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あれは5月6日のことだった。ゴールデンウィーク最終日の店内は、普段の倍は賑わっていた。 プロの有名ギタリストが、この楽器店で特別教室を開催する。その申し込み開始日だったことが理由だ。
同じ大学の憧れの先輩、桜木聡太郎《さくらぎそうたろう》さんも申し込みに来てくれた。 彼は農学部の院生だ。高校時代の先輩である並川さんが桜木さんと友達で、俺に紹介してくれた。ギターを弾いている人だ。最初に会った時から話が合った。その桜木さんと並川さん、同じ大学の新入生の夏樹、他大学の藤沢との5人で、ロックバンドを組んだところだ。
桜木さんと話しているうちに、すっかりファンになってしまった。男には恋愛感情を持ったことがないが、桜木さんは別格だ。すごく優しくて、ギター演奏が超絶に上手い。これで惚れないのは嘘だと思う。
そんな憧れの先輩が店に来てくれた。忙しくなければもっと話したかったのにと思いながら、帰って行く桜木さんの後ろ姿を見送った。するとその時だ。あのイケメン会社員が店の前に立っていた。てっきり入ってくるものと思っていたのに、入って来なかった。不思議に思い、自動ドアの外を見ると、桜木さんと立ち話をしていた。
「あれ?知り合いなんだ……」
そう思って見ていると、イケメン会社員が、桜木さんが持っていたスマホを奪い取った。そして勝手に操作をし始めた。桜木さんが返せと言う素振りを見せているのに、返そうとはしなかった。そして、桜木さんから取り返されないように高く持ち上げていた。その顔は意地悪そうだった。
「なんだよ、あれ!?」
申し込みの受付中だったから、助けに行けなかった。お客さんが途切れた頃に桜木さんに連絡を取ると、平気だ、何でもないと答えられた。そんなわけはない。大学内でも人気があり、恋愛感情を持っている男が多いという噂がある。何もなかったとは思えない。あのイケメン会社員の印象が変わった。
今日は桜木さんが、この店に来ることになっている。この近くにある黒崎製菓でインターンシップを始めていて、会社の帰りに寄るそうだ。
どうして店に来るかと言うと、子供の頃に習っていたヴァイオリンを、もう一度始めるからだ。当時と同じヴァイオリンを探しているが見つからず、困っているそうだ。桜木さんと夏樹は幼なじみでもあり、夏樹と桜木さんから相談された後、オーナーに聞いてみると、心当たりがあった。
「もうすぐだな。楽しみだな。ご飯に誘おうっと。あ……、床が汚れてる。モップ、モップ……、ひいいいっ」
勢いよく立ち上った結果、そばに置いてあった衝立にぶつかった。本日二度目の、大げさな悲鳴を上げてしまった。
「大丈夫か?」
「すみません!」
「怪我がないなら良かった」
「ありがとうございます。モップを取ってきます」
「自動ドアに気をつけろよ。昨日、挟まれていただろう?」
「げえええっ。知っていたんですか?」
俺は小さな頃から落ち着きがなく、そそっかしいタイプだ。怪我をしたり物を壊したりすることは、数知れずある。ここで雇ってもらえたのは、奇跡的だと思う。
同じ大学の憧れの先輩、桜木聡太郎《さくらぎそうたろう》さんも申し込みに来てくれた。 彼は農学部の院生だ。高校時代の先輩である並川さんが桜木さんと友達で、俺に紹介してくれた。ギターを弾いている人だ。最初に会った時から話が合った。その桜木さんと並川さん、同じ大学の新入生の夏樹、他大学の藤沢との5人で、ロックバンドを組んだところだ。
桜木さんと話しているうちに、すっかりファンになってしまった。男には恋愛感情を持ったことがないが、桜木さんは別格だ。すごく優しくて、ギター演奏が超絶に上手い。これで惚れないのは嘘だと思う。
そんな憧れの先輩が店に来てくれた。忙しくなければもっと話したかったのにと思いながら、帰って行く桜木さんの後ろ姿を見送った。するとその時だ。あのイケメン会社員が店の前に立っていた。てっきり入ってくるものと思っていたのに、入って来なかった。不思議に思い、自動ドアの外を見ると、桜木さんと立ち話をしていた。
「あれ?知り合いなんだ……」
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「なんだよ、あれ!?」
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今日は桜木さんが、この店に来ることになっている。この近くにある黒崎製菓でインターンシップを始めていて、会社の帰りに寄るそうだ。
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