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あの後、中々泣き止めなかった私は、アレン様と同僚の侍女達に散々心配をかけてしまった。しかも、彼らはこのまま私が仕事を休めるよう、面倒な手配までしてくれていたのだ。でも、私は頑なにそれを断った。
ずっと寄り添ってくれた彼らの優しさに、私自身が負けたままで終わりたくないと強く思ったから。
私は、腫れた目を化粧で誤魔化して、もう一度仕事に向かった。
仕事に遅れた私が部室に入ると、案の定、文官達からは厳しい視線を向けられた。
迷惑をかけた事を謝り、すっかり私専用になった保管室に入る。すると、小さな机の上には、嫌がらせのような書類の山が出来上がっていた。
今日は、帰れないかもしれないわね。
でも、負けないって決めたんだもの。
頑張ろう。
私は休んだ時間を取り戻すため、集中して机に向かった。
ふと気付くと、部屋の中が暗くなっていた。どうやら私は、随分と集中していたらしい。
痛む肩をほぐしながら、残りの仕事を確認すると、机にあった書類は、粗方片付いていた。けれど、次に目に入った光景に、私の気分は地まで落ちる。
扉の前には、いつの間に置かれたのか、新しい書類の山が出来上がっていたのだ。
「はあ、今日は完全に徹夜ね。」
私はブラウスの第一ボタンを外して、首にかけている魔石を取り出した。
温かい...。
優しい温もりが、毛羽立った私の心を宥めてくれた。
「おい、何をやっている。」
静寂に包まれた空気を、刃のような声が切り裂く。
座ったまま振り返った先には、眉間に皺を寄せたヴェイル殿下が立っていた。
「殿下!?申し訳ありません!遅れてしまった仕事をしておりました。明日までには、終わらせます。」
「この量をか?」
「はい、必ず。」
ヴェイル殿下は、急いで立ち上がった私の前を通り過ぎ、纏め終えたばかりの書類に手を伸ばした。
静かな部屋に、パラパラと紙を捲る音が響く。
「この字...。では、今まで提出されたものは...。いや、でも...。」
ヴェイル殿下が書類に視線を落としながら、何かを呟いている。
「おい!」
「は、はい!」
いきなり呼ばれて、声が裏返ってしまった。
私は恐々顔を上げて、ヴェイル殿下の次の言葉を待った。
「この部屋は、何だ?なぜ、皆と同じ部屋を使わない?机なら人数分用意したはずだ。」
「そ、それは...。」
言ってもいいのだろうか...。
でも、この指示を出したのは、この方の副官だ。揉めれば、きっと面倒な事になる。
下手に波風を立てるぐらいなら、私が我慢した方がいい。
私は近い内に、この国からいなくなるのだから。
「そ、その。私が、お願いしたんです。人がいない方が落ち着くので。」
「...寒く、は、ないのか?」
ボソボソと呟いたヴェイル殿下の声が小さくて、よく聞こえなかった。聞き返そうとした時、再びヴェイル殿下が口を開く。
「よ、夜も更けた時間に、こんな部屋とも言えない倉庫にいて、寒くはないのか?」
ヴェイル殿下の視線の先には、私が用意したポットと分厚いブランケットがある。
「大丈夫です。」
「本当か?しかし、...ん?それは...。」
ヴェイル殿下の訝しむような眼差しが、私の胸元で止まった。
ずっと寄り添ってくれた彼らの優しさに、私自身が負けたままで終わりたくないと強く思ったから。
私は、腫れた目を化粧で誤魔化して、もう一度仕事に向かった。
仕事に遅れた私が部室に入ると、案の定、文官達からは厳しい視線を向けられた。
迷惑をかけた事を謝り、すっかり私専用になった保管室に入る。すると、小さな机の上には、嫌がらせのような書類の山が出来上がっていた。
今日は、帰れないかもしれないわね。
でも、負けないって決めたんだもの。
頑張ろう。
私は休んだ時間を取り戻すため、集中して机に向かった。
ふと気付くと、部屋の中が暗くなっていた。どうやら私は、随分と集中していたらしい。
痛む肩をほぐしながら、残りの仕事を確認すると、机にあった書類は、粗方片付いていた。けれど、次に目に入った光景に、私の気分は地まで落ちる。
扉の前には、いつの間に置かれたのか、新しい書類の山が出来上がっていたのだ。
「はあ、今日は完全に徹夜ね。」
私はブラウスの第一ボタンを外して、首にかけている魔石を取り出した。
温かい...。
優しい温もりが、毛羽立った私の心を宥めてくれた。
「おい、何をやっている。」
静寂に包まれた空気を、刃のような声が切り裂く。
座ったまま振り返った先には、眉間に皺を寄せたヴェイル殿下が立っていた。
「殿下!?申し訳ありません!遅れてしまった仕事をしておりました。明日までには、終わらせます。」
「この量をか?」
「はい、必ず。」
ヴェイル殿下は、急いで立ち上がった私の前を通り過ぎ、纏め終えたばかりの書類に手を伸ばした。
静かな部屋に、パラパラと紙を捲る音が響く。
「この字...。では、今まで提出されたものは...。いや、でも...。」
ヴェイル殿下が書類に視線を落としながら、何かを呟いている。
「おい!」
「は、はい!」
いきなり呼ばれて、声が裏返ってしまった。
私は恐々顔を上げて、ヴェイル殿下の次の言葉を待った。
「この部屋は、何だ?なぜ、皆と同じ部屋を使わない?机なら人数分用意したはずだ。」
「そ、それは...。」
言ってもいいのだろうか...。
でも、この指示を出したのは、この方の副官だ。揉めれば、きっと面倒な事になる。
下手に波風を立てるぐらいなら、私が我慢した方がいい。
私は近い内に、この国からいなくなるのだから。
「そ、その。私が、お願いしたんです。人がいない方が落ち着くので。」
「...寒く、は、ないのか?」
ボソボソと呟いたヴェイル殿下の声が小さくて、よく聞こえなかった。聞き返そうとした時、再びヴェイル殿下が口を開く。
「よ、夜も更けた時間に、こんな部屋とも言えない倉庫にいて、寒くはないのか?」
ヴェイル殿下の視線の先には、私が用意したポットと分厚いブランケットがある。
「大丈夫です。」
「本当か?しかし、...ん?それは...。」
ヴェイル殿下の訝しむような眼差しが、私の胸元で止まった。
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