月華の女帝

ピヨ

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フィリアーナ・レイクローの日常

俺の主の日常3~カイル視点~

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チャックは十分健闘した。たがまあ、フィリアに逆らうのは無謀だったとだけ言っておこう。
「うう、もういいだろ!」
「えー?なんて言って告白したのかってすっごく大事よ?あ、キスした?」
「な、な、~~んなこと言えるか!」
「え~?」
ときどきチャックが視線を送ってくるが、スルーする。何を訴えたいのか全く、これっぽっちも分からないからな。・・・罪悪感なんてないぞ。
「カイル。フィリア。・・・何してんだ?」
後ろから声が聞こえた。これはグレンだ!まさに救世主の声!これでやっとチャックも苦行から解放される!俺は勢い良く振り返る。
「グレン!」
「げぇ、グレン・・・。」
あからさまに嫌そうな顔すんな、フィリア。
「げぇ、ってお前なぁ。・・・で、何をしてたんだ?」
「え~っと、おしゃべり?」
「正直に言わないならそいつに聞くが?」
グレンがチャックを指さす。
「・・・おい、大丈夫か?フィリアになんかされたか?」
見ると、チャックは固まっている。
「ちょっと~!それは濡れ衣「グ、グレン?ま、まさか、グレニル・ミラーリンク様!?」
あー、納得。グレンは西の大陸で最も大きな国の次期国王だし、そりゃ驚くよな。まあ、それ以外にも色々あるが。とはいえ、フィリアの方が権力持ってっけど。
「そうだが?」
チャックの顔が青くなるのを通り越して白く・・・はならなかった。
「あ、憧れだったんです!ぜひ俺に稽古つけてください!」
ああ、そっちか。グレンって男女問わずモテるよな。ま、容姿も良いし強いし次期国王だし、納得だけど。
「あー、申し訳ないが今日は休日でな。また機会があればで良いか?」
「は、はい!休日中に失礼しました!」
「いや、構わない。」
グレンがチャックとの会話を切り上げて振り返る。
「で?何してたんだ?」
「な、何にも!ただのおしゃべりだよ!」
むっちゃ慌ててんな、フィリア。
「あと、あと、ヴェラさんのお店に向かってた!ケーキ食べに!そ、それだけだよ?」
「ふ~ん?・・・まあ、どうせケーキを餌に困らせて遊んでたんだろ?」
「え!?な、何で分かったの!?」
「・・・バーカ。」
おっと。つい本音が。
「馬鹿って言ったわね!?馬鹿って!カイル、許さな「フィリア?」
おおう、グレンの笑顔こっえー。フィリアも固まってるぞ。
「あー、あーっと、ご、こめんね?」
「・・・。」
フィリアが上目遣いで謝ってもグレンは表情一つ変えない。他の男ならいちころだろーけどな。
「・・・ちっ!」
おい!舌打ちしただろ、このお転婆王女!
「・・・グ、グレンも一緒にどう?ラーナちゃんにお土産渡したら、絶対喜んでくれるよ?」
「な、ラーナが・・・いや、でも・・・。」
もう一押しと判断したのか、フィリアがまくし立てる。
「新作のケーキだよ?女の子はこーゆーのに弱いんだから。ついでにいつものお礼でも言ったらキュンってなるって!」
「・・・わ、分かった。」
うん、本当にグレンはラーナ孃が好きだな。・・・グレンからの説教を回避するためのフィリアの常套手段なんだけどな、これ。
「・・・普通の女の子ならね。」
フィリアが呟く。
「こんなんでラーナちゃんが落ちる訳ないでしょ。もしそうならとっくにくっついてるでしょうに。・・・だーれがラーナちゃんをグレンにあげるか。」
・・・うん、フィリアだからな。
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