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黒崎から抱きつかれてキスをされた。酔っぱらいの相手をしている時間はない。少しでも早く、彼には寝てもらいたいからだ。ソファーに置かれたネクタイを拾い上げて、キッチンの横にある、小さな物置スペースのそばに行った。そして、大きなカゴの中にネクタイを入れた。
このカゴにはクリーニングに出すものを入れている。全部黒崎のスーツ類だ。彼はスーツに埃ひとつ付かないように気をつけている。どんなに忙しくても、清潔感を大事にしている。そのカゴの中に上着やズボンも入れると、また黒崎から抱きしめられた。早く風呂に入って温まってきてもらいたい。明日は平日だ。早く寝た方が良いと思う。
「黒崎さん。早く寝た方がいいよ。疲れが取れないよ」
「風呂の準備もしてくれたのか。ありがとう」
「今夜は寒いからね。入ってきてよ」
「そうだな。お前は寝ておけ」
「夜食を食べるのを付き合うよ」
「そうか。クリーニングに出す物が増えたな。すまない。全てお前にやらせている」
「いいんだよ。そうだ。手伝ってよ。明日、受け取ってきてよ」
「ああ。そうする」
このマンションは便利で、クリーニング店が入っている。専用の受け取りボックスを申し込んでいるから、24時間いつでも受け取れるから便利だ。つまり、黒崎が帰宅したときに立ち寄れるということだ。黒崎にはこうして家事を覚えてもらっている。一人暮らしの時は、忙しい時には、靴下もクリーニングに出したことがあるそうだ。
出会ったときは隙一つない雰囲気の人だったのに、今は違う。リラックスできているのはいいけれど、なんだかオジサンに見える。下着一枚になって、冷蔵庫から水を取り出して飲んでいるからだ。まるで実家の父のようだ。鍛えている体がかっこいいけれど、親父くさくなったように感じた。
「下着でウロつくなよーー」
「お前がそうしろと言ったんだぞ?気を抜けと言っていただろう?」
「抜きすぎだよ」
腰を叩いてやると、黒崎が笑いながらバスルームへ消えた。その後、俺は今晩の着替えを取り出して、脱衣場へ置いた。そして、ふかふかのバスタオルも置いた。
(俺、世話のしすぎな気がする……。こうやって甘やかすから、家事を覚えない人が出来上がっているんだな……。忘年会シーズンが落ち着いたら、ご飯を炊く練習をさせようっと……)
晩ご飯の準備をしていた時のことを思い出した。箸がどこにあるのか分からないと言い出した。置き場所は決めてあるし、一昨日も聞かれたばかりだった。黒崎は何でもすぐに覚える。俺がそれを言うと、覚える気がないそうだ。つまり、俺がいるからだ。それを聞いたとき、俺は呆れかえった。実家の母に話すと、可愛らしいところがあるねと言って、笑っていた。
「あ、黒崎さん。早かったね」
「腹が空いた」
「やっぱり夜食を用意して良かったね」
黒崎が風呂から出てキッチンへ入って来た。箸をダイニングテーブルへ持って行くように頼んだ。俺は夜食を持って行った。すると、黒崎が棚の引き出しを開けた。
「夏樹。スプーンはどこにあるんだ?」
「右から2番目の引き出しだよ。食器と一緒に入れているよ。お茶を飲みたいよね?今煎れるからね」
「手伝う」
お茶を淹れるために、茶葉をセットした。後はポットからお湯を注ぐだけだ。さっそく黒崎にやってもらおうと思ったら、ポットのスイッチを押すことを忘れて、沸いていなかった。
「黒崎さん。ポットのスイッチを入れてよ」
「ああ。ここか?」
「そうだよ~」
黒崎がポットのスイッチを入れた。俺は本気で褒めた。そうすると、また手伝ってもらえるからだ。俺がお茶を煎れた後、黒崎がダイニングテーブルに持って行ってくれた。
このカゴにはクリーニングに出すものを入れている。全部黒崎のスーツ類だ。彼はスーツに埃ひとつ付かないように気をつけている。どんなに忙しくても、清潔感を大事にしている。そのカゴの中に上着やズボンも入れると、また黒崎から抱きしめられた。早く風呂に入って温まってきてもらいたい。明日は平日だ。早く寝た方が良いと思う。
「黒崎さん。早く寝た方がいいよ。疲れが取れないよ」
「風呂の準備もしてくれたのか。ありがとう」
「今夜は寒いからね。入ってきてよ」
「そうだな。お前は寝ておけ」
「夜食を食べるのを付き合うよ」
「そうか。クリーニングに出す物が増えたな。すまない。全てお前にやらせている」
「いいんだよ。そうだ。手伝ってよ。明日、受け取ってきてよ」
「ああ。そうする」
このマンションは便利で、クリーニング店が入っている。専用の受け取りボックスを申し込んでいるから、24時間いつでも受け取れるから便利だ。つまり、黒崎が帰宅したときに立ち寄れるということだ。黒崎にはこうして家事を覚えてもらっている。一人暮らしの時は、忙しい時には、靴下もクリーニングに出したことがあるそうだ。
出会ったときは隙一つない雰囲気の人だったのに、今は違う。リラックスできているのはいいけれど、なんだかオジサンに見える。下着一枚になって、冷蔵庫から水を取り出して飲んでいるからだ。まるで実家の父のようだ。鍛えている体がかっこいいけれど、親父くさくなったように感じた。
「下着でウロつくなよーー」
「お前がそうしろと言ったんだぞ?気を抜けと言っていただろう?」
「抜きすぎだよ」
腰を叩いてやると、黒崎が笑いながらバスルームへ消えた。その後、俺は今晩の着替えを取り出して、脱衣場へ置いた。そして、ふかふかのバスタオルも置いた。
(俺、世話のしすぎな気がする……。こうやって甘やかすから、家事を覚えない人が出来上がっているんだな……。忘年会シーズンが落ち着いたら、ご飯を炊く練習をさせようっと……)
晩ご飯の準備をしていた時のことを思い出した。箸がどこにあるのか分からないと言い出した。置き場所は決めてあるし、一昨日も聞かれたばかりだった。黒崎は何でもすぐに覚える。俺がそれを言うと、覚える気がないそうだ。つまり、俺がいるからだ。それを聞いたとき、俺は呆れかえった。実家の母に話すと、可愛らしいところがあるねと言って、笑っていた。
「あ、黒崎さん。早かったね」
「腹が空いた」
「やっぱり夜食を用意して良かったね」
黒崎が風呂から出てキッチンへ入って来た。箸をダイニングテーブルへ持って行くように頼んだ。俺は夜食を持って行った。すると、黒崎が棚の引き出しを開けた。
「夏樹。スプーンはどこにあるんだ?」
「右から2番目の引き出しだよ。食器と一緒に入れているよ。お茶を飲みたいよね?今煎れるからね」
「手伝う」
お茶を淹れるために、茶葉をセットした。後はポットからお湯を注ぐだけだ。さっそく黒崎にやってもらおうと思ったら、ポットのスイッチを押すことを忘れて、沸いていなかった。
「黒崎さん。ポットのスイッチを入れてよ」
「ああ。ここか?」
「そうだよ~」
黒崎がポットのスイッチを入れた。俺は本気で褒めた。そうすると、また手伝ってもらえるからだ。俺がお茶を煎れた後、黒崎がダイニングテーブルに持って行ってくれた。
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