平凡な私が選ばれるはずがない

ハルイロ

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*ヴェイル視点 16

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「ニルセン、ステラの最近の仕事量はどうなっている?」

「特に以前と変わりないかと。面倒な仕事が終わった分、バレリーさんの負担は減ったと思います。」

「そうか。」

最近、どこかステラの様子がおかしい気がする。故郷の仲間が恋しいのかとも思ったが、それは違うと、俺の勘が騒いでいた。


現在、朝と夕方の二回、ステラの体に魔造器官を作る前段階として、俺は彼女の心臓部に高濃度の魔力を送っている。ステラの頑張りもあり、魔力も大分定着してきたところだった。
それがここ数日、なぜか荒れ狂うように不安定なのだ。
ゼイン医官にも診てもらった結果、ステラの体が俺の魔力を拒絶しているわけではないらしい。ただ、ステラの体が酷く疲労していると言われた。

ステラが疲れている原因は何だ?
俺の執務室で仕事をしているステラの表情は穏やかだ。ステラの周りに、彼女を害する者は置いていない。
では、原因は外か...。



「団長、バレリーさんに何かありましたか?」

「分からない。だが、何かある気がする。ニルセン、メルデン、昨日のステラの行動を詳しく話せ。」
ニルセンとメルデンには、引き続きステラの護衛を任せていた。つまり、その何かが、この二人の目を掻い潜っているのだ。


「昨日のバレリーさんは、休憩以外で、騎士団棟から出ていません。休憩は、団長と一緒でしたし。そもそも、バレリーさんは、団長の執務室から殆ど出ることはありません。出たとしても、経理部か総務部との往復だけです。そこまでの道には、警備の騎士がいますし、外部との接触はないはずです。」


以前から異能者の俺がいる騎士団棟には、腹に一物を抱えた者が度々やって来ていた。その者達を排除するため、騎士団棟の入り口や通路には、常に騎士を配置している。
だから、安心してステラに仕事をさせていたんだが...。


「そう言えば!昨日は、バレリー殿に何か話しかけている騎士がいました。仕事終わりに片付けをしていた時です。その相手は、バルゼン侯爵家のマイリーでした。」

「ああ、確かに最近は、バレリーさんに話しかけている騎士が増えましたね。大抵の騎士は挨拶程度なのですが、ネイゼル子爵家のリセイルも何か話していました。」


バルゼン家とネイゼル家は、親戚関係にあったな。
あの二人は騎士としての腕は悪くないが、貴族至上主義の考えが強くて、実力主義の獣人騎士団では、大分浮いた存在だった。
鬱陶しいから、閑職に回したんだが。
そんなヤツらが、ステラと話を?
しかも頼み事とは何だ?


「ニルセン、メルデン!バルゼンとネイゼルの行動を調べろ。その関係者もだ。」

「「は!」」

嫌な予感がする。
俺の勘が、番を守れと叫んでいた。

二人が出て行った扉を、俺は暫く見つめ続けた。

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