恋人はメリーゴーランド少年だった。

夏目奈緖

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 黒崎の裸の胸に触れた。そして、黒崎から触れられた。もっと近づきたいと思ったとき、黒崎が起き上がってベッドに座り、俺の事を抱き起した。そして、膝の上に乗るような体制になり、肩へ両腕を回させられた。どうして俺が考えていることが分かったのだろうかと不思議に思った。

「どうして分かったんだよ?」
「なんとなくだ」
「あんたは魔法使いのお兄さんみたいだね。なんだよ……。じろじろ見るなって」
「俺の事も見てくれ」
「緊張するだろ」
「いいから。見てくれ」

 黒崎から顔を覗き込まれて、両頬を包み込まれた。そして、何度もキスをした。すると今度はベッドのスプリンが軋み、視界の中に天井が見えた。押し倒されたからだ。何も着ていない体と、熱っぽくなった眼差しを受け取った。さらに何度もキスをしながら、体に触れられた。ベッドの中で触れ合うことが、こんなに優しい行為だったのかと驚いた。想像よりも激しさがなく、お互いの体温を感じている。何も着ていない肌を合わせるだけで、こんなに気持ちがいいのか。そっと肩に顔を埋めると、汗の匂いがした。黒崎のこめかみからは、汗が流れている。

「気になるか?」 
「ううん……。暑いの?クーラーを強めてもいいよ」 
「慣れてきたのか?」 
「うん。もっと凄いことをするかと思っていたよ」 
「これからは怖いかもしれない」 
「ええ?」

 黒崎が体を起こした後、空気が変わった。強引なキスをされたからだ。そして、黒崎の荒い息遣いに驚いて、頭の中が混乱した。さっきまで優しかったからだ。俺が声を上げるとやめてくれた。

 すると今度は、胸に触れられた。そこから熱が集まり、自分の息が熱くなった。声を上げるともっと触られて、何度も押し乗せる波に身を任せていると、下半身に熱が集まり、恥ずかしくなった。

「もういやだよ……。見るなよ……」
「恥ずかしくない。俺はどうする。お前より余裕がない。先に進んでいいか?」
「何のこと?もう進んでいるよ」 
「まだ先がある。最後まで我慢できない」 
「だから何を……、何をやっているんだよ?」 

 両足を割られて、黒崎がその間に入って来た。怖くない。大切にする。驚いて起き上がろうとしたけれど、優しく囁かれたから抵抗が出来なくなった。切なくて胸が痛くなったからだ。 黒崎がやっていることに身を任せていると、黒崎と俺の体が重なり合った。そして、体の奥に熱を感じた。

「黒崎さん……。あの……、これは……」
「こういうことだ。痛みはどうだ。他には?」
「ううん。痛くないよ?他にもないけど」 
「そうか……」 

 さらに黒崎の体が揺れ動くようになり、スプリングが軋む音がした。その音が早くなり、お互いの息も荒くなった。体温が心地よくて眠くなる程だ。体の奥から弾けそうな感覚があるのに、想いを伝え合っているかのようだ。

「どうして落ち着くのかな?」
「コミュニケーションだからだ。……時計を見ろ。日付が変わったぞ」 
「今日は七夕だよ!ロマンチックだね。俺たち、七夕に結ばれたんだね……」 
「そうだな。記念に残ったか?」
「うんっ。黒崎さん。大好きだよ……」 

 息が荒くて言葉を出すのが難しい。途切れ途切れに気持ちを伝えると、優しいキスをしてもらえた。何も考えられなくなる感覚が起きた後、視界が霞んだ。そして、腕の中で微睡みながら、愛情に包まれた。 

「愛している」
「うん……」

 黒崎の囁き声が子守唄のようだったと思った。何度も優しく髪の毛を触られて気持ちよくなり目を閉じると、目が覚めたときにそばに居ると囁き返かれた。黒崎の体温が心地良いと思った。そして、段々と眠気がきて、眠ってしまった。何も怖くないと思いながら。こうして夜が更けていった。
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