二つの温もり、叶えられた願い。

夏目奈緖

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 12月24日。

 クリスマスイヴの今夜、ホテルのビュッフェレストランで食事をした。大食いだから沢山食べた結果、歩けないほどまでに満腹になった。帰りのタクシーから降りた後も、恋人の早瀬裕理はやせゆうりに背負ってもらっている。いつものことだ。裕理は31歳で、俺は19歳の、年の離れたカップルだ。

 ユラ……ユラ……トン、トン、トン……。

 規則正しい揺れと、足音が聞こえている。このマンションのロビー内には、クリスマスツリーが飾られている。住人がそれを背景に写真を撮っている。全面がガラスになっている壁の向こうには、ささやかなイルミネーションも点灯されている。

「悠人君。お腹は平気か?」
「裕理さーん。もう大丈夫だよ。おりる……」
「気にするな。ここまで来たら同じだよ。さっきすれ違った人から可愛いと言われただろう?自信をもて」
「そんな自信はいらない……うえっぷ」
「はいはい。エレベーターに乗ったよ。押してくれ」
「うん。ポン……」

 誰も乗っていないからホッとした。見られると恥ずかしいからだ。今の時間は、ロビーは人が少ない。家でゆっくりしているか、まだ外出をしている時間帯だだろう。俺達は早めに帰るのが定番コースだ。夜遅くまでデートしなくても、いつでも一緒にいられるからだ。

 グレーのコート越しに、彼の背中から伝わる温もりを感じている。すがりつくようしているから、鼻先に首筋がある。とてもいい匂いだと思いながら目を閉じた。
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