素敵な障害者3人組

増田朋美

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第二章 老楽

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ある日、朝日勝美は会議に出席のため、近隣の総合病院を訪れていた。会議が終了して、他の医師たちは自家用車で帰るのであるが、左腕がないため車の運転免許証がない勝美は、仕方なくタクシーを呼ぼうかなと病院の玄関先まで歩いていった。ちょうど、総合病院の受付前の廊下を歩いていたとき。
「だから、言ってんじゃないか。根岸、根岸を出せ!」
若い女性の声でそう言っている声がした。勝美が急いで受付に行ってみると、若い女性、まだ20代後半か30代前半くらいの女性が、受付のおばさんにつっかけているのであった。
「何度も言っておりますが、根岸は外出しております。」
受付のおばさんはそう言うが、
「嘘言うな。本当はいるんだろ?ちゃんと勤務時間も調べて押しかけてきたんだ。いくらあたしが馬鹿でも、数字くらいは読めるからな。早く出せ。根岸礼子を出せ。あいつは人殺しなんだよ!」
と、その若い女性は言うのであった。思わず受付のおばさんは、
「根岸先生に向かってなんてこと言うんですか!」
という。近くにいた制服を着たガードマンがやってきて、
「そんなに怒鳴ってますと、警察を呼びますよ!」
と彼女に言ったのであるが、
「警察?ああ上等じゃないか。そうすれば根岸が人殺しであることはちゃんと分かるわ。とにかくな、あいつは医者でもなんでもないんだよ。人殺しなんだよ。あいつがあんな危ない薬を処方しなかったら、家のおばあちゃんは死ぬこともなかったんだよ!」
と、その女性は叫ぶのだった。勝美は彼女が気になって、
「ちょっと失礼いたします。この女性は、お宅の患者さんですか?」
と、聞いてみた。
「いや、ここの患者の、石野綾子の孫で、石野茉莉って言うんだよ!」
と彼女は興奮したまま言った。
「そうですか。まず初めに落ち着きましょう。あなたは、興奮状態にありますね。それではいけませんからまず、肩を上げてみてください。そして、力をストンと抜きましょうね。いいですか。」
勝美がそう指示を出すと、石野茉莉さんは、そのとおりにした。それを何度か繰り返していくうちに、石野茉莉さんの興奮状態も落ち着いてくれたらしい。
「じゃあ、もう一度、何があったか話してみてください。ここでは他の方もいることですし、そうだなあ、家の病院に来てもらえますか。そこなら安心して話せますから。」
と、勝美は石野茉莉さんに言った。
「病院ってあたし、やっぱりどっかおかしいの?」
石野茉莉さんが聞くと、
「おかしいというか、興奮状態をまず落ち着いてもらうのと、何があったのか、話してもらいたいんです。」
勝美は、そう言った。
「そうなんだ。誰もあたしの言うことは、信じてくれないんだね。」
石野茉莉さんはそういうのであった。
「いいえ、そういうことなら、話を聞くことを商売にしている人間もいます。彼なら、いくら話をしても、断ることなく聞いてくれます。そういう職業ですから、何でも気が済むまで話したらいいんですよ。そのときに、建前も何もいりません。あなたの本当の気持ちを話してください。」
勝美はそう彼女にいうと、石野茉莉さんは、本当にそういう人がいるのかと聞いた。
「ええおりますよ。精神科というのは、おかしくなった人の行くところではございません。それよりもあなたのような心に悩みがある人が行くところです。」
勝美はにこやかに笑った。石野茉莉さんはそうなんだと言って、やっと静かになってくれた。勝美は受付と、ガードマンのおじさんに頼み、タクシーを呼んでもらって、到着したタクシーに二人で乗り込み、精神科森病院に連れて行った。
とりあえず、石野茉莉さんを、市川慎一がいつも本拠地にしている相談室へ連れて行った。ちょうどそのときには、川島龍一も相談室にいたので、三人で茉莉さんの話を聞くことにした。とりあえず、気の利く龍一が彼女にお茶を出してあげて、椅子に座らせた。
「それでは、お話を聞かせてもらいましょうか。あのとき、根岸礼子という方のことを話していましたね。そして彼女のことを人殺しと言っていた。それは穏やかではありませんね。一体何があったのか話してくださいますか。」
勝美が、石野茉莉さんにそう言うと、
