実結と恋と青春の謎

壱ノ瀬和実

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想いは燃ゆる。

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 十二月二十四日 二十三時五十一分


 全部聞いたよ。

 まあ、その人のことを私は知らないから、どう励ませばいいかも分からない。だから、まず文句を言わせて欲しい。

 あなたのせいで、麗奈の元気がない。正直、いい迷惑。

 何でかは言われなくても分かるよね。

 昨日の今日で元気出せってのも無理な話だと思うし、無理矢理にでも笑って出てこいなんて言えない。けどね、実結ちゃん。

 今回のことで実結ちゃんが落ち込んで、自分のせいでおかしな事件が起こったって思ってるんなら、それは絶対に違うから。

 まあ、反省するな、とは言わないよ。そう言ったってするのが、この半年以上あなたと友達でいて見えたあなただから、意味はないと思う。

 でもお願いだから、実結ちゃんには変わらないでいて欲しい。

 あの春、私と麗奈は、実結ちゃんの素敵な我が儘に助けられたんだよ。お節介がなくちゃ困る人間だっている。お節介がなくちゃ、結ばれなかった絆もある。

 実結ちゃんはそのままでいいの。変わっちゃ駄目。あなたがあなたでなくなって、一番悲しむのはあなただよ、実結ちゃん。

 じゃあ、明日。夜に駅前集合。絶対来て。絶対だよ。

 誰のためでもなく、麗奈のために。

 来るまで待ってるから。


 追伸。


 このメールのこと、麗奈には内緒にしておいてね。
 嫉妬しちゃうだろうから。色々と、ね。


 ――悠木真奈加。
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