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*ヴェイル視点 35
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「お前が、私の番を狂わせたのか!?」
よろけた体勢を立て直し、俺を突き飛ばした人物を確認すると、エルフ族の異能者が、俺に代わり魔物の王の首を掴み上げていた。
その形相は、あまりにも必死で、悲痛だった。
そして、周りからも似たような声が上がる。
「ハハハハハ!古の大戦で疲弊し、眠りについていた我は、夢を介してお前達を弄んでいたのだ!ハハハハ!狂った番に縋るお前達は、滑稽だったぞ!」
「殺してやる…。私の番を狂わせたお前は、生かしてはおかない。」
「おい!待て!」
異能の力を引き出したエルフに、俺は手を伸ばす。けれど、俺の制止の手は、あと一歩届かず、エルフの短剣が魔物の王の胸に深々と刺さった。
「おい!」
怒りに震えるエルフを引き剥がし、魔物の王の体を確認すると、グチャリと不快な音を立てて、ヤツの体が地面に崩れ落ちた。そして、その体が、影の中に溶けていく。
「クソッ!ステラを返せ!」
魔物の王の体を追いかけて、沼のような影の中に、俺の腕を突き入れる。すると、指先に何かが触れた。覚えのある感触のそれを掴んで、一気に引き上げる。
影に塗れても目を引く赤に、俺は安堵の息を吐き出した。
「ステラ、大丈夫か!?ああ、良かった!」
影から引き上げたステラは、その場に俯いたまま座り込んでいる。けれど、覗き込んだステラの口からは、しっかりとした呼吸を感じ取れた。
「ステラ、もう大丈夫だ。一度、神殿に戻ろう。」
ステラに向かって両腕を伸ばすと、突然、彼女がクスクスと笑い始めた。
その愛らしい声が、ヤツの声と重なって俺の耳に届いた。
「アハハハ!ハハハハハハ!どうだ?我が分かるか?ああ、愉快、愉快。」
ステラの口が、ヤツの言葉を発し、ステラの手が、ステラの体を確かめるように触れ回る。
その光景を茫然と見つめていると、満面の笑みを浮かべて、ステラの姿をした魔物の王が俺に抱きついてきた。
「敵である我に愛する番の体を乗っ取られた感想を教えてくれ!ハハハハ、今、お前はどんな気分なのだ?」
「…やめろ。たのむ…。」
どうしたらいい?
どうしたら…。
心底楽しそうに、残酷な言葉を告げる魔物の王に、俺の心が悲鳴を上げる。
絶望感に支配され、俺の足から力が抜けたその時、ステラの体が、光の鎖に巻き取られた。
「しっかりしなさい、このヘタレ!貴方が、ステラを諦めてどうするのよ!フェイ!私がステラを浄化するから、そのまま押さえていて!」
「分かった。」
フェーイレーン殿がステラの体を拘束し、巫女が浄化をかける。
しかし、ステラの体から感じる魔に揺らぎは見えない。それでも巫女は、浄化魔法を掛け続けた。
ふと殺気を感じ、一歩前に出ると、風を纏った短剣が飛んできた。俺は、短剣を弾き、それを飛ばしてきたエルフに剣を向けた。
「やめろ!ステラを傷付けるな!!」
「今、それは、魔物だ。可哀想だが、世界のため。彼女には、魔物の王と共に死んでもらう。」
「ふざけるな!貴方は、ただ、番の復讐をしたいだけだろう!俺達の邪魔をするな!」
「邪魔なのは、お前だ、黒豹族の王子。現実を見ろ。お前は、番を守れなかった罪を背負って、魔物の王を討つしかないんだよ。」
エルフに続いて、鳥人族の異能者まで、ステラに殺意を向けてきた。しかも、他の異能者達も、ステラごと魔物の王を殺そうと、その異能を研ぎ澄ませ始めた。
よろけた体勢を立て直し、俺を突き飛ばした人物を確認すると、エルフ族の異能者が、俺に代わり魔物の王の首を掴み上げていた。
その形相は、あまりにも必死で、悲痛だった。
そして、周りからも似たような声が上がる。
「ハハハハハ!古の大戦で疲弊し、眠りについていた我は、夢を介してお前達を弄んでいたのだ!ハハハハ!狂った番に縋るお前達は、滑稽だったぞ!」
「殺してやる…。私の番を狂わせたお前は、生かしてはおかない。」
「おい!待て!」
異能の力を引き出したエルフに、俺は手を伸ばす。けれど、俺の制止の手は、あと一歩届かず、エルフの短剣が魔物の王の胸に深々と刺さった。
「おい!」
怒りに震えるエルフを引き剥がし、魔物の王の体を確認すると、グチャリと不快な音を立てて、ヤツの体が地面に崩れ落ちた。そして、その体が、影の中に溶けていく。
「クソッ!ステラを返せ!」
魔物の王の体を追いかけて、沼のような影の中に、俺の腕を突き入れる。すると、指先に何かが触れた。覚えのある感触のそれを掴んで、一気に引き上げる。
影に塗れても目を引く赤に、俺は安堵の息を吐き出した。
「ステラ、大丈夫か!?ああ、良かった!」
影から引き上げたステラは、その場に俯いたまま座り込んでいる。けれど、覗き込んだステラの口からは、しっかりとした呼吸を感じ取れた。
「ステラ、もう大丈夫だ。一度、神殿に戻ろう。」
ステラに向かって両腕を伸ばすと、突然、彼女がクスクスと笑い始めた。
その愛らしい声が、ヤツの声と重なって俺の耳に届いた。
「アハハハ!ハハハハハハ!どうだ?我が分かるか?ああ、愉快、愉快。」
ステラの口が、ヤツの言葉を発し、ステラの手が、ステラの体を確かめるように触れ回る。
その光景を茫然と見つめていると、満面の笑みを浮かべて、ステラの姿をした魔物の王が俺に抱きついてきた。
「敵である我に愛する番の体を乗っ取られた感想を教えてくれ!ハハハハ、今、お前はどんな気分なのだ?」
「…やめろ。たのむ…。」
どうしたらいい?
どうしたら…。
心底楽しそうに、残酷な言葉を告げる魔物の王に、俺の心が悲鳴を上げる。
絶望感に支配され、俺の足から力が抜けたその時、ステラの体が、光の鎖に巻き取られた。
「しっかりしなさい、このヘタレ!貴方が、ステラを諦めてどうするのよ!フェイ!私がステラを浄化するから、そのまま押さえていて!」
「分かった。」
フェーイレーン殿がステラの体を拘束し、巫女が浄化をかける。
しかし、ステラの体から感じる魔に揺らぎは見えない。それでも巫女は、浄化魔法を掛け続けた。
ふと殺気を感じ、一歩前に出ると、風を纏った短剣が飛んできた。俺は、短剣を弾き、それを飛ばしてきたエルフに剣を向けた。
「やめろ!ステラを傷付けるな!!」
「今、それは、魔物だ。可哀想だが、世界のため。彼女には、魔物の王と共に死んでもらう。」
「ふざけるな!貴方は、ただ、番の復讐をしたいだけだろう!俺達の邪魔をするな!」
「邪魔なのは、お前だ、黒豹族の王子。現実を見ろ。お前は、番を守れなかった罪を背負って、魔物の王を討つしかないんだよ。」
エルフに続いて、鳥人族の異能者まで、ステラに殺意を向けてきた。しかも、他の異能者達も、ステラごと魔物の王を殺そうと、その異能を研ぎ澄ませ始めた。
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