「はい。実は、先日、おばあちゃんがなくなってしまいました。まだ、なくなったばかりで四十九日の供養もしておりません。したいんですけど、みんなその気力がないというのが本音です。」
と、茉莉さんは話し始めた。
「そういうことなら、お寺の和尚さんなどに話してみてはいかがですか?」
と、慎一が聞いてみたが、
「いえ、それもする気力もないのです。おばあちゃんはみんなの憧れで、本当に明るくて楽しい人でした。家の中で、すごく明るくて、あたしも一緒にいて一番楽しい人だったんですけど。」
と、茉莉さんはいう。
「そうですか。それでは、急逝だったのでしょうか。脳梗塞とか、心筋梗塞みたいなそういうものかな?」
龍一がそう言うと、
「いえ、それじゃありません。それだったらまだ良かったんです。ですが、それじゃなかったんです。話すと長くなりますが、よろしいでしょうか?」
茉莉さんは、三人に聞いた。
「大丈夫ですよ。僕らは聞くためにいるんですから。」
慎一が穏やかにそう言うと、
「ええと、話は、おばあちゃんが、自宅内で転倒して、足を骨折したことから始まるんです。別に車椅子になったとか、そういうことではありません。ですが、おばあちゃんは、そのときにかなり大きなショックを受けてしまったようで、それ以来、もうお迎えが来るんだとか、そういうことを言うようになりました。趣味でやっていた、生花も簡単にやめてしまって、ずっと家の中にいるようになりまして。それで、病院ではうつ病と診断されました。」
茉莉さんは、そう語り始めた。
「そうなんですか。それでちゃんと抗うつ薬とかは出してもらえたのでしょうか?」
勝美は医師らしくそう言うが、
「はい。それは出してもらったんですけど、眠れないというものですから、それで睡眠薬を出してもらうことになりました。それで私は詳しくは知らないのですが、何でもロヒプノールという睡眠薬を出してもらったらしいのです。そうしたら、そのロヒプノールをおばあちゃんが大量に飲んでしまって、それであっけなく死んでしまったというわけで。それを処方したのが、根岸礼子先生でした。もう仕方ないから、諦めろと言われたんですけれども、私はどうしても踏ん切りがつかなくて、それで、、、。」
茉莉さんはしくしく泣き始める。
「お話はわかりました。確かに医師は眠れないといえば睡眠薬を出しますけれども、それがおそらく強すぎたのか、それとも大量に飲んでしまったのかが原因で亡くなられてしまったということですね。それにしても、その根岸礼子先生って大胆ですね。ロヒプノールは、確かに効果のある薬品ですが、致死率が高いので、なかなか処方しないものなんですよ。」
勝美がそう言って彼女の話をまとめようとすると、
「そんな怖い薬だったなんて知らなかったんです。だから、おばあちゃんが眠れないって言ったときに、私、ロヒプノールがあるじゃないかって言ってしまったんです。それもあっておばあちゃんは大量に薬を飲んでしまったのではないかって、私、自分をせめ続けているんです。」
そう言って泣き崩れる茉莉さんに、勝美たちは顔を見合わせた。
「もしかしたら、医療事故というべきなのかもしれないですね。僕も、同じ医師として、ロヒプノールを出せと言われたら、はっきり断ります。危険な薬を患者さんに飲ませるわけにはいかないですから。」
「そうだねえ。だけど、なんで根岸礼子という医者は、ロヒプノールなんていう危険な睡眠薬を出させたんでしょうね。そこが問題だ。」
勝美がそういうと車椅子の川島龍一が言った。
「その理由がわからないと困るじゃない。」
「結局のところ、私が悪かったんでしょうか。私が、おばあちゃんに、ロヒプノールがあるじゃないかなんてそんなこと言ってしまったから、おばあちゃんはその通りにしてしまったのでしょうか。あたし、それがどうしても悔やまれるんです。あのとき私は、私自身のことを、コントロールするのに精一杯だったから。おばあちゃんがうつ病になったのは、あたしが悪いんじゃないかって思ったこともあったんです。」
「いえいえ茉莉さん、自分のせいにするのは辞めましょう。それではあなたがいつまでも苦しいだけじゃないですか。お祖母様のことは、もうそうなってしまったんだと、思ってください。人間の力ではカバーできないことは、本当にたくさんありますからね。時には、どうしてこんなことで最期をってこともありますよ。」
慎一は、そう茉莉さんに優しく言ってあげた。
「因果の道理みたいに、何でも原因があって結果が出るという教えもありますが、人間に関しては当てはまらないことも多いんです。だから、そういうこともあるって、思わなくちゃ。」
