恋人はメリーゴーランド少年だった~永遠の誓い編

夏目奈緖

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 午前0時。

 繁華街にある丸池広場公園へ着いた。さっきまで話していたのは、俺が告白した時のことだった。夏樹からからかわれて、彼の頬をつねってやった。夏樹が笑い出し、もっと引っ張ってやると、もっとからかわれた。こういう会話が幸せだ。そして、気恥ずかしさも生まれた。夏樹も同じらしい。照れくさくなったと言い出した時、アンがあくびをした。普段は寝ている時間だ。早く帰らないといけないが、今日だけは堪えてもらいたい。夏樹も同じ事を考えていたようで、お互いに微笑み合った。

「黒崎さんが出張から帰ってくる日、連絡が来なかったから不安だったんだ。パンケーキを食べた帰りに痴漢にあったんだ。覚えている?」
「ああ。覚えている」
「その時、黒崎さんが現われたんだ。本当なら会社へ戻っていたんだよね?近くに用があったって言っても、あの時間に会うなんて不思議だね?」 
「用を済ませた後、タクシーに乗り込む前に、お前に連絡を取ろうとした。その時に広場が気になって、立ち寄った」 
「不思議な力が働いたね。これからは、どこへ行くのも一緒だよ」
「当たり前だ」
「都内の家をさがしてくれているじゃん。俺の居心地の良い場所を探してくれているんだよね?あんたが居心地の良い場所が良い」
「なかなか見つからない。だが、間に合わす」
「見つからないなら、作り出せばいいと思うんだ。そうマデリンおばあさんからアドバイスされたんだよ。幸せは近くにあるんだ。高い塔から眺めてもいいんだ。灯台下暗しでもいいん。エデンを見つけて、大事していこうね!」

 夏樹から手を握られた。ふと、父の家に引っ越すのはどうかと思いついた。彼はどう返事をするだろうか。まだ早い気がする。しかし、一緒に庭を眺めたいと思った。

「夏樹。お前と一緒に庭の夏椿を眺めたい」
「うん。夏椿は一日花だよね。咲いた花は、その日のうちに落ちてしまう。それでもめげずに、来年も花を咲かせる。派手じゃないけど、綺麗な白い花だよ。喧嘩も強いレスキュー天使が、一緒に観に行くよ」
「……幸せにする。誓う」
「……俺も誓うよ!」

 自然と身体が近づいていった。お互いの唇から伝わる体温が心地よく感じ、触れ合ううちに溶け合った。そして、外灯からの光で出来た影も、ひとつになった。 

 俺は心のドアを閉めていたが、夏樹から引き出されてしまった。彼が戦士になり、俺のことを守ってくれた。そして、人に寄り添いながら、夜空に浮かぶ星を眺める優しい子という顔も彼自身だ。いくつも表情を変える。

 頭に浮かんだのは、光に包まれた遊園地だ。

 メリーゴーランドを背景に、天使が微笑んでいる。

 ーー夏樹。 

 俺のことを好きになってくれてありがとう。 

 いつまでも愛している。 

 now and for ever. <END> 
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