕組みが大きく変化した。各個体のほとんどが二つの性の要素を自身で持つようになり、そのうちの一つずつを交合で受け継ぐようになった。実質的に三つの性が六つのL(ll)、L(lv)、V(lv)、V(vv)、W(vw)、W(ww)に分化したのであるが、L(lv)とW(ww)は、なぜか淘汰されて消えた。
結果的にクロス交合は、L(ll)+V(lv)と、V(vv)+W(vw)のみに限定されることとなった。
L(ll)+V(lv)→L(ll)またはV(lv)
V(vv)+W(vw)→V(vv)またはW(vw)
どちらのVも現在の生き物の雌に該当するのだが、これは生命や活力を意味するVITAの頭文字でもある。
現生人類に男性(vw)と女性(vv)という二つの性があることの背景には、かつてのクリーチャーたちによる生存競争と退化が織りなす一連の物語があった。
海亀の正体が第一執事ジッゲンバーグであると見破ることが、この4thステージ「ビタミンC」のクリア条件だった。
だから一つの重要な情報が、ジッゲンバーグからピクルスに伝えられた。それは次の戦いのステージになる場所である。いよいよ、本場のギョーザーを倒すべきステージを迎えることになった。
5thステージ「ビタミンD」のボスに勝つことができれば、天帝ラアユーからのビッグボーナスがあるという。メーカーによる公式情報で現時点では未公開のため今のピクルスは知らないが、近日中に発表されるトピックスによると、そのビッグボーナスは、他でもなく「ウムラジアン聖剣」の隠し場所の記された地図なのだ。それを手に入れた者だけが、最終ステージ「ビタミンE」へと進むことができる。
この情報のソースは、他でもなくポセイドンである。彼は自ら進んで、某公式サイトの管理者を務めている、単なる暇潰しだ。
Ω Ω Ω
牛のニュウニュウは週末の到来を待ち望んでいる。
今か今かと楽しみにしている予定が土曜日にある。
でも今日は今日とて今週の始まってほんの月曜日。
日がな一日縁側で、寝ても覚めてもその予定のことを思っていた。
やがて、ニュウニュウがまだかまだかと心を向けた週末が訪れた。
予定していたこととは、次の週になにをするかを考えることであった。
日曜日は、もし晴れていたら午前中に近所を散歩する。
月曜日は、ひねもす次週の予定を考える土曜日を待つ。
火曜日から金曜日には、特になにをするでもなく過ごす。
そして土曜日に、次週の予定を決めて頭に繰り返して覚えるのだ。
アグリッパ大陸は、パナプル王国から西へ、ブルーカルパッチョでなら一時間三十分くらいのところにある。大陸の西端は、水牛のツノの形のように突き出ている地形で、ミルキィ半島と呼ばれている。
ニュウニュウの暮らしている、このドンドン牧場が、ピクルスとの会見の場に選ばれたのである。
秘めやかにして厳かな一週間の積み重ねこそが自分の生涯だったことを、ニュウニュウはピクルスに話した。人間に話したのは初めてだ。会うのも初めてだが、以前から文通相手だったピクルスは、今では全くの他人とはいえない人間である。
「するとニュウニュウちゃんは、ギュウギュウ君と引き離されましたのね?」
「もおおぉー、それはそれは、ウシもう悲しくて寂しくて恋しくて」
ピクルスは大きくうなずいた。
「分かりますわ。わたくしに、このピクルスに、お任せして!」
「もおおぉー、ピクルスさんだけが頼りです」
「きっとギュウギュウ君を連れ戻しますわ。VITAの名に懸けて!」
「もおおぉー、是非ともおぉ!!」
「ラジャーλ!」
力強く約束して、すぐさまブルーカルパッチョを飛ばすピクルス。大陸中央部に広がるカルビ平野へ一直線で向かう。5thステージ「ビタミンD」の敵として新たに試作された魔王ギョーザー牛千が、そこにいるのだ。
ニュウニュウにとっては、まさに風雲急を告げる状況である。冷凍品の牛千は、いまだ味の向上開発途上にありながら、難攻不落と謳われるセロリ城で待ち構えており、城内に設置された堅牢なチルド室に、ニュウニュウの恋牛であるギュウギュウが、捕らわれの身となっているのだから。
交合能力を奪われた神々は、天帝ラアユーから永遠の命を与えられたスタフィッシュを除き、悉く寿命が尽きて消滅した。その頃には、クリーチャーたちはスラッシュ交合を忘れていた。クロス交合についても、L・M・V・Wの四者が、相手にVを求める傾向が顕著となり、Mが淘汰されることとなった。その理由は、Nの抜けたクロス法則表を眺めると分かる。
+|L|M|V|W
―|―|―|―|―
L|m|w|l|v
M|w|v|m|l
V|l|m|v|w
W|v|l|w|m
Vとのクロス交合によって、自身と同性の子が生まれることにより、Vを奪い合う争いとなった。
では、Vを相手にできない個体はどうしたか?
