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大柄な獣人の傭兵達が、一斉にニルセン様に攻撃を仕掛ける中、彼はしなやかな動きで、それを回避していく。そして、焦れた敵が、体勢を崩したところへ素早い一撃を仕掛けていった。
敵の数など物ともしないニルセン様を前に、傭兵達の士気がどんどん下がっていく。
一人また一人と傭兵達が倒されていく様子を、私は固唾を呑んで見守った。
大丈夫、ニルセン様は絶対に負けないと、自分に言い聞かせて。
ニルセン様が、半数以上の敵を床に沈めると、この場から逃げ出そうとする者が出始めた。
ニルセン様は、そんな敵にも容赦無く剣を振るう。そして、とうとう、一人の獣人だけを残して、襲ってきた傭兵を全て倒してしまった。
「細っこいのに、よくやってくれたなぁ、兄ちゃん!流石は、天下の獣人騎士様ってか!だがなぁ、それもここまでだ!ガハハハハ!」
残っていた一際体の大きな獣人が、大声で笑う。
その余裕な態度に、呆気に取られた瞬間、私の体は、強い力で後ろに引かれた。
私を羽交締めにした細くて白い腕が、更に私の体を締め上げる。
その腕に激しく抵抗すると、腹部を殴られ、短剣が突き付けられた。
「随分遅かったじゃねぇか、雇用主様よぉ。」
「煩いわね、この役立たず!たった一人に、なんてざまなの!さっさと殺しなさいよ!」
「はい、はい。分かりましたよ。て、ことだからよ、兄ちゃん!嬢ちゃんの顔を、目の前で切り刻まれたくなかったら、抵抗すんなよ?」
傭兵が剣を構えると、ニルセン様は悔しげに顔をしかめ、持っていた剣を床に落とした。
「ダメです、ニルセン様!逃げて下さい!」
私が必死に踠いても、キャロライン様の細い腕は外れない。
その抵抗に苛立ったのか、キャロライン様は大きな唸り声を上げて、私の体を床へ叩きつけた。
「ああ!ゴミのくせに!何も出来ないくせに!私の邪魔をするんじゃないわよ!ああ、腹が立つ!切り刻みながら、殺してあげるわ!」
頭を強く打ち付け、動けなくなった私の腹部に、キャロライン様が足を乗せる。
掠れた目で見上げたキャロライン様の顔は、愉悦と憎悪が混在していて、とても醜かった。
せめてもの抵抗で、キャロライン様を睨みつけると、彼女は死を見せつけるように、ゆっくりと短剣を振り上げた。
まだ、死ねない。
このまま、ヴェイル様に会えないまま、死にたくない!
ずっと蓋をしていた、見ないようにしていた欲望が、後悔と共に私の中から這い出してくる。
その時、私の感情を燃料にして、胸の奥が熱く燃え始めた。そこから溢れ出した魔力が、空気中に広がり、迫り来る短剣に向かって集まっていく。そして、ギリギリの所でそれを受け止めた。
薄い魔力の膜越しに、驚いた表情のキャロライン様と目が合う。その瞬間、彼女の姿が消え、私の上に乗っていた重みもなくなった。
いったい何が?
状況を確認しようと、痛む体を起こす。すると、冷えた体が求めていた温もりに包まれた。
「ああ、良かった。無事で良かった、ステラ。」
「ヴェイル様。」
ヴェイル様は私を抱き上げ、縋り付くように、ブラウスの襟元に顔を押し当てている。
私も、今はこの温もりを感じたくて、力一杯、ヴェイル様の体に抱きついた。
「ヴェイル様、ヴェイル様、私、怖かった。ヴェイル様に会えないまま、死ぬのかと思ったら怖かった…。」
「ああ、俺もだ。ステラを失うかと。」
抱きついたヴェイル様の大きな体は、小刻みに震えていた。
私が腕に力を込めると、ヴェイル様も、更に強く私を抱き締め返してくれた。
敵の数など物ともしないニルセン様を前に、傭兵達の士気がどんどん下がっていく。
一人また一人と傭兵達が倒されていく様子を、私は固唾を呑んで見守った。
大丈夫、ニルセン様は絶対に負けないと、自分に言い聞かせて。
ニルセン様が、半数以上の敵を床に沈めると、この場から逃げ出そうとする者が出始めた。
ニルセン様は、そんな敵にも容赦無く剣を振るう。そして、とうとう、一人の獣人だけを残して、襲ってきた傭兵を全て倒してしまった。
「細っこいのに、よくやってくれたなぁ、兄ちゃん!流石は、天下の獣人騎士様ってか!だがなぁ、それもここまでだ!ガハハハハ!」
残っていた一際体の大きな獣人が、大声で笑う。
その余裕な態度に、呆気に取られた瞬間、私の体は、強い力で後ろに引かれた。
私を羽交締めにした細くて白い腕が、更に私の体を締め上げる。
その腕に激しく抵抗すると、腹部を殴られ、短剣が突き付けられた。
「随分遅かったじゃねぇか、雇用主様よぉ。」
「煩いわね、この役立たず!たった一人に、なんてざまなの!さっさと殺しなさいよ!」
「はい、はい。分かりましたよ。て、ことだからよ、兄ちゃん!嬢ちゃんの顔を、目の前で切り刻まれたくなかったら、抵抗すんなよ?」
傭兵が剣を構えると、ニルセン様は悔しげに顔をしかめ、持っていた剣を床に落とした。
「ダメです、ニルセン様!逃げて下さい!」
私が必死に踠いても、キャロライン様の細い腕は外れない。
その抵抗に苛立ったのか、キャロライン様は大きな唸り声を上げて、私の体を床へ叩きつけた。
「ああ!ゴミのくせに!何も出来ないくせに!私の邪魔をするんじゃないわよ!ああ、腹が立つ!切り刻みながら、殺してあげるわ!」
頭を強く打ち付け、動けなくなった私の腹部に、キャロライン様が足を乗せる。
掠れた目で見上げたキャロライン様の顔は、愉悦と憎悪が混在していて、とても醜かった。
せめてもの抵抗で、キャロライン様を睨みつけると、彼女は死を見せつけるように、ゆっくりと短剣を振り上げた。
まだ、死ねない。
このまま、ヴェイル様に会えないまま、死にたくない!
ずっと蓋をしていた、見ないようにしていた欲望が、後悔と共に私の中から這い出してくる。
その時、私の感情を燃料にして、胸の奥が熱く燃え始めた。そこから溢れ出した魔力が、空気中に広がり、迫り来る短剣に向かって集まっていく。そして、ギリギリの所でそれを受け止めた。
薄い魔力の膜越しに、驚いた表情のキャロライン様と目が合う。その瞬間、彼女の姿が消え、私の上に乗っていた重みもなくなった。
いったい何が?
状況を確認しようと、痛む体を起こす。すると、冷えた体が求めていた温もりに包まれた。
「ああ、良かった。無事で良かった、ステラ。」
「ヴェイル様。」
ヴェイル様は私を抱き上げ、縋り付くように、ブラウスの襟元に顔を押し当てている。
私も、今はこの温もりを感じたくて、力一杯、ヴェイル様の体に抱きついた。
「ヴェイル様、ヴェイル様、私、怖かった。ヴェイル様に会えないまま、死ぬのかと思ったら怖かった…。」
「ああ、俺もだ。ステラを失うかと。」
抱きついたヴェイル様の大きな体は、小刻みに震えていた。
私が腕に力を込めると、ヴェイル様も、更に強く私を抱き締め返してくれた。
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