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蛇の一族の行動は早かった。
彼らは、ヴェイル様がバルフレア山の火口にいる魔物の王の調査を依頼すると、数刻もしない間に、準備を整え、出発してしまったのだ。
「す、凄いですね。」
「優秀な一族ではあるんだ。だが、協調性が皆無でな。」
ヴェイル様が、耳をペタンと下げて、大きな溜息を吐き出した。目尻も下がり、疲れた顔をしている。
私は、ヴェイル様の目の前にしゃがんで、労うように優しく頭を撫でた。
「団長、私も行ってきますね。」
「ああ。今後のためにも、ヤツの今の状態を詳しく知りたい。危険だが、頼んだぞ、ニルセン。」
「はい、お任せを。」
機敏な動作で、完璧な騎士の礼をとったニルセン様が、マントをはためかせて去っていく。
私は、その後ろ姿を祈るような気持ちで見送った。
ニルセン様の出発を見届けた私達は、一度、サウザリンド王国を経由した後、イザリア聖国に戻った。その時に少しだけお会いしたガイル陛下の憐憫の視線が気になったけど、聖国に着いて早々、ソワソワしている姫様を見たら、それどころではなくなってしまった。
「姫様、ただいま戻りました。何かあったのですか?」
「ああ、無事で良かったわ!そこの猫が、癇癪を起こして暴走してしまわないか、ヒヤヒヤしてたのよ。」
「おい!誰が猫だ!」
「あら、ステラの前じゃ、ただの飼い猫じゃない。ほら、そこ。」
姫様が指し示した私の手首には、しっかりとヴェイルの尻尾が巻き付いていた。
あ…。
最近、これが普通で、違和感を感じていなかった。
ヴェイル様も、姫様の指摘に気付いたようで、シレッとそっぽを向いてしまった。
「まあ、いいわ。話があるの。一先ず、私の部屋に行きましょう。」
「はい。」
姫様に続いて、神殿内の廊下を歩く間、ヴェイル様の尻尾は、私の手首に巻かれたままだった。
「さて!二人とも、先ずは、ご苦労様!蛇達は、バルフレア山に入ったわ。ふう。」
どんな時でも所作の美しい姫様が、珍しく乱暴にソファへ腰を下ろした。
やっぱり姫様の雰囲気が、いつもとは違う。
何かあったのかしら?
私は、もう一度姫様に尋ねようと口を開いたその時、隣に座るヴェイル様が動いた。
「バルフレア山は、どうなっている?」
「あそこは、魔物の巣窟になっているわ。各地から続々と、魔物が集まってきているの。魔物の王は、とうとう自分の存在を隠す気がなくなったみたいね。このままだとバルフレア山は魔物で溢れてしまうから、数名の異能者に、魔物の数を減らしてもらっているところよ。」
「姫様!そんな所に、ニルセン様達を向かわせて大丈夫なんでしょうか!?」
「今、ガイナイル山脈にいる異能者達に、派手に暴れてもらっているから、魔物の目は、異能者に向いているはずよ。だから、蛇の彼らは大丈夫。安心して、ステラ。」
「はい。」
良かった…。
私は、ホッと胸を撫で下ろした。
けれど、ヴェイル様の表情は変わらず厳しいままだった。
「俺達は今の所、報告を待つしかないということか…。もどかしいな。」
重苦しい空気が、ズンっと肩にのしかかってくる。
しかし、そんな空気を姫様が吹き飛ばした。
「そんな事より!貴方達が帰ってくる少し前に、殿下の副官が、一度ここに寄っていったのよ。」
「ニルセン様ですか?」
「ええ、そう!」
ニルセン様は、バルフレア山までの移動に、わざわざイザリア聖国を経由したの?
なぜ?
「フフフ。」
首を傾げた私とヴェイル様に向かって、姫様が目をギラギラさせて笑い始めた。
彼らは、ヴェイル様がバルフレア山の火口にいる魔物の王の調査を依頼すると、数刻もしない間に、準備を整え、出発してしまったのだ。
「す、凄いですね。」
「優秀な一族ではあるんだ。だが、協調性が皆無でな。」
ヴェイル様が、耳をペタンと下げて、大きな溜息を吐き出した。目尻も下がり、疲れた顔をしている。
私は、ヴェイル様の目の前にしゃがんで、労うように優しく頭を撫でた。
「団長、私も行ってきますね。」
「ああ。今後のためにも、ヤツの今の状態を詳しく知りたい。危険だが、頼んだぞ、ニルセン。」
「はい、お任せを。」
機敏な動作で、完璧な騎士の礼をとったニルセン様が、マントをはためかせて去っていく。
私は、その後ろ姿を祈るような気持ちで見送った。
ニルセン様の出発を見届けた私達は、一度、サウザリンド王国を経由した後、イザリア聖国に戻った。その時に少しだけお会いしたガイル陛下の憐憫の視線が気になったけど、聖国に着いて早々、ソワソワしている姫様を見たら、それどころではなくなってしまった。
「姫様、ただいま戻りました。何かあったのですか?」
「ああ、無事で良かったわ!そこの猫が、癇癪を起こして暴走してしまわないか、ヒヤヒヤしてたのよ。」
「おい!誰が猫だ!」
「あら、ステラの前じゃ、ただの飼い猫じゃない。ほら、そこ。」
姫様が指し示した私の手首には、しっかりとヴェイルの尻尾が巻き付いていた。
あ…。
最近、これが普通で、違和感を感じていなかった。
ヴェイル様も、姫様の指摘に気付いたようで、シレッとそっぽを向いてしまった。
「まあ、いいわ。話があるの。一先ず、私の部屋に行きましょう。」
「はい。」
姫様に続いて、神殿内の廊下を歩く間、ヴェイル様の尻尾は、私の手首に巻かれたままだった。
「さて!二人とも、先ずは、ご苦労様!蛇達は、バルフレア山に入ったわ。ふう。」
どんな時でも所作の美しい姫様が、珍しく乱暴にソファへ腰を下ろした。
やっぱり姫様の雰囲気が、いつもとは違う。
何かあったのかしら?
私は、もう一度姫様に尋ねようと口を開いたその時、隣に座るヴェイル様が動いた。
「バルフレア山は、どうなっている?」
「あそこは、魔物の巣窟になっているわ。各地から続々と、魔物が集まってきているの。魔物の王は、とうとう自分の存在を隠す気がなくなったみたいね。このままだとバルフレア山は魔物で溢れてしまうから、数名の異能者に、魔物の数を減らしてもらっているところよ。」
「姫様!そんな所に、ニルセン様達を向かわせて大丈夫なんでしょうか!?」
「今、ガイナイル山脈にいる異能者達に、派手に暴れてもらっているから、魔物の目は、異能者に向いているはずよ。だから、蛇の彼らは大丈夫。安心して、ステラ。」
「はい。」
良かった…。
私は、ホッと胸を撫で下ろした。
けれど、ヴェイル様の表情は変わらず厳しいままだった。
「俺達は今の所、報告を待つしかないということか…。もどかしいな。」
重苦しい空気が、ズンっと肩にのしかかってくる。
しかし、そんな空気を姫様が吹き飛ばした。
「そんな事より!貴方達が帰ってくる少し前に、殿下の副官が、一度ここに寄っていったのよ。」
「ニルセン様ですか?」
「ええ、そう!」
ニルセン様は、バルフレア山までの移動に、わざわざイザリア聖国を経由したの?
なぜ?
「フフフ。」
首を傾げた私とヴェイル様に向かって、姫様が目をギラギラさせて笑い始めた。
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