LとWは子孫を残さない選択をし、MはM同士で子孫を残す選択をした。それによって、クロス交合の組み合わせに、大きな偏りが生じることとなった。
+|L|M|V|W
―|―|―|―|―
L|・|・|l|・
M|・|v|m|・
V|l|・|v|w
W|・|・|w|・
Mの出生率の割合が、他の三つの性の出生率と比べて下がったのだ。Mは世代ごとに個体数を減らし続け、やがて絶滅した。
それからも、L・V・Wによる三つ巴の生存競争は続き、ある時から生殖の仕組みが大きく変化した。各個体のほとんどが二つの性の要素を自身で持つようになり、そのうちの一つずつを交合で受け継ぐようになった。実質的に三つの性が六つのL(ll)、L(lv)、V(lv)、V(vv)、W(vw)、W(ww)に分化したのであるが、L(lv)とW(ww)は、なぜか淘汰されて消えた。
結果的にクロス交合は、L(ll)+V(lv)と、V(vv)+W(vw)のみに限定されることとなった。
L(ll)+V(lv)→L(ll)またはV(lv)
V(vv)+W(vw)→V(vv)またはW(vw)
どちらのVも現在の生き物の雌に該当するのだが、これは生命や活力を意味するVITAの頭文字でもある。
現生人類に男性(vw)と女性(vv)という二つの性があることの背景には、かつてのクリーチャーたちによる生存競争と退化が織りなす一連の物語があった。
海亀の正体が第一執事ジッゲンバーグであると見破ることが、この4thステージ「ビタミンC」のクリア条件だった。
だから一つの重要な情報が、ジッゲンバーグからピクルスに伝えられた。それは次の戦いのステージになる場所である。いよいよ、本場のギョーザーを倒すべきステージを迎えることになった。
5thステージ「ビタミンD」のボスに勝つことができれば、天帝ラアユーからのビッグボーナスがあるという。メーカーによる公式情報で現時点では未公開のため今のピクルスは知らないが、近日中に発表されるトピックスによると、そのビッグボーナスは、他でもなく「ウムラジアン聖剣」の隠し場所の記された地図なのだ。それを手に入れた者だけが、最終ステージ「ビタミンE」へと進むことができる。
この情報のソースは、他でもなくポセイドンである。彼は自ら進んで、某公式サイトの管理者を務めている、単なる暇潰しだ。
Ω Ω Ω
牛のニュウニュウは週末の到来を待ち望んでいる。
今か今かと楽しみにしている予定が土曜日にある。
でも今日は今日とて今週の始まってほんの月曜日。
日がな一日縁側で、寝ても覚めてもその予定のことを思っていた。
やがて、ニュウニュウがまだかまだかと心を向けた週末が訪れた。
予定していたこととは、次の週になにをするかを考えることであった。
日曜日は、もし晴れていたら午前中に近所を散歩する。
月曜日は、ひねもす次週の予定を考える土曜日を待つ。
火曜日から金曜日には、特になにをするでもなく過ごす。
そして土曜日に、次週の予定を決めて頭に繰り返して覚えるのだ。
アグリッパ大陸は、パナプル王国から西へ、ブルーカルパッチョでなら一時間三十分くらいのところにある。大陸の西端は、水牛のツノの形のように突き出ている地形で、ミルキィ半島と呼ばれている。
ニュウニュウの暮らしている、このドンドン牧場が、ピクルスとの会見の場に選ばれたのである。
秘めやかにして厳かな一週間の積み重ねこそが自分の生涯だったことを、ニュウニュウはピクルスに話した。人間に話したのは初めてだ。会うのも初めてだが、以前から文通相手だったピクルスは、今では全くの他人とはいえない人間である。
「するとニュウニュウちゃんは、ギュウギュウ君と引き離されましたのね?」
「もおおぉー、それはそれは、ウシもう悲しくて寂しくて恋しくて」
ピクルスは大きくうなずいた。
「分かりますわ。わたくしに、このピクルスに、お任せして!」
「もおおぉー、ピクルスさんだけが頼りです」
「きっとギュウギュウ君を連れ戻しますわ。VITAの名に懸けて!」
「もおおぉー、是非ともおぉ!!」
「ラジャーλ!」
力強く約束して、すぐさまブルーカルパッチョを飛ばすピクルス。大陸中央部に広がるカルビ平野へ一直線で向かう。5thステージ「ビタミンD」の敵として新たに試作された魔王ギョーザー牛千が、そこにいるのだ。
ニュウニュウにとっては、まさに風雲急を告げる状況である。冷凍品の牛千は、いまだ味の向上開発途上にありながら、難攻不落と謳われるセロリ城で待ち構えており、城内に設置された堅牢なチルド室に、ニュウニュウの恋牛であるギュウギュウが、捕らわれの身となっているのだから。
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