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控え室フロアに到着した。奥のドアには、植本さんの名前が書かれていた。佐久弥は隣の部屋であることと、芸名では無く、本名の『佐伯久弥』という文字が書かれていることに気づいた。さっそく、早瀬に疑問を投げかけた。
「控え室って、本名を書くの?芸名かと思っていたのに」
「IKUでは、全て本名で通すそうだ」
「ふむふむ」
その名前を見て、気がついたことがある。ここへ来るまでの間に、ステージ出演のお祝いの花が飾られていた。その中にあった会社名のことが気になった。
「お祝いの花があったよね?佐久弥には『サエキ酒造』があったよ。佐久弥の関係かな?」
「そうだよ。実家がサエキ酒造だ。面白い家族だよ。特にお母さんと弟がね。弟はO大の一年生だから、藤沢君が知っているかも知れないね。如月君も……」
「その子の名前はー?」
「……佐伯理久《さえきりく》だ」
「あ、真羽から聞いてあるよ。友達なんだってさ。遠藤さん家のリクと同じ名前だって思って、すぐに覚えたんだ」
「君も友達になれそうだろう?」
「そうだね!真羽に聞いてみるよ。あのさ……」
今更ながら、早瀬の過去を掘り起こすことをしてしまう。こんなのは男らしくない。しかし、どうしても気になっている。
「佐久弥とは家族ぐるみだった?」
「友人関係が長かった。ああ見えても同級生だ」
「うひぇーー?あんなに子供っぽいのに?公式ページには、27歳って書いていたよ?裕理さんよりも年下だって思っていたのに」
「デビュー時のイメージ作りがあったはずだ。……佐久弥は会社員をやっていた。サエキ酒蔵で働いていたよ。恋人の蔵之介も同級生だ」
「元恋人と……、現在の恋人が同級生?」
「蔵之介と俺は仲が良い。だからずっと佐久弥の様子は聞いていた」
大人というのは、割り切れるものなのか。佐久弥と初めて会った時は、関係がもつれているように見えたのに。すると、佐久弥が俺の背後から抱きついてきた。
「あのなー。20代半ばまでの恋愛と、20代後半からの恋愛は意味が違う。パートナーとしてやっていけるかどうかで選ぶやつが多い。裕理のことは外見で選んだ。中身はサイアクだった」
「ふむふむ……」
「へえ?理解できるのか?可愛くないなー、泣けよ!」
「ひいいいいっ」
ゴチゴチ!頭のうえに顎を置いて、カチカチと歯ぎしりされたことで、鈍い音が響いた。さらに大きく歯をカチカチ鳴らしていることで、その振動が伝わった。
「さくやーー、何やってんだよー」
「ゆうとくーん、デートしようよ」
「蔵之介さんがいるだろ?」
「平気だよー」
「こら、佐久弥」
冗談で言ったのは分かるのに、早瀬が釘を刺した。恋人がいるのに何を言うのかと。冗談でも言うなと叱った。
「ユーリ、変わったね~?」
「佐久弥、叱られたんだから謝れよ」
「ごめんなさい。クラー!裕理に叱られたよ~」
「はいはい。こっちに来い」
佐久弥が蔵之介さんへすがりついて、控え室に入って行った。俺はギターを取ってきた後、植本さんの部屋で打ち合わせをすることになった。
「さあ、入ろう。佐久弥に苛められないように守ってやる。心配するな」
「へへへ……」
俺も早瀬にすがりついて部屋へ入った。ありがとうと言いながら。
「控え室って、本名を書くの?芸名かと思っていたのに」
「IKUでは、全て本名で通すそうだ」
「ふむふむ」
その名前を見て、気がついたことがある。ここへ来るまでの間に、ステージ出演のお祝いの花が飾られていた。その中にあった会社名のことが気になった。
「お祝いの花があったよね?佐久弥には『サエキ酒造』があったよ。佐久弥の関係かな?」
「そうだよ。実家がサエキ酒造だ。面白い家族だよ。特にお母さんと弟がね。弟はO大の一年生だから、藤沢君が知っているかも知れないね。如月君も……」
「その子の名前はー?」
「……佐伯理久《さえきりく》だ」
「あ、真羽から聞いてあるよ。友達なんだってさ。遠藤さん家のリクと同じ名前だって思って、すぐに覚えたんだ」
「君も友達になれそうだろう?」
「そうだね!真羽に聞いてみるよ。あのさ……」
今更ながら、早瀬の過去を掘り起こすことをしてしまう。こんなのは男らしくない。しかし、どうしても気になっている。
「佐久弥とは家族ぐるみだった?」
「友人関係が長かった。ああ見えても同級生だ」
「うひぇーー?あんなに子供っぽいのに?公式ページには、27歳って書いていたよ?裕理さんよりも年下だって思っていたのに」
「デビュー時のイメージ作りがあったはずだ。……佐久弥は会社員をやっていた。サエキ酒蔵で働いていたよ。恋人の蔵之介も同級生だ」
「元恋人と……、現在の恋人が同級生?」
「蔵之介と俺は仲が良い。だからずっと佐久弥の様子は聞いていた」
大人というのは、割り切れるものなのか。佐久弥と初めて会った時は、関係がもつれているように見えたのに。すると、佐久弥が俺の背後から抱きついてきた。
「あのなー。20代半ばまでの恋愛と、20代後半からの恋愛は意味が違う。パートナーとしてやっていけるかどうかで選ぶやつが多い。裕理のことは外見で選んだ。中身はサイアクだった」
「ふむふむ……」
「へえ?理解できるのか?可愛くないなー、泣けよ!」
「ひいいいいっ」
ゴチゴチ!頭のうえに顎を置いて、カチカチと歯ぎしりされたことで、鈍い音が響いた。さらに大きく歯をカチカチ鳴らしていることで、その振動が伝わった。
「さくやーー、何やってんだよー」
「ゆうとくーん、デートしようよ」
「蔵之介さんがいるだろ?」
「平気だよー」
「こら、佐久弥」
冗談で言ったのは分かるのに、早瀬が釘を刺した。恋人がいるのに何を言うのかと。冗談でも言うなと叱った。
「ユーリ、変わったね~?」
「佐久弥、叱られたんだから謝れよ」
「ごめんなさい。クラー!裕理に叱られたよ~」
「はいはい。こっちに来い」
佐久弥が蔵之介さんへすがりついて、控え室に入って行った。俺はギターを取ってきた後、植本さんの部屋で打ち合わせをすることになった。
「さあ、入ろう。佐久弥に苛められないように守ってやる。心配するな」
「へへへ……」
俺も早瀬にすがりついて部屋へ入った。ありがとうと言いながら。
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