龍一も彼女にそう言ってあげたのであった。
「それよりも、その根岸礼子先生という医者の処方が問題だ。眠れないからと言って、すぐにロヒプノールのような危険な薬を出してしまうのであれば、ちょっと医者として問題があると思います。僕であれば、患者さんから、そういう薬を要求されても、危険だからと言ってはっきり断る。それなのに、根岸礼子先生はどうしてそうしなかったのかなあ?」
勝美は、一つしかない右腕で、頭をかじっていった。
「失礼ですが、根岸礼子先生にお会いしたことはありますか?」
「いえ、私はありません。おばあちゃんの通院は母がしてましたから。母の話によると、ちょっときついところがある女性のお医者さんだって言ってました。」
「じゃあ、精神科ではなくて、総合病院にかかっていたのはなぜですか?うつ病と言われたんなら、精神科にかかってもいいはずですよね。まさかと思うけど、抵抗があって連れていけなかったとか?それとも世間体が悪いと思ったんですか?」
「いえ、どちらでもありません。ただ、おばあちゃんですから、高血圧の薬を飲んでいたので、その薬もだしてほしかったから、総合病院に通っていたのです。」
「そうですか。本当は精神科に来るべきだったねえ。そうすれば、こういう話を聞く専門家もいることだし、もっと高度な治療が受けられたかもしれませんよ。」
「そうですよね。あたし、なんでそれを言えなかったんだろう。あたしは、働いていないから、家族に文句を言ってはいけないと思っていたから。本当はおばあちゃんのことがかかっていたのに、なんであたしは何も言えなかったんでしょうか。」
茉莉さんはまた泣き出してしまった。
「勝美、あんまり今詰めて聞かないほうがいいよ。彼女を慰めてあげよう。」
龍一に言われて勝美は自分が言い過ぎたことに気が付き、
「ごめん。ちょっと言い過ぎた。」
とだけ言った。
「じゃあ、今日は、少し、心を楽にしてもらって帰ってもらいましょうか。安定剤処方しておきますから、それを受け取って帰ってください。もし辛いことがあるんだったら、ここに電話してくれれば何でも相談に乗るからね。くれぐれも、お祖母様の後追いみたいなそんなことはしないでね。お祖母様も喜ばないし、ご家族も喜ばないよ。」
勝美は処方箋を書いて彼女に手渡し、隣の薬局で薬をもらうように言った。
「ありがとうございました。先生。先生みたいに、あたしの話を聞いてくれた先生は初めてでした。みんな、診察と言っても、すぐ終わってしまうから。」
茉莉さんは嬉しそうな顔をして、それを受け取る。確かに、精神科のクリニックに行っても、薬をもらうだけで、話を聞いてくれるというところはほとんどない。
「ありがとうございました。」
茉莉さんはそう言って、相談室を出ていった。そして自らタクシーを呼び、自宅まで帰っていったようである。本当に繊細な女性が増えているんだなと勝美はおもいながらそれを見送った。
それからしばらく経って、勝美が診察を終えて、カルテの整理をしていると、
「朝日先生お電話です。なんでも、石野さんと言う方からです。」
と、川口看護師長が、受話器を持ってきた。
「はあ、石野さんがどうしたんでしょうか?」
勝美がそうきくと、
「はい。それがちょっと様子が。」
川口看護師長はそう答えるのであった。勝美は受話器を受け取って、
「はい、朝日です。あの、石野さんとおっしゃいましたね。こないだの石野茉莉さんですか?」
とそれだけ言ってみた。
「はい。茉莉が医療保護入院になりました。」
電話の声は、疲れ切った声だった。
「それでは、なにかあったんでしょうか?」
勝美がすぐに言うと、
「昨日、母の四十九日法要をやっとやろうと言うことになりまして、和尚様やお寺の関係者の方と話をしていたんですが、そのやり方を巡って少々大きなことを言ってしまいました。そうしたら茉莉は、それが自分のせいだっていい出して。あの子ったら、母の持っていた薬を、そのまま持っていたようなんです。」
ということは、電話してきたのは、茉莉さんのお母さんである。そして、四十九日法要をやるというのは、茉莉さんのお祖母様だなと勝美はわかった。
「それで、命に別状はなかったんですか?」
勝美が聞くと、
「ええ。幸い発見が早かったので大丈夫ですが、いつでも自殺のおそれがあると、お医者様には。」
と、茉莉さんのお母さんはいう。
「それで、お母様。つかぬことをお聞きしますが、茉莉さんにとってお祖母様、つまりお母様は、どんな患者だったのでしょうか。担当医であった根岸礼子先生のことを含めてお話してくださいませんか?例えば、お祖母様が根岸礼子先生と軋轢があったとか。」
