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25話 新たな仕事
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少し落ち着いて椅子に座る。
クレアが落ち着くからとホットミルクを淹れてくれた。
ほっとして、ぐちゃぐちゃになった頭を整理する。
「ごめんなさい、ジェシカさん…」
改まってルイスの姉というジェシカさんに謝罪する。
「いいのよ、知らなかったんだもの。私の方こそ、ご挨拶が遅れてごめんなさいね。」
「いえっ!とんでもない…。本当に、なんと言えばいいのか…。ごめんなさい。」
初対面で、しかも夫の姉ともあろう方になんてご無礼を働いたのか、反省してもしたりない。
「本当に大丈夫だから、サラちゃん。それより私がルイスとずっと一緒にいた理由なんだけど…。」
ジェシカさんが私の手を取った。
それを見てルイスが説明を始めた。
「姉さんには今度建設する学校で教鞭をとってもらおうと思ってるんだ。
姉さんはボランティアで孤児院の子供たちに勉強を教えてるから、ちょうどいいと思って。その打ち合わせで少し長引いてしまったんだよ。
心配させて悪かった。」
ルイスが申し訳なさそうに頭を下げた。
「そうだったの…。」
はやとちりとはいえルイスを叩いてしまったことに罪悪感を感じた。
「そこで、サラちゃんにも一緒に子供たちに勉強を教えてもらいないかなって。」
ジェシカさんがにこにこと私を見てくる。
「え?!」
「うん、僕からもお願いしたい。」
「私が!?」
ルイスまで一緒にお願いしてくる。
「でも、私勉強を教えたことなんてないですよ。」
「サラはいつも勤勉だし、教養もある。だからお願いしたいんだ。」
「分からないことがあれば私に聞いてくれてもいいから、ね?」
ルイスとジェシカさんの圧に思わずたじろぐ。
「最初は教師を雇おうと思っていたんだけど、やっぱりお金がかかるからね。
できるだけ子供やその親たちの負担になることは避けたいと思って。」
私から言い出した学校建設の件をルイスが真剣に考えてくれるのが嬉しかった。
不安だけど…頑張ってみよう!
「そうね…。私で良ければ頑張ってみたい。」
私の言葉にルイスとジェシカさんが飛び跳ねて大喜びする。
「ありがとう、サラ。学校の建設はもうすぐ着手できそうだから、完成するまで姉さんと一緒に準備してもらっていいかな?」
「もちろん。よろしくお願いします、ジェシカさん。」
「こちらこそ、サラちゃん。」
一時はどうなるかと思ったけど、私の勘違いだったみたいだし学校建設の計画は順調に進んでいるようだった。
ルイスと一緒にジェシカさんを見送ったあと、久しぶりにルイスがジェラルド邸で寝ると言ってきた。
「もう大丈夫なの?」
「姉さんとの話はある程度まで進んでるし、屋敷の仕事も溜まってるからしばらくはジェラルド邸にいるかな。」
「そうなのね、お疲れさま。ルイス。」
ルイスの頭を軽く撫でた。
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