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23話 溢れる怒り
しおりを挟む信じられない…
何度見てもあそこにいるのはルイス・ジェラルド本人で間違いなかった。
ひどい、ひどすぎる!!ルイスのこと、信じていたのに。愛していたのに。
怒りが激しい波のように襲って来る。
到底抑えられない怒りに気づけばルイスたちの方へ歩み寄っていた。
「ルイス!!」
私の声にビクッと体を震わせたルイスがこちらを振り返る。
「サラ!どうしてここに…」
いつもの優しい顔で私を見つめる。
黙ってルイスの目の前まで近づく。
「久しぶり!なかなか手紙を出せなくてごめん。会いたかったよ…」
どのつもりで言ってんのよ。
にこにこと笑いながら私への愛の言葉を囁くルイスに虫唾が走る。
怒りを込めてルイスを睨めつけた。
「久しぶりに会ったのに、そんな顔してどうしたの?」
そのルイスの言葉に自分の中で頭にカッと血がのぼるのを感じた。
パンッと乾いた音がそこらに響く。
思わずルイスの頬を引っ叩いた。
「最低よ!私がどんな思いでルイスのことを待ってたか!!」
全身怒りの固まりで、耐えきれず爆発したように叫ぶ。
「えっ…」
ルイスは訳がわからないとでもいうようなきょとんとした目で見つめてきた。
先ほどまでルイスと腕を組んでいた女は口元を手でおさえてびっくりしている。
「これ以上、私のことを侮辱するなら許さない!離婚よ!金輪際、私とは関わらないで!」
ありったけの怒りを吐き出して、くるりと振り返った。
「ちょ、ちょっと待ってよサラ!僕には何が何だか…」
痛てて…と私に叩かれて赤くなった頬をさすっている。
「手当はそちらの方にお願いされたら?」
さっきから黙って私とルイスを見る女をぎゅっと睨みつけた。
「サラ!!待って!」
「離して!触らないでよ!」
私の腕を掴むルイスを振り払う。
「戻って荷物をまとめてターナー邸へ帰るわ、二度と私の前に現れないでね。さようなら。」
そう言ってバタバタと走るようにその場を去った。
ジェラルド邸へ帰るとクレアが私の帰りを心配していた。
「奥さま!おかえりなさいませ。」
浮かない顔をしている私にクレアが気づく。
「奥さま、どうかされましたか?」
「なんでもないわ。」
「ですが、お顔がすぐれないようですが…」
「ほっといてっ!!」
大きな声で怒鳴った後、ハッとする。
私の大きな声にクレアも驚いていて、言葉を失っている。
「部屋にいくわ…誰もこないで…」
力なくそう言ってクレアの返事も聞かず、自室にこもった。
静かな部屋でぼろぼろと涙が出てきた。
信じてたのに…ひどいよルイス…
堰を切ったように大粒の涙が止まらない。
ふと今日自分が買ってきたルイスへ送るはずだったマフラーが目に止まった。
「っっこんなもの!」
乱暴に掴み、部屋の壁へめがけて投げつけた。
止まらない涙を拭っていると扉からノックが聞こえる。
「奥さま…」
クレアだった。
「今は誰とも話したくない、一人にさせて。」
泣きすぎて鼻が詰まったような声で答えた。
「サラ、開けてくれ。」
ルイス!?
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