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……カチカチ……カチカチ……。
この部屋の時計はデジタル表示だ。初めてマンションに遊びに行った時に、かっこいい時計だなと思ったことを覚えている。すると、天井の照明がついたり消えたりし始めた。そして、天気も荒れ始めた。
「本格的に停電になりそうだ」
「怖くないよ」
「うそつけ。だったら隅の方に座っておけ」
「そばにいるから怖くないんだよ~っ、意地悪なオジサンだね~」
黒崎の耳たぶをつまんで引っ張ってやった。すると、彼が笑いながら椅子から立ちあがった。どこに行くんだよ?不安になってすがりつくと、一緒に床のラグの上に座った。黒崎がビーズクッションにもたれ掛かり、俺は黒崎の膝にもたれた。
……チカチカッ……チカッ……。
ふっと、部屋の中が暗くなった。外は風が強くなっている。話していたから気づかなかったのか。それだけ安心していたからだろう。
「黒崎さん……」
「どうした?」
「何でもないよ~」
「何度目の嘘をついた?」
「当ててみてよ……」
もう特別なことは期待していない。こうして過ごすだけで十分だと分かった。耳元から伝わる胸の鼓動に安心した。
「冬になる前に星を眺めに行こう。一日ぐらいは時間が取れるだろう?」
「うん。佐久弥のバンドが終わったら暇になるよ~」
「そうとも限らないぞ?ソロ活動の話がくるかもしれない」
「上手い人はいくらでもいるもん。今回はラッキーだよ。悠人がいるから目立ったんだよ」
「お前らしい言い分だ。流れに乗ったとはいっても、自分の意志で決めたんだぞ」
そっと頭をなでられた。忙しくても同じ方向を見ようね。今年も美味しい物を食べようね。そんな他愛のない会話を続けているうちに、天井の照明が復活した。暗い時間が続いていたから、眩しくて目を閉じた。
黒崎の体温は気持ちがいいなあと思っていると、唇にも新しいものが伝わってきた。目を開けなくても、これが何なのか分かっている。怖くない。
「……照明を消すぞ」
「どうしたの?」
「さあな……」
黒崎が覆いかぶさってきた。そして、着ているシャツを脱いだ後、俺のTシャツも脱がした。自然と抱き合うようにお互いの身体に抱きつくと、だんだんと衣擦れの音が消えていった。じっとして、お互いの体温を感じ始めた。
「どうしたの?」
「今夜は抱きたくない」
「脱いだくせに」
「体温を感じたいからだ。お前の大事な身体だ。規則正しく鼓動が打っている。特別なことは何もしなくて構わない。お前が元気でいてくれればそれでいい」
「黒崎さん……」
クッションにもたれ掛かった黒崎の胸に頬を寄せた。ゆっくりと頭を撫でられていて、そのリズムが気持ちいい。すると、俺が大きなクシャミが出てしまい、まったり過ごしている時間がお開きになった。俺が黒崎からTシャツを着せられた。彼もシャツを着始めている。もっとふれあいたいのに。
「もっとくっついていようよ~」
「風邪を引かす」
「続きはベッドで?」
「今夜は何もしない」
黒崎がはっきり言った。がっかりしたわけではない。彼の気持ちが嬉しいからだ。これからどうしようかと囁き合った結果、喧嘩しようという話になった。その方が俺達らしい。でも、ネタがないから、お互いの頬をつねり合う夜に変更した。こうして夜が過ぎていった。
この部屋の時計はデジタル表示だ。初めてマンションに遊びに行った時に、かっこいい時計だなと思ったことを覚えている。すると、天井の照明がついたり消えたりし始めた。そして、天気も荒れ始めた。
「本格的に停電になりそうだ」
「怖くないよ」
「うそつけ。だったら隅の方に座っておけ」
「そばにいるから怖くないんだよ~っ、意地悪なオジサンだね~」
黒崎の耳たぶをつまんで引っ張ってやった。すると、彼が笑いながら椅子から立ちあがった。どこに行くんだよ?不安になってすがりつくと、一緒に床のラグの上に座った。黒崎がビーズクッションにもたれ掛かり、俺は黒崎の膝にもたれた。
……チカチカッ……チカッ……。
ふっと、部屋の中が暗くなった。外は風が強くなっている。話していたから気づかなかったのか。それだけ安心していたからだろう。
「黒崎さん……」
「どうした?」
「何でもないよ~」
「何度目の嘘をついた?」
「当ててみてよ……」
もう特別なことは期待していない。こうして過ごすだけで十分だと分かった。耳元から伝わる胸の鼓動に安心した。
「冬になる前に星を眺めに行こう。一日ぐらいは時間が取れるだろう?」
「うん。佐久弥のバンドが終わったら暇になるよ~」
「そうとも限らないぞ?ソロ活動の話がくるかもしれない」
「上手い人はいくらでもいるもん。今回はラッキーだよ。悠人がいるから目立ったんだよ」
「お前らしい言い分だ。流れに乗ったとはいっても、自分の意志で決めたんだぞ」
そっと頭をなでられた。忙しくても同じ方向を見ようね。今年も美味しい物を食べようね。そんな他愛のない会話を続けているうちに、天井の照明が復活した。暗い時間が続いていたから、眩しくて目を閉じた。
黒崎の体温は気持ちがいいなあと思っていると、唇にも新しいものが伝わってきた。目を開けなくても、これが何なのか分かっている。怖くない。
「……照明を消すぞ」
「どうしたの?」
「さあな……」
黒崎が覆いかぶさってきた。そして、着ているシャツを脱いだ後、俺のTシャツも脱がした。自然と抱き合うようにお互いの身体に抱きつくと、だんだんと衣擦れの音が消えていった。じっとして、お互いの体温を感じ始めた。
「どうしたの?」
「今夜は抱きたくない」
「脱いだくせに」
「体温を感じたいからだ。お前の大事な身体だ。規則正しく鼓動が打っている。特別なことは何もしなくて構わない。お前が元気でいてくれればそれでいい」
「黒崎さん……」
クッションにもたれ掛かった黒崎の胸に頬を寄せた。ゆっくりと頭を撫でられていて、そのリズムが気持ちいい。すると、俺が大きなクシャミが出てしまい、まったり過ごしている時間がお開きになった。俺が黒崎からTシャツを着せられた。彼もシャツを着始めている。もっとふれあいたいのに。
「もっとくっついていようよ~」
「風邪を引かす」
「続きはベッドで?」
「今夜は何もしない」
黒崎がはっきり言った。がっかりしたわけではない。彼の気持ちが嬉しいからだ。これからどうしようかと囁き合った結果、喧嘩しようという話になった。その方が俺達らしい。でも、ネタがないから、お互いの頬をつねり合う夜に変更した。こうして夜が過ぎていった。
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