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*ヴェイル視点 44
昼時よりもまだ早い時間帯の王都は、人で溢れていた。
その中へ、いきなり現れた王弟の姿に、民は慌てふためく。けれど、その美しい見た目と、腕の中で大事そうに抱えられている少女の存在は、民達を強く惹きつけた。
そんな不躾な視線をものともせず、俺は大樹に近付く。そして、風魔法を使って一気に駆け上った。慎重に枝を避け、大樹の天辺まで上がると、心地良い風が吹き抜け、サワサワと葉が重なり合う音がした。
祭りで結ばれたリボンは下層の枝に付けるため、この辺りには一つもない。
俺は大ぶりの枝に腰を下ろし、膝の上にステラを座らせた。
「この辺りに結ぼうか。ここは、俺達だけの特別席だな」
ステラの両手に、俺の指を絡め、ステラの髪と同じ色をしたリボンを、二人でしっかりと結び付ける。
「ここに、毎年一本ずつ増やしていこう」
そう言って、手を離すと、そよ風がフワリとリボンを靡かせた。
その時、微かにリボンが光る。
それは、段々と強く光り、誘われるように、大樹から精霊の光が溢れ出した。
祭りの時以外、大樹から精霊が出る事は殆どない。しかも、これだけ沢山の精霊の光を見たのは初めてだった。
大樹の枝葉全てが、精霊の光で満ち、黄金の木のように輝いている。
未だ、これ程まで精霊の力が、大樹に宿っているとは…。
「ステラ、彼らは、俺達の絆を祝福しているようだ」
たった一本のリボンに精霊が喜んでいる。その暖かい気持ちが俺にも伝わってきた。
すると、光の一つが、ステラの胸に止まった。そして、一つまた一つとそれは増えていく。それはやがて、ステラの中に溶けるように消え、服の上からでも分かる程、俺の番の証、花印を浮かび上がらせた。
精霊も呼んでいるのか、ステラのことを。
「ステラ、戻ってきてくれ。俺のそばに。貴女がいないのは、寂しい…」
貴女に愛してると伝えたいんだ。
「ステラ」
「ステラ」
「ステラ」
俺は、何度もステラの名前を呼んだ。そして、彼女の華奢な体を抱きしめる。
すると、弱々しい腕が俺の背に回った。
「ヴェ、イル様…」
「ス、テラ…」
あまりの小さな声に、俺の願望が齎した幻聴かとも思った。だから、そっと伺うようにステラの顔を覗き込む。
そこには、深緑の瞳に確かな光を宿したステラの笑顔があった。
「ヴェイル様、くまが…。あまり寝ていないんですか?体は、辛くないですか?」
「ああ、ああ!辛かった!貴女がいなくて!死ぬほど辛かった!でも、もう大丈夫だ。もう…。ステラ、お帰り」
「はい、ヴェイル様、ただいま」
辛かった、苦しかった、痛かった、寒かった。
でも、今は温かい。
俺は、ステラの体を再び抱きしめ、その唇に何度も口付けを落とした。
情けなくも溢れる涙を抑えることなく。
そんな俺をステラは受け入れ、細い指で俺の涙を拭ってくれた。
その中へ、いきなり現れた王弟の姿に、民は慌てふためく。けれど、その美しい見た目と、腕の中で大事そうに抱えられている少女の存在は、民達を強く惹きつけた。
そんな不躾な視線をものともせず、俺は大樹に近付く。そして、風魔法を使って一気に駆け上った。慎重に枝を避け、大樹の天辺まで上がると、心地良い風が吹き抜け、サワサワと葉が重なり合う音がした。
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「ここに、毎年一本ずつ増やしていこう」
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その時、微かにリボンが光る。
それは、段々と強く光り、誘われるように、大樹から精霊の光が溢れ出した。
祭りの時以外、大樹から精霊が出る事は殆どない。しかも、これだけ沢山の精霊の光を見たのは初めてだった。
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未だ、これ程まで精霊の力が、大樹に宿っているとは…。
「ステラ、彼らは、俺達の絆を祝福しているようだ」
たった一本のリボンに精霊が喜んでいる。その暖かい気持ちが俺にも伝わってきた。
すると、光の一つが、ステラの胸に止まった。そして、一つまた一つとそれは増えていく。それはやがて、ステラの中に溶けるように消え、服の上からでも分かる程、俺の番の証、花印を浮かび上がらせた。
精霊も呼んでいるのか、ステラのことを。
「ステラ、戻ってきてくれ。俺のそばに。貴女がいないのは、寂しい…」
貴女に愛してると伝えたいんだ。
「ステラ」
「ステラ」
「ステラ」
俺は、何度もステラの名前を呼んだ。そして、彼女の華奢な体を抱きしめる。
すると、弱々しい腕が俺の背に回った。
「ヴェ、イル様…」
「ス、テラ…」
あまりの小さな声に、俺の願望が齎した幻聴かとも思った。だから、そっと伺うようにステラの顔を覗き込む。
そこには、深緑の瞳に確かな光を宿したステラの笑顔があった。
「ヴェイル様、くまが…。あまり寝ていないんですか?体は、辛くないですか?」
「ああ、ああ!辛かった!貴女がいなくて!死ぬほど辛かった!でも、もう大丈夫だ。もう…。ステラ、お帰り」
「はい、ヴェイル様、ただいま」
辛かった、苦しかった、痛かった、寒かった。
でも、今は温かい。
俺は、ステラの体を再び抱きしめ、その唇に何度も口付けを落とした。
情けなくも溢れる涙を抑えることなく。
そんな俺をステラは受け入れ、細い指で俺の涙を拭ってくれた。
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