上弦の月の天使~結ばれた約束の夜

夏目奈緖

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6-1 2人のクリスマス

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 12月24日、火曜日。午前6時。

 今夜はクリスマスイブだ。二人で家の中で過ごすと決めてある。黒崎の方は、飲み会ラッシュが落ち着いた。控えめに飲んでも、回数が多いから疲れそうだ。

 黒崎からは心配いらないと言われた。社長時代に慣れているから、コントロールできるのだという。しかし、一人暮らしは3年半前までだ。体は忘れていると思う。さらに家でも飲んでいるから心配になった。久米酒店から届いたビールケースを眺めると、けっこう減っていた。すると、ちょうど黒崎が外から戻ってきた。

「黒崎さん。ビールを飲み過ぎだよ~。書斎でも飲んだだろ」
「家の方が落ち着くからだ」
「ふうん。言い返せないなあ……」

 そう言われると嬉しいからだ。俺も同じ気持ちだよと顔が熱くなった。3年半も一緒に暮らしても、まだ照れくさい。

 並べ終えた朝ごはんからは、ホカホカと湯気が立っている。まるで俺と同じだ。誤魔化すようにして、お茶を取りに行こうと、キッチンへ戻った。

 用意が終わると、背後に気配を感じて、胸がドキッとした。さっきの反応をイジりながら、抱きしめてくるのだろう。平日の朝だから控えめにしないといけない。

(今夜が本番だもんね。いちゃつくし……)

 想像するだけでも湯気が出そうだ。さらに背中が温かくなるのを待っているのに、音沙汰なしだ。チラッと振り向くと、黒崎がダイニングにいた。俺の方を見ても、何の反応していない。

「黒崎さん。照れているのかよ?」
「何をだ?」
「さっきの話だよ。照れくさいなって思ったんだ。あんたもだろ?」
「どうして照れる必要がある。いつものことだ。家の方が落ち着く」
「そうなの。ふうん……」

 きまり悪そうにしないから、本気で何とも思っていないのか。3年半も経つと、こうなるのか?唇を尖らせて自己主張すると、普通に笑われた。

「甘い言葉を言ってよ~」
「思いつかない」
「何でも我儘を言えって……。叶えてよ」
「今日も可愛らしい。ウサギプリントのエプロンが似合っている」
「棒読みで言うなよ~」
「……叶えてやったぞ」

 まあいいか。本番に備えているということだ。そう思い直して、朝ごはんを食べ始めた。
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