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「バレリー様、部下が大変失礼しました。お前達、若いお嬢さんがいるからと浮かれすぎだ!治療が終わったなら、さっさと持ち場に戻れ!」
ニルセン様が、鋭い視線で天幕の中をグルリと見回す。
すると、顔色を悪くした獣人騎士達は、逃げるように天幕から出て行った。
騒がしかった広めの医療用天幕の中が、シンと静まり返る。
「あ、あの。まだ、治療が終わっていなかったのですが...。あの方々は、大丈夫でしょうか?」
「獣人は体が頑丈ですから、あのくらい放っておいても、すぐに治りますよ。」
「そ、そうですか。」
ゼイン先生を窺うと、気にする様子もなく片付けを始めていた。
先生が気にしていないなら、大丈夫なのだろう。
「それでですね、バレリー様。実は、お願いがあって伺ったのです。」
「私に、ですか?」
ニルセン様の対応があまりにも丁寧過ぎて、私は少し気後れしていた。
それでも、頼られることに喜びを感じる私は、恐々とそのお願いについて聞いてみる。
「はい。実は貴女に、我々の団長の補佐をお願いしたいのです。」
我々の団長...、って、ヴェイル殿下!?
「あ、あの、私には、分不相応だと思います。私よりも、相応しい方がいらっしゃるかと...。それに、私にはセルヴィン様から任された仕事もありますし。」
ヴェイル殿下に嫌われている私では、またトラブルになりかねない。
しかもここは、戦場になるかもしれない場所なのだ。私だけで、安易な判断は出来ない。
「そのセルヴィン様から許可を頂いたのですよ。」
「え?」
「貴女は、セルヴィン様から魔物の生態調査の記録係を頼まれていましたね?貴女が書かれた記録の一部を拝見しました。要点がはっきりしていて、とても素晴らしい物でした。参考にさせて頂きたいと思うほどに。ですからぜひ、その続きを、団長の側でして頂きたいのです。もちろん、バレリー様の身は、我々が必ず守りますのでご安心を。」
ど、どうしよう。
私は、魔物を記録する上で、なるべくその特徴や弱点などを詳細に書き写すようにしていた。騎士から上がってきた報告で分からない所があれば、わざわざその魔物と戦っている場所まで駆け付けたりもした。
それが危険だと分かっていても、中途半端な仕事はしたくなかったのだ。
だから、ニルセン様の提案は魅力的だった。この討伐を指揮しているヴェイル殿下の側が一番、魔物の情報が集まってくるはずだから。
でも...。
「ご心配なく。ここの救護所には、人を派遣します。怪我人も増えてきましたしね。」
「ありがとうございます!それは、助かります!」
良かった。
これで、ゼイン先生の負担も少なくなる。
先生は患者を前にすると、休憩も取らずに仕事をする方だから心配だったのだ。
「ですが、あの...。殿下は、許可しているのでしょうか?ご存知かもしれませんが、私、殿下を怒らせてしまった事があるのです。私の存在が、殿下の機嫌を損なうようなことになりませんか?」
自分で言った言葉が、ちくりと胸に刺さる。
「バレリー様、我々には、貴女が必要なのです。ぜひ、我らが団長に力をお貸し下さい。」
嬉しい。とても。
それが例え、お世辞だったとしても。
私を必要だと言ってくれたニルセン様の言葉が、私の胸に刺さった棘を溶かしてくれた。
ニルセン様が、鋭い視線で天幕の中をグルリと見回す。
すると、顔色を悪くした獣人騎士達は、逃げるように天幕から出て行った。
騒がしかった広めの医療用天幕の中が、シンと静まり返る。
「あ、あの。まだ、治療が終わっていなかったのですが...。あの方々は、大丈夫でしょうか?」
「獣人は体が頑丈ですから、あのくらい放っておいても、すぐに治りますよ。」
「そ、そうですか。」
ゼイン先生を窺うと、気にする様子もなく片付けを始めていた。
先生が気にしていないなら、大丈夫なのだろう。
「それでですね、バレリー様。実は、お願いがあって伺ったのです。」
「私に、ですか?」
ニルセン様の対応があまりにも丁寧過ぎて、私は少し気後れしていた。
それでも、頼られることに喜びを感じる私は、恐々とそのお願いについて聞いてみる。
「はい。実は貴女に、我々の団長の補佐をお願いしたいのです。」
我々の団長...、って、ヴェイル殿下!?
「あ、あの、私には、分不相応だと思います。私よりも、相応しい方がいらっしゃるかと...。それに、私にはセルヴィン様から任された仕事もありますし。」
ヴェイル殿下に嫌われている私では、またトラブルになりかねない。
しかもここは、戦場になるかもしれない場所なのだ。私だけで、安易な判断は出来ない。
「そのセルヴィン様から許可を頂いたのですよ。」
「え?」
「貴女は、セルヴィン様から魔物の生態調査の記録係を頼まれていましたね?貴女が書かれた記録の一部を拝見しました。要点がはっきりしていて、とても素晴らしい物でした。参考にさせて頂きたいと思うほどに。ですからぜひ、その続きを、団長の側でして頂きたいのです。もちろん、バレリー様の身は、我々が必ず守りますのでご安心を。」
ど、どうしよう。
私は、魔物を記録する上で、なるべくその特徴や弱点などを詳細に書き写すようにしていた。騎士から上がってきた報告で分からない所があれば、わざわざその魔物と戦っている場所まで駆け付けたりもした。
それが危険だと分かっていても、中途半端な仕事はしたくなかったのだ。
だから、ニルセン様の提案は魅力的だった。この討伐を指揮しているヴェイル殿下の側が一番、魔物の情報が集まってくるはずだから。
でも...。
「ご心配なく。ここの救護所には、人を派遣します。怪我人も増えてきましたしね。」
「ありがとうございます!それは、助かります!」
良かった。
これで、ゼイン先生の負担も少なくなる。
先生は患者を前にすると、休憩も取らずに仕事をする方だから心配だったのだ。
「ですが、あの...。殿下は、許可しているのでしょうか?ご存知かもしれませんが、私、殿下を怒らせてしまった事があるのです。私の存在が、殿下の機嫌を損なうようなことになりませんか?」
自分で言った言葉が、ちくりと胸に刺さる。
「バレリー様、我々には、貴女が必要なのです。ぜひ、我らが団長に力をお貸し下さい。」
嬉しい。とても。
それが例え、お世辞だったとしても。
私を必要だと言ってくれたニルセン様の言葉が、私の胸に刺さった棘を溶かしてくれた。
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