青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 どうして黒崎はルークさんからこんな目に遭わされているのだろう。正直に訳を話してくれと頼むと、さっき話したことが全てだと言われた。いい男であり、紫乙さんがそう思っているからだそうだ。それはそれとして受け止めて貰いたい。

「ルークさん!黒崎さんには俺がいるんだ。紫乙さんがかっこいいなんて思っても、人のものなんだよ~」
「だって、僕は嫉妬という体験がしたいからしているんだ。ユリウス君もアレクシス君もかっこいいね。僕の好みだよ。僕、君達にも入ってみたいな。……いたたた、紫乙が怒っているから、これ以上はやめておくよ。二度とここに来られなくなる。彼女には恥をかいてもらう体験もして貰いたかった。ああ、紫乙がもっと怒ったよ。ちっとも昔と変わっていない。僕、紫乙に怒られると頭痛がするんだ。副社長、ごめんね」

 すると、すーーっと、ルークさんの姿が消えた。全く見えなくなった。すると、窓の外から光が差し込んできた。アレクシスさんがそれに驚き、UFOだと騒ぎ始めた。月島さんによると、今、ルークさんが乗ってきている宇宙船が庭に下りたそうだ。そして、また空高く舞い上がり、母船へと帰っていったそうだ。

「へえーーー。月島さん、ルークさんいなくなったの?」
「いいや、二つに身体を分けていたんだ。もう片方が宇宙船を操縦していたんだ。もう片方の彼は今、紫乙の身体でマグロを食べている。紫乙はサーモンを食べたいそうだが、ルークはマグロを食べたいからそうしている。このように、紫乙さんは好きなものを食べさせて貰っていない。いや、マグロも好きなんだよ。とても美味しい」
「大変だねえ……。ヨークとウーリなんて、大人なのに……」

 そのヨーク達は落ち着いた様子で芋煮とお寿司を食べている。一貴さんが好きな具材を多めにお椀に入れて、お寿司だって、彼が好きなものを選んでくれている。

「月島さん。人によって待遇が違うみたいだね。カズ兄さんなんて、ヨークにプラセルで仕事をして貰って、ウーリには新しい悪戯をする知恵を絞って貰っているんだ。今だって、好きなものを食べさせて貰っているよ。ざるそばのことは、カズ兄さんが好きだし、栄養があるから、もっと食べさせたいと思ってそうしていたんだ」
「いや、そうでもないらしい。蕎麦を求めてあちこち行って、会いたい人に会っていたらしい。その中には宇宙人にウォークインされている人が居たはずだ」
「そっか。色んなところに居るんだよね。でも、あんパンは買っていないんだ。……ユーリー、さあ、月島さんの隣に座れよ。南波さんだって、こっちに来たんだ」

 俺は気を利かせようと思い、月島さんの隣にユーリーのことを座らせた。これでよし。そう思って俺は紫乙さんの隣に移動した。すると、一貴さんが危ないと言った。紫乙さんがどうしても黒崎のことをかっこいいと思っているらしく、またルークが挑発行為をしそうだという。

「ルークさん!やめろよ~。はいはい。お寿司を食べてね。ゆうとーー、まだお寿司あるからさ。アレクシスさん。あんたの好きなホタテ貝がまだあるよ。食べてよ」

 はいはいと、俺はみんなの世話を焼くことにした。アレクシスさんはさっきからずっと、早瀬さんに絡み続けだ。泥酔はしていない。顔色は普通だ。早瀬さんはこの間の日曜日にアレクシスさんに初対面した。その時はとても紳士的なアレクシスさんだったのに、今の感じは幻滅だ。

「アレクシスさん。もうやめおけよ~。どっちがお酒に強いかなんてさ。どっちでもいいだろ。早瀬さんはすごく強いよ。俺が証明するから、お水を飲んでよ」
「夏樹。裕理がドイツには遊びに来ないと言っている。仕事が忙しいからだそうだ」
「そうだよ~。忙しいんだよ~。日本に戻ってきて、どうだった?」
「最高だ。食べ物が美味い。酒も美味い。宇宙人に会えるなんて思っていなかった。ひっく……」
「ビールを飲みすぎだよ。さあ、ホタテ貝だよ。食べて食べて。早瀬さん、何か取ってくるよ。サーモンにする?」
「サーモンは紫乙さんに食べさせてあげて。俺の言うことなら、ルークさんは聞いてくれるようだ」
「そうなんだよねえ。黒崎さんには挑発行為するくせに……」

 彼らが会ったとき、紫乙さんが自分の言葉で話せると感激していた。しばらく無かったことだという。早瀬さんが彼女の事情を聞き、大変ですねと言った瞬間、起きたことだ。

 しかし、大広間で食事を始めた時から束縛が酷くなり、サーモンが食べたいのに、ブリやイカなどを取らされていた。飲んでいるのはビールでは無く、インスタントコーヒーだ。銘柄はルークさんが決めたものを飲んでいるそうで、今日、買ってきた。そして、何杯分か作って用意してある。それをお茶のようにごくごくと飲んでいる姿を見て、ああ、ルークさんなんだと思った。
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