勝美は、ここぞとばかりに、茉莉さんのお母さんに聞いてみた。
「ええ、確かに、薬に少し頼り過ぎのところがありましたので、根岸先生にはよく怒られておりました。私どもは、女医さんなので仕方ないと母には言っていましたが、母にはそれが通用しなかったみたいなんです。」
確かに、うつ病は感情の障害というのであるから、感情であたってはいけないとも言われる。
「それでは、薬の管理などは誰がしていましたか?」
「本人がしていました。」
「それで、日頃から薬を大量に飲んでしまうとか、そういうクセのようなものはあったんでしょうか?」
「いえ、そのようなことはありません。根岸先生は、しっかり薬を出してくれていたと思います。でも母ときたら、家で転倒したのがよほど悔しかったのか。それとも年を取ったのを受け入れられなかったのかわかりませんが、もう、鬱になってからは、何もしなくなってしまって。本当だったら、生業としている生花も続けてほしかったのに。」
ということは、生花の講師でもしていたのかあと勝美は思った。意外とそういう高尚な職業の人は、そういうちょっとしたことですぐ折れてしまうと聞く。
それにしても、茉莉さんのお母さんの話は、実に淡々としていて、まるでアナウンサーが喋っているみたいだった。それでは茉莉さんが、悲しみをわかってもらえないで、病院へ押しかけるのも有り得る話だと勝美は思った。もう少し、茉莉さんのそばにいてやれる人がいてくれれば、彼女もそうはならなかったのかもしれない。
「本当に母のことは、もうこれっきりにしてください。茉莉は、多少変化を要求されると、対応に時間がかかる子ではあるんですけど、もう少し頑張らせます。それにあたしたちは、もう辛いこととは決別したいんです。」
茉莉さんのお母さんは、そう言っているが、勝美はこれだけは言わせてくれと思った。
「いえ。あなたも茉莉さんもいずれはそうなりますよ。僕も、誰でも、どんな人でも。」
茉莉さんのお母さんは一瞬ぽかんとしているようであったが、それでもそれどころではないというような感じで、
「ありがとうございました。」
とだけ言って、電話はブツッと切れた。
きっと、自分のことをかんがえる余裕もないんだろうなと思った。勝美は、このままではだめだと思い、タクシーを呼び出して、先日の総合病院まで行った。
「あなたが朝日先生ですか。この間は、石野茉莉を診察してくださってありがとうございました。」
勝美が面会室で待っていると、根岸礼子という医師が現れた。確かに女性の医師ではあるけれど、なんだか態度も体格も大胆で、女性医師らしくない顔をしている。
「失礼ですが、石野綾子という患者さんに、ロヒプノールを処方したのはあなたですか?」
と勝美が聞くと、
「ええもちろん私ですよ。それが何だって言うんです?」
根岸礼子先生は答えた。
「あの薬は、大量に飲むと致死率が高いので、よほどのことがない限り処方しないのが普通なんですがね。」
勝美は、根岸先生に言った。
「ええ。もちろんそれは心得てます。ですが、患者である、石野綾子さんがどうしても眠れないという以上、彼女に処方してやるべきだと思いましてね。彼女は、話を聞いている限りでは、年を取って、体が動かなかったり、落ち込み気味になったりすることをとてもつらいとおっしゃっておられましたから、楽にしてあげるのが一番ではないかと思ったんです。だって誰でも年は取りますし、それを食い止めることなんてできないじゃないですか。そういうことなら、患者さんが、少しでも楽にしてあげられるようにしてあげるのが、医者の勤めではございませんの?」
「いえ、患者がそう言ったとしても、それではいけないと注意することも必要だと思います。だって、現実には最悪の結果になってしまったわけですし、それが原因でおかしくなってしまった石野茉莉さんもいます。そうなることを、先生は考慮してくださらなかったんですか?」
得意げにそう言っている、根岸礼子先生に、勝美はそう言ったのであるが、
「そんなこと、医者がいちいち考えていたら、やっていけませんよ。この商売、患者さんを何とかするのでは、もうやっていけない時代ですから。もういいですか。午後の診察もありますから。」
根岸先生は、すぐに立ち上がり、面会室をでていってしまったのであった。
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