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今、遠藤さん家へ向かっているところだ。早瀬にプラセルとミユー企画のことを話した。提携が取りやめられることになり、その矛先が俺へ向いたことについては、早瀬がこう言った。自分達の不手際で招いたことを息子のせいにした。だから上手くいかないと。何かと口実をつけて話を流すケースは少なくないそうだ。黒崎製菓でも例があり、訴訟を起こされたことがある。
「その訴訟は12年前だと聞いている。それでも黒崎製菓は傾かなかった。誰が見ても正しい判断だった」
「そうなんだ……。お母さんは一生懸命やっていたと思うけど。あれだけ必死なら、ぶち壊しの発言も、失礼なこともしないよ」
「そうだな……」
「島川さんへ聞くよ。すっきりしたいから」
「教えてもらえない。企業秘密だ。公になっていない以上は」
「お母さんから聞いたよって言うよ。Tシャツの話はどうなるのか、友達として」
「俺が聞く。こら!勝手に電話するな」
すでに連絡先をタップして、向こうが電話に出た。挨拶の後、早瀬から電話を奪い取られそうになった。何とか取り戻すと、普段通りの笑い声が聞こえてきた。いつもの島川さんだから、何も起こっていない感覚になり、ホッとした。しかし、それは束の間だった。
「お母さんをやっつけたぞ」
島川さんの発言に、目の前が真っ暗になる感覚が起きた。この人は何を言ったのか?耳を疑う言葉だった。苛められた子の友達が仕返しをして、報告しているかのようだ。
「もう怖くない。何か言われたら俺に話せ。言ってこないとは思うけど。会社を奪い取るから。……そうするしか出来ないようにした。コラボのモデルは続けられるよ。もっといい形にできる。……悠人君は俺の弟だ。お兄ちゃんに任せておけ。……社長の一貴がそう言っている」
島川さんの言っている声が、遠くの方から聞こえてくるような感覚になった。社長の一貴とは、どういうことだろうか。
「なんで?社長のって?」
「悠人、電話を切れ」
「どうして……、お母さんの大事なものを奪うんだよ!」
「悠人君。怒っているのか。相談しなかったからか?こういうことは、話すとバレるんだ。黙っていたことは謝るよ。ごめんなさい」
「謝って済む話じゃないよ!他には……」
「他にもした。この件に気づいた役員の男がいた。好みだから告白してデートに誘った。プラセルへ誘ってもいい。……はーい、もう昼か。食べるよ」
「なんてこと……、裕理さん!やめてよ!」
早瀬に電話を切られた。もう一度電話をかけようとすると、止められた。
タクシーから降りた後、遠藤さん家へ連れて行かれた。佳代子さんが出てきて、遠藤さんを呼んだ。早瀬の声が遠くに聞こえる。そして、遠藤さんに抱きかかえられた後、家の中へ入れられた。
佳代子さんからタオルで顔を拭かれると、赤いものが付いていた。唇からの出血だ。噛みしめていたからだろう。まずは寝ようと言われて、リビングのソファーへ寝かされた。遠藤さんにも、提携の話が取りやめられそうだという情報が入っていた。
「島川さんが家に居るんだ!向かいだから行く……っ、一緒に?だめだよ!巻き込むから」
「巻き込まれるようなことを話しに行くんだろう?君の仕事関係の人に迷惑がかかる。理解しているはずだ。それは不義理なことだ」
「母への不義理を伝えます!」
「悠人君……」
遠藤さんから力が抜けた。佳代子さんから、だめよと止められた。すると、伝えるだけなら一緒に行くと、遠藤さんからそう言われた。
「僕が責任を持つ。さあ、行こうか」
「俺が行きます。悠人を頼みます」
早瀬が俺たちの前に立ちふさがった。その身体を押しのけてリビングを飛び出した。遠藤さんを巻き込みたくないからだ。
「その訴訟は12年前だと聞いている。それでも黒崎製菓は傾かなかった。誰が見ても正しい判断だった」
「そうなんだ……。お母さんは一生懸命やっていたと思うけど。あれだけ必死なら、ぶち壊しの発言も、失礼なこともしないよ」
「そうだな……」
「島川さんへ聞くよ。すっきりしたいから」
「教えてもらえない。企業秘密だ。公になっていない以上は」
「お母さんから聞いたよって言うよ。Tシャツの話はどうなるのか、友達として」
「俺が聞く。こら!勝手に電話するな」
すでに連絡先をタップして、向こうが電話に出た。挨拶の後、早瀬から電話を奪い取られそうになった。何とか取り戻すと、普段通りの笑い声が聞こえてきた。いつもの島川さんだから、何も起こっていない感覚になり、ホッとした。しかし、それは束の間だった。
「お母さんをやっつけたぞ」
島川さんの発言に、目の前が真っ暗になる感覚が起きた。この人は何を言ったのか?耳を疑う言葉だった。苛められた子の友達が仕返しをして、報告しているかのようだ。
「もう怖くない。何か言われたら俺に話せ。言ってこないとは思うけど。会社を奪い取るから。……そうするしか出来ないようにした。コラボのモデルは続けられるよ。もっといい形にできる。……悠人君は俺の弟だ。お兄ちゃんに任せておけ。……社長の一貴がそう言っている」
島川さんの言っている声が、遠くの方から聞こえてくるような感覚になった。社長の一貴とは、どういうことだろうか。
「なんで?社長のって?」
「悠人、電話を切れ」
「どうして……、お母さんの大事なものを奪うんだよ!」
「悠人君。怒っているのか。相談しなかったからか?こういうことは、話すとバレるんだ。黙っていたことは謝るよ。ごめんなさい」
「謝って済む話じゃないよ!他には……」
「他にもした。この件に気づいた役員の男がいた。好みだから告白してデートに誘った。プラセルへ誘ってもいい。……はーい、もう昼か。食べるよ」
「なんてこと……、裕理さん!やめてよ!」
早瀬に電話を切られた。もう一度電話をかけようとすると、止められた。
タクシーから降りた後、遠藤さん家へ連れて行かれた。佳代子さんが出てきて、遠藤さんを呼んだ。早瀬の声が遠くに聞こえる。そして、遠藤さんに抱きかかえられた後、家の中へ入れられた。
佳代子さんからタオルで顔を拭かれると、赤いものが付いていた。唇からの出血だ。噛みしめていたからだろう。まずは寝ようと言われて、リビングのソファーへ寝かされた。遠藤さんにも、提携の話が取りやめられそうだという情報が入っていた。
「島川さんが家に居るんだ!向かいだから行く……っ、一緒に?だめだよ!巻き込むから」
「巻き込まれるようなことを話しに行くんだろう?君の仕事関係の人に迷惑がかかる。理解しているはずだ。それは不義理なことだ」
「母への不義理を伝えます!」
「悠人君……」
遠藤さんから力が抜けた。佳代子さんから、だめよと止められた。すると、伝えるだけなら一緒に行くと、遠藤さんからそう言われた。
「僕が責任を持つ。さあ、行こうか」
「俺が行きます。悠人を頼みます」
早瀬が俺たちの前に立ちふさがった。その身体を押しのけてリビングを飛び出した。遠藤さんを巻き込みたくないからだ。
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