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*ヴェイル視点 28
「なぜ、ステラが!?異能者の番ならステラ以外にもいるだろう!知っている事を話せ!」
「よせ、ヴェイル!」
通信機に映る巫女へ乱暴に手を伸ばした俺を、兄上が止める。
「兄上!止めないで下さい!」
「落ち着け、ヴェイル!巫女殿、失礼した。だが、その話、詳しく聞かせてもらえるか?なぜ、ヴェイルの番が狙われるのだ?彼女は普通の人間だろう?」
「ガイル陛下、話の前に人払いをお願いしますわ。」
兄上が皆に出て行くよう伝える間、俺は一時も巫女から目を逸らせなかった
「そんなに大事なら、初めから大切にしていれば良かったのよ。このヘタレ。」
周りに俺しかいないことをいいことに、巫女が、今までの態度をガラリと変えて、俺を嘲笑った。
「…何だと?」
巫女の発言が、俺の中で燻っていた負の感情に火を灯した。
「聞こえなかったのかしら?その耳は、随分性能が悪いのね。グダグダ神に八つ当たりして、自分は悲劇に浸っていただけのヘタレ野郎って言ったのよ。」
「俺に喧嘩を売っているのか、巫女殿…?」
「喧嘩?今の貴方に喧嘩を売る価値なんてないわ。番を追いかける度胸もない貴方なんかにはね。」
「黙れ!お前に俺の何が分かる!」
巫女の図星を突いた言葉に、俺の怒りが爆発する。俺は、通信機が置かれた台に、拳を打ちつけた。
その拍子に台の脚が折れ、通信機ごと、床に倒れる。そして、今まで映っていた不適な表情の巫女の姿が掻き消えた。
「分からないわね、ヘタレの気持ちなんて。私、大切なものを前に、腑抜けたことなんて一度もないもの。」
「くっ…。」
声だけになっても尚、余裕の態度で俺を馬鹿にする巫女に、俺はとうとう声を詰まらせた。
「ねえ、いつまでヘタレているの?番の危機をそこで見ているつもり?」
「そんなわけあるか!」
それだけは絶対にありえない。
この命は、ステラになら使い潰されたってかまわないのだから。
悔しさに握りしめた俺の拳から、真っ赤な鮮血が滴り落ちた。その赤が、ステラの赤薔薇のような髪を思い出させる。
「どうして…。なぜ、ステラにばかり、こんな…。」
巫女に言い負かされ、俺の怒りは、すっかり鎮火していた。そして今度は、焦りと恐怖が俺を包んだ。
「教えてくれ!彼女に、何が起こるんだ!?なぜ、魔物の王は、ステラを狙う!?」
俺は、倒れた通信機を持ち上げて、巫女を問いただした。
「貴方の番、ステラの体の中には、魔物の王の核の一部があるの。」
「核だと…?」
魔物の核とは、魔が結晶化した魔物の心臓だ。臓器や血液が存在しない魔物の体に、唯一存在しているのが、この核だった。この核は、魔物の体内で、魔を帯びた魔力を循環させる役割を担っていた。
魔物を魔物たらしめる核が、ステラの中に?
「魔物の王は、自身の完全復活のために、必ず、ステラを奪いに来る。貴方は、それを指を咥えて見てるつもり?ステラに拒絶されたからって、諦めてしまうの?」
「…諦められない。諦められるはずがない!ステラの命も愛も何もかも!」
「なら、来るといいわ。神の息吹を感じられるイザリアへ。」
「ああ、ステラを守るために。」
決意を込め立ち上がると、すぐ側に兄上の姿があった。
「行くのだな?」
「はい。」
「必ず守り抜け。」
「はい。」
「そして、何度でもふられてこい。」
「はい、兄上。」
兄上の優しい笑顔に見送られて、俺はすぐさま、イザリアの地を目指した。
「よせ、ヴェイル!」
通信機に映る巫女へ乱暴に手を伸ばした俺を、兄上が止める。
「兄上!止めないで下さい!」
「落ち着け、ヴェイル!巫女殿、失礼した。だが、その話、詳しく聞かせてもらえるか?なぜ、ヴェイルの番が狙われるのだ?彼女は普通の人間だろう?」
「ガイル陛下、話の前に人払いをお願いしますわ。」
兄上が皆に出て行くよう伝える間、俺は一時も巫女から目を逸らせなかった
「そんなに大事なら、初めから大切にしていれば良かったのよ。このヘタレ。」
周りに俺しかいないことをいいことに、巫女が、今までの態度をガラリと変えて、俺を嘲笑った。
「…何だと?」
巫女の発言が、俺の中で燻っていた負の感情に火を灯した。
「聞こえなかったのかしら?その耳は、随分性能が悪いのね。グダグダ神に八つ当たりして、自分は悲劇に浸っていただけのヘタレ野郎って言ったのよ。」
「俺に喧嘩を売っているのか、巫女殿…?」
「喧嘩?今の貴方に喧嘩を売る価値なんてないわ。番を追いかける度胸もない貴方なんかにはね。」
「黙れ!お前に俺の何が分かる!」
巫女の図星を突いた言葉に、俺の怒りが爆発する。俺は、通信機が置かれた台に、拳を打ちつけた。
その拍子に台の脚が折れ、通信機ごと、床に倒れる。そして、今まで映っていた不適な表情の巫女の姿が掻き消えた。
「分からないわね、ヘタレの気持ちなんて。私、大切なものを前に、腑抜けたことなんて一度もないもの。」
「くっ…。」
声だけになっても尚、余裕の態度で俺を馬鹿にする巫女に、俺はとうとう声を詰まらせた。
「ねえ、いつまでヘタレているの?番の危機をそこで見ているつもり?」
「そんなわけあるか!」
それだけは絶対にありえない。
この命は、ステラになら使い潰されたってかまわないのだから。
悔しさに握りしめた俺の拳から、真っ赤な鮮血が滴り落ちた。その赤が、ステラの赤薔薇のような髪を思い出させる。
「どうして…。なぜ、ステラにばかり、こんな…。」
巫女に言い負かされ、俺の怒りは、すっかり鎮火していた。そして今度は、焦りと恐怖が俺を包んだ。
「教えてくれ!彼女に、何が起こるんだ!?なぜ、魔物の王は、ステラを狙う!?」
俺は、倒れた通信機を持ち上げて、巫女を問いただした。
「貴方の番、ステラの体の中には、魔物の王の核の一部があるの。」
「核だと…?」
魔物の核とは、魔が結晶化した魔物の心臓だ。臓器や血液が存在しない魔物の体に、唯一存在しているのが、この核だった。この核は、魔物の体内で、魔を帯びた魔力を循環させる役割を担っていた。
魔物を魔物たらしめる核が、ステラの中に?
「魔物の王は、自身の完全復活のために、必ず、ステラを奪いに来る。貴方は、それを指を咥えて見てるつもり?ステラに拒絶されたからって、諦めてしまうの?」
「…諦められない。諦められるはずがない!ステラの命も愛も何もかも!」
「なら、来るといいわ。神の息吹を感じられるイザリアへ。」
「ああ、ステラを守るために。」
決意を込め立ち上がると、すぐ側に兄上の姿があった。
「行くのだな?」
「はい。」
「必ず守り抜け。」
「はい。」
「そして、何度でもふられてこい。」
「はい、兄上。」
兄上の優しい笑顔に見送られて、俺はすぐさま、イザリアの地を目指した。
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