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エントランスの扉の外には、邸を包囲するように沢山の獣人騎士が待機していた。
そこに漂う緊張感に、私の体が強張る。
そんな中を、私を抱えたヴェイル様は、無言で歩いていく。
騎士達の視線を浴びながら、綺麗に舗装された道を進むと、噴水の前に停められた一台の黒塗りの馬車が目に入った。
「団長!バレリー殿!ああ、よくご無事で!」
馬車の前にいたメルデン様が、慌ててこちらに駆け寄ってきた。
「メルデン、ステラを早く休ませてやりたい。王宮まで御者を頼む。」
「ハッ!」
キリッと敬礼したメルデン様が、踵を返して馬車へ戻っていく。その後を、ヴェイル様はゆっくり追っていった。
騎士団専用の馬車は、作りは無骨ながらも、中は広く、座り心地も良い。けれど、ヴェイル様と二人っきりの空間は、沈黙が重くて居心地が良いとは言えなかった。
私は、視線を床に下げて、ただ時間が過ぎるのを待った。
「ステラ。」
名前を呼ばれて、私は恐る恐る顔を上げる。
上げた先にあった黄金の瞳は、緊張しているのか、揺らめいているように見えた。
「怪我はないか?体調は?魔力はどうなっている?」
「怪我はありません。魔力も大丈夫です。」
「本当か?しかし、心配だから俺の魔力を渡しておこう。」
「今は大丈夫です。魔力は必要ありません。」
ヴェイル様から伸ばされた手を、私はやんわり押し留めて、首を横に振る。
私の拒絶に驚いたのか、ヴェイル様は、伸ばした手をそのままに、私の顔を凝視していた。
「…ステラ、すまない。今回の事は、俺の認識の甘さが原因だった。貴女を危険な目に合わせてしまった。辛い思いをさせてしまった。守ってやれなくて、本当にすまない。不甲斐ない俺を赦さなくていい。でも、お願いだ…。俺を拒まないでくれ。」
そう言って頭を下げたヴェイル様の声は、酷く掠れていた。
私は、思わず伸ばしそうになった手を握りしめて、目の前に座るヴェイル様に答える。
「ヴェイル様は、私を助けてくださいました。お陰で、今、私はこうして生きています。ありがとうございました。」
私も感謝を伝えるべく、深く頭を下げる。
その頭上で、息を呑む気配がした。
「…俺を、恨んでいるか?今更、貴女を番だと認めた俺を。」
「いいえ、恨んでいません。そして、これからも恨みません。」
顔を上げないまま、私は平坦な声で、自分の想いを返した。
そんな私に、ヴェイル様は、そうかと悲しみが籠った一言を呟いた。
ヴェイル様を悲しませているという罪悪感で、私の胸が潰れそうなほど痛む。
けれど、私は、その感情に頑丈な蓋をした。
そこに漂う緊張感に、私の体が強張る。
そんな中を、私を抱えたヴェイル様は、無言で歩いていく。
騎士達の視線を浴びながら、綺麗に舗装された道を進むと、噴水の前に停められた一台の黒塗りの馬車が目に入った。
「団長!バレリー殿!ああ、よくご無事で!」
馬車の前にいたメルデン様が、慌ててこちらに駆け寄ってきた。
「メルデン、ステラを早く休ませてやりたい。王宮まで御者を頼む。」
「ハッ!」
キリッと敬礼したメルデン様が、踵を返して馬車へ戻っていく。その後を、ヴェイル様はゆっくり追っていった。
騎士団専用の馬車は、作りは無骨ながらも、中は広く、座り心地も良い。けれど、ヴェイル様と二人っきりの空間は、沈黙が重くて居心地が良いとは言えなかった。
私は、視線を床に下げて、ただ時間が過ぎるのを待った。
「ステラ。」
名前を呼ばれて、私は恐る恐る顔を上げる。
上げた先にあった黄金の瞳は、緊張しているのか、揺らめいているように見えた。
「怪我はないか?体調は?魔力はどうなっている?」
「怪我はありません。魔力も大丈夫です。」
「本当か?しかし、心配だから俺の魔力を渡しておこう。」
「今は大丈夫です。魔力は必要ありません。」
ヴェイル様から伸ばされた手を、私はやんわり押し留めて、首を横に振る。
私の拒絶に驚いたのか、ヴェイル様は、伸ばした手をそのままに、私の顔を凝視していた。
「…ステラ、すまない。今回の事は、俺の認識の甘さが原因だった。貴女を危険な目に合わせてしまった。辛い思いをさせてしまった。守ってやれなくて、本当にすまない。不甲斐ない俺を赦さなくていい。でも、お願いだ…。俺を拒まないでくれ。」
そう言って頭を下げたヴェイル様の声は、酷く掠れていた。
私は、思わず伸ばしそうになった手を握りしめて、目の前に座るヴェイル様に答える。
「ヴェイル様は、私を助けてくださいました。お陰で、今、私はこうして生きています。ありがとうございました。」
私も感謝を伝えるべく、深く頭を下げる。
その頭上で、息を呑む気配がした。
「…俺を、恨んでいるか?今更、貴女を番だと認めた俺を。」
「いいえ、恨んでいません。そして、これからも恨みません。」
顔を上げないまま、私は平坦な声で、自分の想いを返した。
そんな私に、ヴェイル様は、そうかと悲しみが籠った一言を呟いた。
ヴェイル様を悲しませているという罪悪感で、私の胸が潰れそうなほど痛む。
けれど、私は、その感情に頑丈な蓋をした。
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